緋夜莉

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雫が零れて頬を伝う。
違う。これは涙じゃない。雨だもん。
泣くなんて、私らしくないじゃない。
別に大丈夫。私には友達、沢山いるから。寂しくなんてない。
別にあんた一人くらい、いなくなったって大丈夫。強がってるわけじゃない。だから早く行ってよ。

「…本当は寂しいくせに」

うるさい。寂しくなんてないって。だから早く。あんたの親が待ってるんでしょ。

「…わかった。また連絡するから」

あいつが乗った車のエンジン音が、雨音の中離れていく。
…最後まで、素直になれなかったなぁ。
全部わかってる。これは私の涙だって。本当は寂しいんだって。本当は、離れたくないんだって。
でも、あいつに囚われるつもりはない。
過去に囚われたくないし、過去を呪いたくない。
私もあいつも、今を生きてる。
またいつかの未来で、再開することがあれば…。

4/21/2024, 10:43:22 AM