『麦わら帽子』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君がさいごに置いていったのは
『麦わら帽子』だった。
風にゆらゆらと揺られて
僕の手元へ渡ってきた。
嗚呼。これを見ると思い出すなぁ。
なぁ、もうこんな時期だし、
そろそろ帰ってきてくれないか。
お題 : 麦わら帽子 #22
麦わら帽子を被って、アームカバーを着けて、日傘をさして。
紫外線を完全にシャットダウンする格好で出掛ける。
私の住んでいる地域は盆地であり、非常に紫外線が強いらしい。実際、紫外線対策を怠れば1時間の外出でも日焼けしてしまうくらいだ。
私は中学を卒業して以来、紫外線を避け続け生きてきた。それ故に肌は白人か?と思うほどに真っ白で、会う人会う人全員に「肌が白くて綺麗だね」と褒められる。コンプレックスの塊で長所が何一つない私にとって唯一誇れるのが、この白くて綺麗な肌だ。だから「肌が綺麗」でないとテンションが下がり、肌荒れを気にする余り外出すら困難になってしまう。異様に肌荒れを気にするー。母曰く「肌荒れなんてしてない」のに吹き出物1つあるだけで精神不安定になり、1時間おきに鏡をチェックするようになるのだ。これは醜形恐怖症といって、精神疾患の1つであり強迫性障害に似たようなものである。
私は風俗や水商売などをしていた為容姿に気を遣う必要があったし、それを売りにしなければならなかった。体型管理も同様で、いつでも「綺麗なお姉さん」で居なければならなかったのだ。
だから外見を気にする余り醜形恐怖症になり、挙句の果てには摂食障害を発症したのである。
日本人は美意識が高過ぎると、つくづく思う。また、周囲からどう見られているか?を異様に気にしているように感じる。それは「周りに合わせる」や「輪を尊ぶ」といった日本人特有の国民性かも知れないが、そんなにも周りのことを気にしてどうなるというのだろうか。
海外に行けば痩せた人も太った人も、皆堂々と水着を着て海水浴を楽しんでいるらしい。自分のありのままの姿をさらけ出しているのだ。それに引き換え、日本人はどうであろう。標準や普通であることを良しとし、決して多様性を認めようとしない。痩せが正義で、太いは悪、といったように。ADHDやASD等凹凸の性質を持つ者が疎まれるように。
私は診断こそ下っていないが、発達障害グレーゾーンでありASDの傾向が強い。だから一般社会に馴染めず爪弾きになり夜の世界に足を踏み入れることになったのだ。夜の世界にいる女性の大半は、何かしらの精神疾患若しくは障害を持っていると思われる。特に風俗嬢は、大半が病んでいると言っても過言では無い。そういった女性たちの受け皿になっているのが風俗という仕事であり、彼女たちは風俗が無ければ収入を得ることが出来ない。世間は風俗嬢を売女と言って嘲笑うかも知れないが、好き好んで風俗をやっている者などおらず、ただお金を得るための手段のひとつでしかないのだ。
確かに売春は違法だ。しかし、売春でしかお金を得ることが出来ない事情を持った者が大勢いることを、知ってほしい。昨今セックスワークの是非が問われているが、元当事者の私はこう言いたい。セックスワークは立派な仕事であり、貴重な収入源。グレーゾーンの女性たちの唯一無二の仕事だと。そしてそれは女性の尊厳を侵害するものではないということを。彼女たちは「やらされている」のではなく、自らの意志でやっているんだということを。
麦わら帽子の似合う君を
必死に追い掛けていたあの日々に戻りたい。
周りの男を蹴散らしちゃう君の姿は
僕のヒーローだったんだ。
何時かは僕が守ってあげなくちゃ、
そう思ってたのに。
「何で、死んじゃったの?」
大切な人が明日
亡くなることだってあるのです
潮風に飛ばされないように麦わら帽子を押さえる君を、真っ白なカンバスに書き写す。体が弱い君はよく海に行きたいと駄々をこねて泣いていた。自分の体の弱さを呪うほどに。
今日は念願の海だ。君は子供みたいにはしゃぎまわって楽しそう。この日を忘れないようにとこの瞬間を切り取るのだ。
また来年来ようね!と笑うその顔が、いつか来る日に失われる前に。
28.『麦わら帽子』
期待しすぎたから麦わら帽子を深く被る
きみの顔なんて見えないように、はやく、歩く
お題『麦わら帽子』
主様が13歳の夏は水の都・ヴェリスに来ている。貴族の依頼で祭りの警備のためにデビルズパレス一同でやって来たのだけれど、道中主様はずっと不安そうだった。
「畑の野菜、大丈夫かな? 留守中にちゃんと水遣りしてもらえるって本当に信じていいの?」
「はい、大丈夫ですよ。屋敷の世話をしてくれるようグロバナー家にはきちんと話を通していますから」
「でも、アモンのお庭は……」
「そちらもきちんと頼んでいますから大丈夫です」
「だけど貴族との約束だなんて……」
このやりとりを何度しただろうか? 主様は本当に貴族のことが好きではなく、全然信頼もしていないらしい。まぁ、今までが今までだっただけに、貴族への心象が言い訳はないのだけれど。
「それよりも主様。そろそろヴェリスに到着いたしますよ。ヴェリスに着いたら真っ先に日焼け止めクリームを塗りますからね。あと、麦わら帽子もお忘れなく」
麦わら帽子と聞いて、お顔の色がパッと晴れた。
「うん、海だもんね。紫外線から目を守るためにもツバの広い帽子は欠かせないんだよね?」
「はい、その通りです」
そう、主様は13歳にして初の海辺の旅だ。仕事2割くらいで、あとはめいっぱい楽しんでいただかなくては。
麦わら帽子
麦わら帽子を被った
お人形さんと…
向日葵の花畑
に行ったの
見渡す限り…
向日葵に囲まれて
夢心地…
「だってさ、難しくない?」
「分かる」
私たちは、麦わら帽子を持っていない。雑貨屋に売られていたそれを見て、そんな会話が始まった。
「普段使いできる人は上級者だなって思っちゃう」
「被るとしたらやっぱり海とか?夏って感じの場所に限定されるよね」
「ねー」
だけど、可愛いな。そう思っているのは彼女も同様なのか、麦わら帽子から目を離さない。かと思えば、麦わら帽子を両手で掴んでそのまま私の頭に被せた。びっくりして思わず、わっと声が出る。
「あ、サイズぴったりだね」
彼女自身も片手でひょいと色違いのそれを頭に被せており鏡を見て「私似合う」と自画自賛していた。
もう、と私は呆れながらも釣られて鏡を見る。
そこには夏があった。
「……」
少しすると彼女は「よし」と言って、今度は私の頭から麦わら帽子を取っていった。そのまま陳列棚に戻すと思ったのに、2つ抱えてレジのある方へ向かうものだから慌てて追いかける。
「え、ちょっと」
「つまり、」
分かったよね?と言わんばかりに偉そうに振り返った彼女は、私の目を捉えてニッと笑う。
「一緒に海に行こ!ってこと」
また歩き出した彼女の機嫌のよさそうな後ろ姿を見て、一瞬呆ける。そんなの私だって。
スタスタと早足で横に並び、彼女を肘で小突く。
ぎゃあ、と笑ったその腕から麦わら帽子を1つ抜き取って、同じ台詞を言ってやった。
/麦わら帽子/
お題:麦わら帽子
あの夏の日
君はひまわりを見ていた。
僕が誕生日の日にあげた麦わら帽子を被って。
本当はまだ一緒にいたかった
けど君は僕から離れていった。
麦わら帽子が風で飛んで行ったのと同じように
僕の恋は終止符を打った。
「麦わら帽子」
そよ風が吹いた時
ヒラヒラ動くワンピースと
風で落ちかけた麦わら帽子
「セーフ!」
息があい笑いあった
「海に飛んでったらどうしようかと思ったよ笑」
そう君が言った途端さっきより強い風が吹いてきた
ギリギリ抑えれそうなところで麦わら帽子は海に落ちてしまった
「あっ、」
どうしようと考えていたら君が
浅瀬に入っていた
「取ったー!!!」
嬉しそうに笑う君
「麦わら帽子には紐かなにか付けようね笑」
「次の夏の時は紐がある麦わら帽子を持ってくるね!」
そう言って君は麦わら帽子をまた被り
楽しそうに走った
麦わら帽子
夏が来ると思い出す、麦わら帽子のお姉さん。
私が六歳の頃家族で遊園地に遊びに行って、迷子になった時、助けてくれたよね。
分けてくれたポップコーン、どんなお菓子よりも美味しかった。
ありがとう、お姉さん。
私、今日からここのキャストになるよ。
今度は私が案内したいな。
また、あの麦わら帽子で遊びに来てね。
「老若男女、お前の持ち主はどんなひと?」
夏物語のひと欠片を
砂浜に置き忘れられた
麦わら帽子だけが知っている
拾い上げて砂を祓う
昼間の灼熱を和らげた西日を
スッと透過する鍔(つば)からの光は
何処となく
優しい夏の終わりを感じた。
#麦わら帽子
(申し訳ありません。今日のお題は何度か描き直してます。納得のいく一文って難しいですね)
麦わら帽子
小さい頃一緒に遊んだ女の子。
名前も年齢も住所も何も知らなかった。
遊んだのはたったの1日だけ。
麦わら帽子の君がひまわり畑で笑ってる。
いつも笑顔で楽しそうに全力で生きる君を見て、僕も自然と笑顔になる。
君のパワーはすごいね。
君みたいに輝いて生きたい。
そう思ってたよ。
また会いたい。
君は今どこにいる?
またいつか君の笑顔を見せてね。
テーマ:麦わら帽子 #271
向日葵畑の空の上から麦わら帽子が飛んできた。
「すいませ〜ん」
オレが拾うと右の方から女性の声が聞こえてきた。
向日葵畑から一人の小柄な女性が顔を出す。
「すみません。ありがとうございま……」
その女性はオレを見てぎょっとした。
ぎょっとされるのも無理ない。
オレはよく目立つ。
なぜならオレはヤクザ。
「あ、サーセン」
オレはすぐに麦わら帽子を差し出す。
まただ。
なにか言われる。
さっさと持って何も言わずに行ってくれ。
心のなかでそう思っていた。
「あの、サングラス似合ってますね」
「……え?」
女性から出た言葉は思っていた言葉と違った。
「あ、ありがとうございました」
麦わら帽子をオレから持って、去っていく。
持っていく時、小さく笑った顔が可愛くて。
「また、会いたい……」
ヤクザなオレでも普通に接してくれる。
それが嬉しかった。
「観光バスツアー行きのお客様はこちらに―」
ふと見るとそこにあの女性がいた。
「あ」
思わず声が出てしまった。
きっと聞こえていなかったけど。
バスに乗り込んでいる彼女が見えた。
気づかれないように。
不自然じゃないように近づく。
彼女がこっちに気がついた。
小さく手を振っている。
か、可愛すぎる。
オレも周りの人に気が付かれないように
小さく手を振った。
これは
名前も知らない麦わら帽子が似合う女性に惹かれる
ヤクザの話。
夏の青い空を背景に無邪気な笑顔を振りまく彼女。
麦わら帽子に白いレースのワンピース。
そんな格好が似合う人は珍しいなぁなんて思いながら、
僕は数十年前の古いアルバムを閉じ、思い出もしまった。
夏がくると思い出す。君の白い肌。君のハツカネズミみたいに充血しきった目。あの麦わら帽子。
全て、あの夏が消し去ってしまった。いや、私が消し去った。8月31日。私にとって、人生で、一番忌まわしくて、一番美しい日だ。どうか、聞いてほしい。私が犯した罪を。
悔やんでも悔やみきれない。
大の字にした身体を芝生にまかせ、
網目からキミを眺めた。
それと同時に花火が見えて、
私たちの夢は、今一つ叶う。
嬉しくて笑って見せると、
キミは一段と輝きを増した。
次の花火が咲く前に、もう一度輝く。
僕だけを見てよと。
【麦わら帽子】#13
麦わら帽子を見ると
夏姿の君を思い出す
「暑いね」と
暑そうに、でも幸せそうに笑いながら言う君
懐かしいなぁ 君は帽子がよく似合っていた
僕は帽子とか似合わないから 少し羨ましかったな
今日は君に 会いに行く
でも相変わらず暑いから
君の帽子 少し借りさせてね
終点+麦わら帽子
知らない駅に降りた。
駅と言っても、駅名も時刻表も改札もない。
地に足をつければもう、辺り1面小さな花々が咲き誇る何とも不思議な場所だった。
振り返ると既に電車はいなくなっていて、代わりに麦わら帽子を被る少女がいた。
麦わら帽子で顔はハッキリとは見えなかったが、
僕はなんだか見覚えのあるような気がして。
僕は走って少女に近づいた。
そして目の前まで近づいた後、思い切り少女を抱き締めた。
夏に似合うジャスミンの香り。
そう少女は僕の、
会いたかった。
私もよ。
知らない駅に降りた。
けれどもう電車は来ない。
ここはもう終着点なのだから。
「麦わら帽子」
たぶん白いワンピースきてる女の子がかぶってる
ニカって笑うんだろうなあ。かわいいジョイガール