『飛べない翼』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「飛べない翼」
世の中に羽ばたく程の強さのない翼を持たずに
地に足をペタペタしながら歩くだけでも良いのだよ
◆
お前は飛べるさ
ただ産まれてきた時代が悪かった
自由に飛べなくさせてるだけで
俺はお前の自由を奪ってしまった
お前は武器とならずにすむ時代に産まれたかったか?
◆
あぁ、お前はトロイからそうなるんだ
低空で飛んでりゃそうなるだろう
安心しろ
俺らがちゃんとお前の肢体を食って弔うさ
飛べない翼
小さい頃、縁側からスズメが飛び込んできたことがある。カラスにでも襲われたのか、片翼でバタバタ転げ回っていて、もう片翼は血が出ていた。
私は小学校に行かなければならなかったので、その後どうしたのかは分からない。でも、帰宅すると玄関にリンゴ箱があった。昔のリンゴ箱は木で出来ていて、蓋も釘を打ち、中にはおが屑がいっぱい詰まっていて、そこから釘抜きで蓋を取ってからリンゴを取り出すのだった。そのリンゴ箱の蓋の部分に網が張ってあって、そこに今朝の雀が居た。
手当てをしてもらったのか、その時はじっとしていが、翌朝からチュンチュンよく啼いて、中でバタバタ遊んでいた。
この子は飛べなくなったとき、何を思っただろう。この先、カラスやヘビに睨まれたら逃げるすべがない。私たち人間が足をもがれるのと同じだ。人間なら、頭脳があるから対策を講じることは出来るが、スズメでは義足も車椅子も杖も無い。「詰んだ」と思ったろう。
だけど、この子なりの知恵、と言うよりも本能的に人のいるところに逃げ込んだ。それで助けられて、手当てもしてもらい、餌も寝床もある。最良の選択だったね。
飛べない翼でも、いずれ飛べるようになる。最良の道を見つけて、とりあえず動くことがたいせつなんだな、と、小学生の私は思った。
『飛べない翼』
動物園の檻の中に鋭い目をした鳥がいた。鋭いのは目だけではなく、黄色い爪もくちばしも鋭く尖って格好良い。鳥の説明が書かれたプレートには彼の暮らしていた国やどういうものを食べるのかという生態が書かれていたのだが、今の状況と違う一文に目が留まる。
“雄大に空を飛び回る姿は空の王とも呼ばれる”
檻の中に佇んでいた鳥はおもむろに翼を広げ羽ばたかせた。翼には不自然に切られたような箇所がいくつもあり、その身を浮き上がらせることすらもできないようだった。
「空の王にならせてくれないか」
鳥はまっすぐにこちらを見て話しかけてきたけれど、私にはその力も権限も備わっていない。視線を振り切って檻の前をあとにしたが、背中には鋭い視線がいつまでも突き刺さっているかのようだった。
『飛べない翼』
鳥は、しっかりした足場がないと
飛び立つ事が出来ない。
どれだけ、自由に飛べる翼を
持っていたとしても、
飛ぶことは出来ない。
それは、人も同じ事で
何処へでも、飛べる翼を持っていたとしても
足元がしっかりしていないと
自由に飛び立つ事は出来ない。
どれだけ、
あなたは自由で、自分の人生なんだからと
自分の為に生きなさいと
言われる度に、わたしは、
その言葉に不自由さを覚えてしまう。
この世界の何処かに
自由で生きていける場所があるのだろうか。
誰しもが、自由のようで
制限のある人生を送っている。
好きな事を一生続けていくのにも、
一生好きな事を探さなければならない。
それは、幸福のようで
本当は苦しいもののように思える。
自由に生きるとはなんだろう。
それは、たぶん
生きて居る意味を探すのと同じで
途方も無いものだ。
鳥が、飛ぶ意味
魚が、泳ぐ意味
地上の生命が、歩く意味を探す位
自由に生きる事を探すのは
意味が無いもののように思う。
わたしは、自由に生きていられなくたって
決して不幸では無い。
だって、
今日も明日も、大切な人が
笑ってくれているのなら、
わたしも、笑って居られるだから。
蝋で出来た翼など、飛べるはずがないのだ
賢明虚しく、翼は溶け、地に落ちる
これはこれは、■■の罪だ 俺は、またも失敗したのだ だが、今度は終われない。終われる筈がない! 何故ならば、それこそが俺に与えられた贖罪だから。
もう一度だ。もう一度繰り返せば、きっと……
再度繰り返す。翼を溶かす。落下する。繰り返す。落下する。繰り返す────
「ヒクイドリ、ペンギン、ダチョウ。『飛べない鳥類』は結構多いんだわ」
ニワトリも、「『あんまり』飛べない翼」の持ち主だったな。某所在住物書きは去年の投稿分を確認しながら、ずるずる、ちゅるり。
某チキンのラーメンなど、すすっていた。
個人的に卵は入れぬ。そのまま食いたい。
「クマバチは、『本来なら』、飛べないんだっけ」
でもアレは、翼じゃなく羽だもんな。と物書き。
クマバチは理論上飛べない、という話を聞いた――飛べない翼で、気合で飛んでいるらしい。
――――――
職場の同僚から、ススキまんじゅうってのを貰った。おまんじゅうの上に、白ごまのラインで3本線、ススキが描かれたおまんじゅうだ。
なかなか美味しかったんで、ちょっと貰って、長い仕事上の付き合いの先輩におすそ分け。
今年の2月まで一緒に本店で仕事してたけど、諸事情で、私は支店へ。先輩は本店の別の部屋へ。
ところでその先輩とは、
生活費および食費ならびに料理から生じる水道光熱費の節約を目的として
時折食材だの調理費だの持ち寄ってシェアランチ・シェアディナーなどしておるのですが。
私、値引き品獲得の戦場的時刻に、半額の手羽元と手羽先をゲットする大偉業を成し遂げまして。
早速、先輩のアパートへ、戦利品とススキまんじゅうを届けに向かうのです。
飛べない翼になってしまった鶏さんの、飛べない翼になってしまった手羽元と手羽先を、
ありがたく、美味しく、頂くのです。
「ご要望通り、材料は整えておいた」
私の注文を事前にチャットで聞いてた先輩は、コンソメの粉スープとクラッシュタイプのオートミールと、それから少しの野菜を揃えてくれてた。
「鶏肉を使った、オートミール入りのオニオンコンソメ。随分とピンポイントなオーダーだな?」
部屋には先輩の他に、「エキノコックス・狂犬病対策済」の木札を首からかけた子狐が居て、
先輩の髪の毛でかじかじ、遊んでた。
アパートの近所、稲荷神社の子狐だ。
ロックやセキュリティーはちゃんと整った部屋なのに、何故かそのロックもセキュリティーもスルーして、部屋に入ってくるらしい。
こやーん(コンコンかわいいです)
「去年の今日、そういえば食べたなって」
「『去年の今日』?」
「オニオンとレタスと、鶏と、オートミール入りのコンソメスープ。去年の今日。」
「はぁ」
「それ食べながら、先輩の『名字』と『名前』と、『加元さんとの最終決戦』のハナシをした」
「そうだったか?忘れてしまった」
結構重要な記念日、イベントでしょ。
あの日の手羽元、忘れたとは言わせないけど。
そう思いながら買い物バッグのチャックを開けて、手羽元と手羽先のパックと、それから同僚から分けてもらったススキまんじゅうを出す。
「『また会いましょう』発言から、1年だね」
しんみり。私がひとつ、ため息をついて先輩に、
手羽先のパックを手渡そうとしたら、
突然先輩の髪をかじかじしてた子狐ちゃんがせわしなくなって、鼻を忙しく動かし始めて、
その鼻が手羽先パックに付いた瞬間、
ばくっ!!
と手羽先パックに噛みつき、引ったくり、
バチクソにぶんぶん尻尾を回して遠くにダッシュ。
メッチャくぅくぅきゃうきゃう鳴きながら、
私達から離れたところで、ひとり手羽先(未調理)パーティーを始めてしまった。
「あっ、こら、コンちゃん」
ぎゃぎゃっ、ぎゃん!ぎゃん!!
お肉を取られて牙を立てられたのは、仕方無い。
でもせめて熱は一度通した方が良いと思って、子狐ちゃんからパックを取り上げようとしたら、
私がご馳走を横取りするとでも思ってるらしく、子狐ちゃんは私を威嚇して、後ろ向いて、がぶり。
バチクソ美味しそうに、手羽先に噛みついた。
「コンちゃん。鶏肉は、一度熱通した方が良いよ」
ぎゃぎゃっ、ぎゃぎゃっ!!ぎゃん!!
「ほら、数分焼いてもらって、冷ますだけだから」
ぎゃぁっ!!ぎゃぁっ!!ぎゃうぅっ!!
「コンちゃーん……」
がぶがぶ、かじかじ、くぅくぅ。
「仕方無い。手羽元だけで作ろう」
ああなってしまっては、もう放っておくしかない。
先輩は小さく首を振って、子狐ちゃんの注意が手羽先に向いてる間に、食材を全部キッチンの調理台に避難させて料理を始めた。
「元々のオーダーは、手羽元と野菜とオートミールのオニオンコンソメなんだろう。丁度良いさ」
ことこと、コトコト。小さな鍋の中でお湯が沸く。
手羽元が鍋に入れられて、段々色が変わっていく。
子狐ちゃんは必死に手羽先の、太い骨を噛み砕こうとかじかじしてたけど、
まだそれを砕けるだけの力が無いらしくて、最終的にアゴが疲れちゃったみたいで、
どちゃくそ悲しそうな声して、お耳ペタリで、手羽先のパックを引きずって先輩の足元へ。
食べれない翼を食べれるようにして欲しいんだろう。こやーん(しゃーない)
飛べない翼…
パッと浮かんだのはペンギン
パタパタと歩いている姿
人間でいうと肩甲骨が
翼みたいなところ?
飛べなくでも無いと困る
✴️208✴️飛べない翼
飛べない翼
「翼があるなら大抵飛べる」…と、少し前の私なら考えた。封じられる翼があり、封じる者がある事実は衝撃だった。他者が勝手極まる理由で生得の「当たり前」な力を抹殺するのは侵害だ。「侵害するな」とは「殺すな」と同義である。
しかし現実のなかでは、いろいろなレベルで侵害が横行しているようだ。まだ子どもな年齢域の「いじめ」の内容は犯罪行為が溢れて、ろくでもない大人が「こどものいじめ」を隠れ蓑にして悪事を為す。そういったケースが初めて露顕した頃は強い怒りが湧いたが、あまりにも広く各地で蔓延しているのを見ると怒りも腐れてゆく。
「度し難い」とはこのことかとも思う一方、事象顕現の「根」を見る必要も考える。
生来の能力を封殺すること、集団で侵害して得ようとしていること、得ようとする「必要」の理由は何か、皆何を「神」にしているのか、ほんとうはなにをねがっているのか。
自分の翼が、飛べるフリをしている飛べない翼であることに苛つくこどもなこころの群れが、ほかの翼をもぎ取りにかかる。
私はババアだ
ババアはかんがえる
今は飛べない翼が、力いっぱい飛び立つ翼になるには、どうすりゃいいのかを。
「逃げないもんですね、存外」
天窓が一つ設けられた部屋で少女が蹲っている。歩けない様に板状の足枷がつけられている。
背に生えた翼が”それ”が普通では無いと物語っていた。
「あんな立派なもんつけといて、窓から逃げようと思わないもんですかね」
そう不思議がる監視員に、画面越しに問診していた男は答えた。
「いいや。アレは…”アルバトロス”と同じさ」
「アルバトロス?…ってなんですか?」
問診票にチェックを入れながら彼は質問に答えた。
「アホウドリのことだ」
「ぷっ……あはは!ドクター天馬、結構毒舌ですね!まぁアホウってのも頷けますね。逃げ道があるってのに、ぼんやり空を眺めて終わりだなんて」
その言葉を聞きながら、天馬は苦い顔をした。
—馬鹿者め、そういう意味じゃない。
アルバトロスは滑走して助走を付けなければ飛び立てない。彼女も同じだ。だから走れないよう枷をつけているのだ。
我々”人”がそうしているのだ。だから彼女は諦めている。
(もし、私が創造主ならば、翼だけで飛び立てるように設計しただろう)
ともすればこんな人型にすらしなかっただろう。神は何を血迷って、人の背に翼を生やそうと思ったのか。
「……哀れだ」
そう呟き天馬は問診を終え、その場を後にした。
人の姿をしていなければ、親しみから興味を持たれ閉じ込められることも無かったろうに。人が”アホウ”でなければ、こんな研究対象にすらならなかっただろうに。
廊下の天窓から降り注ぐ光を避けながら、天馬は臍を噛んだ。
≪飛べない翼≫
ずっと
空を見上げるしかなかった。
誰かが飛んでいくのを
見送るしかできない。
みんな私をおいて行ってしまう。
でも
羨ましいと思ったことはない。
だって私の翼は
飛べないけれど
みんなに綺麗だって言ってもらえるから。
翼を広げて踊ると
みんな私の周りに集まってきてくれる。
だからさみしくないの。
飛べないことを
バカにされることもあるけど
私が翼を広げると
逆に羨ましそうな目で見てくる。
だから
私は飛べなくても
今の私に満足してる。
私の翼は唯一無二
“飛べない翼も珍しいでしょ”
って
みんなに自慢しているの。
私は
誰にもないものを持っている。
それを悲観したりしない。
みんなと違うことは悪いことじゃない。
せっかく特別なものを持っているなら
悲観するのはもったいないもの。
#飛べない翼
:飛べない翼
多分、そんなこと、どうでもいいんだと思う。
飛べようが飛べまいが、翼があろうがなかろうが。
あ、そうだわ きっとそうよ
夢に生きなきゃ。幻、夢見て、現実ほどほど。
あたしは、あたし。夢を見てる。好きだから。
貴方からすれば、何が本当で何が嘘かなんて
見分けられない 分かってる その上で好きよ
全部、幻だから、全部、わたし
飛べない翼もアイデンティティ 僕の屍踏み越えて
痛くてグロくて恥ずかしく可愛くなれる
普通みたい、夢みたい。
飛べないなら這いつくばって 可愛いあなた
飛べない翼
愛へ羽ばたく私の翼はもう折れている
愛への期待なんてない
無限の愛はない
幼少期の頃から折れていた
愛されたいと私の心は泣いている
いつまでも泣いている
可哀想に
私の翼は折れていて
もう飛べない翼になっていた
羽ばたきたかったろうに
可哀想に
愛されないなら
私が愛そう
私がわたしを愛すのだ
そうしていればまた私に代わって誰かがまたこの心を、この子を愛してくれるはず
それまでずっと愛していよう
また飛べる翼になるまで
カーテンの隙間
から朝日が部屋を
照らす
私はその光に
起こされて
目を細める
窓から
空を見上げれば
朝日が空を
真っ赤に染める
昨日の雨が
嘘の様に止んで
空いっぱい
真っ赤に
染まる
あの人に
裏切られて
悲しくて‐‐
悔しくて‐‐
昨夜は
思いっきり
泣いた
真っ赤に染まる
この空
あの人を
想う気持ちに
似てる
裏切った
あの人だけど
悔しいけど
あの人への気持ちは
変わらない
飛べない翼
輝きを放つ人間には羽がある
どんな人間も羽はある
その翼が、雀か、白鳥かは、わからない
その翼が怪我をしたら、
未来への絶望が襲う
私は今、飛べない
翼はあるのに、輝けないのだ
飛べない翼
有名なセリフで飛べない豚はただの豚だ、ってのがあるな。ジブリ映画で紅の豚だったか。見たことあると思うんだけどあんまり記憶に残ってない。
てか飛べない翼だったらまずはイカロスか。なんかろうで作った翼で飛んだけど太陽の熱で溶けて落ちて死んだんだっけか。間違ってるかも。
しかし昨日の夜からなんか喉に違和感がある。風邪引いたかも。今日は風邪を治すのに専念するからこれで終わりにしよう。
「ねえ、新しい靴買ってもいいかなあ」
彼女がこう言うとき、もう靴は買ってあって、俺はただ
「うん」
とだけ返せば良い。あとは
「今度デートで履いてきてね」
とか付け足しておけば完璧である。
「わかった!実は靴にあわせてワンピースも買ったんだよね、デート楽しみ」
上目遣いであざとく見つめられて、俺も悪い気はしなかったので
「そうだね、バイトがんばってね」
と言っておいた。ここは夜の街。
何もしたくないので翼すらないと思っていたが、翼がある。
大きく羽ばたければ、目標達成するだろう。
そしてその可能性が、私にはある。
その可能性は、眠気とスマホによって消えていく。
スマホはなんとかなるが、眠気はなんともならない。
いや、なんとかするのだ。しかし何をするにしてもやる気にならない。
こういう時は、少し心を和ませてあげるといい。
心から楽しめるコンテンツを再生して、気分を良くしよう。
やらなければ…という思考をそらすだけで、半分は成功している。
飛べない翼
当然のように使っているこの翼は、ただ滑空するだけの偽物だ。再び飛び上がることも、複雑な動きをすることもできない、飛べない翼。まるで俺みたいだ、なんて笑った日があった。昔は飛べたのだ。ここに来る前、揃いの蜂蜜色と2人で肩を並べていた頃。もう結構経っちゃったな、なんて、見上げた空は変わらずの澄んだ群青色で、それすらどこか白々しい。この話題になると、誰かしらが悲しそうな顔をする。相棒なんかその筆頭だ、その顔も可愛いのだけれど。
ぐっ、と。思いっきり伸びをした。いつからかの、気分転換のルーティン。気分が上がるかと言われれば否だが、多少暗い思考を外側に沈めておける。
いつだったか、とある神様が言っていた。兄弟というのは、血縁でも何でもなく、それ以外の何か不可思議なもので繋がっているものだと。双子であるのなら尚のこと、と優しく笑って付け足して、何事も無かったように世間話に戻っていった。
そうなのだろうか。信じていいのだろうか。もう会えないかもしれない、なんて、月の下でひとり涙に濡れた日も、諦めようと無理やりに笑った日も。そういう努力全部が、水の泡になってくれやしないだろうか。
今日も変わらず朝日は昇って、心地いい風に背を押されるまま歩き続ける。ひとりでなくてよかった、なんて隣を見れば、何も知らない非常食はわけも分からず笑うのだ。それにつられて笑うまでが、いつもの僕ら。
穏やかで平和な、無為の時を愛してしまった、薄弱な自身へ。止めない足が一種の諦めだとしても、それはきっと、あるべき虚無だと信じている。
テーマ飛べない翼
君は飛べない翼を
ジャンプ力に変えた
暗闇を見通せる瞳
鋭い爪鋭い牙
最強のハンター
ごろごろと鳴る喉
くりくりの瞳
ぷにぷにの肉球
もふもふの毛並み
最強の癒し
飛べない翼
隣のクラスのつばさちゃんは、空を飛べないらしい。
四年生になって始まった「高飛び」の授業で、それが発覚したんだって。そういう人も一定数いるっていうのは知っていたけど、そんな身近にいたとは思わなかった。
みんな、つばさちゃんをいじめるようなことはしなかった。飛べなくたって、つばさちゃんはつばさちゃんで、ただあまり遠いところへ出かけるのは避けるようになったって。
でもその優しさが、つばさちゃんを苦しめた。
ある日の授業で、つばさちゃんは誰よりも高くジャンプした。三階の教室の窓からも見えるくらい、高く高く。そしてそのまま頭から落ちて、動かなくなった。
中学生になって、高校に通って、大学生になった今でも、つばさちゃんのように飛べない人に会ったことはない。ひた隠しに隠しているだけかもしれない。
わたしみたいに。
飛べないつばさちゃんにわたしができたことは、きっと……。