『風に乗って』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『風に乗って』
今日も私は夢の中で頑張って空を飛ぶ。地面からわずか20cmの低空飛行、しかも低速だ。今にも止まりそうになりながら、私はアスファルトの熱と埃臭さを感じなから飛ぶ事に集中していた。
横を歩く人達が私を器用に避けて追い抜いて行く。あまりにも遅い飛行だが文句を言う人は無く、むしろもがく私に励ましの目が向けられていて‥
と言うところでいつも目が覚める。
低空飛行の夢占いを検索すると「不安な状態」
そう、私は今日までこの研究を成功させるべく努力してきた。周りの人達の支えもあり、今日の発表の日を迎える事が出来た。大丈夫、準備は万端、後は精一杯やるのみ。そして今夜は、風に乗って大空高く飛ぶ夢を見よう。
うちのベランダに着地していた八重桜の花びらが
再び風に乗ってどこかに行ってしまった。
春が終わる。
また来年、うちのベランダを賑やかしに着地するのを
楽しみに待ってるよ。
あ、その前に秋には八重桜の葉が舞い降りてくるか。
赤や黄色でベランダが彩られる。
いや、夏わざわざ人んちのベランダで事切れる
蝉の亡骸が先だな。
…やつらは風に乗って消えてはくれんが。
(風に乗って)
風に乗って 青い匂い
見上げれば緑 生い茂る
風に乗って 鳥の声
仲間の呼び声 空を翔ける
風に乗って 甘い香り
誘われて見るは白い花
風に乗って 冷気と湿気
雨雲の気配 すぐそこまで
「皐月の気配」
⊕風に乗って
風に乗って
ある暖かな春の日、
風に乗って足元へやってきた貴方のプリントを手に取ったのが、私の人生で一番の幸運でした。
プリントを手に取りゆっくりと見上げると、太陽のように笑う彼と、窓から見える桜の木が、まるで一つの作品のようで、くっと息を呑みました。
だけど私は弱虫です。
そんな貴方をそっと見守ることしかできなくて、いつも教室の隅で読みたくもない本を読んでいました。
いいえ、本なんて、読んでいませんでした。
私は本の向こう側で沢山の人に囲まれる貴方を見ていたのです。いつも、いつも、私はこうでした。
ある日、私は係の仕事で体育館裏の倉庫へと向かったのですが、その道すがら、俯いた女の子と貴方を見つけてしまいました。
なんとなく気まずくなって隠れましたが、女の子は私なんかよりもずっとずっと華のある可愛らしい女の子で、伏せたまつ毛も長くて、私の中でむくむくと、悪い感情が芽生えるのを感じたのです。
貴方の「ごめん」という言葉だけが聞こえてきて、安堵して吐いてしまったため息の、なんと滑稽なことでしょうか。
突然自分の感情にまで罪悪感が湧いてきて、その日は係の仕事もほっぽって、あわてて家に帰って泣きました。
人生で一番、といえるほどに涙を抑えられる目処もたたず、気付けば夜になっていました。
母親が遠慮がちに「夕食よ」とドアをノックする音が聞こえて、我に帰りました。
私はドア越しにやんわりとその提案を断って、またも息を殺して泣き続けました。
そうしてゆっくりと日が登り始めた頃、腫れた目を擦りながら、一本の万年筆を手に取りました。
私のお気に入りの万年筆でした。
便箋をテーブルに敷いてやると、不思議と考えるよりも先に筆が走り、涙も少しずつ、滴り落ちる速度を緩めていきました。
とはいえ、書き終わった頃にはその便箋は見るも無惨なほど涙模様でしわくちゃで、決して彼に渡せる代物ではなくて、そっと教科書の間へ忍ばせました。
「だからかぁ」
目の前の男性がいつかのようににこやかに笑った。
「俺があの日、教科書貸してって言ったのに、ずっと断固拒否!って感じでさ、嫌われてるかと思ったよ」
卒業アルバムをそっと閉じた彼は続ける。
「もう初めて出会った時のことだって思い出せないくらい、一緒にいるのが当たり前になってる…なんて言ったら、君は落ち込むかな」
彼の目が窓の向こうの桜を捉えた。
「そういえば…出会った時もこんな春の日だったような気がするなぁ。覚えてる?」
「いいえ?覚えてないんです、残念ですね。」
私は重いお腹をさすったあと、光る薬指を見つめて言った。
「でも私はずっと、この春の風が大好きなんですよ。」
「俺も」とやわらかに笑う彼の髪を、春の風が揺らした。
風に乗って彼の…陽だまりの香りがした、ような気がした。
びゅーびゅー
ふわふわ
びゅーびゅー
ふわふわ
綿毛がいくよ
びゅーびゅー
ふわふわ
びゅーびゅー
ふわふわ
どこまでも
風の吹くまま
気の向くままに
風に乗って
時間が過ぎてゆく
作者の私はワンフォーオール7代目の継承者、志村菜奈の孫である死柄木弔ファン。漢字は違うけれど菜奈さんと同じ[なな]という作者だ。
死柄木弔は、頬をピンクにしながら躊躇っていた。
『…呼んで?』
『アッ…安心………し………』
『頬が赤くなっているよ』
俺は、ナナに対して、ナナおばあちゃんが居る。と、
思って発言した
『安心しろよ。ナナおばあちゃん。アンタもしっかり憎んでる』
『わー‼︎呼んでくれたー』
『なんで、俺が』
俺は、彼女に対しての発言が、
なかなか難しい発言だった
もしかしたら誹謗中傷にもなりかねない発言だったからだ
『ふふ♪』
『何かの因縁か?』
私は、ピンク色になっている弔の頬にキスをした
『これからも仲良くしましょ♪』
『…あぁ』
(ナナに抱きつくのも悪くないな)
夕食を用意したから来るように、だそう。特に何も考えず釣られたものの、玄関まであと数メートルほどまで来てふと我に返る。いい歳の男に甲斐甲斐しく世話を焼き、一体何がしたいのか。夕風に紛れて漂う匂いは、少し前に自分が好きだと言った料理のそれ。わかりやすい罠。しかしよくもあんな、ぽろっと呟いたことを覚えているものだ。止まりかけた足が再び動く。このまま何も考えず流されて、痛い目を見るならそれでもいいか。掴まれた胃袋も腹の中で頷く。ここまで入れ込むつもりはなかったのに、とぼやく脳を無視して玄関のチャイムを鳴らした。
(題:風に乗って)
風に乗って どうなる?
風に乗って 何になる?
風はただ 無常に吹く風でしかない。
人の気持ちなんて どこ吹く風
貴方の香りがした.
通りすがりに香る貴方の匂い
とてもいい匂いなの.
桜の香りがした.
通りすがりに香る桜の匂い
貴方の匂いなの.
香りが散った.
何処か遠くに.
貴方を感じれない程に.
- 風に乗って
裏木戸を開け、階段を一段降りて空を見上げた瞬間
春の風が僕の顔を包み込んだ、
あっ。来たな!
さあ、また始まるんだね。沢山のことが。
この一瞬を、ウキウキした心で出迎える
ことができるまでは、まだ前に進めそうだ。
次の秋風が来るまでは、、、
突然の強風に傘が煽られた。飛んでいかないように手元を両手でぎゅっと握りしめる。突風の割に強く吹き続ける風は、私を南西方向から強く押した。収まるどころかさらに強まっている。前へ踏み出そうとした一歩はもとに戻して、姿勢を安定させる。それでもたたらを踏んだ。ほんの数十センチ、車道に近づいた。これ以上押されないように足腰に力を入れる。
最寄り駅までの平坦な道は、風が強い日に突如として牙を剥く。マンションが建ち並ぶその隙間からのビル風に、地下駐車場から吹き上げる風。その二つが合わさっている危険なポイントが一ヶ所あるのだ。
初めてその現象に遭遇した時、傘が壊れた。コンビニのビニール傘だった。生地の部分が親骨もろともそり返り、中心から外れてしまっていた。ここまでバキバキに折れると、修復不可能だ。それ以降、傘は十六本の大きくて丈夫そうな太さを選ぶようにしている。
大きい傘は風の抵抗をさらに受ける。歩くたびに一瞬浮いたんじゃないかと錯覚するくらいには。
もしこの突風を受けて傘もろとも浮いたら。
頭の中のイメージとしてはトトロたちが傘を持って空を飛んでいたあのシーン。ふわりと、でもあっという間に木の上へと飛んでいって、上空から畑や田んぼを見下ろす。あのシーンのような体験ができれば、爽快感で気持ちがいいのだろう。
ヨタヨタと歩きつつ、傘から空を覗き見る。
尖った電柱に張り巡らされた電線、高層のマンション群、背の高い木々。
これ浮いたら絶対どこかに引っかかって地面に叩きつけられるパターンだ。
実際に想像してしまってゾッとした。私は少し緩まった風を感じ取って、足早にその場を後にした。
間違っても浮いてしまわないように、体を鍛えようと心に誓った。
『風に乗って』
『風に乗って』12/180
がらら、がら、がしゃん。
乱暴に積まれた桶が震えて音を立てる。
旦那、今日は売れなくて虫の居所が悪いみてえだ。
おれにゃあどうすることもできんが。
仕方ねえ、ここは一つ。
きいきい、からから。
今朝は油を差し忘れて自転車の車輪が音を立てる。
はんどるに桶の取っ手を挟み込み、漕いでいく。
全く、何だってんだ、今日は。
鼠が桶を齧りやがったせいで使い物にならなくなっちまった。わざわざ桶を買わなくちゃあならんとは。
旦那、飛ぶように売れて嬉しそうだ。
ちゅう、ちゅう。
あの頃のように自然の中で風の心地良さを感じたいと思う今日この頃。
「風に乗って」
訃報の情報が最近続いた
冬から春。
いつしか春風に
桜の木を見つめながら
故人との思い出がふわり花びらに舞う
ショコラ
『風に乗って』
グラウンドに集まったこどもたちの手には赤、黃、緑の風船が握られていて、繋がった糸の先には手紙と花の種が付けられている。先生の号令で一斉に手放された色とりどりの風船たちは浮き上がり、ひとつどころからそれぞれバラバラに空の高くへと舞い上がる。いつまでも風船を見つめていたこどもたちはやがて見えなくなるほどに昇っていった風船に想いを馳せ続けた。
風に流れる船たちは大いなる気流に乗ってどこまでも行く。山へ行きたいものは山へ、海へ行きたいものは海へ。宇宙へ行きたいものは宇宙へ。もう一度人に会いたいと願った船はその通りに遠く離れた街へ。
「どうしたの?何か見つけたの?」
長い旅の果てに柔らかな芝生に横たわっていた船は犬に見つかり、そして人にも見つかった。船は満足しながらその身を委ねていた。
風に乗っていろんなものが運ばれてくる。
…花粉…黄砂…PM2.5…
ダメだ。デメリットのものしか浮かんでこない。そんなアレルギー体質の自分。
テーマ:風に乗って
P.S. お久し振りです。だいぶまた時間が経ってからの投稿になりました。
それでは皆さん、エンジョイ大型連休!(笑)
風に乗って遠くに行きたい。綿毛のように何処に行くかも気まぐれで、鳥に食べられるかもという恐怖を感じつつ、それでも四六時中フラフラしている自分によって遠くに行きたい。場所を指定できるほど偉いやつでもない。ただの綿毛だからだ。ただもしも場所を選ばせてくれるとしたらどうしようか。どこに行ってみようか。そうだ、昔行ったセブ島に行きたい。水平線があることが当たり前、3日見てれば飽きると言っていた水平線。僕はそれをスクリーン越しにしかどう頑張っても見ることができない閉ざされた世界にいる。あぁつまらない。インターネットは私に向かって喋りかける。四六時中誘惑してくる。ポルノ、誹謗中傷、何でもござれの闇鍋をつついて13年。私はようやく嫌気が指してきた。もうつかれた。君の顔はもう見たくないとここ最近毎日言っている。それに対して水平線はどうだろうか。青く透き通り空気が澄んでいる美しさだけを私に与えてくれた。Hかっぷのおっぱいも芸能人の不倫ニュースも教えてくれない。彼は何も知らないトーシローかもしれない。でもそれでいいんだ。何も言わずそばにいてくれる。それだけの存在がどれだけ素晴らしいものなのか、今の私にはよく分かる。広がる当たり前の世界にもう一度行ってみたい。きっとそこにはまだ疲弊仕切っていない、馬鹿げた夢を人前で話していた高校二年生の私がいるはずである。あぁ、もう一度セブ島に行ってみたい。
「風に乗って、飛ぶ乗り物がハングライダー、毎年飛んできて騒動になるのが花粉、飛んで凶器になるのが台風中の傘や鉢植え、大陸から飛ばされてくるのが黄砂、耳にするのが多分噂。他には?」
フェーン現象は、「風に乗って」の気象現象、とは違うんだっけ?合ってるんだっけ?
某所在住物書きは「風」に乗り得るものの連想ゲームを続けながら、書きやすそうなネタを探している。
去年は「香りが風に乗って来る」を書いた。
今年は何を乗せるのが手っ取り早いだろう。
「『空気感染』なんて医療ネタも可能か」
なお物書きは不勉強の門外漢である。
「手を出したらぜってー『素人質問』来るよな」
ところで全都道府県共通の「恐縮ですが」な公開処刑は、「何」に乗って広がったのだろう。
――――――
最近最近のおはなしです。都内某所のおはなしです。
某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしておりまして、そのうち末っ子の子狐は、善き化け狐、偉大な御狐となるべく、絶賛修行中。
今日はお母さん狐が店主をしているお茶っ葉屋さんの飲食スペースで、看板子狐のお手伝いをして、ご褒美とばかりにとってもゴージャス、とっても極楽なおやつを、お得意様から貰いました。
おやつを注文してくれた方は、つまりお得意様の後輩さんは、ほっくほくの満足笑顔。
おやつの支払いをした方は、つまり子狐とお母さん狐のお得意様は、自分のマネークリップを見て口を小さくパッカリ。強く強く息を吹き付ければ、風に乗って飛んでいきそうです。
『先輩!この御恩は、一生忘れませんッ!』
ゴチでした!後輩さんが言いました。
お得意様は何も言わず、でもちょっと穏やかな優しい表情で、小さなため息を、ひとつ吐きました。
さて。
飲食スペースで5ケタのお支払い。手持ちの現金が丁度スッカラカンになってしまったお得意様。
手数料こそかかりますが、ATMに向かいます。
ペーペーもワンワンも、ニャニャコもクレカの預金残高も、すべて十分に余裕がありましたが、
一応、現ナマも持っておきたいのです。
「おとくいさん、おとくいさん」
食べきれなかった大皿料理を、狐のイラストが可愛らしいお土産ボックス2箱に詰めて、コンコン子狐、お得意様のアパートまで一緒に歩きます。
しっかり狐耳も狐尻尾も隠して、人間に化けて、お土産ボックスを大事に大事に抱え持って、トテトテ、トテトテ。お得意様と一緒に歩きます。
「明日の方が、えーてぃーえむ、てすーりょ、お得だよ。今日だと、損しちゃうよ」
「一種の小さな強迫観念のようなものさ」
自嘲気味、ぎこちなく笑うお得意様が、答えます。
「震災、停電、通信障害。もしも今突然電子決済が使えなくなったら、私はそれこそ一文無しだ」
そのお得意様の隣では、時折お土産ボックスをこっそり開けて、コンコン子狐、鶏軟骨唐揚げだの手まり稲荷寿司だのを盗み食いしている様子。
「1枚でも2枚でも、万が一のため、保険に」
持っておきたいのさ。 お得意様はそう付け足すと、子狐が持っていたお土産ボックス2箱を、ひょいひょい。取って自分で持ちました。
「あ、あっ!かえして!キツネ、おとくいさんのおみやげ、持つ!かえして!」
「お前が持ちたいのは、持ち帰り箱本体じゃなくて、この中の軟骨唐揚げと稲荷寿司だろう」
「ちがうもん。キツネ、おとくいさんのおみやげ、おとくいさんのお部屋まで、お持ちするもん」
「先にどっちを食いたい?唐揚げか?稲荷か?」
「おいなりさん」
本当に素直で正直だな、おまえ。
ぎこちなくも穏やかに、優しく顔をほころばせて、
お得意様は子狐に、お土産ボックスの中から稲荷寿司の詰められた小箱を取り出して、渡します。
「おいしい。おいしい」
コンコン子狐は幸福に、小箱のなかの稲荷寿司を、ちゃむちゃむ、ちゃむちゃむ。
たっぷりの笑顔で、口いっぱいに頬張ります。
最寄りのATMまで、あと300m。
子狐の笑顔を見てお得意様が再度吐いたため息は、道中の風に乗って、緩やかに、溶けていきました。
天使がいるというあの場所は
今も清廉な空気をたたえているだろうか
杉林に囲まれた あの野原
白い林檎の花 赤い野薔薇
柔らかい草 杉の葉の匂い
パチパチとはぜる木の枝
幸せな時間
僕は目を閉じて 雨の匂いを感じる
天使よ僕の町まで
風に乗って 森の香りを届けておくれ
【風に乗って】
『風に乗って』
幼馴染で恋人だった煌驥が亡くなって、もう3年が経つ。
最初は悲しんだ。1週間くらい学校を休むくらいには悲しんだ。
でも、そんな事を煌驥は望んで無いから。煌驥は、私に幸せになって欲しいって、そう願っていると思うから。
だから、私は立ち上がった。前を向き、1人でも歩く為に。
「煌驥〜聞いてよ〜。今日高校でさ〜」
そんな他愛も無い事を、煌驥の墓の前で話す。
煌驥が亡くなってから、私は欠かさず墓参りをしている。その時には今みたいに独り言を話したりしているが、やはり少し寂しい。
でも、私は生きていく。たとえ独り言で終わったとしても、寂しいとしても、私はここに来る。
『俺が死んだらさ、墓参りは来てくれよ?』
『勿論、絶対に行くよ』
それが、私と煌驥が交わした約束だから。
「でも、やっぱり寂しい物は寂しいよねぇ」
涙が、頬を伝う。心に秘めているはずの言葉が出てしまった。
「でもさ、私は煌驥の分もちゃんと生きるから。だから、見てて。私がそっちに行った時、この人生は良い物だったって、言えるようにするから」
この言葉が、煌驥に届いているといいな。この、風に乗って。
最後に精一杯の笑顔を墓に向け、踵を返し、帰路に着く。
「ああ、ずっと見守っているさ。だから、小夜は笑っていてくれ」
「え……?」
そんな言葉が、私に届いた。この、風に乗って。