『静寂に包まれた部屋』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
《静寂に包まれた部屋》
前回の《別れ際》の続き?の様なものです
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今日付き合っていた人と別れてきた
なんで別れる事になったのかなんて分からない
でも、別れた
いつかは離れる事になると思っていたけどこんなに早いなんて思わなかった
あの子がいなくなった部屋は静かで落ち着いた
家に帰ると1人で自分のペースで生活できる
ご飯も、自分の好きな時に好きなものを
お風呂だって
洗濯だって
遅くまでゲームも自由にできる
存外あの子が居なくても快適に生活ができる
少しは生活に支障があるかとも思ったけど、そんな事もない
多分このまま時間が経てば
あの子がこの部屋に居たという痕跡は少なくなっていって
今感じる生活のちょっとした違和感も無くなるのだろう
そうして、少しずつ自分とあの子の中にあった心の隙間は開いていく
そして、いつかは完全に忘れてしまうんだろう
別れるとはそう言う事だ
知っていたけど、分かっていたけど、
いつかはこの悲しみも、寂しさも消えて無くなってしまう事が
たまらなく悲しい
暗い部屋の中、坐禅を組む。
狭く何もないこの部屋は、耳が痛いほどにとても静かだ。
それも当然か。此処はそういう場所なのだから。
息を吸い、吐く。ただそれだけを繰り返す。
ひとつ、ふたつ、と頭の中で数を数え。幾度十を数えた事だろう。
それでもまだ心は落ち着かない。雑念ばかりが頭の中を巡り巡る。
寺社であるならば、警策を受ける事も出来るだろう。だが此処は寺社ではなく、地上でもない。
――ひとつ。ふたつ。
形だけでもと、崩れそうになる姿勢を正す。
――みっつ。よっつ。
外部の音は聞こえない。水が音を通す事はない。
――いつつ。むっつ。ななつ。やっつ。
姿勢を正しても、雑音に煩わされる事のない環境を整えても。
やはり心はざわついたままだ。凪ぐ事のない感情が雑念となって、思考を乱す。
――ここのつ。
息を吐く。感情の澱みを吐き出すように、長く。
――とお。
息を吸う。吐き出した分を取り戻す。
戻ってくる息と雑念に、結局は無駄な事だった、と半眼で見続けていた黒い仏に僅かに笑みを浮かべてみせた。
姿勢を崩し、緩く体を左右に揺らす。
正式な坐禅ではないのだから、合掌低頭する必要はないだろう。
息を吐く。小さな気泡がゆらゆらと上り、天井をすり抜け消えていく。
それを見送って、視線を戻し。変わらず佇む黒い仏にどうしよう、と声なく語りかけた。
答えはない。穏やかな、まるで眠っているようにも見える表情をして、黒い仏は黙したままだ。
帰りたくないな、と心の内で呟く。そろそろ帰らなければ、と非情な現実に泣きそうだった。
事の起こりは単純だ。
当主と比べられる事に疲れてしまった。ただそれだけの事。
特に当主の側仕えである男は、口癖のように当主との差異を指摘し、心安まる暇などありはしない。
そもそも人の脆い体を有している自身と比べる事が間違いなのだ。他の誰よりも短い年月で朽ちるはずのこの身を、道理をねじ曲げてまで留める事に意味はないだろうに。
後継など、他の兄弟だけで決めればいい。
思い出して、憂鬱な気分に肩を落とす。
側仕えの男から逃げ出して、男の辿り着けないこの場所まで来たが、ずっとこのままという訳にもいかないだろう。
静寂の支配するこの場所で、少しでも心を落ち着ける事が出来たならばと期待していたが、結局それも徒労に終わってしまった。
それならば今すぐにでも戻るべきである事が最善であるが、その先を思えば途端に体が重くなる。
本当にどうするべきか、と黒い仏に縋るように視線を向けるが、やはり何も答えはなかった。
不意に肩を引かれる。
振り返れば、長い髪を揺らした女の姿。困ったように眉根を寄せて、上を指さした。
どうやら迎えが来てしまったようだ。
一度頭を振り、のろのろと立ち上がる。
黒い仏に別れを声なく告げて、女に促されるままに部屋を出て上がり、水面に顔だけを出した。
浜辺を見る。
腕を組み仁王立ちしている側仕えの男を視界に入れて、嘆くように呻きを上げた。
「行きたくない。完全にお怒りだ、あれは」
「でも行って。そうじゃないと、私が怒られるもの」
「じゃあ、一緒に怒られて」
「嫌よ」
往生際が悪いとは思えど、遠くからでもはっきりと分かる不機嫌を露わにした男の元に戻る決心は中々に付かず。迎えに来た女に共に戻る事を頼むが、すげなく断られてしまう。
――と。
とぷん、と背後から何かが上がる音がした。
嫌な予感に、慌てて振り返る。
「な、んで着いてきちゃったかなぁ!?」
黒い仏がどこか申し訳なさげに、顔だけを出してこちらを見ていた。
「や、着いてきてもいいけどさ。何で何も言わないで来るかな!?ああぁ、ほら!水圧で目玉が飛び出してるっ!」
びろん、と飛び出した両目に、慌てて近寄り無造作に押し込む。少しばかり雑ではあるが、戻ったのだから問題はない。
元に戻った両目に、ふぅ、と安堵の息を漏らす。
ぽすぽす頭を撫でられて、手を引かれた。向かう先が男の元だと気づいて思わず顔を顰めるが、仕方がないとおとなしく手を引かれるままに陸地に向かう。
「頑張ってね。自業自得だろうけれど」
手を振り去って行く女を恨めしげに睨みつつ。
近づく男との距離に、出かかる溜息を無理矢理に呑み込んだ。
「一緒に来てくれるのは、ありがとうだけど。やな感じがしたら、すぐに逃げるぞ。あいつ、笑顔でときじくのかくの木の実を無理矢理口に押し込むようなやばいやつだから」
正確には木の実ではなく、肉片を喰わされたのだが。
男を見、振り返る黒い仏は小さく首を傾げ、ゆるゆると頭を振った。
まあ確かに。これから怒られにいくものの態度ではないな、と少しだけ顔を引き締める。
変わらず男の視線は鋭い。だというのに、その口元には笑みが浮かんでいるのだから、本当に恐ろしいものだ。
息を吸い。息を吐く。
頭の中でひとつ、と数を数え。
無駄と知ってはいるが、せめてもの心構えとして。
心を落ち着かせる。荒れる感情を鎮めていく。
海の終わりはもうすぐそこだ。
20240930 『静寂に包まれた部屋』
扉を開けた。
私を出迎えたのは暗くて静かな空間
呼吸音も物音も自分からしか出ることはない
空間を歩いても歩いても、何も無い
昨日まであった温もりも、気配も、笑い声も、何一つない
どの扉を開けたらあの温もりに、気配に、笑い声に包まれるのだろう
玄関ではなかった
お風呂場でもなかった
冷蔵庫でもなかった
残すは部屋の奥、透明な扉
扉を開けた。
休憩中の襟尾と津詰は椅子で斜めになりながら、ババ抜きをしていた。
「……ボス、どっちですか?」
「……」
「……」
「……、こっち」
「あっ」
「!くぁー!引いちまったー」
「おっ、いただきます」
「なっ、とられちまった!」
「あがりー!どんまいです、ボス」
「んなぁー、もう1回だ」
「えぇー、そろそろ仕事戻りません?」
「頼む!もう一回だけ!」
「しょうがないですねー、1回だけですよ」
「よしきた、次は負けねぇからな」
「望むところですよ!」
静かな街。
少し古びたアパートの2階。
駅からは歩いて10分、近くにはスーパーがある。
二人で過ごすのには少しだけ狭くて、一人で過ごすには広い部屋。
あの日までは貴方と私の話し声と笑い声が響いていた。
あの日、貴方が出ていった日から静寂が響いた部屋に久しぶりに賑やかな声がする。
一人で寝るには広いセミダブルには、久しぶりに自分以外の人。
気に入ったロフトには自分以外の人の荷物。
洗濯物も冷蔵庫にも人の気配。
静かな部屋
ずっとずっと静かな部屋でしかないと思っていた。
今日からはまた賑やかな部屋になりそうだ。
小学生の時の思い出。
「机に顔を伏せて。今、先生が言う事に心当たりある人は手を挙げて下さい。」
教室全体に響き渡る先生の声は、いつもふざけるあの子の事も、反発しているあの子事も無言で押さえつける。
「はい、伏せて。薄目あけたり、覗いたりしない。先生今から質問します。」と言う。
今は、どんな事を質問されたかは覚えていない。でも、怖く、恐ろしく、不安がいっぱいで、教室を出て行きたい気持ちになる。でも、それも許されれない。
ただ、早くこの時間が過ぎる事を願っていた。
10年後、偶然に小学校の時のクラスメイトにあった時。あの先生の話しになった。「あの先生、問題になってたって後からお母さんから聞いたんだよね。うちPTAやってたから。他の親達から聞いたみたい」と薄く笑顔。「へー。そうだったんだ。」と、つられて私も薄く笑顔。
私の中の何かが少し晴れる。
『静寂に包まれた部屋』
「お前いつから俺にそんな口を聞くようになったんだ」
「あんたのせいで私の人生めちゃくちゃだわ」
「いいかこれは躾だ、お前がグズだから躾けてやってんだよ」
「あんたなんか産むんじゃなかった」
その日のお父さんはいつもより機嫌が悪かった。いつもなら気にしないことも今日は気に入らなかったらしい。お腹や太ももにはできたばかりの赤々とした痣がある。痣はズキズキと痛む。
その日のお母さんはいつもより大変そうだった。怒って泣いたり、物を投げたりした。でも、それから逃げるともっと怒る。僕は黙って聞かないといけない。浴びせられる言葉は蛇のように纏わりつく。
気づくと目の前には倒れている人がいた。倒れている人たちは今日お父さんたちが来ていた服と同じ服を着ていた。顔は潰れているから誰か分からない。お父さんたちが倒れているようで少し心配になった。
お父さんたちはどこに行ったのだろう。つい先ほどこの部屋に来たばかりだったはずだ。いつの間に出て行ったのだろう。また来たら、今度は怒られるかもしれない。
けれど、いつまで経ってもお父さんたちは来なかった。僕が気づいた時、近くに金属バットが転がっていた。バットに着いていた赤い汚れはとっくに黒く変色した。
「僕はこれからどうしたらいいんだろう」
ポツリと呟いた言葉が部屋に響いた。
#静寂に包まれた部屋
全ては時を終えた…
ひとつひとつ片付け
何もなくなった部屋
あるのはそこここに見える思い出の軌跡
楽しかった…嬉しかったあの日
悲しくて涙した過ぎし日
全ては整い
蛍の光のように淡く消えゆく
そして私も鞄ひとつ
背中でサヨナラを…
静寂に包まれた部屋。
※死、ネタ B、L 司類 嫌いな人は飛ばして下さい。
静かだな。
僕は一人、部屋で呟く。
君がいた頃は凄く賑やかだった。
凄く。そう。煩いくらいにね。
僕は一人、部屋で泣く。
僕は君が好きだった。
好きだった。そう。今も、ね。
僕は一人、部屋で泣き叫ぶ。
こんな時は君が僕を慰めてくれたね。
優しく抱きしめて、慰めてくれたね。
僕は一人、部屋で後悔する。
君をなくした傷は癒えない。
こんな時君は、どうしてくれただろうか。
僕らみんなで泣く。
みんなで後悔する。
君が居ないと寂しいよ。
僕はみんなに責められる。
僕の所為で君をなくした。
僕を庇って君は居なくなった。
僕は一人、部屋で寝転ぶ。
僕は生き甲斐を感じない。
ねぇ。君が居ないと僕寂しいよ。
僕は一人、部屋で寝る。
どうやら僕は凄く綺麗に輝く一番星を無くしたようだ。
君が居ない部屋は
静寂に包まれた部屋 だ。
テーマ 静寂に包まれた部屋
金縛り 助け求める 奇声受け
笑い出す君 動き出す腕
______________
真夜中にウホッて言っちゃったよ。どこのジャングルの夢見てるかと思ったらしい。
「静寂に包まれた部屋」
君といたあの日は
狭くてたまらなかったワンルーム
君がいなくなった途端
どうして冷たくなってしまったの
すみません!後で考えます!
「静寂に包まれた部屋」
静寂に包まれた部屋
誰もいない静かな場所で泣いている。
静寂に包まれた部屋
部屋に響くのは自分の吐息だけ。後は、多少の鳥の囀り。施設の一番端の少し大きく、太陽の差し込む窓がステンドグラスのように輝き、反射された光で虹を創る。誰の声も届かない素敵な私だけの場所。そんな静寂に包まれた部屋は今日も私を誘う。
でも最近、子供の笑い声が入ってくるようになった。同じ施設内の子絡んで居ないせいで全く状勢がわからない。もしかしたら、遊び場所として設けられていた部屋が別の場所に、私だけの部屋に近いところに変わったのではないか?そう、簡単な予想を立てる。ついにこの静寂も潮時かと諦めながらも、他に居場所がないためなんとなくここに居座る。
「今日もだ。」
やはり、笑い声がする。毎日が変わり始めて何日かたち、そろそろ静寂が恋しくなった。いつものようにあの男の子の無邪気で優しい、大きな笑い声が聞こえる。そんなに面白いなら私も混ぜてほしい。きっと私からしたらつまらない、中身のない遊びだから。性格がひねくれ始めたことを感じる。
けれどいつしか彼の声を欲するようになった。部屋の真ん中から廊下側へ、ドアの目の前で崩した体育館座りをして、彼の優しく抱擁するような声を聞くのが日課となった。
何も見えない
何も聞こえない
何にも触れない
風も吹かない
ここはどこだろう
何も分からない
淡い光が見える
ここは水の中だったようだ
耳を澄ますとなにか聞こえてきた
「元気に生まれてきてね」
「静寂に包まれた部屋」
静寂な個室には、闇が包んでいた。
ある少女は膝を抱え、長い黒髪で顔が隠れた瞳から涙を流して自分の非力を嘆き消えていった友人《いもうと》のために泣いていた
ある茶色い髪を短く切りそろえた少女は、片足を立てベッドに座りひたすら虚空を眺めていた。その手には、紅い宝石がはまった首飾りが握られていた。
ある少女は、青年のような出で立ちとは違いペタリと地面に座り込み俯き、ポロポロと涙が木でできた床を濡らしていた。
ある青年は、両足を抱えじっと自分の闇をメガネ越しに眺めていた。
ある青年は、雨が降る庭に立ちひたすら木に拳をぶつけては俯いていた。⋯雨が涙を隠した。
『異世界物語のワンシーンより』
静寂に包まれた部屋
廊下からの光がかすかに辺りを照らす
外の騒音も遠くに聞こえる
体育座りで部屋の隅で存在を消しながら
この世界に私だけしかいないみたいだと思った
私しかいない部屋でただ心臓の音と呼吸音だけが響いてる
『静寂に包まれた部屋』
ぽつんと、机の上に置かれた紙。「離婚届」。その横には茶色い封筒と、手紙のようなものが置かれていた。
静寂に包まれた部屋に1人取り残され、私はその場から動くことができなかった。
『静寂に包まれた部屋』
数日前から、妙な噂が広まっていた。
近いうちに世界が終わるのだとか。
核兵器によるものか、巨大な隕石によるものか、宇宙からの侵略によるものか、そのどれでもない未知の事態が起こるのかもわからない。
そのせいなのか、今日は平日にもかかわらず休みとなった。
不思議なことに、全国一斉に学校も会社も官公庁も休みである。
理由は知らされていない。
それがまた噂の信憑性を増し、人々が戦々恐々と周囲を伺っている気配がする。
外にいてもピリついた空気に疲弊するので、部屋に籠もることにした。
喧しいのでテレビはつけない。
溜まっている未読の本でも読もうかと本棚の前に移動すると、不意に窓から指す陽射しが翳った。
空に大きな、いや、空一面を覆うほどの巨大な足の裏が、ゆっくりとこちらに振り下ろされようとしている。
皆気づいているはずだが、声を上げる者は一人としていない。
私もまた、静寂に包まれた部屋の中で、ただ呆然とそれを見ていた。
静寂に包まれた部屋にようやく帰ってきた。
誰もいない、私一人だ。
女の独り暮らしは危ないだの、結婚がどうのと周囲は五月蝿いが、この静寂と孤独感がなによりも変えがたい