静寂に包まれた部屋
部屋に響くのは自分の吐息だけ。後は、多少の鳥の囀り。施設の一番端の少し大きく、太陽の差し込む窓がステンドグラスのように輝き、反射された光で虹を創る。誰の声も届かない素敵な私だけの場所。そんな静寂に包まれた部屋は今日も私を誘う。
でも最近、子供の笑い声が入ってくるようになった。同じ施設内の子絡んで居ないせいで全く状勢がわからない。もしかしたら、遊び場所として設けられていた部屋が別の場所に、私だけの部屋に近いところに変わったのではないか?そう、簡単な予想を立てる。ついにこの静寂も潮時かと諦めながらも、他に居場所がないためなんとなくここに居座る。
「今日もだ。」
やはり、笑い声がする。毎日が変わり始めて何日かたち、そろそろ静寂が恋しくなった。いつものようにあの男の子の無邪気で優しい、大きな笑い声が聞こえる。そんなに面白いなら私も混ぜてほしい。きっと私からしたらつまらない、中身のない遊びだから。性格がひねくれ始めたことを感じる。
けれどいつしか彼の声を欲するようになった。部屋の真ん中から廊下側へ、ドアの目の前で崩した体育館座りをして、彼の優しく抱擁するような声を聞くのが日課となった。
9/30/2024, 9:44:31 AM