『香水』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ふわり、と香るサンダルウッドの香りにぴく、とまつ毛が動くのはごく自然なことだった。
人の名前も顔も覚えるのは苦手だ。
でも、その人が持つ香りなら何となく覚えることができる。
香水は人の体を表す、そんな気がした。
似合っていようが似合わなかろうが、その人の個性が香りとなって記憶に刻まれるからであった。
爽やかな森の木々の中に、時折見せる彼の好戦的でスパイシーなほろ苦さが感じられる。
感じるままに漂う香りをすんすんと嗅いでいると、匂いの主の顔がみるみる赤くなっていくのに全く気が付かない。
同僚とはいえ、異性に至近距離ですんすんと嗅がれ続けるのは流石の『軍師』も心中穏やかじゃないのかもしれない。
「…あの」
黒いTシャツのインナーが覗くワイシャツの襟元を片手で手繰り寄せる困惑の表情に、不覚にも『萌え』てしまっただなんてmirinは言えなかった。
─────『香水』
(香水。)🦜
僕は・・・ね。
・男の子だから
・女の子みたいに
香水は、付けない。🦜
(でもね。)
「僕の、誕生日に
娘雀しゃん、
から
・プレゼント、に
貰った。
《外国製の名刺入れ。》
に
入れる【香水香。】が、
日本の和。の
香りがするんだね。」🦜
《だから。》
✣初対面の、
雀しゃんに、
名刺を、渡すと、
❝僕に、一目置くんだよ。❞
【香水】
きみが香水を纏ってなければいい
きっと実物で会えたとしたら
無機質な鉄の香りがふんわりと辺りに溶け込ませながら
その鉄が血を連想させて
まるで何も守るものも持たずに
僕の前に現れてくれたように
2024-08-30
作品No.152【2024/08/30 テーマ:香水】
※半角丸括弧内はルビです。
今までに買った香水で思い出深いのは、TOBALI (トバリ) の「White Storage(ホワイト ストレージ)」だろうか。
香水の量り売りをしているサイトで購入したものだったのだが、これがとても品のあるすてきな香りだったのだ。私の貧相な語彙力では、それ以上伝えられないのがなんとも残念であるほどに、その香りは私を虜(とりこ)にしたのだった。
TOBALIはブランドが終了し、この香水がもう手に入らないのも、また残念なことであり、より惹きつけられる魅力だと思う。
貴方の香水の匂いが好きだと言ったのはほんの3年前の話。
流行に敏感な貴方がこの香水ばかりをつける様になったのもその頃だった。
貴方のつけていた品名が何かも知っている。でもただ貴方の匂いを探している。
(香水)
朕にその香水を売ってくれぬか
この声は、
この香りは、
わずかな記憶を結びつけ、物語を紡ぐ
(現パロ)
ふと彼女が隣の席に座った時甘い香りがした。
香水なんてつけるタイプだっただろうか? いや、そんなはずはなかった。昨日までの香りだってこんなシトラスのような香りではなかったし、もっともっとフローラルなまるで柔軟剤のような香りをしていたのだ。
そんなことを思ってから我ながら気持ち悪いなと、そう思ってしまった。いくら好意を寄せている人間とはいえ、クラスメイトになったばかりの隣席の少女の香りを覚えているだなんて、まるで、不審者のようじゃないか。
そんなことを自虐的に考えてしまったとしても、とにかく気になることは気になるもので、まるで、彼女に誰か彼氏でもできたんじゃないかなんて、思考がぐるぐると回った。
それでも尋ねることはできない。それはさっき、自虐的に考えてしまったということも片棒を担いでおり、そこまですごく仲良くない異性から『今日は、香水つけてるんだ。珍しいね』などと、急に言われるのも甚だ、不審者のようにしか見えないだろう。そんなわけで、結局真実も知れないままモヤモヤすることしかできなかった。
「…………あれ、今日香水つけてない?」
友人にそう問いかけられた。
「……ああ、うん。なんとなく」
そんな下手な誤魔化しで友人は納得してなるほどねー、なんて言葉を呟いた。
意味のない行動はしないとは言えないけれど、少なくとも、香水はつけてきたのには、理由があって。
姉から押し付けられたこの香水はどうやら恋を叶えてくれる作用があるらしい。それで、まぁ恋をしている隣席の彼にジンクスが作用すればいいなんて淡い期待と共につけてきた。彼がどう思ってるかボクには分からないし、それを問いかける勇気もないけれど何も言ってこないってことは嫌じゃないのかもしれない、なんて、ポジティブな思考回路を無理やり回した。
香水
不意にただよう甘い香りに振り返る
同じ香水を使っている人がいる
ただそれだけなのに
人混みの中君を探してしまう
どこのメーカーの
どんな名前の香水なのか
最後まで聞くことができなかったのに
この香りだけは忘れることがない
突然の別れからもう三年
君の顔さえおぼろげなのに
たまに街中でこの香りに会うだけで
君のことを思い出して
胸が苦しくなるんだ
蚊取り線香の匂いがした。
そっか、もう夏だもんな、とひとり頷きながら、そおっと自分のとなりを盗み見る。
すると、向こうもこちらを見ていたようで、ばっちり視線がかち合った。
──あ、睫毛ながいなぁ。
そんな言葉がさっと頭のなかをよぎって、だけどあの子が眉尻を下げたのを見てハッとした。
いけない、この子は自分への視線の意味に鈍感だから、きっと無視をされたと思わせてしまう!
そう考えて、私もにっこり微笑み返してみる。
あの子は、満開のひまわりを彷彿とさせる笑顔を見せてくれた。
嗚呼よかった、嫌な思いはしていないみたい。
たくさんの虫が鳴いていた。
リーンリーン、リンリンリン、ピィッピィッ。
彼女は元気にしているだろうか。
辛い思いはしていないだろうか。
悲しいときそばで寄り添ってくれる存在はあるだろうか、寄り添える存在はあるだろうか。
ふと左手の甲に伝うやわい感覚に目を遣る。
なにもない。ただ、夜の闇が足元を照らすだけ。
「……───」
そっと目を閉じる。
私は、いったい何を考えていたのだろう。
線香花火はとっくの昔に落ちたのだ。
蚊取り線香など、もう片付けてしまったのに。
▶香水 #78
香水
何故だろう…君とすれ違う度に、いい香りがする…香水とかは、多分、使っていそうにないのに…
ふわりと長い髪が揺れると甘く優しい香りが漂ってくる…シャンプーの所為なのか、判らないけれど…
言葉を交わす事も無いけれど、儚げな君の横顔と、この仄かな香りが、ずっと、僕の中に満ちていて…気が付くと、君の姿を追っているよ…
#香水
月が空高く昇ったころ、小さな貝殻の形をした容器をそっとわたしに握らせて、彼女はささやいた。
薔薇の練り香水なの。
ほんの短い時間、ごく仄かに香るわ。
眠る前に喉のくぼみにつけてね。
きっと良い夢がみれるから。
そうして、カーミラのように怪しく微笑んだ。
・9『香水』
姪っことお茶をしながら迷いインコの名前を考えた。
姪っこはインコに「名前をいってごらん?」と話しかけていたが当のインコは首を上下に振ってはピィ!ピィ!と気まぐれに鳴くだけだった。
水色の香水瓶のよう、という理由で「コースイちゃん」ということにとりあえずなった。
【続く】
【香水】
香りと記憶が結びついている、というのは有名な話だ。
香りというものは海馬に直接刺激を与えるらしく、記憶と香りは一緒に脳に収納されていることがある。
昔嗅いだことの匂いで芋づる式に記憶が蘇ってくるのは、そんな仕組み。
フランキンセンス、という香りは知っているだろうか。
昔から宗教的な儀式や神聖な場で使われることが多かったその香りは、別名『神の香り』とも言われているらしい。
スパイシーとウッディ、あとは柑橘系。暖かさと冷たさが混じり合うような香り。
緑が深い森の中でふと人工物を見つけたような、そんな感じ。
普通なら混じり合うと異質で気持ち悪いなものだが、妙に綺麗に合わさっていて美しく感じる。
複雑なのに、嫌悪感がない。不思議な香り。
嗅いだこともない匂いなのに懐かしさを感じた、なんて経験はないだろうか。
こんな香り知らないはずなのに、なんだかノスタルジックで。
心がざわざわして、その香りと紐づく記憶を呼び起こそうとしているのに。
あぁ、思い出せない、こんなにも懐かしいのに。
そんな感情。
フランキンセンスの香りを初めて嗅いで、懐かしさを感じた人はいるだろうか。
神の香りと呼ばれているフランキンセンスを懐かしく感じるのなら、あなたはいつの日にか神と呼ばれるモノにあっていたのかも?
なんてね。
記憶にありもしない懐かしさが事実を教えてくれるのなら、それは、
上品なおば様達は
薔薇に顔を近づける
微香 中香 強香
強香と立札にあれば
嗅ぎたくなるのは本能
香水も素人には
判断できない
個性的で凝った形の瓶に
入ってはいるが
テスターを
試してみるのが先だ
見た目で判断できない物に
より詳しい説明を
それでこそ
購買意欲はそそられる
「香水」
「そろそろ君も30になるんだし、いい物も少しずつ持っときなさい」と、夫から誕生日にプレゼントされたのはCHANELの5番
香水など今まで買った事も贈られた事もなく、そもそも誕生日プレゼントはスニーカーにするって言ってなかっただろうか。「あのおじさんの顔描いてある靴辞めたの?」「スタンスミスはいつでも買えるから」
色々と理解が追いつかない
なんでも早朝に唐突に思いついたそうで、めちゃくちゃネットの口コミだけで一番良さそうな香りを1時間程かけて選んだらしい。どうしよう、ツッコミが追いつかない
届いた香水をひと振りすると、大人の女性な香りがした。私もこの香水の香りが似合う年頃になったのね
少し背伸びをする時に良いかもしれない。それからその香水は宝物になった
白い毛をした猫さんは
夜は月の雫
朝は朝露
昼はひなたの香り、
ひまわり畑の花の香り、
猫じゃらしの揺れる草むらの香り
を纏って歩いています。
「香水」
デパートのトイレはいい匂いがする
だから、大きくなって綺麗な女性になれたら、
尿も芳しくなると思っていた
「香水」
香水
香水ではありませんが、フローラルの香りの汗吹きシートが、お気に入りです。ひんやりシートで、汗を抑える効果もあって、爽やかな気分になります。
フローラルのように、ほのかにさりげなく香るものが良いです。
突然のことだが、バイトの先輩の家に泊まることになった。
夏休みシーズンを終えて繁盛期のピークを過ぎた日とはいえ、まだまだ忙しくて。バイトを始めてそろそろ一年、今日もギリギリだけどなんとか業務も終えられそうだと安心していた。
しかし、閉店時間直前になってトラブルが発生した。あたふたする私の隣で先輩が解決してくれたが、いざ帰ろうとする頃に天気が荒れて電車が止まってしまい、帰れなくなってしまった。
金曜日だからか、同じような人がたくさんいて、近場で一泊出来そうな場所は満杯だった。そも、今日は大学とバイトしか予定がなかったから大して持ち合わせもなかったが。
そこで、同性だし嫌じゃなければと、先輩が一人暮らしする部屋にお邪魔することになったのである。
先輩の部屋は、概ね予想通りというところであった。
ワンルームの真ん中にあるローテーブルの上に、ノートパソコンと何冊かの本、隅っこに畳まれた布団と充電器がほっぽってある。窓際の小さな棚に日用品がしまってありそうな箱やビニール袋が並べられている。
お盆も、クリスマスも年末年始もシフトに入っていて、内心、ふぅん、遊びっ気がない先輩らしいと思った。
大学生が四年間一人暮らしするための部屋なんて、まあこんなものかもとも。
先輩はというと、念の為と私の母と電話している。一応成人済みなのに、子ども扱いされているようで恥ずかしいが、後から心配されるよりはましだ。
母の電話番号をメモし、私にスマホを返した先輩は、お風呂の準備するから適当に座ってていいよ、充電器使っていいからねーと言いながらいなくなってしまった。
もう見るところもなさそうな部屋をもう一度見回すと、小さな棚の一番上にあるリボンが巻かれた香水瓶に目を惹かれた。
香水とか持ってるんだ! と、失礼なことを思いながらそれをみつめる。いや、普段飲み会こないし、いつバイト行っても大体いるし。遊びのためにドタキャンした子の代わりに大体すぐ来てくれるし。
この香水、去年の冬にインスタでみた。『¥5000以内1でできる彼女へのプレゼント10選〜』みたいなので。
「それ嫌じゃなきゃあげるよ。 一回しか使ってないし」
後ろからの声にびくりと振り返る。
「え、でもプレゼントですよね、これ……」
「いらなかったら捨てていいらしいからほんとにあげるよ、引っ越す前に捨てるよりありがたいし」
「引っ越すんですか?」
「就職先の社宅にいくよ。 荷物減らすのにこの間は鈴木君に漫画あげちゃった」
「鈴木君と話すんですね……」
「週一くらいはシフト被るからね」
タオルにライブTシャツとスウェットと一緒に、はい、これクレンジング。と手に握らされ、お風呂場に押し込められた。
そして、友達が置いてった寝袋出してくるねーと、先輩はまたいなくなった。
二ヶ月もしないうちに、先輩は引き止める店長に構わず、バイトを辞めていた。みんながテスト期間が近く、そろそろ休みたがるタイミングだったのもあって、少し大変だった。
あのとき、お風呂から上がったあと、お礼を言うべきところを、私は真っ先に、あの香水欲しいですと先輩に言ったことは後悔していない。
【香水】
香水
私はあなたが宣伝したり付ける香水が嫌いなの。なんでかって?その香水のせいでほかの女達があなたの周りに集まったり、同じものを買ったりするの。それがほんとに腹立つの。深い嫉妬よ。
うん。え?何?あー。推しのアイドルグループの話だけどね。