瑠唯

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「あぁ、きれいなトリだな」
僕は目の前にいるソレに対しては小さめな檻の中に入っているトリを見て呟いた。
そのトリはとても綺麗で美しく、とても儚げな印象をもつ青い鳥だ。
大きな声では鳴かず、呼ぶと近くに来る。
大きな目を開いてこちらを見てくる。
その目を見てると世の中が小さく見えた。
この悩みはちっぽけなモノ、そう思えるほどに僕は
そのトリに引き込まれている。

僕とそのトリが出会ったのは三年前、トリは近所を歩いていると近くにやってきた。
そして可愛い口で何かを訴えかけるように熱心にないていた。
僕はその意味が分からなかったが、何か大切な事を言っていたみたいに見えた。
その日は用事を取りやめて遊んだ。
久しぶりに買い物をした。
買えてなかった本を買って読んだ。
最近はなかなか家から出ることがなく、久しぶりに読んだ本は面白かった。
次の日、またそのトリに出会えるかとトリと出会った公園へ行ってみた。
出会えた。その鳥はまた近くによってきて、なにか話しかけてきた。なにか楽しそうで僕まで楽しくなった。
そのトリとまた会うために、公園へ通う日々が続いた。
トリと話すだけ、僕はほとんど喋らない。けど僕はこれまでの日々と打って変わった。
トリに勇気付けられた。
僕は疎遠になってた家族に会いに行ってみた。そんなに遠いとこに住んでるわけでない、車で2時間の距離にある家族の家へ。









僕はトリのおかげで変われた。
世界に色付いた。
トリに鳥かごから出してもらえた。
僕はトリと生活したい。

分かっている。
トリは外で自由に過ごすことが一番だと、
でも、僕は、、、、


トリに言ってみた。
「僕に君を飼わせてくれない?」






僕は、家が裕福だ。
お金に困ったこともない。
そしてこの先、一生困ることも無い。
でも、僕は裕福だという理由だけで一人疎外感を感じていた。
学校に行き話をするだけで、僕は分からないでしょ?とでも言いたげな反応をする。

そんなことない。
安いスーパーにも行くし、
ジャンクフードだって食べる。
普通の生活をしている。 


僕は、ヴァイヲリンなんか弾けない。
僕は、紅茶の違いはわからない。
僕は普通に暮らしている。


僕は、絵を描くのが好きだ。
僕は、小説を読むのが好きだ。
僕は、本当は女だ。


僕は親にお願いして男にしてもらった。
でも、、、理解はされてない。
一人娘が、無性だと少しする外聞が悪い。
決して仲が悪いわけでもない、悪い人らではない。

ただ、僕が勝手に疎外感を感じてるだけ。


精神を病んで、
人と会えなくなって、
生活が出来なくなって


彼女は、話を聞いてくれた。
僕に寄り添ってくれた。
僕は、彼女が欲しくなった。

 

彼女を閉じ込めたくない。
でも、僕は、、、彼女を僕だけのものにしたい。








彼女はあっさりと「いいよ」と、言った。








僕の家の一室に閉じ込められた、美しい女性。
僕だけの宝石。
僕だけの美しいトリ。







囚われたのは「僕」だった。
                  end1






追記
彼女は美しく生まれ、その容姿を褒め讃えられ育った。
小さなころは褒められるだけだったが、成長するにつれ、、妬み、偏見、誤解、
その容姿だけで散々なめにあってきた。
学校だとに行くと、彼女が女子には除け者にされ陰口を叩かれる。
その程度だとまだいいが、





あるときはお金持ちの人に拐われそうになったり、
(それははお金でもみ消された)

ある時は恨みつらみで刺されそうになったり、
(近くに人がいた為なんとかなった)



彼女は「この世の中で安心できる場所が無い」
ほんとにそう思っていた。

彼女があるとき散歩に出かけると、川に飛び込みそうな男の子がいた。
つい気になって声をかけてしまった。
男の子は声をかけられたのがびっくりしたのか
しばらく固まっていた。

最初私の容姿でびっくりしたのかと思ったが、
違うらしい。よかった。

男の子はお金持ちで、そのせいで偏見にあってきたらしい。

彼女は、「一緒だ」

気づいたら口からこぼれ出ていた。
男の子は聞こえてないらしく、ほっと安心する。
それから少ししてお互い、家に帰る時間になった。

家に帰っても予定なんか無いけどね。



次の日公園へ行くと男の子がいた。
男の子と今日も話をした。

今日も話をした。

今日も話をした。

今日も話をした。



楽しい。
男の子は聞き上手で、話をして、楽しい。
この男の子は私を傷つけない。
安心できる。


この時間だけは私の中の安らぎだった。



男の子が元気になった。
私に打ち明ける悩みがなくなって、雑談しかしなくなった。
私と合う意味が無くなってしまった。
怖い。私、やっと平和に暮らせていたのに、
男の子と離れるのが怖い。
それでも、私はそれを打ち明けれないでいた。


それでも、あって会う日は続く。
ある時男の子が
「絶対に貴方を危険に晒さないし、傷つけない。
 だからどうか、君を買わせてくれない?」

きっとここで肯定すると私の自由は無くなるだろう。でも、男の子と一緒に居れる。それだけで私は胸が高鳴った。
        「いいよ」
気づいたら言っていた。
男の子は泣きそうな、嬉しそうな顔で私に抱きついてきた。




       
                  「鳥かご」

7/25/2024, 6:48:19 PM