仮色

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【香水】

香りと記憶が結びついている、というのは有名な話だ。
香りというものは海馬に直接刺激を与えるらしく、記憶と香りは一緒に脳に収納されていることがある。
昔嗅いだことの匂いで芋づる式に記憶が蘇ってくるのは、そんな仕組み。

フランキンセンス、という香りは知っているだろうか。
昔から宗教的な儀式や神聖な場で使われることが多かったその香りは、別名『神の香り』とも言われているらしい。
スパイシーとウッディ、あとは柑橘系。暖かさと冷たさが混じり合うような香り。
緑が深い森の中でふと人工物を見つけたような、そんな感じ。
普通なら混じり合うと異質で気持ち悪いなものだが、妙に綺麗に合わさっていて美しく感じる。
複雑なのに、嫌悪感がない。不思議な香り。

嗅いだこともない匂いなのに懐かしさを感じた、なんて経験はないだろうか。
こんな香り知らないはずなのに、なんだかノスタルジックで。
心がざわざわして、その香りと紐づく記憶を呼び起こそうとしているのに。
あぁ、思い出せない、こんなにも懐かしいのに。
そんな感情。

フランキンセンスの香りを初めて嗅いで、懐かしさを感じた人はいるだろうか。
神の香りと呼ばれているフランキンセンスを懐かしく感じるのなら、あなたはいつの日にか神と呼ばれるモノにあっていたのかも?

なんてね。
記憶にありもしない懐かしさが事実を教えてくれるのなら、それは、

8/30/2024, 2:20:40 PM