Episode.12 香水
あの日は勇気を出せたから。
今からでも、遅くないのかな。
私は中学1年生の後半から学校に行けてない。
時々別室登校はするけど、息苦しくて外に出ることもほとんどない。
テレビを付け朝のニュースを見ると、今日は微風程度で気温も丁度いいらしい。
なんとなく外に出たくなった。
私は今の気分に任せて、外で散歩することにした。
外はニュースの通り涼しくて気持ちがいい。
この時間はみんな、学校にいるんだなあ。
家の近くにある公園付近を歩いていると、前から綺麗で大人びた女性が歩いてきた。
不審に思われないようにその女性を見た。
隣を通り過ぎる時、ふわっと風が吹いた。
その時に女性からしたフローラルの香水の香り。
あれは今でも忘れることができない。
"これだ" すぐにそう思った。
可愛らしさもあるのに、綺麗でかっこよくて。
見蕩れていたところに優しい香水の香り。
私には、その女性に声を掛けられる気はしなかった。
だからきっと、もう会うこともないんだろうな。
一目惚れって、こんな感じなのかな。
一瞬で儚く切ない気持ちになった。
私もあの女性みたいになりたい。
可愛くて、綺麗で、かっこよくて。
…明日からは、頑張ってみようかな
8/30/2023, 2:43:06 PM