塵芥 椎歌

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【飛べない翼】



―人間は飛べない
―人間は翼がない


そういや、
エナジィドリンクのCMで
「翼を授ける」なんてフレーズあったな。

翼を授けると謳ったそのドリンクは
量産され模倣された。

今では焼酎と割られている始末。
薬と一緒に飲まれている始末。


「翼なんて授からなかったから」
「もっと勢いつけたいから」


これが人間の特性だ。


強欲傲慢と言うゴミ捨て場に
ネットをかけても
かけても
ネットを突き破り群がる烏合…否、人間の衆。


――そこまで翼が欲しいのか――


「不可解だよ、私にはさ」


カフェインから
市販薬から
処方薬から
ブルーライトから
色んな、余計な、
化学物質を、機械を、謳い文句を、
人間は信じて
小銭からお札まで支払う、支払う、支払う
心も支払う、支払う、支払う

―人間を購買して
―人間を頂戴する

馬鹿らしい。


「そりゃあ、鴉さんも、
アホー!って鳴くよね。あはは。」


漫画にも小説にも出来ない人間連載。
思考停止の脳内お花畑人間満載。
それを称える人間万歳。


宗教はこうして続く。


―「神様」でも「英雄」でもなくて、
「人間」が称えられる―


「ネット」というカラクリに味を占める。

どうやら、ソイツァ
ゴミ捨て場の「ネット」では無いものラシィ。


―目が痛い、ココロが痛い―


指先1本で見知らぬ相手に
「無罪」と言う罰を与え、
指先一本で「神様」及び「教祖」に
暴言を吐く。


―真面に喰らって愚か視野、裏目視野―


井の中の蛙さえ
大海は知らずとも
空の青さは誰よりも知ってるのに。


―あぁ、鴉は空を知ってる。
―そして、蛙は空に憧れる。
―そんな、鴉は大海さえ知ってる。
―だから、蛙は大海に憧れる。


――人間は全てを知りたがる――


「そんで、得意ガオするんだろ?」


―オシエテあげよう、トクベツに、ナイショだよ?―


お得意の秘密の御呪いを。


飛べる翼なんて
この身体一つ、
この心一つの持ちようなのサ。
ある群れからはぐれた少女が居たのサ。
奴はブランコに乗りたくて公園まで走ッタ。


喜びとも悲しみとも言えない
大切な感情だけ、抱いて、
私はあの時確かに走った。


「そうだったね、今想うと可笑しいよね、ふふっ」


その瞬間、羽が生えるんだよ。
嬉しそうに笑って飛ぶ奴を確かに見たんダ。


―信じるは八咫烏、信じないは十戒だっけ?―


とにかく、心で飛ぶんだ。
身体の細胞が弾けるんだってサァ。


―子どもの頃は羽が生えると信じてたかい?
―子ども達は羽がある事を知ってるかい?
―大人になると見えなくなるらしいナァ?


「不思議だね」

「マァ、ものはタメシようダ」


――いつかの女性が作った「幸福論」には、
(エナジィを燃やすだけなんです!) って書き記され、
アスファルトに寝転ぶ少女には羽があったな――


そう、その感覚を持って
家の部屋から、玄関から飛び出して!
高らかに飛んでみナ!



――本当の翼が欲しいなら――



「見ててヤルよ、お前の飛びカタを」


――墜落にご注意を――


「上手く飛べるといいね」


私は滑り台の上から
翼の授かり方を、御呪いを、
今、まさに、遂行しようとする、人間を見て微笑む。


「アイツはどうだろうナァ」


烏合の衆からはぐれた、鋭い目付きの、鴉さんと。


――願う、望む、祈る――



「……アぁ!」



鴉が鳴いた。

私も泣いた。







――塵芥――


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※墜落したか、飛べた喜びかは、最後まで読んでくれた
貴方に委ねます。読んでくれて感謝。
どうか、どうか、貴方にとって、素晴らしい一日をを過ごして下さいませ。
ご自身の文章で、飛べ。

11/11/2023, 9:17:57 PM