風に身をまかせ』の作文集

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風に身をまかせ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

5/15/2023, 3:56:26 AM

風に身をまかせ

「知ってる? 普通の風じゃ、僕らは飛べないんだよ」
 風に身を任せたら、どこまで飛べるだろう、と言おうとした言葉を飲み込む。
 でも、彼はそれすら気づいているかのように、朗らかに詠う。
「風も馬鹿じゃあない。あいつらが本気なんて、そう滅多には出さないさ」
 そこまで言われてしまえば、もう泣くしかない。
「なら、私はどうしたらいいの!? 私達はは飛べなきゃ、殺されるんだから…!」
 本当は彼なんかに、泣き言なんて言いたくなかった。でも、限界だったのだ、もう。
 
 これまで、沢山の「飛べなかった妖精」の末路を、震えながら見てきた。自分もあのようになってしまうなんて。
 「飛べた妖精」である彼には、こんな気持ちは解るまい。

「身をまかせるんじゃなくて、対話するんだ」

 そんなの、今までも沢山聞いた。でも、できない。
 自分の不甲斐なさに、もっと泣けてきてしまう。
「そうだなあ」
 と、なぜか彼に手をとられる。
 そして。

「──おいで」
 そして、ふたりは風の渦へと、身を投げだした。

 ヒュウゥゥと、耳に風の音が聞こえる。
 なんだ、これは。
「これが、風と共に翔ぶ、てことさ」

 身をまかせる。
 共に翔ぶ。

 なんてことだ。
 全く違うではないか。
 空が近い。海が遠い。
 これが、翔んでるということなら。

「凄い……!!」
 ──もっと、翔びたい。
 
 その時初めて、彼が笑った。
「やれそう?」
 そんなの。

「──翔びたい!」

 はてさて、彼女は「翔ぶ」ことを覚えるまでに、彼から何を得ることになったのか。
 それを知るのは、彼と風、そして空のみ。

5/15/2023, 3:54:42 AM

風に身をまかせていたらなんだか自分じゃない誰かになったみたいと聞くけど

実際風には生ぬるい風にイライラする。

 現実は全部そういうもん。

Jk視点で云うと前髪が崩れるからマジやめろやと言っていたかも知れなくもにかもしれない。



なんだこれ

5/15/2023, 3:43:23 AM

「風に身をまかせ」


偏西風に乗って、地球を一周したいな。
空から見る地球はどれだけ美しいだろう。

5/15/2023, 3:30:57 AM

そよ風に、田んぼの、草が、ゆらゆら、揺れている。カーテンが、いい感じに、切れたけれども、きっかけに、友達が、出来て、良かったです。

5/15/2023, 3:24:56 AM

#風に身を任せて


風に身を任せて
空に舞う
目的地は分からない
行き先は風まかせ
運任せ
たどり着いた場所がどんな場所でも
それが運命ならそれはそれで良し

5/15/2023, 3:22:33 AM

お題:風に身を任せ

風に身を
任せてみても
貴方には
気持ち届かず
途方に暮れる

5/15/2023, 2:59:24 AM

【風に身をまかせ】

「ええか、コウキ。風に身を任せていれば、人生何とかなる。それでええ」

それが親父の口ぐせだった。

「人生には何度も何度も風が吹く。追い風のときもあれば、向かい風のときもある。そよ風みたいに爽やかに吹くこともあれば、台風みたいに強く激しく吹くこともある。そのときそのときで風の強さや方向を見極めて、自分の身を任せれば無駄な力を使わず生きられる」

その方が、無理することなく楽に楽しく生きられるというのが親父の主張だった。おかげで俺は、10代の前半で受賞した文学賞という「風に身をまかせ」、『作家 カワノコウキ』として現在に至っている。

「それで、そのお父様は今もご健在なんですか?」

それまで、俺の話を黙って聞いていた編集者の柏木が問いかけた。

「ああ、90過ぎだけど今も介護施設で暮らしてるよ。まぁもっとも、長い人生で風に吹かれすぎたせいか記憶もふっ飛んじまったみたいで、会うたび俺に「はじめまして、ご苦労さんです」って挨拶してくれるんだ」

「…悲しいですね」

「いいや、全然。むしろこっちも「はじめまして、お父さん。今日はよろしくお願いしますね」ってニコニコ挨拶して、毎回違う介護スタッフのフリしてるんだ。そのたびに、自分が書いてきた小説のキャラクターを演じてるから、作家稼業もなかなか役に立ってるよ」

「途中で気づかれませんか?」

「気づいてないと思うけどな。ただ、別れ際にいっつもあの口ぐせを言うんだ。「風に身を任せていれば、人生何とかなる」ってね」

「意外と、全部ご承知の上だったりして」

「そうだったら面白いな。そもそも、この言葉のおかげで俺は作家になれたようなもんだし」

すると、柏木は何かに気づいて「あぁ、そうか…」と呟いた後、俺にこう言った。

「もし、その言葉がなければ私と河野君はただの同級生のままだっだってことですよね。今、河野君と私が作家と編集者という関係でいられるのはお父様のおかげですよ。ありがたいことですね」

身ぃ任せなきゃよかったかな…と、俺は自らの人生の選択を若干後悔しつつ、この口うるさい編集者がすぐ横にいるから俺は未だに作家でいられるのかもしれない、とも思った。

誠に不本意だが、今日も俺の周りは良い風が吹いているようだ。

5/15/2023, 2:31:21 AM

風に身を任せ。まず思い浮かべたのが北斗の拳。なんかいた気がする風みたいなキャラが。雲のジュウザだっけ。どうでもいいか。

 で北斗の拳といえばジャンプ。今日ジャンプの発売日だったし久々感想でも書くか。

 最近はアンデラよりワンピースだわ。なんかアンデラ失速した感あるのよね。まぁどんな漫画でも微妙な時期ってあるよな。

 なので最初に読んだのはワンピース。作中で起きていた大きな事件の真相が明かされるらしいのでわくわくするね。来週か再来週にはコブラ王の死の真相も明らかになるのかな。

 コブラにせよティーボーンにせよ最近のワンピースは気軽に人が死にますな。言うほど気軽ではないか。でもワンピースって人が死なない漫画の印象が強く長くあったからちょっと驚きだ。

 爆弾もって爆死したキャラが生きていたりしたからコブラやティーボーンも実は生きているのではという思いがちょっとだけあったりする。でもエース死んでるしいつからかは知らんけど人がきっちり死ぬ漫画になったんだろうな。

 次に読んだのは呪術。ついに来たすくなVS五条悟。この戦いのためにこの漫画はあったのではないか。そう思うほどこの二人は作者から贔屓されているのではないかと感じる。それほど別格の最強同士。

 この二人は主人公じゃないからどっちが勝つのか決着がどうつくのかわからない。正直わくわくですね。

 アンデラは今あんまり面白くない。今仲間にしようとしてるキャラに魅力がないな。あと展開がワンパでありきたりな感じがして正直冷めてる。

 まぁアンデラはまだ前ボスとかアイドルとか楽しみにしてるキャラや展開があるから期待はしてる。

 新連載とかは個人的には全滅。いまいち読みたいのがないな。結局読んでるのはこの三つしかない。ヒロアカ、あかね、坂本、あと題名忘れたけどスポーツ物のラブコメとか色々面白いだろう作品、売れている作品はあるんだけど読む気にならない。

 保守的というか新しい作品を読むのってエネルギー使うから苦手なんだよな。これって俺だけなのかな。

5/15/2023, 1:43:03 AM

休みの日は一歩も外に出たくないけれど
たまに散歩すると、それはそれで気持ちいい

春の匂い、初夏の匂いを感じたくて
誰もいない道でマスクをずらす

5/15/2023, 1:36:39 AM

「風に身をまかせ」

  ふらふらゆらゆらふわふわ

  何処へどこまで飛ばされる

  風よ連れて行ってくれないか

  私が咲けるその場所へ

5/15/2023, 1:16:07 AM

勇気を翼に込めて、この広い大空に飛び立とう……という気概はさらさらないままテキトーに先生の話を聞いて(るふりをして、)たりタイミングよく立ったり座ったりしてたら、なんかぬるっと卒業式が終わっていた。

それから早数ヶ月。大学生生活にもなんとなく慣れてきた。

全然実感がわかないまま、ライフステージを上がってしまっている。

気持ちはまだ小学生なのになー、と、ドリンクサーバーでオリジナルミックスジュースを作りながらぼやく。やっぱサイゼしか勝たん。

自分の席に戻ると、気配に気づいたようで向かいの座席でスマホを弄ってた女がちょっと顔を上げた。

「ただいまー」

ういー、ってテキトーな返事が返ってくる。お互いそのままスマホに戻った。
いつもの感じだった。こいつも全然変わってない。いや、お互い化粧を覚えてなんかちょっと見た目は変わったけど。内面はやっぱりそのままだ。

近況報告のつもりで久々に集まったものの、今までと変わらない距離感、過ごし方。置いていかれてたら、ってちょっとだけ不安だったので、仄暗い安心感を抱く。


風に身を任せ、私たちはなんとなーく流されるまま大人になっていく。小さな頃に憧れていた大人像には程遠くて、ちょっと焦る気持ちもあるけれど、この子との日常だった風景が失われてしまう、と考えたら、まあ何も変わらないままの私でも悪くないのかなって思った。

5/15/2023, 1:11:37 AM

【風に身をまかせ】

 私たちを包んでいた実の外殻が、ついに弾けた。
 風に煽られ、この体は宙を舞う。
 私と同時に実を離れたきょうだいたちが、周囲でくるくると踊っている。私もくるくる回りながら、風の吹くままに流れていく。きょうだいたちと離れ離れになるが、寂しくはない。私たちはひとつの宇宙で繋がっているから。
 ……なんだかうさんくさいことを言ってしまった。しかし事実だからしかたない。私たちがいま漂っているのは、まさしくひとつの宇宙なのだ。直近の恒星が生むプラズマの風に乗って、私たちは宇宙空間に散らばる。永い時を彷徨い、やがてどこかの星の引力に引かれ、落下し、その星で芽吹く。それが私たちの役目だ。
 この体は硬い耐熱殻に守られているから、大気圏を突破してもそうそう燃え尽きたりはしないだろう。ただ、落下先が濃硫酸の海だったり、私も知らないもっとひどい物質だったりしたら、そこで運命はおしまい。星に落ちる前に、恒星やブラックホールに突っ込んでも、ジ・エンド。しかし、私が終わっても、数多いるきょうだいたちの誰かは、きっとどこかの星に辿り着く。
 運良く環境のいい星に落ちることができれば、私が内包する有機物は、やがてその星に適応した生命へと育っていくだろう。その生命は永い時をかけて増殖し、進化し、知恵を持つ――がどうかは賭けだが、もしある程度の知恵を持ったなら、彼らの星や恒星系の終わりとともに、また私たち播種有機体を宇宙空間にばら撒くだろう。
 私は地球という星で生まれた。ロケットという名の実に包まれ、打ち上げられた。私の中には、地球で進化した人間という種族の有機体が含まれている。その前は、⁂Åという星の、⊿∟∋という種族の有機体だった。そんな連綿とした記憶が残っている。さて、私は――私のきょうだいたちは、次はどんな星で、どんな進化を遂げるのか。
 宇宙の風に身をまかせ、はるかなる偶然を求めて、何度目かになる私たちの長い長い旅が、またはじまった。

5/15/2023, 12:41:26 AM

風にふわり、と、なびく
桜の花びら、新緑の木々、少し窓を開けたカーテン
風鈴、金色の落ち葉
風をまとうと途端に目を惹かれるものたち
そういうものたちの中で一番好きなのは髪かもしれない
ショートや肩にかかるくらいのミディアムヘアがぴょんぴょんと舞うのも頬が緩むけど
とりわけ長めの前髪や、背中まであるロングヘア
ストレートでもゆるやかに巻かれたものでも
風とともにふうわりふくらみ、柔らかく揺れる様は本当に心奪われる

一年とちょっと前、好きな人がいた
風のような人だった
初めは突風、戸惑うまま吹かれていると徐々に春のそよ風に変わった
心地よさを覚えた頃には木枯らしとなり、あっけなく過ぎ去った

私は腰まで届くロングヘアをバッサリと切った
私は、風に揺れる柔らかな自分の髪がとても好きだった
短くなった髪は硬くなりごわごわしていた
もう風になびかせたくなかった
なびきたくなかった


春から初夏へ季節はゆるやかに移り変わる
前髪も横髪も目や耳を隠すくらい、襟足も肩につく長さ
少しずつ風とふわふわ遊ぶようになってきた
髪を揺らすこの風は私から生まれている
足元から、耳の後ろあたりから、あるいは体の真ん中から
上昇気流のように吹き、ひゅうひゅうと私を包む
小さくしゃがみこんでしまう時、風は手を引いてくれる
こっちよ、と風向きをかえて私を導く
ねぇどこ連れてく気?と訪ねても、どこだろうねぇ、とふうわりしてる
風の気ままさに肩すくめ、まぁ行ってみるか、と歩き出す
でも、このまま身をまかせても大丈夫だろうという妙な信頼も感じている
確かな形をもたないものをこんなに強く信じているのは不思議なんだけど
自分から生まれてるからなのか、風が心地よいからなのか
あ、でも辛いのはもう嫌よ?楽しいほうへ連れてってね?
風は少し伸びた髪をふうわり、柔らかく揺らした
それに満足した私、大きく両手を広げ伸びをする
おっけ、行こっか
鼻歌まじりに歩き出す

5/15/2023, 12:35:33 AM

『風に身をまかせ』

私、津田小夜子は、高校生になった時から、同じクラスの井本ヒカルに憧れていた。

言っておくが、ヒカルは女生徒だ。
どのグループにも属さず誰とも距離をとり、いつも一人で本を読んでいた。
艶のある美しい黒髪をショートボブにカットして、いつも彼女は、毅然としていた。

それが、とても自然体で美しかった。
真っ白い肌も美しく黒目がちの意志の強そうな顔をしていた。

私は、元々少し肌の色が黒くて髪はクセっ毛だったので、ポニーテールにいつもしていた。

ある日、委員会があり帰りが遅くなった。
クラスに鞄を取りに戻ると、井本ヒカルがいつものように、まだ本を読んでいた。

ー誘ってみたいなー
そう思って、思い切って「あの、井本さん」と言うと、彼女は本から顔を上げ「なに?」と言った。真っ直ぐこちらを見る目、少しドキドキしながら「良かったら一緒に帰らない?それで、時間があったらだけど、一緒にお茶しない?」と言うと、本をパタン、と閉じ「いいよ」と言った。

やった!やっと彼女と話せた!

そしてふたりは、帰りによくみんなが寄るカフェに行き、私はストレートの紅茶、彼女はブラックコーヒーを頼んだ。

そして、飲み物が来ると、何を話していいのか、誘う事に一生懸命で何も考えてなかった。

私はなんだかドギマギして「あの、井本さん」と言い出すと「ヒカルで良いよ、その代わり、あなたの事もサヨって呼ぶね」と言った。嬉しかった。
私は人見知りをするので、なかなか仲の良い友達ができないのだ。「ヒカルは何故、私の誘いに来てくれたの?」と言うと、コーヒーを冷ましながら「あなたが誘ってくれたから」と言った。

びっくりしてポカン、としていると、クックッと笑いながらヒカルは「ほらね、サヨってとても正直なのね。私、そういう人と友達になりたかったの」と言った。本当に、嬉しかった。

だから、翌日からは私とヒカルはいつも一緒にいた。まるで最初から決まっていたかのように。
一緒にお昼を食べ、休み時間は必ず一緒に過ごし、帰りも一緒だった。

そして、空には白くモクモクと入道雲ができる頃、せわしなく鳴くミンミンゼミの声を聞きながら校庭の木陰でひっくり返り休んでいる時、ヒカルが突然「ずっと友達でいようね」と言った。それはあまりにも当たり前で、何を今更、と思いながら「うん、もちろん!」と言った。

2学期のはじめ、お昼を食べている時、ヒカルが唐突に「彼氏が出来た」と言った。
私は唐揚げを飲み込もうとしていたので危うくむせるところだった。
「へ?いつの間に」となんとも気の抜けたことを言うと、「元々親同士が仲良くてさ、夏休みに一緒に海に行ったりしたの、その時告白されて。全然今まで意識とかしてなかったんだけどさ」と、少し早口で一気にヒカルが話す。白い肌がポゥっと少し赤くなる。

「……おめでとう!良かったじゃない!」と笑顔で言うと、ヒカルはホッとしたように、「あ、でもサヨとは今まで通り友達だよ。そこは何も変わらないよ」と言った。

でも、私は無理をしていた。
そしてかなりショックを受けていた。
夏休みにも一緒に何度も出かけてのに、一言もそんな事を言ってなかった。

でも、ヒカルの、打ち明けてくれた気持ちを考え、何でもない顔をして祝福したのだ。

それからは、今までは毎日一緒に帰っていたのが3回に1回は彼氏と帰るようになり、そのうち週の大半は彼氏と帰るようになった。

やがて、言いにくそうに「ごめんね、サヨ、帰りは一緒に帰れなくなっちゃった」とヒカルは言った。いつか、そうなる気がしていたが、私は笑顔で「いいじゃない、帰りくらい一緒に帰りなよ」と言った。
ホッとした顔のヒカルを見て、初めてジェラシーを感じた。

いや、本当はもっと前から感じていたのに、あえて気づかないフリをしていたのだ。

お昼は一緒に食べたけれど、話の大半がヒカルの彼氏との話だった。
私はお腹に何か塊を感じたが、それを押さえつけ、無邪気に笑って聞いていた。

休みの日も月に2度は一緒に出かけていたのに、1度になった。

出かけていても、どこかうわの空だった。

だから私はヒカルに笑顔で「ごめーん、休みの日、出かけられなくなっちゃった。お母さんに、休みの日くらい手伝えって怒られてさ」と手を合わせると「ありゃー、いいよ。お母さんに怒られないように手伝ってあげなよ」とホッとしたように言った。

そのうち、ヒカルは言いづらそうに、「あのさ、サヨ、お昼を彼氏が一緒に食べたいって言うんだよね。」と言うので、「いいじゃない!私とは学校にいる間一緒なんだから、お昼くらい一緒に食べなよ」と言うと「ありがとう、サヨにはいつも感謝してる」と言った。

感謝はしても、一緒にほとんどいないじゃない、という言葉を飲み込んで。

私は、入学した当初のように、また一人でお昼を食べるようになった。
でも、最初には感じなかった淋しさを感じていた。
みんな、誰かと食べている。
疎外感を感じながら、なんでもない様に一人でお弁当を食べていた。

ある日、朝は気持ち良く晴れていたのに、帰る頃になって急にひどい雨が降ってきた。

下駄箱で靴を履き替えていると屋根の下に、ヒカルと多分ヒカルの彼氏が立っていた。
カサを持っていないのだろう。

私は、母親がうるさいので、いつも折りたたみのカサを鞄に入れていた。
それを取り出すと、しばらく立っていたが、笑顔を作り「ヒカル!」と言った。
「サヨ!潤くん、いつも話してるサヨだよ」と、ヒカルが彼氏に言うと「ああ」とだけ言った。
「ヒカル、カサ、ないんじゃない?これ使って」と折りたたみのカサを渡すと、びっくりしたように「だって、それじゃサヨが濡れちゃう!」と言うので笑顔で「大丈夫!私、置きガサあるから」と言うと、でも、と言っているヒカルに無理やりカサをを手渡した。
少し躊躇ったが、ヒカルはカサを受け取ると「ありがとう、サヨ、本当は困ってたの!」と言って手を振ってふたりで帰って行った。

タップリ15分経ってから、私はどしゃ降りの雨の中、歩きだした。

置きガサがあるなんて、もちろんウソだ。
でも、ヒカルと彼氏が困る方が嫌だった。

本当に?それは、私の本心?
いいや!そうじゃない!!

心が痛かった。雨に混じって塩からい物が口に入る私は泣きながらいつしか歩いていた。

すると不意に「何やってんだよ、お前!」と言う声と同時に、腕をグイっと掴まれ大きな黒いカサを差し掛けられた。

見ると同じクラスの岡田くんだった。

そして訳も分からず岡田くんに連れられ、オシャレな雑貨屋さんに入った。
その時の私は木偶人形の様にされるがままになっていた。

木製の扉が開くと、カランコロンといい音がした。
「あら、宏、おかえりなさい」と素敵なワンピースを着た女性が声を掛けてきた。

「あらあら、大変!びしょ濡れじゃない、そのままでは風邪を引くわよ。宏、シャワーをすぐ使わせてあげて。着替えは」と言うのを聞き、ようやく私は「体操着はあります」と言った。すると「ここ、俺んち。これ母さん」と岡田くんが言うと「シャワー、こっち」、下に着る物は母さんが出しておくから、と言って2階に上がる。お風呂場を教えてもらい、ひどく体が冷えているのにようやく気づいた。コックをひねって熱いシャワーを浴びていると、ようやく感情も戻ってきた。

脱衣場にはかごの中に新しいショーツとブラタンクトップが入っていた。
多分、売り物であろうそれを身に着け体操着を着て、置いてあったドライヤーで髪を乾かすと下に降りた。

すると、店内の奥のガラスのテーブルに岡田くんが、紅茶を持ってきてくれた。「ハチミツ入りだよ。ハチミツは喉にいいんだよ」とカチャカチャと危なっかしくガラスのテーブルに置いた。
「ありがとう、いただきます」と言うと、ふうふうと熱々の紅茶をコクン、と一口飲んだ。少し入ったハチミツの甘さが心地良かった。
胃を通って体に染み渡る。
「良かったら、これも食べて」と言って岡田くんのお母さんがハムとキュウリのサンドイッチを出してくれた。

びっくりしてると「どうせ宏が食べるからよけいに作っただけなの」何か食べると体が温まるのよ、と言って微笑んだ。上品で優しそうな人だった。

「じゃあ、いただきます」と言って食べたら美味しくてお皿のを熱い紅茶と一緒に全て食べてしまった。

その時になって、初めてなのにこんなにしてもらって、ガツガツ食べてしまって恥ずかしくなった。

「ごめんなさい、お腹、空いてないと思っていたのに全部食べてしまって」と言うと、「良かったじゃん、これも飲んでおけよ」と言って岡田くんが、水の入ったコップと市販の風邪薬を持ってきてくれた。

飲まないとずっと立っているので、仕方なく薬を水で飲んだ。

岡田くんのお母さんに「あの、肌着すみません。あれ、売り物ですよね?私、お金払います」と言うと「いいのよ、雑貨屋さんで肌着を買う人なんてあまりいないの。一応置いてあるだけだから」と言ってお金を受け取ってくれなかった。

「お前さ」と急に岡田くんが言い出した。
「井本になんでそこまで遠慮するの?友達だって言うんなら対等なはずだろ。見てるとお前達、最近、お前が我慢してばかりじゃん。それって友達なの?」私は座った脚の上で握り拳を作る。岡田くんは、全部見て知っていたのだ。

それは、私が目をそらして居続けた真実だった。

「だって、だって、そうしたら、今度は私が一人になっちゃう」思わず心に思っていた事を言ってハッとする。

そうだ、私は、今はもう一人になりたくないんだ。

「じゃあ、俺が友達になるよ」はあ?と思って岡田くんを見ると大真面目だった。

「お前が一人で弁当食うの嫌なら俺と食おう。帰りが一人が嫌なら俺と帰ろう。俺と友達になればいいじゃん」思ってもいない事を言われ、混乱した。

「で、でも岡田くん、そうしたら岡田くんが友達といられなくなっちゃうじゃない」と言うと
「馬鹿だな、べったり一緒にいなくても友達は友達だ。ちゃんといるよ。」

「そんな事で離れていく奴は友達じゃないよ。俺、違う高校に行って、夏休みに久しぶりに会った友達いるけれど、何も変わらないぞ」

泣きたくないのに、涙がポロポロあとからあとから出てきて止まらなくなった。

私は、そうだ。ずっと我慢していたんだ。

「あら、晴れたようよ」とお母さんが柔らかく言った。
外を見ると青空が出ていた。
気がつくと、いつも重たかった心が晴れやかだった。今の私の心のようだ。

「あの、また来てもいいですか?」と、岡田くんのお母さんに言うと「もちろん、嬉しいわ。こんな可愛らしいお友達が出来て」と言って優しく抱きしめてくれた。

「俺、途中まで送ってくる」と岡田くんがお母さんに言うと、私は頭を下げてからお店を出た。

「お〜、いい風だな。涼しくなった。」と岡田くんが言って私も風に吹かれて心地良かった。

「岡田くん、今日はありがとう」と言うと、いいさ、と言って笑った。
その優しい笑顔に何故かドキッとした。

「岡田くん、私、しばらくは誰かにすがるようなのはしたくない。だけど気持ちの整理がついたら、一人で立っていられるようになったら、友達になってね」と言うと、おう、と言って笑った。

今は、しばらくは心のままに、吹く風にこの身を任せてみよう。

そうしたら、何かが見える気がした。

明日になったら、ヒカルにもう友達ごっこはやめよう、と言おうと思った。
そして、出会った頃の憧れていたヒカルの様に一人を楽しめるようになろう、と思った。

それが平気になるまでは。

帰り道、心地良い風に吹かれて少しの不安と軽くなった心で歩いて行った。

5/14/2023, 11:53:11 PM

女は言った。最近よく見る夢がある、と。
家の中にいるのだが、少し床から浮いて立っている。そして、ゆっくりと窓の方に近付いていく。
カーテンを開けると、外が明るいのか暗いのか判然としない。視界の端の方と、それから奥の方はひどくぼやけて輪郭が覚束ない。
部屋の中には風が吹き込んだらしいが、女の身体にはそれらの感じが判らずに、ただ気配だけが見えている。
そんな雰囲気が不思議と心地好く、決まって寝覚めはいいらしい。

男は言った。最近よく見る夢がある、と。
街を歩いていると、何処からか呼ぶ声がする。何を言っているのか、はっきりとは判らないが、その指示するところに従ってみようと感じる。
すると、身体が浮き上がった。内部から次第に透き通るような気配が兆す。
透明になった男は、何処かから牽きつけるような力を感じる。そのまま身を任せると、或る家の窓へと至った。
目が覚めると、必ずそれらの感覚が、部分の硬直になって現れていると言う。

以上は、わたしの知人――知人たちは互いに面識はなかった――から同時期に別々に聞いた話である。

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風に身をまかせ

5/14/2023, 11:44:05 PM

風に身をまかせ

ブームを握り ウインドの先端を風下に向ける、そうすると、風に向かって進んで行ける 風を受け海の上を進んで行く、そう、私はウインドサーファー
だった‥ もう昔の話だ
風に身をまかせ風に向かって進んで行く
頃合いを見てウインドを翻し、今度は陸に向かって戻ってくる
同じ場所に戻ってくる
‥そんな事は出来ない、何故なら下手だから
風に身をまかせたりなんかしたら
どこまで流されるかわからんよ
2度と戻って来れないかもだよ
ウインドサーフィンは難しいよ!

5/14/2023, 11:38:02 PM

風に身をまかせ
どこまでも

どこまでもいける
雲をする抜け
お空のてっぺんにも

大きなうねりを受けて
ぱちっと虹色の膜がはじけた

私の姿は消えたけど
私の心はいまも
空をふわっふわっと漂っているよ

5/14/2023, 11:32:40 PM

身を任せていたら流れてしまった。鯉のぼりは海のものになってしまった。白波を立てる雲の中で、大波に飲まれてしまった。あいつはもう入道雲の中だぜ。


お題 風に身をまかせ

5/14/2023, 11:28:37 PM

風に身をまかせて

ゆぅらゆら

死にむかって

のぅそのそ

生きる旅をする


最期の瞬間

きらっ、きら

5/14/2023, 11:23:45 PM

風に身をまかせ

考えないと後で後悔するので、それはしない

お金と時間に余裕がある時だけやります😆

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