鳥かご』の作文集

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鳥かご』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

7/25/2024, 9:02:14 PM

・鳥かご
本当は自由なのに、「周囲の目」という鳥かごを自分の周りに作っている。より正確には、「(私が想像する)周囲の目」という鳥かごだ。本当は自由なのに。

7/25/2024, 8:46:04 PM

鳥かご
小さく、そして頑丈で、綺麗で壊れにくい。
あとその中は、世界一安全なのかもしれない。
でもその中を出なければ、何も知ることができないことを、
知るべきだ。

7/25/2024, 8:09:48 PM

鳥かご

 私は、いつの頃からか自分の名前というものが嫌いになっておりました。私の名は『二郎』。こちらはご両親に頂いた名ではございますが、何分不自由な次男という立場を強調する名前でございまして、私を捕えるかごのようでございます。
 ある日、たまの贅沢にと家業の合間に、茶屋へと伺いました。店先でカナリアの鳴くそちらのお店は質素な佇まいながらも客足の途絶えぬ茶屋でございました。兄は珈琲などというものを好むそうですが、そのようなものにはお目にかかったことがなく、私は平凡なお茶と団子を頼むのでした。
 ああ、こんな時間ばかりであればどれほど良いことか、と考えていると、年の頃10といったお嬢さんがお茶と団子を運んで参りました。どうにもこちらの娘さんにお給仕を手伝わせているようです。私よりも幼い彼女の丁寧な所作に、いたく感心いたしました。
 それからというものの、私はこちらの茶屋へと通い詰めることとしました。カナリアのさえずりと娘さんの成長に迎えられる一服は至福の時でございました。
 何年かして、私に縁談がやって参りました。母上のご親戚の娘さんだそうで、そちらの婿養子に、とのお話です。今や常連となった私の話を聞いた茶屋の娘さんは私の話を聞き、頬を紅潮させ、僅かに震えた声で話します。「私もじきにそのようなお話をいただくでしょう。してお客さんはご決断なされたのですか?」
 跳ね打つ心臓に私の頭は掻き乱され、一つ、また一つと、松明の点くような心持ちでございました。娘さんに「断るつもりだ」と言い、茶屋を出ました。
 父上に縁談を断ることを伝えると、父上は「ならば仕方がない、三郎を行かせよう」などとおっしゃいました。この時ばかりはこの「かご」に感謝したものです。
 私は現在、茶屋でご奉仕しております。大きくなったお腹を撫でる娘さんが、私に笑顔を向けており、私の心は晴天の虹に向かって羽ばたく鳥のようでございます。
 カナリアのいなくなった鳥かごを見つめ、「私もまた鳥かごを作るのだろうね」などと考えるのでした。

7/25/2024, 8:05:41 PM

:鳥かご 続編
1年前に書いたものも一番下に載せています。

「こんな小さな鳥かごの中より、君はもっと広い空へ飛び立つべきだ。君が僕のもとから離れるというなら僕はそれを肯定しよう」

「俺は、貴方のことが好きですよ」

その優しさが苦しい。



15分程前に遅刻の連絡を受け取ったが、そろそろスマホをいじっているのも飽きてきた。先に注文したアイスティーは既に汗をかいている。カラカラとストローを回して氷を鳴らした。すぐ来るだろうと思って二人分のドリンクを注文しようとしたが、辞めて自分の分だけの注文にして良かった。

外は太陽が照って、木が濃い影を伸ばしている。その木に張り付いた蝉が元気良く鳴いていて在りし日の夏を思い出した。一緒に肩を並べて笑いながら登校した数年前を。

「あ〜〜……! おまたせしました、すみません! 仕事が長引いちゃって……」

息を切らしながらドサドサと荷物を落とす慌ただしい到着に、思いを馳せようとしていたところで我に返る。

「構わないさ。仕事の合間を縫って来てもらってるんだし、むしろこちらの都合に合わせてもらって申し訳ないよ」

「それこそいいんですよ! 俺から会いたいって言ったんですし」

謝罪もそこそこに「俺も飲み物頼みますね」とメニューを見始めた。「今日はこっちにしよう」と呟いたから、なるほど今日はレモンティーにするのかと思った。

「アイスコーヒーをお願いします」
「え」
「え? アイスコーヒー頼みますか?」
「いや、ううん、ごめん」

僕はストレート、君はミルクティー砂糖入りでアイスならシロップ入り、たまに味を変えるとしても僕がコーヒーを飲むか君がレモンにするだけ、これが定番だったのに。よくよく考えてみれば数年経っていれば味覚だって変わっていて当たり前だ。なのに僕は、君が変わっているだなんて。

「……コーヒーは苦くて飲めないんじゃなかったの」

「あ〜、そうでしたねぇ。昔は苦くて飲めなかったんですけど、眠気覚ましに飲むようになってから意外と美味しく思えてきたんです。あ、でもお砂糖を入れるときもありますよ?」

「そっか」

もう僕の知ってる君じゃないんだと突きつけられている。そうか、そうかやっぱり君は最初からもっと自由になるべきだったのに、僕が無理矢理捕まえて無理矢理決めつけていたんだ。

己が招いたことだというのに心臓の裏側が炙られているみたいで息苦しい。これじゃまるで被害者ヅラをしている。

「君とこうやってお茶をするなんて懐かしい気持ちだよ」

「そうですねぇ。あれからいち、にぃ、さん、し……わぁ、7年ぶりですよ! もうそんなに経ったんですね」

「それで、今日は僕にどんな要件で?」

ふわふわ嬉しそうにしていた顔が固まって、視線を外して、目を伏せた。

「ん〜…………昔のこと、を、話したくて」

カラン、と氷が崩れる。

「それって……学生時代の」

「そうですね」

ついにこの時が来たんだ。処刑台の刃が落とされて僕は首を刎ねられるだろう。



図書室で本を読んでいた。その日は青空が広がって窓辺には柔らかい陽光が降り注ぎ、ゆったり本を読むには良い日だった。君が今日図書室に来るだろうと踏んで。

しばらく本を読んでいると扉が開いて君が入ってきた。「あれ、図書委員は今日お仕事かい?」とあたかも偶然を装って聞いたら「こんにちは。今日は仕事じゃないんですけど、時間のある時にやっておこうかなぁと思いまして。お邪魔してすみません」と予想通りの回答だった。大丈夫だよと言って手伝う為に本を閉じて立ち上がる。

本の整理をしながら鳥かごの話をした。君に似合いそうだって。自由に羽ばたける羽をもぎ取ってでも欲しかった。一生檻の中で飼い殺すくらいじゃないと満足できないと思っていた。

「一緒に座りませんか」と言う優しい声と優しい笑みを見たら堪らなく幸せに感じた。

幸せの青い鳥がいたら鳥かごに入れたいと思うだろう? だから捕まえた。騙したようなものだ。「鳥かごが似合いそうだね」と言ったとき「俺、そんなに弱っちく見えますかね〜」「だって鳥かごに入ってる鳥は捕まってるわけじゃないですか」なんて言うからバレたんじゃないかと肝が冷えた。それとなく誤魔化したけど、間違ってなかったよ。表面上はニコニコ愛想良く笑って相手の警戒心を下げて近づいて捕獲なんて、れっきとした犯罪者だ。気持ち悪いクソ野郎だと罵ってくれ、見損なったと言ってくれ、勝手な話だがそう思っていた。君なら伸ばした僕の手をちゃんとはたき落としてくれるだろうなんて思って。

君、なんて言った? 「いいですよ」って僕の手を取ったんだ。馬鹿じゃないのか、馬鹿じゃないのか、馬鹿じゃないのか!

羽をもぎ取って血まみれにした。僕にはそう見えていた。流石の君も嫌がるだろうと思ってみれば、血まみれのまま嬉しそうに笑ってこちらに手を伸ばそうとしてくる。「ハグがしたいんです」って、「貴方のことを大事に思ってるから」って。怖くなった。否定されると思っていたのに受け入れられたのが心底理解できなかった。

だからある時言ったんだ。

「こんな小さな鳥かごの中より、君はもっと広い空へ飛び立つべきだ。君が僕のもとから離れるというなら僕はそれを肯定しよう」

卑怯な言い方をした。僕はずっと卑怯者だったけれど。

「俺は、貴方のことが好きですよ」

僕だって、なんて言えなくて蹲った。滑稽だろう。滑稽すぎて目も当てられない。僕もそう思う。



「僕は君にごめんね、なんて言うつもりはないよ」

良いように使って、捨てるようなことをした自覚はある。それでも今更過去を悔やんで謝罪なんてしたところで、それはただ僕が許しを乞いたいだけだ。

「あはは、もう、勝手に思い込んで先走りすぎです。謝罪が欲しいなんて思っていませんよ」

どうしてそんなことが言えるんだろう。僕はずっと君に……君に? 僕から手を伸ばしても掴むのは空気だけで、指先が君にかすることすらなかったのに。

「気になりますか?」

「『気になる』って……僕は、昔のことなんて……」

柔らく微笑みじっと見つめてくる目や顔から怒りや悲しみが感じられない。僕を責め立てるような棘がない。それどころかむしろ柔らかく包み込もうとしているみたいなのは、僕がそう思いたいからなのか。

「…………君みたいな人が僕を置いて行くなんて意外だと思っていたんだ。これは僕の慢心だったのだろうけれど」

どうにか憎まれ口を叩く。そうでもしないと君は怒ってくれない。……責められたいのだって、僕がそれで楽になりたいからじゃないか。

「それは……」

「いや、いい、答えなくていい、口が滑っただけだから」

「君が蹲っている時、俺が必要だとは思えませんでした。君を支えてくれる新しい人がきっと君のもとに現れるんだろうって、そんな気がしたんです」

「喋るのかい?」

「ふふ。それに当時の俺はもう貴方にとって用済みなんだと思っていましたから。あ! 今はそんなこと思ってませんよ! 今も、今でも、貴方と友達になりたいと思ってるんです」

「…………そう」

相変わらずお人好しだと思う。頭の中がぼぅっとしてきた。いつ裁かれるのかそればかりが気になって話が入ってこない。いっそ早く君の口から否定の言葉を聞きたい。

「むしろ、貴方みたいな人が俺を逃がそうとする方が意外でした。そんな気全然なかったんでしょう? 天邪鬼なんですから」

「でも……君はちゃんと逃げたじゃないか」

「そうです。貴方から解放されて自由になった。俺は俺の青い鳥を探しに鳥かごから飛び立ちました」

「……それじゃあ、君は自分の青い鳥を見つけたからそれを報告しにきたってことかい」

君の幸せなんて聞きたくない。もはや気力がなくなって手持ち無沙汰になってきた。氷が溶けて薄まったアイスティーを手に取る。

「そうです、だからこうして貴方のもとに来たんです。ねえ、貴方は後悔とか執着心が強いですし、まだ解消しきれていないのかもしれないけど……むしろそれで良いんです、物語は終わりを迎えていませんから」

幸せそうに目を細めて、告げる。

「俺は俺の幸せの青い鳥のもとに帰ってきたんです」

頭が重い、視線が下がっていく。蝉がうるさい。

「貴方のもとに」

ストローを噛んだ。

あの時の君と重なって見えた。首を傾げて、差し込む光に照らされ艶めく髪。ふわりふわりと風で服の裾が揺れていて、今にもその青空へ飛び去ってしまいそうだった。それでも「一緒に座りませんか」とそう僕に言って、優しく笑いかける、君の顔と。

カランカランと氷の音がして顔を上げる。

「俺はコーヒーが飲めるようになって嬉しいんです。貴方と同じものを飲めるようになったんですから」

苦しい。



お題:鳥かご 2023/07/26

 君は鳥かごが似合う。必ず。
 首を傾げて、差し込む光に照らされ艶めく髪。ふわりふわりと風で服の裾が揺れていて、今にもその青空へ飛び去ってしまいそうだ。君は人気者。君は自由。
「一緒に座りませんか」
 ――今だけはその目、僕を見ているんだ。

 図書室の本を整理しようと扉を開ければ珍しく先客がいた。窓辺に設置された椅子に座っている彼は柔らかな陽光に包まれている。ゆったりとページをめくって優雅に本を読んでいるようだ。今日は天気がいい。青空を視界の端に見ながら読書をするのはとても心地良いだろう。
「あれ、図書委員は今日お仕事かい?」
「こんにちは。今日は仕事じゃないんですけど、時間のある時にやっておこうかなぁと思いまして」
 お邪魔してすみませんと言えば彼は大丈夫だよと微笑んで本を閉じ立ち上がった。どうやら手伝ってくれるらしい。
「バラバラになった本を順番に並べ変えて、それから……あった、これです。この紙に本の有無を記入していくんです」
「お安い御用だよ」
「助かります」
 コトンコトンという本の音と柔らかな陽光に自分以外の息づかい、穏やかな空気に包まれている。今日彼がここに居て良かった。
 同じ本棚についたとき、彼はこちらを見て唐突に言った。
「君は鳥かごが似合いそうだね」
「鳥かご?」
 とても嬉しそうな顔をしているものだからそんなに似合いそうですかと問いかけた。彼は満足そうに頷き「うん。とても」と目尻を下げる。
「俺、そんなに弱っちく見えますかね〜」
「弱いだって?」
 コトン、スー、コトン、コトン。この本は表紙が弱っている。
「ええ。だって鳥かごに入ってる鳥は捕まってるわけじゃないですか」
「うん、そうだね」
 コトン、ス、コトン、コトン。ここの棚は滑りが悪い。
「餌に仕掛けられた罠に掛かって捕まったんですよね。だから、小さくて弱いのかなぁって」
 コトン、コトン、コトン。この本はシリーズ物なのに2巻目が足りない。
「ねえ、鳥を飼う時、君は野生の鳥を捕まえるの?」
 本棚に入れようとしていた本を中途半端に止めて彼を見上げた。とても真剣な眼差しだった。
「そんなわけないじゃないですか。法律違反ですよ〜? 買うんですからペットショップに行きます」
「そう、綺麗に飼われた鳥を買いにいく。それから鳥かごに入れる」
「あれ、じゃあ俺、おぼっちゃまとかに見えてるんですか」
「ふふ、確かに君は世間知らずの箱入りおぼっちゃまだ。鳥かごに入れて、お世話をして、美しい羽を保たせて、それから毎日眺めて君を見つめるのはさぞ満たされるだろうね」
 コトン、コトンと、彼は順調に本を入れ始める。
「なんだか褒めてもらってる気分です」
「君が綺麗なのは事実だよ」
「だから鳥かごが似合うって思ったんですね」
「決して弱いだなんて思っていないよ。君を見下しているように聞こえた?」
「いえいえ! そんなことありません」
「そうかい?」
「優しく丁寧にお世話して飼うっていうのもありますもんね。鳥かごのイメージが、拘束とか捕獲とか、そういう過激なイメージがあっただけです」
 コトン。抱えていた最後の一冊を入れた。
「少し休憩にしましょうか」
 随分埃っぽくなった部屋の換気をしようと窓を開けると、ぶわっと強い風が教室に吹き込んでくる。心地良い。陽の光も、青い空も。
 風が気持ちいいですよ、と声をかけようとしてやめた。彼はさっきの場所で立ち止まったままだ。

「……間違ってないよ」

(彼は何か言っただろうか)

「僕は欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れる口だ。それこそ野鳥を捕獲するのが違反だとしても。自由に羽ばたけるその羽をもぎ取ってでも、僕は欲しい」

(彼が鳥を飼ったら、頬杖をついて、うっとり眺めるんでしょうか。ちょうど今みたいな目で)

「お世話をして可愛がるだけの生温いものなんて満足できない。拘束して捕獲して、鳥かごに閉じ込めて、一生檻の中で飼い殺すくらいじゃないと」

(あ、今、いいアイディアが思い浮かんだんでしょうか。とても楽しそうな顔……こんなに遠い)

「一緒に座りませんか」
 今度こそ声をかけると彼は一等優しく微笑んだ。

7/25/2024, 7:59:51 PM

僕らはいつだって鳥かごの中だ。

7/25/2024, 7:53:54 PM

[鳥かご]

安全で愛されて幸せだと思う
自由の一つだと思う

外のサバイバルの方が自由も無い

安全がいい
愛があれば鳥かごの中は幸せそうと思う

7/25/2024, 7:43:56 PM

帰宅してから、何気なく見てしまったNetflix。
「地面師たち」監督:大根仁
の感想について書きたくなってしまったので書きます。



一話だけ毛色を確かめるために
トヨエツはまだまだイケオジか
綾野剛はしっかり綾野剛してるのか
そんなことだけちらっと確認したかっただけなのに

…気づいたら、明け方の3時になる前に
一気に見終わっていました。
そして頭から一旦出すために今書いてます。
(Xを見ると私と同じ人が多いようです)


まず、
「目撃したい」
が一番に来る作品でした。

久しぶりに日本の作品にここまで心を奪われました。
お笑いは一切なし。だけど所々、心の何処かで一瞬、薄ら笑いを浮かべてしまう箇所があるのです。その薄ら笑いに少しずつ自分自身の中身を自覚、または錯覚していきます。


一話見終わるごとに
ただの目撃者である私から
悪魔の本能のような小さな種が芽生える瞬間があり
犯罪行為という現代社会の枠組みを忘れ
そのうちに地面師たちの魅力に取り憑かれ
継続するスリルの波に飲み込まれていきました。

本当、らせん階段のようです。

最初はそういう波が、息苦しいし胸糞悪い。
なんだかんだでグロいし。

ただ、グロさにも生身の感じがあって、いずれも気持ちよく人が死ぬわけではない。そこが人間らしい作品になっているし、最後のところで真人間に戻してくれるようなそういう優しさのある作品です。

こういった凶悪ものは後味がひたすらに悪いものが多いのですが、続きのシリーズも予感させるような、美しさのあるラストにまとめられており、Netflixエンターテインメントの範疇に納められていました。


俳優陣に関しては、文句なしのキャスティング。
綾野剛は今までで一番良い、と私は感じました。
昨今はプライベートで騒がれていた彼ですが、スクリーンに映る演技を評価してこそ俳優たるものだと彼の今回の演技を見て感じました。
ピエール瀧に関しても、やっぱり代わりの俳優は居ないことを確信させるユーモラスさです。


溢れ出る血のように流れる、綾野剛演じる辻本の憎しみと哀しみが混じったような涙が痛々しく、頭から離れませんでした。

元々は何の意味も持たなかった地球の表面。
そこに勝手に人間たちが欲望のまま価値化して、今の土地が出来上がっているんですよね。


豊川悦司扮するハリソン山中の哲学めいた脅迫的な台詞を思い出しながら、人類の歴史や人間の欲望を振り返ります。

愚かか愚かでないかはさておき
人間だからこそ、生きているからこそ感じられるであろう混沌とした感情がそろそろと浮かんできました。

本当に怖くて、悍ましい、おかしい。
常識とは反対側にいるそういう人は優しい言葉を使うことも思い出しました。
騒いだり、怒ったりしないんですよね。


この作品を見て、楽しかった、面白かった!と感じる人は結構多いと思います。だけどそう感じてしまった自分自身への後悔だったり小さな、または大きな悪魔を内包しているのではないか?といささか不安を抱いてしまう人も多いのではないかと思います。
でもそれはきっと監督の思う壺かと。

後半にかけては、ハリソン山中に私自身が人間を試され、ジリジリと問いかけられているような感覚も生じていました。彼は基本的に無慈悲で冷淡なのですが時折見せる哀愁のある表情に、それ以外の行動理由を探してしまう自分もいました。

辻本のように死の瀬戸際まで、多かれ少なかれ
善と悪、陰と陽、様々なものを抱えるのが人間なのでしょう。そして悪に染まる理由を考えていくと、やはり人間は根源的な暖かさを求めているといえます。

でもその暖かさが、お日様の太陽なのか、家族の笑顔なのか、燃え盛るような炎なのか。それは色々なのかなと。




大根監督がこれからどこまで、何に向かっていくのか
これからもリアルタイムで見られることが嬉しくなる 
そういう作品でした。

お時間があればぜひ
「地面師たち」、ご覧下さいね。

7/25/2024, 7:23:43 PM

鳥かご


かごの中で
安全で
与えられて
一見恵まれているようで
自由がない
あの大空に夢を抱き
決して飛び立つことも出来ず
いつかその日が来ると信じ
見上げる空

囚われたかごの中の鳥

7/25/2024, 7:08:46 PM

昨日あなたに
言い過ぎて
今朝あなたに
謝って

怒ってないから
安心して
って言われて

甘い毒が
からだ中を駆け巡る

言いなりの女が嫌いなあなたに
次の仕掛けを考える

あなた中心に
世界が回っている






テーマ:鳥籠

7/25/2024, 6:48:21 PM

地平線まで見渡せる丘の上で、水を口に含む。
遥か向こうにあるそこを目指し歩き続けてもうひと月になるが、未だ辿り着かない。皮袋に入れてきた水ももう底を尽きそうだった。
足元には小さな花々と、青々とした芝。空は澄んだ空気に満ちていて真っ白な雲がフワリフワリと流れていく。
のどかだ。
このひと月、脅威となる生き物には出会わず清らかな川に恵まれ、天候も荒れることもなく、ただただのんびりと歩を進められている。
食べ物は木の実や川魚が豊富なので困った事がない。野宿にも慣れた。
ここがどこだか分からない事意外は、大した過ごしやすい良い所だった。

鳥かご


気がついたらここにいた。
生まれた時からここにいる気がするし最近ここに来た気もする。曖昧な、モヤがかかったような記憶も歩いているうちに何故か忘れてしまう。
忘れていた事も忘れ、ふと何かの弾みで思い出す。思い出した瞬間は鮮明なそれも、一呼吸ごとにまた薄っすらと忘れていってしまう。
多分こんな事をこのひと月ずっと繰り返している。


…もう4時なので今日はここまで。おやすみなさい

7/25/2024, 6:48:19 PM

「あぁ、きれいなトリだな」
僕は目の前にいるソレに対しては小さめな檻の中に入っているトリを見て呟いた。
そのトリはとても綺麗で美しく、とても儚げな印象をもつ青い鳥だ。
大きな声では鳴かず、呼ぶと近くに来る。
大きな目を開いてこちらを見てくる。
その目を見てると世の中が小さく見えた。
この悩みはちっぽけなモノ、そう思えるほどに僕は
そのトリに引き込まれている。

僕とそのトリが出会ったのは三年前、トリは近所を歩いていると近くにやってきた。
そして可愛い口で何かを訴えかけるように熱心にないていた。
僕はその意味が分からなかったが、何か大切な事を言っていたみたいに見えた。
その日は用事を取りやめて遊んだ。
久しぶりに買い物をした。
買えてなかった本を買って読んだ。
最近はなかなか家から出ることがなく、久しぶりに読んだ本は面白かった。
次の日、またそのトリに出会えるかとトリと出会った公園へ行ってみた。
出会えた。その鳥はまた近くによってきて、なにか話しかけてきた。なにか楽しそうで僕まで楽しくなった。
そのトリとまた会うために、公園へ通う日々が続いた。
トリと話すだけ、僕はほとんど喋らない。けど僕はこれまでの日々と打って変わった。
トリに勇気付けられた。
僕は疎遠になってた家族に会いに行ってみた。そんなに遠いとこに住んでるわけでない、車で2時間の距離にある家族の家へ。









僕はトリのおかげで変われた。
世界に色付いた。
トリに鳥かごから出してもらえた。
僕はトリと生活したい。

分かっている。
トリは外で自由に過ごすことが一番だと、
でも、僕は、、、、


トリに言ってみた。
「僕に君を飼わせてくれない?」






僕は、家が裕福だ。
お金に困ったこともない。
そしてこの先、一生困ることも無い。
でも、僕は裕福だという理由だけで一人疎外感を感じていた。
学校に行き話をするだけで、僕は分からないでしょ?とでも言いたげな反応をする。

そんなことない。
安いスーパーにも行くし、
ジャンクフードだって食べる。
普通の生活をしている。 


僕は、ヴァイヲリンなんか弾けない。
僕は、紅茶の違いはわからない。
僕は普通に暮らしている。


僕は、絵を描くのが好きだ。
僕は、小説を読むのが好きだ。
僕は、本当は女だ。


僕は親にお願いして男にしてもらった。
でも、、、理解はされてない。
一人娘が、無性だと少しする外聞が悪い。
決して仲が悪いわけでもない、悪い人らではない。

ただ、僕が勝手に疎外感を感じてるだけ。


精神を病んで、
人と会えなくなって、
生活が出来なくなって


彼女は、話を聞いてくれた。
僕に寄り添ってくれた。
僕は、彼女が欲しくなった。

 

彼女を閉じ込めたくない。
でも、僕は、、、彼女を僕だけのものにしたい。








彼女はあっさりと「いいよ」と、言った。








僕の家の一室に閉じ込められた、美しい女性。
僕だけの宝石。
僕だけの美しいトリ。







囚われたのは「僕」だった。
                  end1






追記
彼女は美しく生まれ、その容姿を褒め讃えられ育った。
小さなころは褒められるだけだったが、成長するにつれ、、妬み、偏見、誤解、
その容姿だけで散々なめにあってきた。
学校だとに行くと、彼女が女子には除け者にされ陰口を叩かれる。
その程度だとまだいいが、





あるときはお金持ちの人に拐われそうになったり、
(それははお金でもみ消された)

ある時は恨みつらみで刺されそうになったり、
(近くに人がいた為なんとかなった)



彼女は「この世の中で安心できる場所が無い」
ほんとにそう思っていた。

彼女があるとき散歩に出かけると、川に飛び込みそうな男の子がいた。
つい気になって声をかけてしまった。
男の子は声をかけられたのがびっくりしたのか
しばらく固まっていた。

最初私の容姿でびっくりしたのかと思ったが、
違うらしい。よかった。

男の子はお金持ちで、そのせいで偏見にあってきたらしい。

彼女は、「一緒だ」

気づいたら口からこぼれ出ていた。
男の子は聞こえてないらしく、ほっと安心する。
それから少ししてお互い、家に帰る時間になった。

家に帰っても予定なんか無いけどね。



次の日公園へ行くと男の子がいた。
男の子と今日も話をした。

今日も話をした。

今日も話をした。

今日も話をした。



楽しい。
男の子は聞き上手で、話をして、楽しい。
この男の子は私を傷つけない。
安心できる。


この時間だけは私の中の安らぎだった。



男の子が元気になった。
私に打ち明ける悩みがなくなって、雑談しかしなくなった。
私と合う意味が無くなってしまった。
怖い。私、やっと平和に暮らせていたのに、
男の子と離れるのが怖い。
それでも、私はそれを打ち明けれないでいた。


それでも、あって会う日は続く。
ある時男の子が
「絶対に貴方を危険に晒さないし、傷つけない。
 だからどうか、君を買わせてくれない?」

きっとここで肯定すると私の自由は無くなるだろう。でも、男の子と一緒に居れる。それだけで私は胸が高鳴った。
        「いいよ」
気づいたら言っていた。
男の子は泣きそうな、嬉しそうな顔で私に抱きついてきた。




       
                  「鳥かご」

7/25/2024, 6:45:13 PM

『鳥かご』

ここは世にも珍しい魔物園。

大きな鳥かごの中では様々な魔物たちが
飼われており、物珍しさから多くの
見物客が訪れます。

その危険性から、園内入場前に免責事項を
含む誓約書への筆跡が必須。

中へ入ってすぐ目に飛び込んできたのは、
鷲とライオンの混合体で、気高さと狂暴性から
扱いが難しいとされる"グリフィン"。
一部の者しか手懐けられない魔物です。

お次は巨大なニワトリの姿をした
"コカトリス"。石化のブレスを防ぐため
嘴は固く縛られています。

さらに先へ進むと、上半身が人間の女性の
見た目をした"ハーピー"達とご対面。
美しい歌声で人々を惑わせるため、
声を封じる特殊な首輪が装着されています。

そしてこの魔物園で、一際恐ろしい存在がこちら。
「危険⚠️!接触厳禁!」と警告する看板のすぐ隣。

緑色のベストとオレンジ色のリボンタイを
身につけた道化師が、ブランコに揺られながら
鳥かごの中で口笛を吹いていました。

「😙~🎶」

するとそこへ幼い子どもがやってきて、
好奇心に満ちた眼差しで道化師を見つめました。

「😳👂❗️」
(訳:お耳がでっかくなっちゃった!)

道化師が軽快なマジックを披露すると、
幼児は楽しそうに「キャッキャ」と笑います。

次に現れたのは小学生の男の子たち。
彼らは安全圏から道化師を挑発します。

「こいつただの人間じゃん」
「なんか芸見せろよ。クソピエロ」

「😳👂❗️」
(訳:お耳がちっさくなっちゃった!)

道化師は再びマジックを披露。突如、男の子
の一人が耳元を抑えながら悲鳴を上げました。
血まみれの手を開くと、何と耳が消えている
ではありませんか。

彼の耳はどこへ?それは道化師が手の中に。

この事件を受け、園の職員たちは道化師の
処遇について協議します。

また同じような事件が起きれば、
人が寄り付かなくなってしまう───。

そんな折、一組の親子が来園しました。
黒い外套を纏う紳士と、彼に手を引かれる
お人形のような見た目をした可愛い女の子。

「お父様、あの者ですわ!
この間話していた不審者というのは」
「ほう……興味深いな」

紳士は道化師を気に入り、彼を引き取る事を
提案。園側も快くこの取り決めに同意しました。

こうして道化師は、悪役令嬢の父の元で
新たな人生を歩み始めたのでありましたとさ。

7/25/2024, 6:39:20 PM

チャッピィは嵐夜に眠れる幸せな仔なの幸せなはずの仔なの

7/25/2024, 6:30:36 PM

しまったな、これでは隙間があり過ぎる。

閉じ込めた意味がまるでない。

見たくもないのに、
見られたくもないのに、
全部見えてしまうじゃないか。

7/25/2024, 6:11:37 PM

鳥かご

かつてあなたは自由だった。その自由という美しさで私を魅了していた。頑丈な翼を広げて美しい軌道を描くあなたは、いつもどこか悲しげで私の心を掴んで離さなかった。それなのにどうして鳥かごへ帰ってしまったの?何処へでも行けるはずだったあなたが。

7/25/2024, 6:02:23 PM

ゲージに入っている鳥が
檻に入れられた罪人に見えた。
なんの罪も犯していないのに可哀想だと思い、
檻のトビラを開けその鳥を野に放ってあげた。
自由を手に入れた鳥は羽を広げ
青い空に飛び込んでいく。
そんな小さな鳥は2日後には呆気なく鷹に食い散らかされていた。

僕は自由を与えたはずなのに

7/25/2024, 5:58:26 PM

私の気持ちは鳥かごのような檻から出すことが出来ないんだろうな、そして出そうともしずに諦めている。

7/25/2024, 5:55:38 PM

鳥かご

瓶に詰めた星をあなたに贈りたい 願った時にはそこにあなたが居た
確かにさっきまで光ってた星は 既に綺麗に身に付けてたようだ

内だと思って覗いた鳥かごは どうやら外の世界だったんだ。

7/25/2024, 5:54:28 PM

ベッド、本棚、ローテーブルとソファ。天井近くの窓からレースカーテン越しに降り注ぐ日差しは、白くあたたかい。

「君に羽があれば良かった」

安全で柔らかいこの空間にはとても似合わない、沈んだ、蚊の鳴くような声で彼は呟いた。床に膝をつき、淡い色のシーツに顔を伏せては不安定な呼吸を落ち着かせている。
ベッドの上、それを隣で眺める少女は呆れたように息をついた。とっくに内容を覚えた本をぱたりと閉じ、小さな手を彼の背中に置く。こうすると少しはマシになることを知っていた。慣れ始めていた。

「君が鳥みたいに、勝手に遠くに飛び立ってくれたのなら。そうしたらきっと、諦めもついた」

彼の言葉の節々から滲み出るのは後悔に違いなかった。ここに至るまでにさんざん踏みつぶしてきた良心や理性が今になって起き上がってくるのだ。牙を向き、解消できない不安となって襲い来る。いつからか、度々汗だくで飛び起きるほどの悪夢に苛まれるようになっていた。

「馬鹿な話。そもそも勝手に拐って鍵をかけたのはあなたでしょ。どうせそう簡単に諦められなんかしないのに」

「捕まえようと手を伸ばしても届かないものなら良かったんだ。ああ、わかってる、わかってるよ。今更何を言ったって僕は悪人で、君をどうしたって幸せにすることなんかできやしないって。知ってるんだ」

欲しいものも穏やかな生活も、人生の一部を削って与えるのでさえ、結局は彼の自己満足に過ぎない。最善の選択肢はとうに辿れなくなっている。もしくはそんなもの、二人の関係には初めから存在しなかったのかもしれない。無であるべきだった。
彼の懺悔とは裏腹に、少女が上げた視線の先、たった一つの出入り口は相変わらずきちんと閉ざされている。

「じゃあ、扉を開け放てばいい。たったそれだけの簡単なことで、私は少しでも幸せに近づけるの。あなたのおかげで。もちろん、遠ざかっていたのもあなたのせいではあるけれど」

交渉は沈黙で返されるのが常だった。今回も同じ。
そうして数秒から数分に渡る彼の長考を経て、少女はいつも代わり映えしない答えを得る。

「……それは、ごめん。できない。君がいなくなったら僕は本当に死んでしまうだろうから。生きていく理由も、術も何もかもわからなくなってしまう。
自分の決断で君をはなすのが、その後が。僕は何よりも恐ろしい」

だから自分の手には負えないような形で、勝手に、事故のようにあっさりと居なくなってほしいだなんて。無茶な話だった。ひとりじゃ到底手の届かない窓を見上げ、少女はまたため息を零す。
彼は自身の罪に謝罪を繰り返すくせに、その手にある鍵だけは絶対に手放そうとしない。恋心に盲目なまま作り上げた狭い楽園を壊したくないと首を振る。

「かわいそうな人」

それでももはや憎しみの感情など浮かばないものだから、少女の方もそういう現象として名前がつくほどには絆されているのかもしれない。
これではどちらが鳥籠なのかわからなかった。


【鳥かご】

7/25/2024, 5:42:02 PM

男は銀細工の職人をしている。
 アクセサリやカトラリー、その他の日用品や装飾品など、気の向くままに作っては店に並べている。
 オーダーも受け付けており、先日はフレンチレストランからカトラリーセットを大量に受注した。
 大口の注文は有難いのだが、その間は「自分の作りたい物」を作るのが難しくなる。
 なので男は、カトラリーセットを無事に納品してから暫くは、自分の好きな物を黙々と制作していた。

 ある日、男の工房に来客があった。
 工房兼店舗であるので、来客があるのは別に変わったことではない。ただ最近はインターネットでの通販が主流なので、店舗を訪れる客が減っているのだ。
 わざわざ足を運んでくれるとは有難い。

 やって来た男性は、店内をぐるっと見て回り、ある作品の前で足を止めた。
 それは、男が先日まで一心不乱に作っていた作品だ。
 好きな物を思う存分に作れるという喜びから、えらく凝った作りになってしまった鳥かごだ。
 そもそも鳥かごの材質として銀はどうなのだろうか、とか。大きさの割に凄まじく重い、だとか。貴金属の中では安い方とはいえ、鳥かごにしては冗談みたいな値段がする、だとか。
 そういった現実的な部分を綺麗に度外視した作品だ。

 まあこんな物を買おうと思うのは、余程の物好きだろう。
 自分で作っておきながら、男はそんな風に考えていた。

「すみません、これいただけますか?」
 なので、男性がそう言った際、男は思わず「は?」と呟いてしまった。

 自分でも実用性は全く無いと思っていた物を所望され、男は何度も男性に「本当にいいのか」と尋ねたが、男性は笑いながら「一目惚れしてしまったので」と答えた。「実際に鳥を入れるわけでもありませんし」とも。

 男性はカードで支払いをすると、鳥かごを大事そうに抱えて店を出て行った。
 美しく出来たとは自負しているが、あんなのを分割払いしてまで買ってくれるとは。世の中には好事家というものは居るものなんだなぁ。
 男はそんな風に思うのだった。

 それから一年程度経ち。
 男の元に一件のメールが届いた。
 インターネットの受注フォームから、オーダーメイドの注文だ。
 それは、以前鳥かごを買ってくれた、あの男性からだった。

 曰く、例の鳥かごはとても気に入っている。同じような物がもう一つ欲しい。前回と同じようなサイズで再度作っては貰えないだろうか、との事だった。

 男はそれに、材料の調達期間と制作期間を加味して、「これくらいの時間がかかるが大丈夫か」と尋ねた。大丈夫だと返事をもらい、男は制作に取り掛かる準備を始めた。

 それからも、男性から鳥かごのオーダーが数度入った。
 納品した数が5つを数えた頃。
 男が見るともなしにつけていたテレビから、情報提供を求める女性アナウンサーの声が聞こえた。
 未解決事件の特集番組のようだ。
 逃げたまま捕まっていない凶悪犯、ある日忽然と姿を消した女の子、そもそも犯人すら分かっていない殺人事件…。
 そういったものを紹介し、情報の提供を呼びかけている。

 うちの県も行方不明者多いなぁ…。物騒だなぁ。
 そんな事を思いつつテレビを眺めていたのだが、男は一つの事件の報道に釘付けになってしまった。

 それは、男が住む県と、その近隣県に跨って起こった(または、現在進行形で起こっている)死体遺棄事件だ。
 いずれも被害者は若い女性で、遺体をばらばらに切断され、それぞれ別の場所に遺棄される…という事件だ。
 DNA鑑定から被害者の身元は確認されており、現在少なくとも5人が被害に遭っている。
 そしてそれら被害者に共通する事項として、遺体の大部分は見つかっているのだが、頭部だけは未だ見つかっていないのだ。

 いやいや…。そんなまさか。
 考え過ぎ、考え過ぎ。そんな、映画やドラマじゃあるまいし。

 そんな風に思いつつも、男は注文台帳を確認した。
 そして深呼吸を繰り返し、気持ちを落ち着けてから、スマートフォンを手に取った。

「あ、あの…、情報提供になるかどうかは分からないんですけど、構いませんか…?」


 数日後、連続死体遺棄事件の犯人が捕まったと、全国ニュースで大きく報じられた。

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