香水』の作文集

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香水』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

8/30/2023, 2:57:31 PM

清潔感あるサボンの香りと
透き通る水色に惹かれて
素敵な香水瓶を買った

買ったは良いけれど
インテリアにさえせずに
クローゼットで待機している

8/30/2023, 2:57:29 PM

鼻が敏感で、甘い香りはもちろん、香水のように匂いが強いものは苦手だ。

ただ、香水を身につけている当人には、意外と分かりにくいものらしい。
昔、一度か二度くらい、好奇心から自分で付けてみたことはあり、動き回っても弱めだな?と思ったのだが、家族からすると「くさっ!」と顔しかめられたほどだった。

だからなのかもしれない。
香害と言われているようになってきたのには、香水だけでなく、香り付きのものがあまりにも増え過ぎているのだ。
洗剤だったり柔軟剤、ルームフレグランスなど…。
それらが混ざっていれば、なるほど 複雑でものすごくキツく感じてしまうのかもしれない。

私は幸い、匂いが強いものや甘ったるい香りが苦手なだけで、それ以外はまだ大丈夫な方だ。
だが、それくらいの程度でもキツいと思うのに、香害で毎日苦しんでいる人々にはよほど辛いのだろう…。

せめて、くさいものには香りを纏わないで、無香料や匂いの残らないタイプなど、消臭効果のあるものを使って欲しい。
これくらいの気遣いを日頃から考えていきたい。

それもまた、SDGsのうち「3 すべての人に健康と福祉を」と「12 つくる責任 つかう責任」に当てはまるのではないかと思う。

すべての人に健康を。
また、つかう責任を持とう。

8/30/2023, 2:54:20 PM

【香水】


私は、目がみえない。
生まれつきらしい。

だから、においで誰かがわかるようになった。

お母さんは、洗濯物や料理のにおい。
お父さんは、お酒やタバコのにおい。

〝貴方もちゃんとしてよ!いつもいつも私ばかり!〟
〝うるせえな!お前がちゃんとした子ども産まないからこんなことになるんだ!〟

……また、喧嘩。
近くなのか遠くなのか…わからないけど、大きな声。



最近、多い。
イヤになった。

私は、家出することにした。
両親に見つからない。
なるべく遠くへ行きたかった。

タイミングは、お母さんが居ない買い物の時。
こっそりと家を出た。
荷物はどこに何があるのかわからなかったから、玄関にいつもの所にある棒を持って…服はお母さんが着せてくれたもの。

1人の外出は、初めてだったから、ドキドキしながら歩いた。
色んな人の声がする。私は、早歩きをした。怖かった。
どこをどう曲がって、歩いたのかわからないから、本当に帰り道がわからない。
でも、両親は、私のこと、いらないんだ。
私が居たら、ストレスなんだ。
そう思っていたら、涙が出てきた。

『ねえ、キミ。』

ふわっと、いいにおいがした。
あまい香り…

「りんご…?」

声に出してた。恥ずかしい。
泣いてるところも見られて、声に出して…穴があったら入りたいってこんな感じなのかなって思った。

男の人?は、笑ってた。

『あぁ、ごめんね!キミ、僕のお店の前で泣いてたから気になって気になって…』

お店の前だったんだ…

「ごめんなさい…迷惑おかけしました。では……」
『あっ!あぶな……』

そう言い終わる前に、コケてしまった。
今日は、だめな日だな…

『大丈夫…じゃないね。血が出てるよ。ちょっとごめんね。』

そう言って、ふわっと身体が浮いた。
……だっこ??

「あ…あの!大丈夫!だから!」
『あわわっ!危ないからね!』

どうしようどうしよう!
誘拐だったら…!!

カランカランと音が聞こえたと思ったら、今度は色んなにおいがした。

『僕のお店ね、香水屋さんなの。ハンドクリームもあるけどね。』

『お兄ちゃーん!!お店手伝ってよー…って、その子どうしたの?!怪我してるよ…あたし、救急箱持ってくる!』

バタバタと女の人はどこかに行った。

『あー。あの子はね、血は繋がってないけど、妹の――』
『ななみだよ!よろしくー!はい、救急箱!』
「血、繋がってない…?」
『うん。僕の母親が小さい頃に亡くなって、再婚相手との間に産まれた子が、ななみ。』
『ややこしいよねー。クラスメイトに説明するのも大変だよー』
と言って笑ってた。
複雑な環境なのに、こんなに愛されてるんだ…いいな。
そう思うと、涙が出てきそうになった。


『よしよし。これでおわり!大丈夫だよ!』
「ななみさん、ありがとうございます。」
『大丈夫!お兄ちゃんに任せたら大変だから。』
『僕、傷の手当ぐらい出来るもん』
と言ってる声は、弱々しくて、どっちが年上かわからなくなる。

『そういえば、白い杖ってキミの?道に落ちてたよ?』
「あ…そうです。」

しばらくの静寂。
口を開いたのは男の人。

『ねえ、もしかして…どこかに行こうとしてた?僕、案内しようか?』

私は、横に首を振った。

「私、家出なんです…家の場所もわからないから、どっちみち、帰れない。」
『お姉さん家出かぁ…じゃあ、家族が来るまでここに居てよ!お兄ちゃん、いいよね?』
『そうだね。家の場所わからないなら、どちらにしても家まで送ってあげれないし…うん、じゃあ、ここに座って待ってて。お茶もってくるね。』

そう言って、男の人は、スタスタと音をたててどこかへ行った。

『お兄ちゃんね、人助けが趣味みたいな感じなの。そこがカッコいいところ!でも、顔もカッコいいから、勘違い女がいっぱいいるんだよねー。そういう時は、お兄ちゃんに頼まれててね。私が彼女のフリするの。』
『ななみ。もう少し、楽しい話してよ。ごめんね。はい、お茶だよ。僕の名前は、なおっていうからね。何かあったら言ってね。』

そう言って、2人は遠くへ行った。

お茶のいいにおい。
お店の色んないいにおい。

お客さん居ないのかな…?

声しない。


スタスタという音が聞こえてきた。

「なおさん?」
『すごい!そうですよ!足音でわかった?』
「はい。お茶、ありがとうございます。」
『いいえー。あっそうだった。ななみが、よかったら香水をつくってみない?って言ってたんだけど…どうかな?』
「いいのですか…?」
『うん!店内ずっと気になってたでしょ?だから、自分専用の香水つくってつけてほしいなぁって思って。』

香水は気になる…けど……

「私、お金ないです。」

そう。私の荷物は、この杖だけ。
でも、なおさんは、
『大丈夫大丈夫!』
と言って、また、私を持ち上げて、どこかへ連れていってくれた。


『あ!お姉さん来たね!待ってたよー!どんな香りが好き?容器は――』
『ななみ。女の子困ってるでしょ?』

と言って、なおさんとななみさんは、声を揃えて
『『そういえば、名前は?』』
と言った。
「私は、ちさと。」
『ちさとちゃん!じゃあとりあえず…少しづつ、香りを嗅いでみて、その中から選ぼうか!』
カチャカチャと音をたててる。準備中みたい。




数十分後。

『はい!これが、ちさとちゃんの香水!容器小さめだけど…香りを楽しむだけでも癒されるからね!』
と言って、ポケットサイズの香水をもらった。
『でもでも、お兄ちゃんと同じような香水になったね!』
『そうだね。この香りは、いい香りだよね。』

りんごみたいな…ふんわりとした香り。
好きなにおいになった。





数時間後にお母さんが来た。
来ないでほしかった…このままここに居たかった。
けど…迷惑になるから、お礼を言って、帰った。





〝たなかさーん!ヘルパーですー!〟
私は、大人になって、ひとり暮らしをしていた。
ヘルパー付きだけど…普通の生活ができてる。

〝あら。今日も、りんごの香水つけてるのですね。いいにおいですねー。どこで買ったのですか?〟

「ヘルパーさんも、今度一緒に行きましょ。お友達がしてるお店なんです。」

あの日のことは、この香水をつけると思い出す。

私は、家出をしてよかったって思ってる。
そうしなかったら、この香水と会えなかったから。

〝あらら、こんにちは。なおさん。〟



『はい、こんにちは。』

スタスタという音が近くなって、私の近くで、とまった。

『ちさとちゃんも、こんにちは。』
「うん。こんにちは。なおさん。」

8/30/2023, 2:49:56 PM

仕事から帰ってきたアナタ

気色悪い匂い

仕事なんてウソね

その気色悪い匂いが証拠



香水

8/30/2023, 2:48:16 PM

香水

深夜
仕事の帰りに1人の女性とすれ違った
甘い花のような香水の香り

何処に行くのだろう
その香りを身に付けたのは誰のためだったのだろう

私にその香りを感じさせたのは偶然?
それとも

私は振り返らない
知っているから

貴女が
こちらの世界の人ではない事を

あの夜
確かに存在した
主張する香り

8/30/2023, 2:44:13 PM

30年ぶりに君に会った。
同窓会の夜。
懐かしい面子が揃う。
あの時、君と出会い、恋をして、付き合い
そして、別れた。
髪も白くなり、シワも増え、お腹も出ている僕。
「私も同じよ。だいぶ歳を取ったわよ。別人みたいでしょ」と君は笑いながら話すけど、君には30年経っても変わらないものがあるんだ。
それは、笑顔と香水の香り。
30年前の世界に僕を誘う。

8/30/2023, 2:43:06 PM

Episode.12 香水


あの日は勇気を出せたから。
今からでも、遅くないのかな。


私は中学1年生の後半から学校に行けてない。
時々別室登校はするけど、息苦しくて外に出ることもほとんどない。

テレビを付け朝のニュースを見ると、今日は微風程度で気温も丁度いいらしい。
なんとなく外に出たくなった。
私は今の気分に任せて、外で散歩することにした。


外はニュースの通り涼しくて気持ちがいい。
この時間はみんな、学校にいるんだなあ。

家の近くにある公園付近を歩いていると、前から綺麗で大人びた女性が歩いてきた。
不審に思われないようにその女性を見た。
隣を通り過ぎる時、ふわっと風が吹いた。

その時に女性からしたフローラルの香水の香り。

あれは今でも忘れることができない。

"これだ" すぐにそう思った。
可愛らしさもあるのに、綺麗でかっこよくて。
見蕩れていたところに優しい香水の香り。

私には、その女性に声を掛けられる気はしなかった。
だからきっと、もう会うこともないんだろうな。

一目惚れって、こんな感じなのかな。
一瞬で儚く切ない気持ちになった。


私もあの女性みたいになりたい。
可愛くて、綺麗で、かっこよくて。
…明日からは、頑張ってみようかな

8/30/2023, 2:41:20 PM

「私の側にいて、今日だけは。」と、男は泣きそうな、掠れた声で言った。

「貴方は、本当にかわいい人ね。いつもは、ツンとして…強がりさんなのに、時より甘えん坊。ふふ、まるで猫みたい。」
  
 女は、男の顔の輪郭にそっと両手を添え、目を伏せて、そっと互いのおでこ
をくっつけた。

「…。」男は、女に膝枕をしてもらい、女の腹に男は顔をうめた。

「良いわよ。たくさん甘えて…、誰にだって甘えたい時はあるもの。」

  女は、男の髪を優しく撫でる。

  男には、語れぬような苦しい過去と記憶が在った。

  その後遺症で、男は時より苦しめられた。

  男は、もう薄れて、微かとなったラベンダーの香りを嗅いだ。

  男は、女とその香りが好きだった。

  かつての辛い記憶の中から、覚ましてくれるから。 

  男は、ゆっくりと気持ちの波が穏やかになったことを感じた。

  男は、女をそっと抱きしめる。

  女も、また男を優しく、深く抱きしめた。

 『貴方は、完璧で在りたいみたいね。

  弱みが在っても、良いじゃない。

  その弱みに、救われる人が少なからず、いるのよ。

  …わたしも、その一人。

   だから、生きてね。

   辛き記憶に惑わされないで。

   そして、いつか…過去の自分に言ってあげて。

   生きていて、良かった。って、約束よ。』

   この香りを嗅ぐと、男は思い出す。その言葉を。

8/30/2023, 2:38:23 PM

君は香水が嫌いだと言っていた。

強い香りが辛いからと言っていた。

それなのに、なのに……。

君からはどうしてこんなに甘い匂いがするのか。

甘く優しい香り。

そんな香りに魅了される。

香水なんか纏う必要はない。

君のその香り、
まるで、金木犀のような、蜂蜜のような、
そんな優しい香りで包まれる。

安心する香り……。

君のそんな優しさに今日も包まれる。


■テーマ:香水

8/30/2023, 2:37:14 PM

昔の夢と思ひ出を
頭のなかの
青いランプが照らしている
ひとりぼつちの夜更け

立原道造

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「わかれ」

わがままになつてゆく
わたしが許せなくて
あなたの元をはなれた

なみだと
ため息をまぜて
送りましょう
わたしの愛を
知ってほしかったから

#香水

8/30/2023, 2:37:01 PM

お題『香水』

「フェネス、今日はいつもと違う匂いがする」
 主様はそう言って、鼻をスンと鳴らした。
「いつも使っているヘアオイルの香りと喧嘩しないフレグランスをつけてみたのですが……おかしいでしょうか?」
 先日買った、ベースノートにムスクの香りも入った香水は、嗅いで気に入ったと同時に少し期待したのだ……その、主様にも気に入っていただけるといいな、なんて。だって、ムスクは、ジャコウジカの雄が雌を誘惑する香りだから、少しでもあやかれるかな、って。
 俺の気持ちを知ってか知らずか、主様は少しだけ面白くなさそうに唇を突き出した。
「フェネスだけずるい」
 思いがけない反応に、瞬きの回数が増えてしまう。
「そんな楽しそうなこと、ひとりだけずるい。私もフェネスの香りと調和する香水が欲しかったなー」
「あ、ああ、主様!?」
 思った以上の反応に、俺の顔に熱が集まった。
「音楽会まで時間があるから、香水屋さんに立ち寄ってもいい?」
 もちろん、俺の返事は——


 それは、主様と音楽会を聴きにエスポワールの街に向かっている馬車の中でのお話。

8/30/2023, 2:36:46 PM

「この匂い好きだなあ」

そう言って君は私の首に顔を近づける

少しくすぐったいけど 不快ではなくて。

でもね、うれしくなかったんだ、

だってその匂い、

君の元彼が使ってた香水だから。

それに気づかない君も君だね 笑

#香水

8/30/2023, 2:35:57 PM

香水


あの人は香水を付けない人だった。
なのに近くにいると安心する香りがするんだよ、
でも今は何も感じない、なんでかな…何かしたかな、笑
話し合いたかった…。
君の香りをそばに感じることはもうできないのかな。

8/30/2023, 2:35:42 PM

「たとえ君が僕のことを嫌いになっても、僕は君を愛しているよ」
と言っていたのは、どこの誰でしょうか。
いまや、あなたは、毎日言っていた愛の言葉を囁くことがなくなり、私との会話も避け、朝帰りをすることが日課になっていますね。しかも、他の女の香水の香りを吸い込んだ衣服で帰ってきますね。
その衣服を洗っているのは、私です。
どの年代の人にどの香りが流行っていて、あなたの好みそうな女の人が、あなたがよく行く場所にいることも知っています。
謝ってくれなくても良いんです。
もう諦めましたから。
私をきっと家政婦くらいに思っているのでしょう。
都合のいい、何も文句を言わない人だと認識しているのでしょう。
私は不思議に思います。あなたがどんな気持ちで私と結婚したのか。あなたは、私を愛し続けることができませんでした。私はあなたを嫌いになっていないのに。愛しているのに。時々、虚しくなります。大丈夫だと、言い聞かせているけれど、あなたを愛し続けてしまう私は愚かだと分かっているけれど、辛いです。
私の目をきちんと見てくれたのはいつでしょう。
見なりをほめて頂いたのはいつでしょう。
愛していると言ってくれたのはいつだったでしょう。
どうして、と叫び出してしまいたくなります。
生家から、あなたのもとに嫁に入り、この日まで身を尽くしてきました。
ごめんなさい。
あなたは、もう私に会っていないので分からないかもしれませんが、私の体はもう長くありません。気力だけでなんとか家のことをしているつもりです。肉がなくなりだんだんと皮だけになって、頬がこけてきました。
力も入らず、起き上がることも難しくなってきました。
ご飯も用意できないので、もう食べていません。
あなたが帰ってきた時に死体があったならすみません。この家からもっと早く出ていけば、手を煩わせなくて済んだのに。
あなたと過ごした日々を味わっていたくて、あと少し、と思っているうちにいつのまにか、長く居座ってしまいました。
あなたは、この手紙を見て、何を思うでしょうか。
後悔してくださるのでしょうか。罵詈雑言を並べるかもしれませんね。なんせ、私のことがもう好きではないのに、家に住まわせてくれていたのですから。
寝転がりながら、震える手でこの手紙を書いています。
私、あなたがつけて帰ってくる香水が大っ嫌い。

私が好きなのは白檀の香りなの、覚えてる?
ずっと前に言ったこと。
ねえ、きっとあなたが帰ってくる頃には死んでるわ。
ちゃんと葬って、毎日線香をあげて私の好きな匂いのあなたになってよ。
わたしはあなたのことを、一生愛したわ。
あなたの誓いの言葉とは違ってね。

8/30/2023, 2:35:05 PM

【香水】

街中を歩いてると、たくさんの人とすれ違う。その中で、懐かしい匂いがした。振り返ってみたけど、誰の匂いなのかは分からない。いつ、どこで感じた匂いなのか。そんなことを考えながら、目的地のお店へ向かう。

買い物を終え、お店から出ようとすると、またあの匂いがした。
…あの人の匂いだ。先月別れた元カレの香水の匂い。付き合った当初、デートに行くと必ず彼がつけていた流行りの香水。匂いだけで思い出す、あの時のドキドキ。その懐かしい匂いに振り返りそうになったけど、グッと堪える。だってもう、私達は終わったんだから。

8/30/2023, 2:33:15 PM

お題「香水」

私は香水の匂いは苦手。
香水の柔軟剤とは違う独特な匂い。
もちろん好きな匂いはあるけれど香水は私の好きな匂いには程遠いものばかり。
いつか好きな匂いに出会えるかな...。

8/30/2023, 2:24:00 PM

甘いシャワーを纏って
淡い記憶をかき混ぜて
気分も自分も騙してしまうの


香水

8/30/2023, 2:22:53 PM

匂いって、頭に残る記憶の中で一番鮮明にかつ長く 

覚えてられるらしい。

逆に言えば、どれだけ忘れたくても忘れられない

貴方の使ってた香水は甘い匂いだったね

8/30/2023, 2:22:00 PM

香水

ネオン街に照らされる真っ黒な空。浮かぶアイスのような月が、窓に照らされている。その光景を、おれは小さな部屋の中で、ぼんやりと見ていた。
俺は、今日彼女と部屋で1日過ごす、いわばお泊まりデートをしていた。
俺の家に彼女が行きたいと言った時、少しびっくりした。
何せ、彼女のようにオシャレなものは何一つ置いてないし、なんなら生活に使うための最低限のものしかないから。それでも、俺の家で泊まりたいとお願いされ続け、最終的にこっちが折れることとなった。
せめて俺の思うオシャレなものを置きたい、と思ってホテルにあるような間接照明を買ったのは内緒。
まあ、そんな訳で今俺らは寝室にいる。彼女が今風呂に入っているから、俺はここで待ってるということだ。
やがて、彼女が寝間着姿で部屋に入ってくる。風呂上がりで熱いんだろうか。寝間着が少し薄い。温かかったよ。とメイクをしたキリッとした顔じゃなく、ふんわりとした笑顔で言った。
喉の奥が、こくりと鳴る。
やがて、彼女は俺の隣に座ると、すこし恥じらいを持ちながら言った。
いい香水はないか、と。俺は香水の専門店で働いてるから、いいのがないか聞いてきたんだろう。
俺は部屋から香水の雑誌を取りだし、説明をし始める。
でも、おれはこのままの匂いも好きなんだよなぁ。
シャンプーもボディーソープも、使っているものは一緒のはずなのに、何故かすごくいい匂いがする。
ふんわりしているというか、なんというか。
そんな匂いのまま近づかれて、長い髪を耳にかけようとすれば、俺はもうキャパオーバーな訳で。
しかし、そんなことは一切悟られたくない。俺は隠して説明を続ける。一通り説明し終えると、俺はどうしてそんなことを聞くんだ。と言った。
すると、彼女は余計に顔を赤らめ、下を向き始めた。
そんなに聞きづらい事なのか、と俺は彼女の方をじっと向く。やがて、蚊の鳴くような声で彼女は言った。
「いい香りがすれば、俺が余計に夢中になってくれると思ったから。」と。
勘弁してくれ、と俺ははぁと頭を抱えてため息をついた。
そんな事しなくても、俺はもうお前に夢中だっての。
そんな思いを込めて、彼女を後ろからぎゅっと抱きしめる。可愛いとかではなく、もはや愛おしいレベルまである。やがて俺は身体をはなすと、彼女の左手を持ち、自分の普段使っている香水をその細く白い手にシュッとかけた。その手に鼻を近づけ、すんすんと匂いを嗅ぐ。
不思議だ。シャンプーもボディーソープも使っているものは同じなのに、こんなにふわふわといい香りがするのに。
香水だけは、匂いが一緒で。彼女の手から俺と同じ匂いがするのだと分かった時は、優越感が占めていた。
握った手が、ひどく熱く火照っている。
これは、風呂上がりのせいか。
──それとも、俺のせいか。

8/30/2023, 2:21:30 PM

匂いは第一印象。
例えば食べ物。
まず人は見た目と匂いを嗅ぐことから始める。
何故だろうか。
人もそうだと思う。
匂いとは色んな意味があるが自分は性格を匂う。
同じ性格の匂いがする人もいれば。
真反対の匂いの人も。
たまにどちらか分からない人がいる。
その人たちは香水を付けていた。
匂いが違う。
本当のその人では無い。


香水。


歳を重ねるごとに匂いの大事さに気づく。
香水を付けたがる年頃になってしまったのか。
匂いによって人の色が変わる。
1回振りかけるだけで他人に化けることができる。
大きな力をあんなに小さな体で兼ね備えている。
香水は強く深い。
そんな香水を自分は好いている。

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