SHAKE

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ふわり、と香るサンダルウッドの香りにぴく、とまつ毛が動くのはごく自然なことだった。


人の名前も顔も覚えるのは苦手だ。
でも、その人が持つ香りなら何となく覚えることができる。

香水は人の体を表す、そんな気がした。
似合っていようが似合わなかろうが、その人の個性が香りとなって記憶に刻まれるからであった。


爽やかな森の木々の中に、時折見せる彼の好戦的でスパイシーなほろ苦さが感じられる。
感じるままに漂う香りをすんすんと嗅いでいると、匂いの主の顔がみるみる赤くなっていくのに全く気が付かない。


同僚とはいえ、異性に至近距離ですんすんと嗅がれ続けるのは流石の『軍師』も心中穏やかじゃないのかもしれない。


「…あの」

黒いTシャツのインナーが覗くワイシャツの襟元を片手で手繰り寄せる困惑の表情に、不覚にも『萌え』てしまっただなんてmirinは言えなかった。



─────『香水』

8/30/2024, 2:50:21 PM