悪役令嬢

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『鳥かご』

ここは世にも珍しい魔物園。

大きな鳥かごの中では様々な魔物たちが
飼われており、物珍しさから多くの
見物客が訪れます。

その危険性から、園内入場前に免責事項を
含む誓約書への筆跡が必須。

中へ入ってすぐ目に飛び込んできたのは、
鷲とライオンの混合体で、気高さと狂暴性から
扱いが難しいとされる"グリフィン"。
一部の者しか手懐けられない魔物です。

お次は巨大なニワトリの姿をした
"コカトリス"。石化のブレスを防ぐため
嘴は固く縛られています。

さらに先へ進むと、上半身が人間の女性の
見た目をした"ハーピー"達とご対面。
美しい歌声で人々を惑わせるため、
声を封じる特殊な首輪が装着されています。

そしてこの魔物園で、一際恐ろしい存在がこちら。
「危険⚠️!接触厳禁!」と警告する看板のすぐ隣。

緑色のベストとオレンジ色のリボンタイを
身につけた道化師が、ブランコに揺られながら
鳥かごの中で口笛を吹いていました。

「😙~🎶」

するとそこへ幼い子どもがやってきて、
好奇心に満ちた眼差しで道化師を見つめました。

「😳👂❗️」
(訳:お耳がでっかくなっちゃった!)

道化師が軽快なマジックを披露すると、
幼児は楽しそうに「キャッキャ」と笑います。

次に現れたのは小学生の男の子たち。
彼らは安全圏から道化師を挑発します。

「こいつただの人間じゃん」
「なんか芸見せろよ。クソピエロ」

「😳👂❗️」
(訳:お耳がちっさくなっちゃった!)

道化師は再びマジックを披露。突如、男の子
の一人が耳元を抑えながら悲鳴を上げました。
血まみれの手を開くと、何と耳が消えている
ではありませんか。

彼の耳はどこへ?それは道化師が手の中に。

この事件を受け、園の職員たちは道化師の
処遇について協議します。

また同じような事件が起きれば、
人が寄り付かなくなってしまう───。

そんな折、一組の親子が来園しました。
黒い外套を纏う紳士と、彼に手を引かれる
お人形のような見た目をした可愛い女の子。

「お父様、あの者ですわ!
この間話していた不審者というのは」
「ほう……興味深いな」

紳士は道化師を気に入り、彼を引き取る事を
提案。園側も快くこの取り決めに同意しました。

こうして道化師は、悪役令嬢の父の元で
新たな人生を歩み始めたのでありましたとさ。

7/25/2024, 6:45:13 PM