zenz_ai

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地平線まで見渡せる丘の上で、水を口に含む。
遥か向こうにあるそこを目指し歩き続けてもうひと月になるが、未だ辿り着かない。皮袋に入れてきた水ももう底を尽きそうだった。
足元には小さな花々と、青々とした芝。空は澄んだ空気に満ちていて真っ白な雲がフワリフワリと流れていく。
のどかだ。
このひと月、脅威となる生き物には出会わず清らかな川に恵まれ、天候も荒れることもなく、ただただのんびりと歩を進められている。
食べ物は木の実や川魚が豊富なので困った事がない。野宿にも慣れた。
ここがどこだか分からない事意外は、大した過ごしやすい良い所だった。

鳥かご


気がついたらここにいた。
生まれた時からここにいる気がするし最近ここに来た気もする。曖昧な、モヤがかかったような記憶も歩いているうちに何故か忘れてしまう。
忘れていた事も忘れ、ふと何かの弾みで思い出す。思い出した瞬間は鮮明なそれも、一呼吸ごとにまた薄っすらと忘れていってしまう。
多分こんな事をこのひと月ずっと繰り返している。


…もう4時なので今日はここまで。おやすみなさい

7/25/2024, 6:48:21 PM