よあけ。

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お題:飛べない翼

地に足をつけて歩いてほしい。僕と同じように。

君は優しくて、誰にだって親切で、純粋で。
幸せを運ぶ青い鳥に相応しいほど、君は。
僕にも声をかけた。だって、君は青い鳥だから。

君の翼の手入れをした。
お湯は駄目で、水をたんと与えた。
力いっぱい擦らず、優しくなでた。

君は大いに喜んで僕を慕ってくれた。
手を差し伸べると君は破顔して僕の手を取った。
幸せの青い鳥 空高く舞う 君

奇麗だった。とても。だからもいだ。
丁寧に丁寧にお世話をして、美しい翼を授け、飛べない翼にするまでも、すべて僕がしたかった。

どんな顔も見てみたかった。
その顔が見てみたかった。
そんな顔をしないで。

僕と同じになってほしかった。
君は笑った。
いつもと同じように。

もげた翼を踏んづけて僕に手を伸ばした。
僕は取り損ねて君は思い切りこけた。
それでも君は笑った。手を伸ばして。

「これで、あなたと、同じになれます」
足で翼を踏んづけて、手を伸ばして。
僕と 同じように。

11/11/2023, 5:17:15 PM