『風邪』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
熱が出る。ちょっと嬉しい。
大人になると、一人で立たなくてはならないから。頑張ることが当たり前で、その上で成果を出さないと誰も認めてくれない。褒めてなんて、当然くれない。優しく頭を撫でて微笑んでくれる。そうして容易く得られた体温が、まるで幻のように遠くなる。
だからだろう。この特権が、たまらなく嬉しいのだ。
眠りから覚めた顔を、心配そうに覗き込む。そうして額に差し伸べられる手のひら。いつもより優しく、気遣うような愛情。
あの頃は得られた、けれど今はもう、遠ざかってしまったすべてが、今だけは全部わたしのもの。
不安そうな顔をするあなたに、こんなこと言ったら呆れられてしまいそう。だから、この思いは内緒。
明日になったら、きっと全てが元通り。それまでは、あたたかな愛に甘えていよう。
【風邪】
風邪
ふと目覚めて、
窓の外
風が吹きづさび
また瞼が落ちる
気がつくとさまざまな場所にいて、
さまざまな人と話をしている。
時には悲しい時も、幸せな時も、苦しい時もある
驚きに飛び起きる
寝汗でじっとりと濡れている背中に
ほっと息を吐く
息をするのすら辛くて、
けれど今しがた見たものが幻想でよかったと思える
しかし時にはなぜ目が覚めてしまったのかと、
頬を膨らませる。
風邪
あなたに思いを馳せるだけで
体は熱く苦しく、不安で胸が締め付けられる
夜は眠れず食事も喉を通らない
これはただの風邪?
いいえ
これはきっとあなたに患わされた恋の病
そして特効薬の処方できるのもまた
きっとあなただけ
ここ10年以上ひどい風邪をひいていない。
風邪の一歩手前の未病の時に薬を飲んだり、早く寝たりするようにしてからどうにか防げている。
ありがたいことだと思いつつ、今年から来年もこの記録を更新していきたい。
テーマ:風邪
風邪なんてもう何年も引いていなかったのに。
どれだけあの環境が健康に気を遣ってくれていたのかが今になってよくわかる。
別に風邪を引いて熱が出て寝込むほどひどい訳ではない。
でも、それでも。少しは心細くなる。
あれほど鬱陶しいと思っていたたくさんの人たちも。あんなにも逃げ出したかった空間も。何もかもが大切だったんだ。
少しだけ
少しだけ
感傷に触れる
そばで握るあなたの手
少し冷たくて心地いい
もう少し
もう少し
こうしていたい
微睡みながら夢をみる
夢の中だけは特別
あなたのそばにいさせて
あなたの熱に浮かされて
耳たぶに泡が乗るんだよね
父ちゃんは米も乗せれるぞ
あなたは歌が上手いんだね。
お父さんに似たんだね。
私、喉が弱いんだよね。
父ちゃんに似たんだな。
#風邪
同居人が風邪を引いた。
昨日から付きっきりで看ているけど一向に熱が下がらず、空咳も収まらない。
「だからさっさと髪を乾かせと言ったんだ」
「う、ごめんなさい……けほっ」
「……はあ。まあいいけど」
昼からお医者さんに診てもらおうかと言えば、明らかにゲェという顔をする同居人。まったく、いくつになってもこの医者嫌いは治らないらしい。
「とりあえずお粥作ったけど、食欲はおありで?」
「ある! ちょーお腹空いた!」
「はいはい。じゃあ鍋持ってくるから、この手、離してくれない?」
さっきから服の裾を握られていたのだが、動きづらくてちょっと邪魔、なんていうと泣き出しかねないので優しく言う。……優しいはずだ。
その考慮が効いたのか、若干渋りながらもおとなしく手を離してくれたので、お粥の入った小鍋を取りにキッチンへ。それを、水を入れたコップと共にお盆にのせてから部屋に戻る。
同居人は私を見るなり、目をキラキラさせてお盆に手を伸ばした。そんなにお腹が空いていたんだなあ。
ベッド横に置いていた椅子に腰掛けて、小鍋の蓋をとる。途端、湯気と出汁の香りが立ち上った。
「はい、どうぞ。無理せず吐かない程度に食べるんだぞ~」
「はーい! いっただっきまーす!」
同居人は、さっきまでの咳が嘘のようにパクパクとスプーンを進める。
うーん、やはりこいつは実に美味しそうに食べる。作りがいがあるというものだ。
その晩のリビングには、医者に処方されたほんのすこしのスパイスを必死に飲み下し、この世の終わりのような表情で口元を押さえる同居人の姿に、ぼくはすっかり笑い転げてしまった。
▶風邪 #47
みんな、暖かくして寝て下さい。
こんなお題のもとに、体調不良の子どもたちが集ってしまうからには。
年の瀬って、正邪問わずの通り者が多いしさ。
【風邪】
ピピピ、39度。嫌な予感はしていたけれど、実際その数字を見ると歩く気力もおきなくなる。
朝から体が妙に重いものだから、試しに熱を測ったらこれだ。会社に行かなくていいのと、しかし一日ベッドから起きれない憂鬱さとで、ふう、と溜め息ひとつ。すぐに喉に痛みが走り、咳が出る。
まずい。これは本格的にまずいタイプの風邪だ。
「大人しく寝るかあ……」
横になって天井を見るけれど、真っ白いばかりでなんの面白みもない。
昔は、両親がそれはもう甲斐甲斐しく面倒をみてくれた。やれお粥だ、やれ氷枕だ、風邪にはネギが良い、いや温かくしないと……など、病人の周りでてんやわんやする。あの騒がしさが、今となっては心地よかったのだと分かる。
静かな部屋は、寂しい。
「ひとりでなんでもできるって、思ってたんだけどなぁ」
意外とそうではなかったらしい。お腹が空いているのに、動きたくない。このままでは餓死してしまう。
ごろん、と寝返りを打ってキッチンを見るけれど、そこに手は届かない。誰か薬と食事と水を。
「おかあさん……」
ピコッ、と短く通知音が鳴った。サイドテーブルのスマホの画面が明るくなっている。ぐ、と手を伸ばして取ると、通知欄にお母さんからのメッセージ。
『元気? 風邪とか引いてない?』
「ふっ……ふふ、タイミング……」
お母さんは全てお見通しらしい。
なんとか『ひいてる』と返信し、また天井を見る。
「母は偉大……だねえ」
両親の心配そうに覗きこむ顔を思い出し、私はまた笑った。
風邪って普通に辛いのに
食べ物の味もしないのが風邪治すのにもっともきついよな熱とか咳とか鼻水とかで辛いから美味しいの食べて紛らわしたいのに味しないは食べれないわで悲しいよねあれ
その日、嫌な夢で目が覚めたかと思うと、喉奥から込み上げてくる異物感に慌ててトイレに駆け込んだ。
一度喉を滑り落ちてしまうと、それはもう制御できず、自分の意思とは関係なく何度も何度もせり上がってくる。
びしゃびしゃと打ち付けられる水音に気分が悪くなり、更にえずいた。
もう何も出てこなくなっても、食道の辺りがひっきりなしに収縮を繰り返し、えずくたびにギリっと痛む。
…うっ、おぇ。
最後に小さくえずくと、吐き気が少し引いていった様な気がした。その隙に枯渇した酸素を求め浅く呼吸を繰り返し、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔をトイレットペーパーで拭う。
ハァ、ハァ…。
参ったな。変な物でも食べたのだろうか。
便器にしがみついていた手を緩め、視線を下に下ろしたまま右手で水洗レバーを引き、吐き出したそれらを流した。まだ少し吐き気の残る体で立ち上がると、視界がぐらっと歪む。
ガン、と後頭部を強打したかと思うとバランスの取れなくなった体はトイレの狭い空間で左右に何度か揺れながら床に沈んだ。
どれくらいそうしていただろうか。体の痛みと寒気、おまけにひどい頭痛。こんな体調が悪くなる事なんて小学生以来ではなかろうか。
ピピピ、ピピピ…
ドア越しに聞こえてくる微かなアラーム音にハッと我に返ると、這うようにベッドに戻り、もぞもぞと毛布にもぐっていく。
寒い。気持ち悪い。体全体が痛い。
ベッドサイドの引き出しを弄り体温計を引っ張り出すと、数秒後に表示されたのは"38.5"の文字。そりゃ具合悪い訳だ。
しばらく横になっていると少し気分が良くなった気がしたが、起き上がろうとするとズキッとした痛みが身体を刺した。
今日は休もう。連絡を入れなくては。そう思って携帯を手に取るが、画面を見ると先程の強烈な吐き気がぶり返してきて、だめだった。もう部屋を出なくてはいけない時刻だったが、寝返りすらままならず、ただただ体の不快感に耐えていた。
──────
「おーい、傑。寝てんの?時間過ぎてんぞ。」
そう言ってガチャリとドアを開けると、隙間から悟がひょこっと顔を出した。いつもなら、ノックしてから入るのが礼儀だろ、と正論をぶつけていたが、それすら出来ず、顔だけ悟の方に向けた。
「…入ってくるな。」
そう、強がって言うのが精一杯で言葉が続かない。
それ以上近付いたら確実にうつしてしまう。お願いだからそのまま戻ってくれ。
そんな傑の思いとは裏腹に悟は傑の部屋にズカズカと入ってくると、徐に携帯を耳に当てる。
「あ、硝子?うん、そう。傑部屋にいたわ。具合悪いっぽいから今日休むって夜蛾センに言っといて。」
端的に状況を伝えると、携帯をパタンと閉じてベッドに腰掛けた。
「何が欲しい?」
「なんか冷たいやつ…。」
「おけ。」
風邪の時は心が弱くなるのだ。先程まで強がっていた気持ちが、どこかに消えてしまったようだ。
悟が持ってきてくれた氷嚢を頭に当てるとひんやりとして気持ちがいい。
悟の存在に安堵し、少しだけ気分が良くなった気がする。
「…ありがとう。」
「いーえ、どういたしまして。」
そう言うと髪の毛をサラッと撫でる。
「こないだのこと忘れてないかんな。俺が風邪ひいてんのに襲いやがって。」
「あ…あれは…。」
「仕返し。」
そう言い、おでこに優しく口付ける。
「俺は最強だし優しいからな。今日はこれで許してやるよ。」
劣情に抗えず、欲を吐き出した自分とは比べ物にならない程、余裕がある。格の違いを見せつけられたような気がして、とてつもなく恥ずかしくなった。
「風邪治ったら、今度こそ仕返しすんかんな。覚えとけよ。」
悟は、アハっと笑いながら、乱れた毛布をかけ直して、頭をポンポンと叩く。
「本当君には敵わないよ…。」
傑もまた力なく笑い、安堵から訪れた眠気に身を任せ、静かに瞳を閉じた。
風 邪に 孕んだ悪意 放った 住宅街
僕らは 誤った かなり
ふりかえればあのあたり心あたり
近すぎる理由を ブラインド
暗黙に誓った やっとすれ違った
いつからか煮詰まった
熱い気持ちに風風
唇思い出した 邪にも
風邪
風邪ひく日は、大抵、楽しみにしていた日だ。
嫌いな用事があるから、休みたいのに、風邪ひかない。
この日すごく楽しみで、ウキウキしてたのに、風邪ひいてしまう。
そして、ずる賢い人は、気分が乗らない時に、
「ちょっと体調悪いから今日遊べんくなった」
って言ってくる。
体調悪いなら、風邪ひいてしまったならしょうがないかとなるけど。
私がされる側の場合は、されすぎて、遊びたくないだけなんやなと思うようになってしまった。
私は楽しみにしてたのにね。
相手も楽しみにしててくれたのか、遊びたくないと思われたのか、思われてるのか。知りようがない。
風邪かあ。
私は自生活のせいだが、風邪のときと同じ感じで、喉が痛かったり、体がだるかったり頭痛があったりする。しんどいと感じだ時に熱を測ると、大抵35〜36°と平熱でしかない。毎回そのような感じなので、大丈夫なんだと思うようにしている。本当はダメだろうけど。
まあ、今流行っているインフルは、小学生の頃にAとB両方かかったことがあるから、私は免疫力が高いのだと思う。
それでも、かかる人はかかるだろうし、何せ病気にならない人間は一人もいないことだろう。何かしらの病にかかることだろう。
そう、人類は不完全だ。
だからこそ、大きな病にはこの先特にかかりたくないものだ。
『風邪っぴきサンセット』
微熱の丘を越えたなら 休みなさいの合図なんだな
普段見ないテレビがいい感じ 節操なさがいい感じ
小説なんて読む気がおきない 風邪薬と手頃なジャンクフード まだ午前11時 私は浮かれて寝てしまう
スマホにLINE起きたらサンセット 何もしない自分を許す一日
#風邪
君の愛情で心が発熱
幸せの風邪、君にもあげる
咳が止まらなかった。
頭も口も喉も首も肺もお腹も背中も腕も痛かった。息を吸うのもままならず、数ミリ開けた窓のようにひゅうひゅう喉を鳴らした。気を抜けば、窒息死してしまいそうだった。部屋に響くのは乾いた轟音。数秒先も私は生きているか分からない。
咳に苦しんでいる理由のほとんどが病原菌のせいであることは分かりきっている。けれど、それを更に苦しくしているのは親の存在であることも分かりきっていた。
小学生の私にとって、親というのは女神様にも等しかった。いつでも私のそばにいてくれて、全てを肯定してくれて、全てを守ってくれる存在。必然と子供は、親にすがるようになる。
普段あまり病気にならない私にとって、風邪というのは大きな不安の種だった。ましてやこんな咳、死んでしまうかもしれない。
私は母の元へ行った。不安だったし、泣いてしまいたくなった。いつまでも安心していられる母のそばで呼吸を整えたかった。
しかし、母は怒った。
「私に移ったらどうするの。誰が家事をするの。近寄らないで」
それは妥当な怒りだった。誰もがそうするような、そういう怒りだった。
けれど、私にとってはそれは絶望に落とされたのと等しいことだった。母を頼りに生きていた私は、「近寄らないで」という言葉に酷く反応してしまったらしい。私は隔離された無機質な部屋の中で1人泣きながら咳をしていた。時間が経てば経つほど、咳は酷くなっていった。
数時間、生命を繋いだ時だった。インターホンがなった。時計を見ると午後の3時。ちょうど学校が終わった頃らしい。クラスメイトがプリントを届けに来てくれたようだ。
何やら玄関で、母とクラスメイトが話しているようだ。壁が薄いうちの家は、ほとんど全ての会話を聞き取ることが出来る。
「あの、良かったら一度会わせて貰えませんか?」
「でも貴方に移してしまったら申し訳ないわ」
「少しだけでいいので」
「でも……」
「お願いします 」
母はすぐに折れて、静かになった。恐らく、クラスメイトが私の部屋に向かっているのだろう。
彼の部屋のノックを、咳で応じた。
「大丈夫?」
私は咳を交えながら「ダメかもしれない」と伝えた。彼は私の背中にやんわり手を添えた。
「でも、こんなに近くにいたら君も風邪になっちゃうよ」涙目の私は言った。
「いいよ」ぼやけた顔の彼は言った。
「ダメだよ」私は言った。
「そしたら、二人で一緒に苦しもう」
彼は笑っていた、と思う。
10分ほどして、私の咳はだいぶ落ち着いてきた。彼がずっと背中をさすってくれたおかげで、母から貰い損ねた安心感を感じることが出来たのだろう。
ありがとう、と口にしたが、彼はもうそこにはいなかった。
部屋の中には、私しかいなかった。
窓から夕日が差している。
【風邪】
ぼーっとした頭で、カタカタとキーボードを鳴らす。
殆ど頭は動いてないというのに勝手に物語を紡いでいくこの手は、多分体が覚えてしまった行為だからなんだろう。
真っ白なモニターがどんどんと小さな文字達で埋まっていく。
癖で走っていく文字を目で追うが、打ち込んだ文字は直ぐにぼやけて、自分の頭では処理できなくなってしまっていた。
明度の高い後ろの白が、目の奥に染みて痛みをじんじんと伝えてくる。
あたまいた…、と本当に自分で思っているか不思議なほど離れたところで思考が行われていた。
少しずつ強くなっていく痛みを誤魔化そうと、隣に用意していたコーヒーを飲もうと手に取る。
するっと手からコップが抜け落ちそうになって、心臓が大きく動いた。
「あぶっ、!…こっわ」
何とか机にコーヒーがぶち撒けられる未来は回避できて、大きく胸を撫で下ろす。
机とキーボードが茶色に染まるところであった。
先程落としかけたコーヒーを口につけて周りを軽く見ると、この今書いている物語の為に買った資料やらが居座っていて、さっきはかなり危なかったと再確認をする。
資料が見れなくなってしまったら、物語が幼稚になってしまう。
「ちゃんと資料仕舞おう…」
分厚い資料を、すぐ隣にある本棚に仕舞った。
ほんの数手間なのに、面倒くさがってそこら辺に置いていたのだ。
こういうところが事故に繋がるのは分かっているが、まあ良いかなと思ってしまって何時もそのままにしてしまう。
次は出したらしっかり仕舞おう、と守られることのない軽い約束事を自分で決めた。この約束事を決めるのが何回目かはもう数えていない。
コーヒーと、心臓を跳ね上がらせたちょっとした出来事で冴えた目で、先程綴っていたモニターの文字を眺める。
…誤字がすごい。ここ最近で一番酷いかもしれない。
漢字ミスが連発していて、を、が、は、などがぐっちゃぐちゃになっている。
やっぱり、ぼんやりとした意識の中で物語は書かないほうが良いらしい。
これを直さないといけないからか、モニターの光が目を攻撃してきたからなのか、忘れていた頭痛が再び痛みだした。
ズキズキと強く痛む頭に、風邪を引いたかもしれないという考えに至る。
だが、残念ながら私の家に体温計は無い。買っておけばよかったな。
痛む頭を無視して、せめて誤字だけでも直そうとモニターに向き直ったが、頭痛が数割増しで痛くなるのを感じて直ぐに諦めた。
どうやっても頭は痛いままで、仕方ないので寝ようと思い寝室の方に向かう。
立ち上がった時に一瞬音と視界が飛んだ。
貧血みたいに体がふらふらとして、壁に手を付きながら歩いていく。
やばいぞ、思ったよりも重症だ。
一気に重くなった体を引きずりながら、辿り着いたベッドに入り込む。
「馬鹿は風邪引かないはずなのに…」
馬鹿なのに風邪を引いてしまったという事実にちょっと苛つく。
あ、でも風邪引いたってことは馬鹿じゃないってことなのか。
いや、馬鹿でも風邪は引くけど気付かないってことだから、気付く系の馬鹿なだけか、私は。
そんな謎の事を頭の中でぐるぐる考えて、考えている内にそれすらも良く分からなくなってしまった。
分からなくなって何も考えれずにいると、どんどんと瞼が下がってくる。
いつもは寝付きが悪いが、流石に体調が悪い時は眠くなるらしい。
別に抗うことでもないので、私は直ぐにぱちっと目を閉じた。
あ、締切近いけどどうしよう…。
まあ何とかなるか、と思う前に、私は意識を暗闇に飛ばした。
風邪
喉に異物が張り付く感覚で目が覚めた。
頭がはっきりとしていく事に感じ始める酷い悪寒、だる重く感じる腕と頭。喉の違和感は痛みに変わっていく。アタシは直さずにそのまま置いてあった体温計を手に取り、それを脇に挟んだ。
しばらくしてピピッと電子音が鳴り響く。
「あー……マズイな…これ。」
デジタル表示された温度を見て思わずため息を吐く。
39.8℃。
完璧に風邪だった。
最近は季節の変わり目や、忙しい日々が続いていたこともあり、ストレスや体が弱りきっていたのだろう。
今日が仕事休みで良かった。
そんな事を考えているうちにだんだん視界もぐるぐる回って気持ち悪くなってきた。
徐々に主張してくる喉と頭の痛みを無視するかのようにアタシは布団に潜り込んだ。
乱雑に投げられたスマホから心配しているメッセージがいくつか届いたのか通知音が鳴り響いていたが、それらを見返す気力はなかった。
頭も喉も関節も、何もかもが痛い。
薬を飲まないといけないのに、それを取りに行く力もない。息は熱を帯びているのに、体全体は寒さを感じて震えている。
眠らないといけないのに、眠れない。一人でいるのがとても心細くなった。
「あー…くそ………いい年してんのになっさけない………」
かすれた声で苛つきながらアタシはそう独り言を吐き漏らすしかなかった。
アイツらに会いたい……
ピンポーン…
そんな事を考えながら布団で丸まっているとインターホンが家中に鳴り響いた。
宅配便か、あるいはセールス、勧誘か。
どちらにせよ、今は出る気になれなかったが、何度もピンポーンと繰り返す鳴るインターホンに苛立ちを覚えながらフラフラとゆっくり身体を起こして玄関へと歩いていく。
ゆっくりと玄関の扉を開ける。そこにいたのは、アタシのカズ少ない女友達、「アキラ」だった。
元気のいい彼女の挨拶が聞こえてくる。いつもは元気をもらえるはずが、頭に響いて凄くうるさかった。
しかし、もしそうだったとしても、一人で心細い時にやってきてくれるのは凄く心強かった。
「やっと見つけたよ〜!ハクトウさん電話とかチャットとかしても全然出てくれないんだから………」
「あき………ら……」
アタシは気がつけば、ふらりと倒れてその場に座り込んでしまっていた。
振り絞って放った言葉もかすれていて凄くカッコ悪い。
アキラは慌てながらも恐る恐るアタシの体を支えると、心配そうにアタシを見つめていた。
こんな若造に心配されるのなんてカッコ悪いと思っていたが、プライドよりも、体のだるさ、辛さが勝ってしまう。アキラの心配そうな顔を最後に、アタシは意識を手放した。
次にアタシが目覚めたのは喉の痛みが徐々にはっきりとしたから、そして額にうっすらと冷たい感覚を感じたからだった。
冷たい感覚の正体を探ろうと額に手を置いてみると、感覚の正体は濡れたタオルだとすぐにわかった。
「あ、起きた起きた。ハクトウさんおはよ〜」
ふと声のする方を向く。そこには家を訪ねてきたアキラが目覚めたアタシを安心したような顔つきで見つめていた。
「いや〜びっくりしたよ〜…ハクトウさんってば急に倒れちゃってさ〜!支えた時に肩とか持ったんだけど……すっごいあっついのなんの!!」
アキラは身振り手振りで詳細を伝えた。アタシはしばらく話を聞いていたが、喉の痛みが主張してきて、思わず、げほっ…と咳をした。
「ハクトウさん喉痛い?まっててね!水持って来るよ!!」
咳をしていたことに気づくと、すぐさまアキラはコップを取り出し、水を注いだ。
……さすが何度もうちに遊びに来ているだけあって、冷蔵庫の中、コップの置き場所などはもう既に理解されていた。
「ハクトウさん、飲める?ゆっくりだからね!」
アキラはそういいながらアタシにそっとコップを渡す。………介護される年齢じゃねぇよ。
なんてひねくれた答えをアタシは彼女にぶつけた。アキラは内心ほっとしたような顔でおちゃらけていた。
風邪は嫌いだ。しんどいだけだし心細くなるし、自分の弱さが垣間見えて自分がさらに嫌いになる。
……でも、
「何かしんどいことあったらボクに言ってよ?今日はゆっくり休んでボクにたっぷり甘えることが今日のハクトウさんの仕事だからね〜!!」
……こんなに手厚く看病されて、温かい思いになるんだったら、たまには風邪でもいいかもしれない。
そんな事をふとアタシは考え、いやいや…と自分の考えを即座に否定する。
アキラがかけている布団の上にさらに布団を重ねてくれた。
…やっぱり、ほんのり心が暖かかった。
風邪といえば‥
私はクレヨンしんちゃんの「ぼーくん」を
思い出すなぁ‥。
あの、鼻水たらしてる感じが
小学生とか過ぎて、大きくなっても
あの子ってずっと鼻風邪なのかなぁ‥って
思うんだよねぇ。
まぁ、思い出す。とかいいつつ、
クレヨンしんちゃんは見たことないんだけどねぇ
私はずっと、幼い頃はドラえもん派でした(笑)
ドラえもんの道具だと私は「どこでもドア」が
現実に欲しい道具No.1だなぁ。
あんまり、動きたくないめんどくさがりとしては
一番欲しい‥(笑)
‥「風邪」ひかないようにしないとなぁ。
まだ、忙しい日々が待ってるからなぁ‥。