『飛べない翼』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
夢を 見ていました。
空を恨めしく 眺めていました。
お前だけなんでと
空を飛ぶ仲間は 同じように首を傾げ
そうして 飛んで行きました。
役立たずの 飛べない翼。
自分すら嫌いになりそうだった。
けれど、ある日ふと思った。
これは飛ぶための 翼なのだろうかと。
見た目や形が同じだけで
何か 違う役割が あるんじゃないかと。
答えはまだ 分からないけれど
探してみたいと そう思えた。
【お題:飛べない翼】
泳げない翼
ペンギンは奇妙な眼差しを鳥達へ向ける
マジョリティの持つ否定性をそのまま返してみせる
進化の過程で機能性を失った器官はその名を変えなかった
それは器官の目的性が固定されていないことを示す
マイノリティはマジョリティの目的性を揺さぶる
機能性によって分けられた器官の目的性の再解釈
器官が規定される以前の身体 潜在性の現れである
器官なき身体が目的性を常に変更可能とする
飛べない翼は空よりも高い次元を指し示している
[飛べない翼]
パパ見て〜、バッサバッサ!
ビューーン
ブーーン
ねぁ、すごい?
うん、すごいよ!!
子供のつばさ、飛べない翼。
飛べない翼になった俺に、お前は何で一緒に居る?
「翼〜!!カツサンドセット買ってきた〜」
「カツサンドセットなんて頼んでねーよ」
「こっちのほうがお得だったんだよ〜!」
そういうと、涼(りょう)は向かい合わせにしている自分の席に腰を掛けた。
「は〜〜!!美味しそうさぁ、食べようっ」
『いただきます!!』
「う〜ん。美味しいね。カツサンドセット」
「……そうだな」
「うん!今日もサッカー部は昼練か〜。大会近いから大変だな〜」
「……そうだな」
俺は、元々サッカー部に所属していた。
高校も、スポーツ推薦で入学をした。中学生の頃、俺にライバルなんて居なかった。
どんな相手もドリブルで突破出来るし、ボールは自分の足に吸い付くみたいだった。
けれど、そんな俺は高校2年生の冬。
これに勝てば年末から始まる全国高校サッカー選手権に出られると言う時に、俺は感じていた足の違和感をおして出場したものの、試合の最後まで持たず、俺は倒れ結局試合は負けた。
医者の診断では俺の足は、もうサッカーの出来ない足になった。
絶望が無かったかと言われれば深く絶望もした。スポーツ推薦で入学したものの、怪我での退部という事で学校まで退学になる事は無かったものの、俺はふつうの生徒になったから授業料は払わなければならなくなった。
けれど、両親は俺に今までありがとうね。と言ってくれた。
「なぁ、涼……」
「うん?何?」
「何で涼は、俺に普通に接してくれる?」
涼はバレーボール部に所属していてもう引退をしている。けれど廻は何だか腫れ物に触るような感じに俺は感じた。特に同じサッカー部の部員には特に感じた。
けれど、涼は今までと変わらない。
ラフに
普通に
接してくれる。
「普通もなにもないよ。何で変わる必要あんの?俺は翼の友達だろ?」
「……そうだ」
「そうだよ。あっ!そうだ、今度さ、軽くで良いからフットサルの助っ人してくれない?少し位なら平気なんでしょ?父さんの入ってる草野球ならぬ、草サッカーなんだけど」
「………いいよ。少しだけなら、平気だから」
「ほんとっ!!やった〜。父さんのに伝えとく」
涼、ありがとう。
俺は恥ずかしくて言葉に出来ない言葉を心で何度も繰り返す。
恥ずかしがらず、涼に伝えなければ。
『ありがとう』って。
飛べない翼
人はいつの間にか
その背中にあることを忘れ
飛ぶことも忘れた
飛べない翼の使い方なんて知らない。
そこにあったって意味が無い。私と一緒。
飛べないのならばこの翼になんの意味がある。貴方はそう言って自らの羽をむしる。有翼者が陥りやすい自傷行為を前に、私は貴方の手首を縛る。花を散らされる乙女の如く泣きじゃくる貴方を前に、私は貴方の爪先に口付ける。有翼者には醜いと蔑まれるという、骨格のしっかりとした脚。だが、私は思うのだ。貴方の脚は地面を踏み締めるにふさわしい、とても美しい貴方の一部だと。貴方はまだ泣いている。こんなことを話す私を憎んでさえいるかと思う。それでも良い。私は貴方の、野に咲く花を慈しむ心を知っているから。いつか貴方が貴方を愛するようになった時、ともにただただ広い大地を歩こう。そうして、貴方の好きな花を見つけよう。
人には翼はない
地上から空を飛ぶ鳥が
自由にみえて 羨ましいと
話す人もいる
だが 渡り鳥たちには
空から人は大地で生きる定めを
羨ましいかも
知れない
私は何回も何を、簡単に
諦め 失い きたか
歩くことすら 上手くいかない
まだ 飛び立つには早い
飛べない雛かのように
また傷ついた 翼を羽をもつ
飛べなくなった 鳥 では
ないか
だが雛は成長し飛び立つ
傷ついた羽が癒えたら
鳥も飛び立つ
私は 地上に 諦めばかり
残してくのか
いや 違う 全てに諦めは
まだ まだ 早い
夕日を横ぎり 飛ぶ 鳥が
美しい
折れた羽根が癒えるなら
私の 痛みも 癒える
私は 諦めといった 答えに
逃げてはいないか 出来るを
やらないか やるか
それだけを シンプルに したら
いいさえ
人の 怠慢 自堕落さは
愚かだ だが つい愚かさを
選びさが ある
渡り鳥たちは 生きてくに
飛び続けてく定めに
見事な果敢さが 美しい
私は諦め癖さは 過去の痛みに
すり替えは もういらない
休み 休み 諦めばかり
怠慢に逃げてばかりなんて
心が 叫ぶ 過去の痛みの
せいにして 全てから 蓋をして
生きてくか
飛べない雛が成長をして
飛び立つように
私はもう 幼子から 成長してる
育んだ 私の心は叫ぶなら
大地を歩き続け 旅をしていかないと
傷ついた羽根には
そっと そっと 近くにいき
大丈夫と 優しくいたい
大地で
羽がない私は
空には飛べない だから大地を
1歩 1歩 未知数な
未来へ旅をしよう
育くんだ
私といった心がまだいきたい
蓋をしてながら 逆らい叫ぶから
未知数の未来へ 不安さが
ない
渡り鳥たちは生きてくため
遠く 遠く 飛ぶ
その 定めさと
私が背負う 定めは
自分を背負うだけ
未知数だから 弱さに
私は また 脅かされ
傷ついたり 知らずに他者を
傷つけたりか
だが,今は充分に
羽の傷を癒やし飛び立つ
鳥に 似てるかも
私の過去に少し疼きはするが
未知数 明日なり
空には羽がないからいけないまま
大地を這い回る 旅をするには
もういける
やる全てを生かし
いくしかない
脅かしされ生きて
無くすしかなかった
ものも
全ては取り戻すは仕方がない
だが 取り戻す可能なもの
を私はもう
いける
渡り鳥たちなか 傷つき
飛べない羽根をも 癒やしきれず
群から外れ 命尽きるも
私は人のなか
生きてく人として
旅を、したい
飛べない翼。
ある日を境に私の翼は飛べない翼となりました。
ですが、翼を失うことはできません。
私と翼は生まれた時からずっと一緒だったからです…
飛べなくても傍にいてくれるだけでいいのです。
なんでそんなに無口なの?
シャイなの?
感情ないの?
泣いてる所見たことない
よく、言われる
無口な訳では無い
言葉が詰まるだけ
話さなかったらシャイになるんだ
僕は
恥ずかしくて話さないんじゃない。
なんで
心の中が見えてるかのように
あたりまえかのように
感情あるのなんて聞くの
僕の気持ちは僕にしか分からないのに。
感情はあるけど
涙が出ないんだ
感動すれば泣いて
嬉しければ涙を流して
そんなに幸せなのに
気づいてないみたい
泣けない僕の気持ちなんて
考えたこと、
ないんだろうな。
なんで?どうして?って
ペンギンに
なんで飛べないの?って
聞いてるのと同じ。
飛べないから飛べないのに
それ以上の言葉なんてない。
なのに
どうして
なんで?って聞くの?
これが僕だから
これが僕なのに
なんでなんでって
そんな、
全否定してるかのように。
そんなの
難しくて答えられないよ。
【飛べない翼】
―人間は飛べない
―人間は翼がない
そういや、
エナジィドリンクのCMで
「翼を授ける」なんてフレーズあったな。
翼を授けると謳ったそのドリンクは
量産され模倣された。
今では焼酎と割られている始末。
薬と一緒に飲まれている始末。
「翼なんて授からなかったから」
「もっと勢いつけたいから」
これが人間の特性だ。
強欲傲慢と言うゴミ捨て場に
ネットをかけても
かけても
ネットを突き破り群がる烏合…否、人間の衆。
――そこまで翼が欲しいのか――
「不可解だよ、私にはさ」
カフェインから
市販薬から
処方薬から
ブルーライトから
色んな、余計な、
化学物質を、機械を、謳い文句を、
人間は信じて
小銭からお札まで支払う、支払う、支払う
心も支払う、支払う、支払う
―人間を購買して
―人間を頂戴する
馬鹿らしい。
「そりゃあ、鴉さんも、
アホー!って鳴くよね。あはは。」
漫画にも小説にも出来ない人間連載。
思考停止の脳内お花畑人間満載。
それを称える人間万歳。
宗教はこうして続く。
―「神様」でも「英雄」でもなくて、
「人間」が称えられる―
「ネット」というカラクリに味を占める。
どうやら、ソイツァ
ゴミ捨て場の「ネット」では無いものラシィ。
―目が痛い、ココロが痛い―
指先1本で見知らぬ相手に
「無罪」と言う罰を与え、
指先一本で「神様」及び「教祖」に
暴言を吐く。
―真面に喰らって愚か視野、裏目視野―
井の中の蛙さえ
大海は知らずとも
空の青さは誰よりも知ってるのに。
―あぁ、鴉は空を知ってる。
―そして、蛙は空に憧れる。
―そんな、鴉は大海さえ知ってる。
―だから、蛙は大海に憧れる。
――人間は全てを知りたがる――
「そんで、得意ガオするんだろ?」
―オシエテあげよう、トクベツに、ナイショだよ?―
お得意の秘密の御呪いを。
飛べる翼なんて
この身体一つ、
この心一つの持ちようなのサ。
ある群れからはぐれた少女が居たのサ。
奴はブランコに乗りたくて公園まで走ッタ。
喜びとも悲しみとも言えない
大切な感情だけ、抱いて、
私はあの時確かに走った。
「そうだったね、今想うと可笑しいよね、ふふっ」
その瞬間、羽が生えるんだよ。
嬉しそうに笑って飛ぶ奴を確かに見たんダ。
―信じるは八咫烏、信じないは十戒だっけ?―
とにかく、心で飛ぶんだ。
身体の細胞が弾けるんだってサァ。
―子どもの頃は羽が生えると信じてたかい?
―子ども達は羽がある事を知ってるかい?
―大人になると見えなくなるらしいナァ?
「不思議だね」
「マァ、ものはタメシようダ」
――いつかの女性が作った「幸福論」には、
(エナジィを燃やすだけなんです!) って書き記され、
アスファルトに寝転ぶ少女には羽があったな――
そう、その感覚を持って
家の部屋から、玄関から飛び出して!
高らかに飛んでみナ!
――本当の翼が欲しいなら――
「見ててヤルよ、お前の飛びカタを」
――墜落にご注意を――
「上手く飛べるといいね」
私は滑り台の上から
翼の授かり方を、御呪いを、
今、まさに、遂行しようとする、人間を見て微笑む。
「アイツはどうだろうナァ」
烏合の衆からはぐれた、鋭い目付きの、鴉さんと。
――願う、望む、祈る――
「……アぁ!」
鴉が鳴いた。
私も泣いた。
――塵芥――
↓↓↓message↓↓↓
※墜落したか、飛べた喜びかは、最後まで読んでくれた
貴方に委ねます。読んでくれて感謝。
どうか、どうか、貴方にとって、素晴らしい一日をを過ごして下さいませ。
ご自身の文章で、飛べ。
無用の長物を表す時や
にっちもさっちも
立ち行かなくなった時などに
『飛べない翼』と
比喩されるだろう
だから、
自然界にそんなものはない、
すべてが〝正常進化”
やっぱりコレも
人間が日常生活の営みの中で
希望が持てなくなった時などに
見つかるのだ
みんな
青い鳥を探してるはずなのに…
まー
飛べない翼
翼があるのに飛べないのは
身体が疲れているのだろう
翼があるのに飛ばないのは
身体を癒しているのだろう
青空はいつも貴方の上にあり
両手を広げ受け入れてくれる
明日は、上を向いて歩こう
木々の枝から枝ヘ跳躍する。慣れた抜け道ではあるが、今は大事なものを抱えているから殊更慎重に。
まったく、今日はハラハライライラしたよ。
私預かりの身分で行方不明になるなんて迷惑な話だ。
説教だよ!城へ帰り着くのなんて待っていられないね。
『どうして崖から落ちたりしたの。』
君を探すのに部下を動員した。皆、浮き足立って大騒ぎだ。
滑り落ちた跡を見つけた者の賞与には、色を付けなきゃいけなくなったよ。
不機嫌を隠す気の無い私の言葉に、腕の中の " 荷物 " は殊勝な顔を見せる。…が、どうも緊張感がない。私が睨めば大抵の人間は震え上がるのに、彼女はまるで怖がってくれない。
私でも……パンパンに腫れて変色した足首でもなく、飛ぶように過ぎる周りの景色に気を取られている。
『…聞いているのかい?』
一際高い枝の上で立ち止まって問いかける。私の苛立ちが漸く伝わったようだ。謝罪と、紅葉を一枝お土産にと思って、という言い訳を受け取り、この上無く大きな溜息が出る。
何で崖上の紅葉なんだ。お土産なんて良いからさっさと帰ってくれば良いものを!
それ以上弁解する気はないのか、気付けば黒い瞳が私を見つめていた。
綺羅綺羅して……否、なんなの。私はまだ怒っているんだよ。じとりと見返すが、彼女は気にもせず微笑みを浮かべて言った。大きな鳥のようだ、と。……この私のことを。
……嗚呼、もう!!!
呆れと心配と愛おしさで胸がむず痒くって、何て言ったものかわからないよ。君の元へ縫い留められて、最早この心は何処へも飛んでは行けない。
『もう外出は禁止だよ。』
さんざん弄んでくれたんだから、少しくらい意地悪されても文句は言えないよね。
【飛べない翼】
諦めることを知らない君は、また羽ばたこうとするのだろう。
天へと手を伸ばし、折れた翼を広げて。
君はもう飛べないのに、無数の鎖に雁字搦めで。
藻掻く度に翼が赤く傷ついていくのに。
それでも足掻く君に、何故だか心惹かれている。
テーマ「飛べない翼」
張りぼてで一見役に立たない
ように見えても
環境が変われば 視点を変えれば
そうでもないときもある
ペンギンだって
海の中では自由自在に
飛びまわってるでしょ?
適材適所で 生きていたいよね
◇とべない翼◇
あの大きな翼で悠々と空を飛ぶ鳥に、何度憧れたことか。
憧れるだけだ。僕は飛べないから。
『いつかああなるんだ!』っていう憧れじゃなくて『1回死にでもしたら飛びたいなあ』って感じの憧れ。
僕には一応小さな小さな翼があるけど、全然空も飛べないしただの飾りみたいになっている。赤子の手くらいの大きさだ。小さすぎるよ。
あの鳥みたいに、空を飛べたらどうしようか。
ずっと、ずっとそれを考えるだけ。
「いつか、飛べたらなぁ」
飛べない翼を背に呟いた。
『飛べない翼』
ここは、終わった人間の住む世界。
ここでは、稀少な「天使」と呼ばれる生き物の違法な売買が行われている。
その生き物は、白銀の輝く髪に透き通った白い肌、そしてその全身を包めるほどの大きな翼を持っているという。
俺はそんな神話に出てくるような生き物の存在を疑念に思いながら、今日も盗みを働く。
そんな日々にも慣れた頃、目の前に翡翠の目を持つ天使が現れた。
それは、日々の憤怒や憂鬱を全て呑み込むような、そんな、
そんな生き物だった。
「…っ、」
そいつの肩は酷く震えていた。目はまるで憎悪に取り憑かれてしまったかのように鋭かった。
俺は歓喜した。
これで数年は遊んで暮らせる、早くこいつを捕えないと、こいつの翼を、こいつの瞳を。
思っていたよりも呆気なく、容易にそいつは捕まえられた。
そいつの目は、憎悪から諦観へと変わっていた。
そいつの背中についている大きな翼は、意味を成さないらしい。俺の期待が確信へと変わる。やっとこんな生活とおさらばできる。
俺は誰にも気付かれぬよう、家とも呼べぬ程の漏屋へと奴を引きずり込む。
まずは髪か。全てむしり取ったらどれほどの大金になるだろう。それとも肌か。生け捕りにして見世物にしよう。
いや、1番はあの翼だ。我々には無い、自由に世界を飛び回ることの出来るあの大きな翼だ。
大きなナイフを手に取り、そいつの肩へ振り下ろす。
耳を劈くような金切り声が辺り一面へ響き渡る。俺の耳からは血が流れ、ナイフは俺の頬を切り裂いて壁に突き刺さっていた。
よく見るとそいつの肩もナイフで切れて血が流れていた。血は、赤色だった。真っ白な肌に赤色の血が流れている。見とれるほどに美しかった。その血も、その涙も。
心地よい無音の中に、ひとつの喧騒が入り込む。野蛮な、人の善し悪しも分からぬような人間の影。
俺は自分の持っている限り1番清潔な布で奴の怪我を縛り、強引に手を取って奴らを撒いた。
天使は、再び憎悪の目で俺を睨んだ。俺は笑った。
「俺を憎むか?弱いお前が悪いんだ。」
奴は何やら呟いているようだったが、俺には聞こえない。
「そんなに憎いならその鋭い爪で俺の喉を掻っ切ればいい。そしてその大きな翼で世界のどこへでも逃げればいいさ」
酷く尖った爪が俺の眼球の目の前で勢いを止める。
「まぁ、それは出来ないみたいだけど」
俺は奴のことを皮肉りながら、自分の声が聞こえないことを再確認する。しかし奴が感情的になっている様子を見て、それは事実であり、声をなくしたわけではないことに安堵する。
俺はこれからのことを考えながら、深いため息をついた。
【飛べない翼】
飛べない翼に意味なんてない
自由になりたい
なんどそう思ったことか
だけどそれを望まない人たちが私を掴んで離さない
まるで鳥籠の中にいるみたい
ねぇどうして翼なんて私に希望を与えるような名前をつけたの?
「俺、飛べねぇの。」
「は?」
「飛んだことねぇんだわ。」
「え、じゃあその背中の羽は……」
「俺にとっては飾り。邪魔なだけだよ。」
「……取れないの?」
「着脱可能であって堪るか。」
「まぁ……そう、だよね……。」
「……がっかりしたろ?」
「えっ、いや……」
「いいよ、別に。慣れてるし。今更泣いたり喚いたりしねぇから。」
そう言って彼は真っ直ぐこちらを見つめてきた。青く透き通った瞳が白い肌の奥で揺れている。
「……びっ、くりはしたけど……俺は人間だからさ、天使ってだけで凄いって言うか……飛べないからなんなんだよ、って言うか。」
「ふっ、ふははっ!あははははっ!……あー、関係ねぇか、人間には。」
「うん。関係ないよ。」
「そっか。……そっか。」
「気にしてる?」
「え?」
「飛べないこと。」
「まぁ、それなりに。」
天使は嘘がつけない生き物だ。