飛べない翼になった俺に、お前は何で一緒に居る?
「翼〜!!カツサンドセット買ってきた〜」
「カツサンドセットなんて頼んでねーよ」
「こっちのほうがお得だったんだよ〜!」
そういうと、涼(りょう)は向かい合わせにしている自分の席に腰を掛けた。
「は〜〜!!美味しそうさぁ、食べようっ」
『いただきます!!』
「う〜ん。美味しいね。カツサンドセット」
「……そうだな」
「うん!今日もサッカー部は昼練か〜。大会近いから大変だな〜」
「……そうだな」
俺は、元々サッカー部に所属していた。
高校も、スポーツ推薦で入学をした。中学生の頃、俺にライバルなんて居なかった。
どんな相手もドリブルで突破出来るし、ボールは自分の足に吸い付くみたいだった。
けれど、そんな俺は高校2年生の冬。
これに勝てば年末から始まる全国高校サッカー選手権に出られると言う時に、俺は感じていた足の違和感をおして出場したものの、試合の最後まで持たず、俺は倒れ結局試合は負けた。
医者の診断では俺の足は、もうサッカーの出来ない足になった。
絶望が無かったかと言われれば深く絶望もした。スポーツ推薦で入学したものの、怪我での退部という事で学校まで退学になる事は無かったものの、俺はふつうの生徒になったから授業料は払わなければならなくなった。
けれど、両親は俺に今までありがとうね。と言ってくれた。
「なぁ、涼……」
「うん?何?」
「何で涼は、俺に普通に接してくれる?」
涼はバレーボール部に所属していてもう引退をしている。けれど廻は何だか腫れ物に触るような感じに俺は感じた。特に同じサッカー部の部員には特に感じた。
けれど、涼は今までと変わらない。
ラフに
普通に
接してくれる。
「普通もなにもないよ。何で変わる必要あんの?俺は翼の友達だろ?」
「……そうだ」
「そうだよ。あっ!そうだ、今度さ、軽くで良いからフットサルの助っ人してくれない?少し位なら平気なんでしょ?父さんの入ってる草野球ならぬ、草サッカーなんだけど」
「………いいよ。少しだけなら、平気だから」
「ほんとっ!!やった〜。父さんのに伝えとく」
涼、ありがとう。
俺は恥ずかしくて言葉に出来ない言葉を心で何度も繰り返す。
恥ずかしがらず、涼に伝えなければ。
『ありがとう』って。
11/11/2023, 11:13:14 PM