『1つだけ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
子どものころは
きちんと選ばないといけなかった。
大人になってからは
選ばなくても手に入れられるようになった。
でもどうしてだか
1つだけ選んでいたあの頃のほうが
世界が鮮やかだった気がする。
<お題:1つだけ>
【1つだけ】
真面目だとしても勉強が出来るわけじゃない。好きな子もいなければ、あいつらだってそうだ。話を聞いても惚れた腫れたの話も全くない、気がする。そんな日々が桜色に近づいたからかもしれない。
「一つだけ、お願い聞いて欲しいの。」
そこからさらに付け足して
「今は一つだけ。」
こんな、二人きりの場所に呼び出されてこんなことを言われるのもこの世に生を受けて17年。一度だってなかった。こういうとき、なんて言えばいいんだっけ。
「えっと、とりあえず聞くだけ聞く。」
これで、正解なんだろうか。分からないけれど。今はこれが正解な気がする。
「私とデートに行って欲しい。そこで、告白したいの。」
デートって付き合ってる男女がするものだと思ってた。だから、驚いただけ。特段嫌いでもなければどちらかといえば話しやすいし面白いからいっか、そう思っただけ。
「わかった、日時は?」
「今週でもいいなら今週の土曜日。午前十時に、場所は連絡するから。」
携帯を取り出して予定を確認する。ちょうど何も無い日だし天気予報は晴れだった。
「分かった、楽しみにしてる。」
これで、合ってるんだろうか。告白したことはあった、一度だけ。中学の頃、これも話しやすくて優しかった子。まぁ、振られてあいつらに笑われたけど。笑われるくらいがちょうどよかった。彼氏いたらしいし。幸い、その後も話せたのが救いかもしれない。でも、告白されたのは初めてだ。なんか、顔赤かったな。なんて、今になって少しだけ小っ恥ずかしくなる。あいつらにはまだ言わないでおこう。付き合えるかも分かんないんだし。
「お前、告白されたんだってな。」
さっき、そう思ってジュース買って帰ったらこれだ。
「俺が見てたの。たまたまトイレの帰りにさ。」
まぁ、人も通る場所だったしありえない話じゃない。そう思うとよくあそこであれ言ったな。感心してしまう。
「告白されたってか、お願いされた。」
自分でもよく分からないけど多分これで合ってる。告白する予定があるって言われただけだし何も、俺に対してなんて一言も言ってなかった。だから、違うと思う。でも、少しだけあの子の顔を思い出して期待してしまう。
「お前、ふざける時はふざけるのに真面目だからな。」
「勉強は出来ないけどな!」
ふざけんなよ、と笑いながら少しだけ小突くと俺も勉強出来ねぇからと笑い返してくれた。
「まぁでも、楽しんでこいよ。」
この反応はされると思ってなかった。でも、それだけ仲良くしてくれてる証なのかもしれない。
「ん、楽しむわ。」
本心。きっと今週は上の空で授業受けるからまた点数落ちて怒られるかもな、なんて。笑えない。あの子、頭良かったっけ。告白されるとは限らないのにもう今から頭があの子のことでいっぱいになってきた。
「今日、小テスト午後あったっけ。」
ふと思い出して呟いてみる。どうやら、当たりだったらしい。
「マジじゃん、笑えねぇわ。勉強とかしたくないけど。」
そんなこんなで、小テストやら授業やらが過ぎてすぐに週末なんて来てしまった。気合いの入ってるような、だけど結構前に話した時好きって言ってた格好。
「可愛いね、格好。前、言ってたやつだ。」
少しだけ照れたように前髪をかき分ける仕草に目を惹かれた。こんな顔は見たこと無かった。待ち合わせの時間より二人とも少しだけ早く着いてしまって。お互いを見て微笑む。なんか、幸せ。勘違いしちゃいけないことは覚えてる。
「そっちも前言ってたみたいな格好だ。でも、アクセサリーのことなんて言ってなかったのに。今日、映画付き合わせる形でごめんね?」
映画ってのは後から連絡を貰った。たまたま気になってたやつだったから二つ返事で承諾した。
「かっこつけ。昔、おじさんが親父の弟が女の子にはかっこつけた方がかっこいいだろって言っててさ。なんか、クサい台詞だなとは思うけどちょっと好きなんだよね。じゃ、行こっか。」
手を引くわけでもなく二人で目的地に歩き出す。映画は思ってたのとは違ったけどいい感じにまとまっててお昼は二人で映画の感想を言い合って白熱した。解釈を言い合って少し声が大きくなりすぎたかな、なんて二人で恥ずかしくなって。そこからはショッピングをして俺もあの子も可愛い物が好きだったから雑貨屋で意気投合してた。あっという間に帰りの時間なんてきちゃって。夜ご飯を食べて少しだけ公園行って久しぶりにブランコ乗ろうよとかはしゃいで。子どもに戻ったみたいだった。
「私と付き合ってください。」
「これさ、受け取って欲しい。」
ほぼ、同時だった。お互いの顔が見れないままどんな顔かなんて想像出来てしまう。
「俺からも一つだけお願い。この返事OKってことでこれと一緒に受け取って欲しい。」
渡したかったものは雑貨屋で見た時にお互いがこれ可愛いって意気投合した物だった。お揃いなんてこの歳になってとか思うけどそれ以上になにか今日を形に残したかったんだと思う。お互いに顔を見合わせて笑う。
「一つだけお願い聞いて欲しい。」
「何、泣いてんの。」
返事はきっとこれで合ってる。なんか、理由とかはなくてただ、そんな気がするから。
「明日、学校で挨拶するから返して欲しい。」
そこからさらに付け足して
「今は一つだけ。」
「今は一つだけのお揃い。可愛いもん好きなんだよね。」
知ってるって笑われた。それくらいがちょうどよかった。
無人島に一つだけ持って行けるなら、何を持っていく?
ありきたりで、何度も擦られた質問。つまらないものなはずなのに、目の前の君があまりにも興味津々にこちらを覗き込んで聞いてくるから、適当な回答は免れない。
「んー、迷うな……君だったら何持ってくの?」
「毛布!」
「いや、もっと実用的な何かがあるだろ」
「だって寒いの無理なんだもん」
君は口を尖らせそう言って、窓の奥に広がる銀世界を見てうんざりしていた。
「大体な、温もりが必要なら俺でいいじゃん。俺を連れて行けばいいよ」
「うわぁ。クサいなあ……いいよいいよ、遠慮しとく。
あー、でも、私1人の島より、君がいてくれた方が楽しそうかも」
大きな瞳がぱちりと瞑られる。
君の眩しい笑みを直に食らった俺は暫く動けないでいた。
掃除も粗方終了し、彼女と別れて1人残された教室。
自分の席から窓の外を眺めていると、校門に彼女を見つけた。
先ほどから落ち着きのない様子で下駄箱と校門を行ったり来たりしていて、挙動不審になっていて面白い。そして腕をかかえて縮こまっている。積雪量の多いこの田舎町でも、今日は決して寒くないと言えないほどの気温だ。このままそこにいたら凍死待った無しだろ。
雪がどんどん激しく降ってきて、彼女の姿すら見えなくなった頃。
俺は彼女の机を漁って、ラブレターを引っ張り出した。しわひとつない封筒から便箋を取り出して内容を読む。
『伝えたいことがあります。 放課後、校門前で待ってます』
これは俺が彼女に宛てて書いたものだ。
しかし、贈り名は俺ではなく、彼女の好きな人の名前を書いた。偽装したのだ。
これなら彼女を放課後留めておくことができるし、寒い中放置することで体も動きにくくなるだろう。
……なんでこんなことをするかって、それは彼女のことが大好きだからだ。
中学の時、いじめを受けていた俺を守ってくれたのが彼女だった。その背中はさながら女神だと思った。
そこから俺が彼女を好きになるのは一瞬だった。
俺がいじめられていたことは天啓で、全部彼女と引き合わせられるためのものだった!
だから今日、こうして引き合わせられるのも、俺が手繰り寄せた運命なんだ!
にやけが止まらずに勢いだけで階段を降りる。
今頃彼女、どうしてるかな。まだ校門にいるのかな?それとももう帰路についてるのかな?どっちにしろ、体が鈍ってるはずだから君を奪うことなんて容易いんだよ。
校門を突破して一つ目の信号を渡ったところに彼女の姿が見えた。僕は笑みを堪えて、後ろからゆっくり近づいた。
無人島に一つだけ持って行けるなら、何を持っていく……か。
無論、君を連れて行くよ。君と俺以外誰もいない世界で、死ぬまで一緒にいれるんだ。命を捨ててでも君といたいに決まってる。
砂漠にあるオアシス。地獄に垂らされた蜘蛛の糸。俺にとっての君。弱いものは窮地に追い込まれた時の甘い蜜にめっぽう弱い。その窮地が苦しければ苦しいほど、逆転の光は強くさす。
だから僕は、君に執着し続けるんだ。
〈1つだけ〉
「人間の体はおおむね『二つ』で構成されている。
たとえば眉、たとえば目、たとえば耳、たとえば腕、たとえば足、たとえば肺、たとえば腎臓。一つの鼻に空いてる穴は二つだし、唇だって上唇と下唇の二つで成っている。脳だって右脳と左脳の二つだ。すべてが二つで構成されているわけではないけど、まあ人間というのはおおむね『二つ』から成っている。
では『人間』という動物の話をしよう。
人間とは、社会的動物である――という話は聞いたことがあるかな? 勉強家の君のことだ、きっとどこそこのいけすかない学者が道端でべらべらとそんな話を口軽くしているのを耳にしたことがあるだろう。
そう、人間というのは社会的動物である、とされている。簡単に言えば、社会を構築し、その中で生きていく生き物だということだね。群れが必要だということだ。
たとえば君、君が一人で孤独に生きているとしよう。あの大きな屋敷の一室に引きこもり、誰とも関わらない日々を送り、静かに命を消費しているとしよう。ではその場合、君は群れの一員ではなく、個人として独立していることになるか? 答えは否だ。君が一人、孤独に慣れ親しむ生活を送り、誰の目にも触れずにいたとしても、それが絶えず他者の手によって成り立っているものであることには変わりない。よって君は未だ群れの一員だ。
人間というのは、他者と在ることにより己と人の境界線を知る。境界線を知ることで『個』と『他』を認識する。他者ありきの存在だ、『一』ではなく『二』でなくてはならない。『二』から始まるんだよ、人間としての『君』は」
「つまり、どういうことですか」
滔々と流れる言葉の合間に少年が問いを差し込めば、魔女は一つ瞬き、ゆっくりと美しい笑みを浮かべた。木漏れ日にきらめく金の双眸には、いついかなるときも変わらない、慈しむ色が湛えられている。
ふふ、と吐息のような笑い声。
白い指先が簡素なガーデンテーブルの上に置かれた小さな焼き菓子をつまんだ。
「つまりね。一つだけ、なんていじらしいことを言わず、二つでも三つでも好きにお食べなさい、ということだよ」
たったそれだけの話なのであった。
(お題:一つだけ)
1つだけ願いが叶うなら
時間を巻き戻して
後悔している選択を直したい
選んだ道で後悔しているけど
選ばなかった道ではどうなっていたのか
知りたいから
#1つだけ
私が書くことに
いつもはーとしてくれる人
ありがとう
毎晩のルーティーンになってるけど
読んでくれてるって分かるから
結構嬉しい
心優しいあったかい人に溢れてるね
このアプリしてる人の共通点って
文章書くのが好き っていう1つは
絶対言い切れるなって思う
だからこそ共感出来たり
なんか続けちゃうんだなって毎回感じる
今日のテーマは なんとなく
めちゃ暗い文章になったから没にした
それでこれを書いてる
思いつかなくて 笑
私は普段の一人称が うち だから
うち って出てきた時は 大体本性出てる
まだ17の未熟な人間だけど
これからも読んでくれると喜ぶ
あとはうちみたいな
性格ひねくれてる人居ないかなって探してる
なんか 日記みたいになってしまったな
これからも、楽しく続けさせてもらいます
ほんとにありがとう。
_ ₁₅
1つだけ
僕の生きる世界には
たぶん,ひとつだけで溢れている。
きっとここには
描ききれないくらい
ひとつだけが溢れている。
でも,たくさんのものを大切にするのは
僕には__。
1つだけ
お願いがあるんだ
︎︎“明日”を止めてくれ
ある少年は言った
出口のない迷宮を彷徨うより
終点のある線路を歩きたい
“明日”がなければそれも可能になる
僕は“明日”が怖いんだ
それなのに僕は
夢を見ようとするたび
“明日”を失う恐怖に魘される
人生とは後悔であると思っていた
だが、“明日”という存在の連続が人生であるとも思った
後悔=人生=“明日”
という方程式は成り立つのだろうか
成り立つのだとしたら
後悔=“明日”
が成り立つということである
後悔と“明日”は=で繋がるのか
答えは1つだけではないようだ。
一つの願い
神様は言いました。
「何でも一つだけ願いを叶えよう」と。
あなたは何を願いますか?
『お金がほしい』
『彼氏がほしい』
『歌が上手くなりたい』
人それぞれ。
私は、自分がどうあがいてもできないことを願います。
だって、頑張ったら出来ちゃうようなことだったらわざわざ神様に頼らなくてもいいから。
相手は神様だ。
どんな無茶な願いでも聞いてくれるはず。
だから、願います。
『過去の自分に、今の毎日はとても幸せなものだと伝えてほしい』と。
<1つだけ>
「Registerのお兄さん」
「はい?」
「生徒1人を失うのって、こんなに寂しいんですね」
日本が人口の減少により、衰退の一途を辿る今、「Register」と呼ばれる日本国保存機関がUNESCOより発足し、派遣された社員たちが日本を訪れ、残り少ない日本人との会話、記憶、情景までをも保存していた。そして、Register社員である僕は今回、ある図書館を訪れていた。
宵ノ図書館。夜、宵の時間にだけ開館する、天井がガラス張りになった図書館である。そこにいた日本人はたったの2人。館長と、若い女の子。その若い女の子は、今回Registerの社員として採用されることが決まっていた。
図書館に到着すると、館長が中を案内してくれると言うので、僕は録音と録画を開始した。館長がゆっくりと歩き出す。天井がガラス張りなので、ふと上を見上げると、満天の星空が広がっていた。館内に照明はなく、月の光だけを灯とするそのテイストに、僕はこっそり日本人の儚さを感じていた。
「本、読み切れないほどたくさんあるんですね」
「ええ。だからきっと、あの子が居なくなっても、暇を感じることはないんじゃないかな。…あの、あの子は、Registerで上手くやっていけそうですか?」
「はい、大丈夫だと思いますよ。笑顔が多いし明るいし、きっと皆に愛されると思いますよ」
「それは良かった」
「…寂しくは、ないんですか?あの子は、今となってはたった一人の心を許せる人でしょう?」
「そうですね。…でも、生徒の卒業ほど、嬉しいことはありませんから」
そう言って笑った館長さんは、どこか無理をしている気がした。1人になったら、こっそり泣いてしまいそうな、そんな気がした。
「Registerのお兄さん」
「はい?」
「生徒1人を失うのって、こんなに寂しいんですね。…やっぱり、寂しい。星はこんなに輝いているのに、本は読み切れないほどたくさんあると言うのに。生徒をたった一人失うだけで、こんなにも心に穴が空いてしまう」
「…」
「でも、良いんです。寂しい分だけ、あの子を思い出せるから」
どこか遠くを見つめる館長さんの目には、きっとあの子の背中が映っているのだろう。
「そうですね。きっと、寂しさと寄り添うことも出来ると、僕は思いますから」
「…はい」
次に笑った館長さんの瞳には、涙が溜まっていたけれど、きっそれは悲しい色をした涙じゃなくて、生徒の門出を祝う、桜色の涙だったのだろう。
♯1つだけ
一つだけ
一つだけ、一つだけでいい。
あのパンがあれば今の飢えが凌げる。
今日は廃棄が沢山出るって言ってた。
店裏のゴミ箱に行けばきっとある。
なのに。
どうしてあたしの体は動かないの。
足…あるよね。まだ大丈夫だよね。
あのパン、本当はどんな味だったんだろう。
…食べてみたかったな。
1つだけ、たった1つだけだけど私には守りたいと思えるほどの生き甲斐があった。昔は1つと言わず2つも3つもあったがこの1つが見つかったときには他の物などどうなっても良いと思えてしまった。
だが、"あった"と言っていることから分かると思うが私はそれを失ってしまった。何故手放してしまったのかは私でも分からない。だが1つだけ分かっていることがある。それは、生き甲斐などと言うものに固執しないほうが楽にいきれると言うことだ。
『『『『自室の出窓。そこで私は昨日見た奇妙な夢のことを思い出していた。
そこでフッと思い立って私はノートとペンを手に取った。
『気がつくと私は不思議な街にいた。よく行く繁華街によく似ていながらまったく違う場所。
世界の色は全体的に褪せていて、どこかボヤケて見えた。建物の看板に刻まれた文字も、判読できない。
「あや、みぇよいこぉんでしゃまったがぁ」
突然、そんな感じの言葉?で話しかけられたから、心臓が飛び出るかと思った。嗄れた、女とも男ともとれないその声に、本能的な恐怖を感じていた。
「あごぉんなぢょござみぇよいこんまでぁごまゃだの」
私は、もう怖くて怖くてたまらなくて、声のする方を振り向かないようにダッと走り出した。
ただひたすら声の主から離れたくって離れたくって、もうたまらなかった。ソイツは多分、追いかけては来ていなかった。
場面は変わって、気づいたら私はショッピングモールと思しき場所にいた。
私は子供の(背がとても低かったので)姿で、母親に手を引かれながら歩いていた。
母親とは何か会話していたが、詳細はまったく思い出せない。けれど、とても楽しいと感じていた。
そこで私は大きな窓のある吹き抜けような場所で、母親と花火を見た。きれいな花火が煌めいていて、とても綺麗だった。
そこで私は目を覚ました。朝の6時半。今日は休日で、まだ寝ていられると眠りについた。
そこで私は真っ白な一つの箱になった夢を見た。箱の中にいるのような夢で、そこで私は自分自身を箱であると自覚していた。
少しして、私は目を覚ました。時計を見る。6時半だ。あれから、一分も経ってない。おかしいと感じながら、私はまた眠りについた。
そしてまた箱になった夢を見た。また目を覚ます。
6時半。一分も経っていない
怖くなって、私はまた眠りについた。きっとこの時間に自分にとって恐ろしい事が起こるのだと思いながら』
そこで私は筆を置いた。たしか、こんな内容だったはず。
ふぅとため息を私はついた。もうあんな夢見たくない。
ただ…一つ、分からないことがある。
私は時計見た。
6時半だ。一分も経ってない。』』』』
きょうのおだい『一つだけ』
明かりのない部屋にひとり座って
静かに目を閉じて深く深く堕ちてゆく
辿り着くはずもない世界をさがして
もっと深くさらに深く堕ちてゆく
どうせひとり、最初からひとり
誰かが放つ鋭く尖った言葉が
胸の奥底に刺さったまま抜けないから
誰かを信じたまま裏切られても
平然を保った振りをして明日を迎える
どうせまた、朝になると陽が昇る
駄目ならまた、次があるのだから
なんて、まるで他人事のように
自分自身を汚して穢れさせて
他人の穢れを誹謗して嘲笑うのね
それでも、私は1つだけの光をさがす
それでも、私は1つだけの信念をもって
あなただけは信じて愛します。
1つだけ
31アイスでひとつだけ買うならナッツトューユー。
”1つだけ”を願うとしたら、君は何を願う?
願いじゃなくてもいいし、欲しいものでも構わないよ?
思い浮かべた”1つだけ”が、本当に1つなのかは解らない。
人は強欲だからねぇ。”1つだけ”で満足できるわけないじゃないか。
だからね? こう願うことがあるんだ。
”1つだけ”叶うとしたら、後〇〇、叶えてくださいって。
本当、人ほど強欲で狡猾な生き物はいないんじゃないかなぁ?
まさに、”1つだけ”、だよねぇ?
1つだけ
1つだけ
ほしいものが手に入るなら。
会いたい人に会えるなら。
行きたい場所に行けるなら。
なんでも願いが叶うのなら。
きっと一つだけでいい。多くを望んだところで、きっと忘れてしまうから。
だから、たった一つでいい。その一つを死ぬまで大事にするから。
#20 1つだけ
姉弟は多く
母1人子育てをしていた
毎日友達の家で遊んでいた
家族のあり方なんて
友達の家で学んだ
20代欲しいものは
愛
小さいころ、買い物に行ってお菓子やおもちゃをねだると大人は口を揃えてこう言った。
「1つだけね」
私は、この言葉が嫌いだった。
お菓子1つじゃ満足できないし、おもちゃだって1つではすぐに飽きてしまう。「1つだけ」じゃ、つまらないのだ。
年を重ねても考えは変わらない。
部活に恋人、バイトや進路ーー私の人生そのものすらも。1つだけじゃ、足りない。
だから私はいろんな「私」を生み出して、いくつもの人生を謳歌する。
短い髪とパーカーをトレードマークに、たくさんの部活を渡り歩く溌剌とした高校生。
重たいボブヘアに眼鏡をかけた、物静かな大学生。その下には無数のピアスが空いていて、夜はそれらをギラギラした照明に当てながらクラブで踊り明かす。
ポニーテールにスーツで営業をする日もあれば、派手なドレスを着てグラスを煽る日もある。
恋人たちは一様に「俺にだけは外と違う顔を見せてくれる」と嬉しそうだ。
なんでも選べる。どの私も楽しくて仕方がない。
けれど時々、どこかで会った誰かに聞かれたことを不意に思い出す。
「本当の君は、どこにいるの?」
私はその問いにどう答えたのか、分からない。
『ただ、1つだけ伝えさせてください。私はいつまでも、君の友達で君の味方です。君が私を忘れても、私が君のことを忘れても、ずっと君の味方です。この事実が、君の人生での小さな支えとなれば幸いです。』
これまでに貰ったたくさんの手紙をふと思い立って整理しているとき、差出人が書いていない、四つ葉のクローバーのイラストが書いている手紙にこう書いてあった。誰に貰ったかも覚えていないけど、心が一気に軽くなった。たった今、私の人生での支えとなっているよ、ありがとうと今伝えたい。顔も名前も分からないから、伝えるに伝えられないけれど。はて、私の友達に転校した子がいただろうか。それとも、今も友達の誰かだろうか。ずっと前に疎遠になった人か。できる限り思い出してみるが、思い当たる人は出てこない。手紙をもう一度読んでみると、字がかなり綺麗なことに気がついた。少なくとも小学生が書く字では無い。それと、友達にこんな字の綺麗なやつは一人もいないから、多分今も友達のやつから貰ったものじゃない。転校した子は、全員そんなに仲良くない子だったはずだ。1回だけ、すごく仲の良かった子が転校したけど、その子から貰った手紙は別にあった。そっちも随分と心が軽くなった。手紙って暖かい。なんて素晴らしいものなんだろう。手紙を書こうなんて言っている広告をバカにしていた自分が惨めだ。となると、疎遠になった人だろうか。元々友達が多い方では無いので、疎遠になった子もなんとなくは覚えている。眼鏡をかけてた明るい子、剣道をやってた子、俳優さんや女優さんが好きな子、最後に揉めちゃって仲直りできてない子などかなり覚えている。でも、どの子からもちゃんと名前がある手紙を沢山貰っていた。先輩や後輩からの手紙もちゃんと別であった、小学校の先生からの手紙もあった。
「ラブレターとか…ないか。」
思わず声に出てしまった願望。一瞬で否定してしまう自分が悲しい。
そのあと、お風呂に入ってる最中も、寝る前までも考えたがどうもやっぱり思い出せない。結果、1つだけわかったことは、私には絶対に1人は味方がいるってことだ。私も、何も覚えていない「友達」の一生の味方であれればいいなとつくづく思う。これから先、思い出せた暁には、友達を辿りにたどってその友達にお礼をいいたい。