「雨ときどき雪。」/「愛ときどき嘘。」
立ちすくんだ僕と君の間に白い息が漂う。
目を閉じた僕に君の表情はわからないけれど、
きっと声を押し殺して泣いているのだろう。
どうして、も、なぜ、もなく、
君はただ悲しい笑顔を浮かべて、
わかった、と一言だけを返す。
背を向けて歩き出す君はあまりにも小さくて、
その身体を抱いていたはずの温もりは消えていく。
冬になれば思い出すだろう。
雪が降ればそれはより鮮明に。
夢のために君を捨てた僕を許さないで欲しい。
君を愛しているから別れる、なんて詭弁だ。
君の優しさに甘える僕は、ただ君を傷つけ続ける。
雨が雪に変わるように、愛を嘘にすり替えて、
君をがんじがらめに絡め取ってしまう前に…。
僕の声が聞こえぬ場所まで逃げて欲しい。
この手の届かぬ場所まで逃げて欲しい。
今ならまだ君を手放すことができるから。
【雪】
1/8/2024, 8:33:14 AM