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「雪だぁ!」

玄関を開けると白いのがはらはらと降っていて、俺はさみーなとしか思わないけど雪国生まれの君はものすごく嬉しそうな声を上げる。
雪なんて見慣れてるだろうに、君は毎年毎回そうやって声を上げて、俺はそのたびほんの少し機嫌が悪くなる。

灰色の空を見上げ、君は手のひらで雪の結晶を受け止める。目を細めて心から楽しげに。
俺の知らない、雪に馴染む君。いつか雪の国に帰ってしまいそうで不安になるんだ。

「なぁなぁ、積もるかなぁ」
「…知らねーよ。積もったら車出せなくなるからめんどーだろ」

そーだけどー。と不満な声を出す君を追い抜いて、俺は歩き出した。

君がどんなに雪が好きでも、返さない。
溶けて消えることなんて許さない。


▼雪



1/8/2024, 8:27:54 AM