『雫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雫
嗚呼泣かないで。
お願い…。泣かないで…。
お願いだから…。そんなに泣かないで…。
君の雫を拭え無いから…。
もう君から溢れる雫を拭えるのは、僕じゃないから。
だからそんなに泣かないで…。
もう貴方に会えない。
この涙を拭ってくれる人は、もういない。
分かっている。
分かっているはずなのに、止まらない。
嗚呼…。誰か助けて…。
幼稚園の頃…
私はいわゆる「ど田舎」という場所で野生児として、のびのびと育っていた。
全校生徒7人なんて冗談みたいな人数の分校に通い、自由気ままに幸せな幼少時代を過ごした。
ただ…雨の日は別だった…
寂しく1人、山あいの道を歩く…
途中には墓地…木々がしげりトンネルのよう…古くて墓石も割れていた。
昔はビニール傘などなく、たった1人で
赤い布傘をさして歩いた。
どんどん雨が強くなる…一番怖い墓石の前に来た時、布傘は耐えきれず私の肩に雫を落とした…「ぎゃ〜!」一粒の雫は私を恐怖のどん底につき落とすには十分であった(笑)
【雫】
強い雨が窓に打ちつけるような荒天が好きだった。明瞭なはずのガラス越しの景色が歪んで曖昧になる、その様を眺めるのが好きだった。よく飽きないものだとあなたはよく呆れていて、わたしはそんなあなたの声を聞きながら、窓のそばに座り込み、嵐が過ぎ去るのをじっと待っていた。
そういう日々を、思い出す。やってきた嵐に耐える窓ガラスの上を、数えきれないほどの雫が滴っていく。不意に泣きたくなったのは、そうやって眺める景色の寂しさと空しさを知ってしまったからだ。わたしひとりで眺める荒天の世界は物悲しく、いつだって言い表せない不安に満ちている。ぽつり、ひときわ大きな雨粒が床に落ちた。背後からあなたの声は、聞こえない。
雫(6月4日)
雫って言葉、字が個人的に好き
思いつかなかった...
まるで雫のようにポタポタとこの手からこぼれ落ちる
ものはなんだろう
とても愛おしく思っていたのに
少しづつ僕の手から減っていく
あぁ...
この人とも駄目だった
【雫】
#雫
仄暗く重だるい 苦い過去
思いやって欲しいなんて考えてなくて
ただ少し楽になりたくて打ち明けた
無理矢理作った励ましや憐憫はなく
いつものあなたがそこにいる
私を潤す一滴の雫
雫一粒の落ちる音が、寺の朝の静けさを表すのです。
雫
最近よく泣いてしまう
昔は涙目で
泣きたくても泣けなかった
ということは
今の方が
辛くないってこと
確かに今の方が幸せだ
いつの日からか
涙線が壊れてしまった
目の前が雫で溢れて
止められない
私の雫を拭ってくれる
人と出会えるかな
_雫
空から溢れた涙も
僕の心の器が砕けて溢れた水も
僕を救うには力が足りなかった。
雫が零れて頬を伝う。
違う。これは涙じゃない。雨だもん。
泣くなんて、私らしくないじゃない。
別に大丈夫。私には友達、沢山いるから。寂しくなんてない。
別にあんた一人くらい、いなくなったって大丈夫。強がってるわけじゃない。だから早く行ってよ。
「…本当は寂しいくせに」
うるさい。寂しくなんてないって。だから早く。あんたの親が待ってるんでしょ。
「…わかった。また連絡するから」
あいつが乗った車のエンジン音が、雨音の中離れていく。
…最後まで、素直になれなかったなぁ。
全部わかってる。これは私の涙だって。本当は寂しいんだって。本当は、離れたくないんだって。
でも、あいつに囚われるつもりはない。
過去に囚われたくないし、過去を呪いたくない。
私もあいつも、今を生きてる。
またいつかの未来で、再開することがあれば…。
『雫』🧡
先輩にアドバイスをもらったとき。
コソコソと陰口言われたとき。
自分のミスで失敗をしたとき。
僕はたくさんの後悔をする。
そのたび1粒の雫が落ちる。
でも、この雫は。
僕を強くする成長への証。
【雫】
その一雫が
水溜りを作り
川へ流れ
海へ辿り着き
空へ昇ると
雲となり
また雫となって
ここへ戻ってくる
〚雫〛
自分は、雫って言う言葉をちゃんと知ったのは
最近。自分は雫の事を涙の魂だと思ってる。雫
は水の魂とも言われているんだけどね。でも、
涙の魂って言った方が素敵じゃない?水の固ま
りって言うよりも涙の魂って言った方が綺麗じ
ゃない?って思った。感じ方は、人それぞれだ
から口出しは出来ないけれど。雫って言葉は可
愛いと思う。でも、意味としてはよく分からな
い。雫って雨水が落ちるとも言われてた。さっ
きも言ったけど、感じ方は人それぞれ。何人も
共感出来る人がいて、共感出来ない人がいる。
やっぱり、世界って素敵だ。
髪のカーテンに囲まれ目の前には君の歪んだ顔、目からは涙が雫のように僕の頬に落ちてくる。
ああ……嗚呼!!
なんて綺麗なんだろう!!他人の泣き顔は嫌悪感が凄かったが君のはとても素敵だ!笑った顔よりも泣いている顔のほうが綺麗だなんて気づかなかった。早く気づけばよかったな……。これからどうやって君の泣き顔を見ようか楽しみだ。
---ああ。
今日、貴女の心にひとしずくの言葉が落ちました。
「私は今、幸福なのだ」と。
そうです、貴女は幸福です。
俺が生きていた時代のように、命の危険に日々晒されるわけではない。食べるものも着るものにも不自由しない。毎晩温かい寝床でぐっすり眠れる。優しく見守ってくれる多くの縁者や友人がいる。
貴女は気づいてくださったのですね。この時代に、この家系の家族に生まれたことこそが、俺たちからの何よりの贈り物だったということに。
【雫】
午後三時、さて、そろそろ出かける時間だ。
今日は朝から小雨の天気、今の空模様はどうかなと窓から外を覗いてみれば。どんより曇ってはいるけれど降ってくる雨の雫はもうなく、すでにやんでいるみたいだ。良いタイミング。
「行ってくるよレディ・グレイ、帰ったらディナーにするからね」
ルームメイトの猫にハグとキスで挨拶し家を出る。雨上がりのほどよく湿った空気が心地良い。
ライオンのようにやってきた春もすっかり羊に身を変えて、のどかで穏やかな今日このごろとなった。暑くもなく寒くもないパーフェクトな気候。川沿いを歩くと風にあたるけれど、やさしく撫でられているような感じでうっとりしてしまう。なんとなしに歩調をゆるめてまわりを見渡せば、薄暗い曇り空ににじむほのかな街灯の光や、ポツポツと点在する店の明かりがロマンチックな雰囲気を醸し出してくれている。そして川沿いに等間隔に植えられてあるドッグウッドの色鮮やかな赤い花。どれも今が満開で、灰色の風景にとても引き立って咲き誇る姿に目を奪われる。青空も悪くないけれど、こんな雲一面の空にも大いに心惹かれてしまう。無彩色だから色んなものが映えて見え、いつもとほんの少し違った世界にいるような気分になれるのだ。上機嫌で空を眺めていると、馴染み深いあるものがモワモワと頭に浮かんできた。なんだろう……?――そうだ、レディ・グレイ!彼女をルームメイトに決めたのは、彼女の全身を包むフサフサした長い灰色の、今の空と同じ色の美しい毛色に一目惚れしたからだった。考えてみると今の自分の状況は、好きなもの、心地良いもの、素敵なものばかりに囲まれている。なんて最高な巡り合わせのお出かけだろう!気づいた小さな幸せにほっこりし、レディ・グレイの不興を買わない程度にゆっくり寄り道して帰ろうと決めた。
春の日の、罪のない誘惑の悪戯である。
恋人の涙を、飲んだ。
毎日一緒にいるのに、「寂しい」と言ってあまりにも泣くから。
その雫を、指ですくって、
唇につけた。
恋人は、最後の雫を落として一瞬固まり、やがて状況を理解したのか真っ赤になって、また固まってしまった。
かわいいな、と他人事のように思って自分の唇をなめた。思ったよりしょっぱくなかった。
【雫】
『雫』
白銀の鎧を纏う騎士が黒い馬を操り荒野を駆ける。
王都近辺の森まで来ると、歩みを止めた。
「へシアン!」
不意に誰かが自分を呼び止める声がした。
金色の髪を持つ美しい乙女が
こちらへ駆け寄ってくる。
木々の間から差しこむまばゆいばかり
の黄金の光が、乙女をそっと照らす。
へシアンはその姿に目が眩んだ。
「姫様」
それは、とある事情から王城ではなく
この森で暮らす王女リディルの姿であった。
「まあ、どうしてここに?」
彼女は花が綻ぶような笑顔を見せたかと
思いきや、突如、顔を曇らせた。
彼の腕から滴り落ちる赤い雫を
見逃さなかったのだ。
「へシアン!貴方、怪我してる」
「ただの切り傷ですので、お構いなく」
「ダメだよ。傷を放っておくとそこから
悪い精霊が入ってきて、命を落として
しまう事もあるんだから」
へシアンはリディルに半ば強引に連れられて、
小屋までやって来た。
きれいな水をバケツに汲んで持ってきた
リディルはへシアンの傷から滴る
血を洗い流して、腕に包帯を巻いた。
「申し訳ございません、姫様」
「いいのよ!それよりも
あまり無理はなさらないでね」
「……承知いたしました」
暫くすると、今度は彼の愛馬を近くの
小川まで連れて行った。
疲れきった馬は、むさぼるように水を飲む。
リディルは、愛情をこめて黒馬の鼻先を撫でてやり、
体を草で拭いてあげながら、へシアンに問いかけた。
「兄さんは元気にしてる?」
「……近頃の殿下は、食事も睡眠もあまり
取られず、芳しくないご様子です。
国王が病床に伏せられてからずっと 」
「やっぱり、そうなのね……。以前お会いした時
よりも、やつれて顔色が悪かったもの」
リディルはそっと目を伏せた後、
澄んだ瞳で騎士を見上げた。
「へシアン、兄さんは貴方の事を
とても信頼しています。
だから、貴方が常に傍にいて支えてほしいの。
わたしはあの人の傍にはいられないから……」
「姫様……」
リディルはへシアンの手を掴んで
ぎゅっと握り締める。
「お願いへシアン。兄さんにも、貴方にも
無事でいてほしいのよ。
健やかに生きてくれたらそれだけで十分なの」
その言葉は祈りの様にも思えた。
ずっと抱え込んできた想いを打ち明けた事で
リディルの視界は霞み、頬に一筋の涙が伝う。
へシアンは、はっとして息をのんだ。
その雫を拭おうと手を伸ばしたが、
既のところで止めた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
城へ辿り着いたへシアンは、
主の前に跪き恭しく頭を垂れた。
「竜の雫を取り戻しました」
「ご苦労であった、へシアン」
ドレイク伯爵は彼の働きに満足気に頷いた。
近衛騎士団長へシアンには忠誠を誓う主が二人いる。
一人はこの国の王太子、
もう一人は目の前に立つこのお方。
「偶には比奴にも血を吸わせてやらんとな」
伯爵が己の瞳と同じ色を持つ赤い宝石を掲げると、
それはシャンデリアの煌めきを浴びて妖しく光った。
竜の雫
かつてこの地を支配していた竜が王家の先祖である
勇者に女神の剣で貫かれる際、瞳から流したとされる
古の宝石
竜の血が流れていない者が手にすれば
災いが降りかかるという呪われた石だ。
たった一滴の雫には様々な想いが込められている。
苦悶、憤怒、恐怖、悲哀、自責の念 ────
ふと彼は、
森で出会ったリディルの姿を思い出した。
家族のため、そして自分のために
涙を流してくれた優しき姫。
彼らを欺き、偽りの忠誠を向ける己に
彼女の涙を掬う資格などない。
騎士は心の中で自嘲して、頭を垂れたまま
大理石の床を静かに見つめていた。
「雫」
私の雫
頬をつたって
私の心に
沈んでく
雫の海
それでも
止まらなくて
私の海は
上昇中
雫
春のおわり
買い物帰りの
いつもの公園前
玉ねぎと人参が
重くてちょっとひと休み
桜が
静かに舞う
きょうは風が
穏やかだ
花びらは雫のかたち
ホントに
美しいよねえ
あなたは