『雪』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雪
大雪で電車が遅延してもイライラしない人間になりたい
むしろこういう時にこそ、いつも定刻通りに目的地まで連れて行ってくれてありがとうと感謝の気持ちを伝えられるような人間になりたい
雪
(お題更新のため本稿を下書きとして保管)
2024.1.8 藍
《雪》
この国にとって雪とは他国民への『商品』であり、日々の生活を脅かす『脅威』となり得るものなのだ。
ここニクスは、雪に閉ざされた北端の小国である。
寒さによる影響で作物が満足に育たず、交通も天候に左右される。様々な物品の仕入先である貿易商も一ヶ月に三度訪れればいい方だ。
降雪など珍しくもないこの国だが、見渡す限りの雪景色は唯一の観光源となっている。
今は、一年の内最も大雪に襲われる、寒期だ。
寒期には観光客はおろか、貿易商すら一ヶ月に一度しか訪れない。
「……近年飢饉は起こっていないが、それだけだ」
幸い鉱山があり、資源や加工した宝石を輸出し経済源としているが、いつ底を突くかはわからない。
薬の材料として高値で取引される、この地域でのみ自生する植物は成長するまでに三年は掛かる。
国民の日々の生活を支えているのは、貿易によって手に入る他国の商品と——狩りだ。
ニクスの北は山々に囲まれている為、動物が多く生息しているのだ。
そんな、今日を安心して過ごすこともできない国。
それがこの、ニクスという国の実情なのだった。
「だが、天候などどうすることもできない」
「わかってるなら、さっさと国を出て行けばどうだ」
「その言い方は酷いと思うそ……」
悩みの種は、内政だけではない。
今こうして腕を組んで傍らに立つ彼。幼馴染であり主従関係にある二人だが、とても仲の良かった少年期と比べ最近は言い合いが多い。
原因は、国に留まるか否か、だ。
「前から言っているだろう! 俺は絶対にこの国を、民を見捨てたりなんかしない!」
「現実を見ろ、阿呆が。奇跡でも起こらん限りこの雪が解けることはない。そして雪が解けなければ、この国の商業は発達せず資金不足でやがて国は自壊する」
「……っ、それは」
正しいことを言っているのだ、彼は。
けれど、このニクスの国王として認めてはならなかった。それを認めてしまえば、王という道標を失った国の行先など想像に難くない。
「それでも、いや、尚更捨てていく訳には行かないだろう。俺には責任があるんだ」
「はいはい……それで実際問題どうするんだ? 言った通り、奇跡が起きない限りは無理だ」
呆れたように聞く彼を見つめ、ふと、一つの可能性に思い当たった。
「……奇跡さえ、起きればいいんだよな」
「起こそうと思ってできるほど簡単なことか?」
幼馴染は、現実を見ろ、と言い捨てて執務室を出ていった。
——その会話以降、この国は国でなくなった。
王のいない国など存在できないからである。
「くそっ! どこに消えたんだあの馬鹿野郎は」
幼馴染が姿を消して三日経ち、途轍もなく焦っていた。
執務室、寝所、中庭、城の中だけでなく街の外れまで探してもいないのだ。
思い当たる言葉はあれど、行動まではわからない。
「奇跡でも起きない限りはって……何回も焚き付けたからだ! 俺の所為でッ……!!」
幼馴染なら思考が全てわかるとでも思っているのか、奴は何も言わずに姿を消してしまった。
頭を冷やすか、と窓を開けた時、それは起こった。
「…………陽の、光……が……」
雪雲で空は固められていた筈なのに、隙間から光が溢れているのだ。
見れば、国民も動揺しているようで、皆空を見上げている。
「……嘘だろ」
次第にその輝きは増していき、人々の目に青空を映し出す。
それは等しく大地に降り注ぎ、雪を解かしていく。
何が起こったのかわからぬまま、国民の声が、歓声が現実だと騒ぐ。
「冗談だろ、いつもの。なんで。嘘だ、こんな」
意味の無い言葉の羅列は一つの、馬鹿げた、けれどもきっと正しい答えに行き着かせる。
——国王が、古代魔法で天候を変えたのだ。
その代償は、術者の命だという。
かくしてニクスという国は滅びた。
国王が他国へ逃亡したことによるとされた。
雪解けは、奇跡だとされ。
ニクスの民にとって雪とは、故国の象徴である。
とある青年にとって雪とは、幼馴染の仇である。
雪
雪国育ちのわたしは
雪の日の無音の世界を知っている
陽の光も通さない厚い雲
風もなく 人影もない
雪は音を吸い込みながら
山の麓に降り積もる
積もった雪が 膝あたりなら
まだまだ降るね 1月だもん
かの子
彼氏と一緒に学校の帰り道を一緒に歩いていると、雪が降ってきた。
雪嫌いなんだよね。
猫ではないけど、早く家に帰ってコタツに入りたいな。
そのとき私の頭に天啓が降りてきた。
これは利用できる、と。
私たちが付き合い始めて一週間、まだ彼と手を繋いだことが無い。
異性との交際が初めての私には、タイミングが分からないのだ。
だが今雪が降っている。
手を繋ぐ理由としては最適だろう。
雪よ、降ってくれてありがとう。
私は華麗に手を繋いで見せよう。
『寒いね』と言いながら、彼の手を握る。
完璧な作戦だ。
そうと決まれば話は早い。
あくまで自然に、さっと手を繋ぐ。
彼に気づかれぬよう、視界の端で彼の手をとらえながら――手が無い!?
よく見れば、彼はポケットに手を入れてらっしゃる。
そうだね、寒いもんね。
完璧な計画はあっけなく崩れた。
仕方ない、プラン Bだ。
向こうから握ってもらうことにする。
「寒いね」
「そうだな」
「はあー、寒いなあ」
「そうだな」
……おかしいな。
手を繋ぐどころか、話題が発展すらしない。
反応が悪すぎる。
遠回しに言いすぎたか?
しかたない。
もっと分かりやすくいこう。
「手が寒いなあ」
これでどうよ。
「俺も寒い」
なん…だと…
彼から予想外の答えが返ってくる。
そこは『俺が温めてやるよ』じゃないのか!?
私は結構分かりやすく、というかもう全部言っている気もするけど、どういうことなんだろう?
ひょっとして、私と手を繋ぎたくないのかな?
ちょっと落ち込む。
様子のおかしいことに気づいたのか、彼が声をかけてくる。
「調子悪いのか?」
あなたのせいです、とは流石に言えない。
手を繋ぎたいだけなんだけどな。
私が答えないのをどう思ったのか、彼はずいっと私に体を寄せる。
「……そこのコンビニに入ってで暖まろう」
そう言って、いきなり私の手を取り、近くにあるコンビニのほうに引っ張っていく。
「ちょ、ちょっと待って」
「寒くて調子悪いんだろ。寒いの苦手だって言ってたもんな」
彼は振り返ることもせず、私をどんどん引っ張っていく。
握られた手から彼の熱が伝わってくる。
彼は振り返らず、どんどん私を引っ張っていく。
そんな彼の耳が赤く染まっているのを見て、彼も緊張してるのかなぁと、場違いなことを考える。
そして、今私は彼と手を握っているという事実に気づいた時、頭の中でファンファーレが鳴り響いた。
「雪」
「道理で冷えるわけだな」
カーテンを開けて外を覗けば、街並みが白銀に輝いている。
「ほう、雪か」
肩に腕の重みがかかって、すぐ耳元で恋人の声がした。先程まで寒さで不機嫌だったくせに、妙に機嫌の良さそうな声である。
「雪が好きなのか?」
寒いのは嫌いなくせに。体温が低いからか気温が低いのが堪えるようで僅かに機嫌が悪くなる。だが言外に匂わせたそれは伝わらなかったようだ。
「雪は良い。白に鮮血が映えて、美しいからな」
上機嫌に続けられた言葉に納得する。ぶれない男だ。
「庭に冬薔薇でも植えるか」
ふと思いついて口に出せば背後の男が上機嫌に笑った。
その日は例年にない寒波だった。びゅうと身を切るほど冷たい風が辺りに吹きすさぶ。
立て続けに三度、くしゃみをしたニェナを、メイナードは呆れたような顔をして見ている。そんなあり得ないほど薄い格好をしていれば、くしゃみをするのも当然だろう。一瞬迷ったものの、彼は彼女に自分の着ていた外套を羽織らせた。厚手のものではないが、ないよりかはましだろう。
「メイナードさん……?」
口許をハンカチで拭いながら、ニェナは小首を傾げた。
「ないよりはましだろうから、羽織っていろ」
「メイナードさんは……?」
彼女の心配そうな問いに、彼は肩を竦めて答えた。
「お前よりは着込んでいるから、そう問題はない。気にするな」
本当に? と言いたげに彼を見つめていた彼女は、はっとしたように顔を背けると、口許をハンカチで覆った。くちゅんと肩を震わせてから、彼女はおずおずと言った。
「……ありがとうございます」
そう言いながら、ニェナは済まなそうにしゅんと肩を落とした。
ここで生まれ育って、もう両手では数えきれないほどになる。今までこんなに寒い日はなかった。ここは大陸の中でも温暖な気候の地域で、冬の季節でもこんなに冷えたことはなかったのに。
ニェナのしょげた姿を見て、メイナードはふっと口許を綻ばせた。大きな掌を彼女の頭に載せると、ぎこちなく撫でた。
「この寒波がすぐに去るとは思えないから……まあ、しばらくはその上に、少なくとももう一枚は着ておくべきだな」
こくりとニェナは頷いた。
ぽとりと鼻先に水滴が落ちたような気がして、彼女は空を仰いだ。
「どうかしたのか?」
頭上には曇り空が広がっているものの、雨粒は降っていない。気のせいだったかと、彼女は空を見上げたまま首を横に振った。
そのとき、ちらちらと白いものが雲の隙間から舞い落ちてくる。それは始めはちらちらと、徐々に量を増して降り出した。
彼は空を仰ぐと口を開いた。
「ああ……雪だな」彼女を見やると、きらきらした目をして、それをじっと見つめている。「初めて見るのか」
ニェナは彼の方に振り向くと、満面の笑みで頷いた。その彼女の笑みに釣られたように、彼も穏やかな微笑みを浮かべたのだった。
私は雪が好きです。
雪が降ると、雪山でスノボーがしたいといつも密かに思っています。笑
小さい頃に少ししたくらいで、もうどうすべるかは覚えていないのですが、、💦
また家族で一緒に出かけられたら嬉しいです。
雪といえばやっぱり雪だるまです⛄️✨
前に作った時は人参がなかったので、さつまいもを代わりに鼻にしていました。()
無事完成できて嬉しかったです♪
《ちょこっと話》
毎年雪が降ったら写真を撮って喜びをアルバムに収めています🥰
雪
夜空から白い雪が降ってくる。
あなたの肩にも、私の髪にも次々と降りかかる小さく凍った金平糖。
見上げれば、幾千幾万の白い雪片が、目の中に冷たく舞い落ちてきて、もう何も見えなくなった。
そばにいるあなたさえも。
#140
雪解け水のように透き通った肌に、
氷柱のように鋭く尖った目。
雪のように冷たくも繊細な性格をした彼女に、
恋をしてしまいました。
一度も恋に落ちたことのない自分が。
――全て、春の陽気のせいにしてしまおうか。
〜雪〜
雪
光が目に刺さる。
目を強く閉じ、今度はゆっくりと開けていく。
まだ目がチカチカするが、開けていられないほどではない。
「さて、行くか」
そう呟き、光を反射させてキラキラと光る雪を踏みしめ歩き出した。
なんとなく嬉しい瞬間
積もっている時はわくわくする
雪道で
出会っただれかに
灯をわける
あの日きみから
もらったように
「雪」
初雪を食べるために大きく開いたその口に、熱々のおでんをねじ込んでやりたい。うそだよ、ごめんね。
#雪
明日、降るかな?
天気予報では“確率は50%”って言ってた。
降るかもしれないし降らないかもだね。
こーゆう時って、てるてる坊主逆さまに吊るしとけばいいんだっけ?
そうだよ?だって降ってほしいもん。
綺麗じゃん、あたり一面真っ白で。
この時期だけだしロマンチックだし。
きみはそうでもないの?雪、嫌い?
……あぁ、たしかに。
それで電車停まっちゃったら、明日会えなくなっちゃうね。
それはやだな。
やっぱ撤回する。降ってほしくないや。
雪は綺麗だけど、そのせいで会えなくなっちゃうなら降らないでほしい。
いや、絶対降らないで。
今からてるてる坊主作っとく。
ちゃんとしたやつ。
いっぱい窓に吊るしとくから。
きみも、今日はちゃんと暖かくして寝てね。
これで明日、熱が出たからデートはキャンセルだなんて許さないからね。
楽しみだなあ、明日。
こんな長電話してる場合じゃないや。
おやすみ、また明日。
空は青く澄み渡り、ただ冷たい風だけが吹き抜ける。
ずっと待っているのに、出逢えない……雪。
雪が見たい。早く。この悲しみを白で覆い隠してほしい。
世界を塗り潰してくれ。
何も見えないくらいに、真っ白く。
『雪』
雪
子どもの頃は、雪が降るとワクワクした。
雪遊びしていると、
ずっと外にいて、
そのうちトイレに行きたくなる。
トイレに行くために家に帰ると、
もう帰ってきなさい!って言われる。
それが嫌でぎりぎりまでトイレを我慢した。
それも含めて楽しい雪の思い出。
paki
「雨ときどき雪。」/「愛ときどき嘘。」
立ちすくんだ僕と君の間に白い息が漂う。
目を閉じた僕に君の表情はわからないけれど、
きっと声を押し殺して泣いているのだろう。
どうして、も、なぜ、もなく、
君はただ悲しい笑顔を浮かべて、
わかった、と一言だけを返す。
背を向けて歩き出す君はあまりにも小さくて、
その身体を抱いていたはずの温もりは消えていく。
冬になれば思い出すだろう。
雪が降ればそれはより鮮明に。
夢のために君を捨てた僕を許さないで欲しい。
君を愛しているから別れる、なんて詭弁だ。
君の優しさに甘える僕は、ただ君を傷つけ続ける。
雨が雪に変わるように、愛を嘘にすり替えて、
君をがんじがらめに絡め取ってしまう前に…。
僕の声が聞こえぬ場所まで逃げて欲しい。
この手の届かぬ場所まで逃げて欲しい。
今ならまだ君を手放すことができるから。
【雪】
「雪」
ころころ
ぽろぽろ
藍の雲から舞いおりる
ふわふわで
まっしろで
少し、寂しい
すこし、冷たい
元気ですか、あなた
「雪だぁ!」
玄関を開けると白いのがはらはらと降っていて、俺はさみーなとしか思わないけど雪国生まれの君はものすごく嬉しそうな声を上げる。
雪なんて見慣れてるだろうに、君は毎年毎回そうやって声を上げて、俺はそのたびほんの少し機嫌が悪くなる。
灰色の空を見上げ、君は手のひらで雪の結晶を受け止める。目を細めて心から楽しげに。
俺の知らない、雪に馴染む君。いつか雪の国に帰ってしまいそうで不安になるんだ。
「なぁなぁ、積もるかなぁ」
「…知らねーよ。積もったら車出せなくなるからめんどーだろ」
そーだけどー。と不満な声を出す君を追い抜いて、俺は歩き出した。
君がどんなに雪が好きでも、返さない。
溶けて消えることなんて許さない。
▼雪