『雨に佇む』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雨に佇む。
私が待っているのは、確かに存在したはずの母。
はぁ。何時間、何日、何ヶ月、何年もずっとここで待っている。
母はもういないのかもしれない。
だけど私の事を探しているのは間違いない。
そうとでも思わないと精神を保っていられない。
あとどれだけ待っていたら、この雨は止むのだろう
あとどれだけ待っていたら、心の雨は止むのだろう
そろそろ、迎えに来てくれてもいいのにな。
今日のお題
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雨に佇む
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昔から苦手だった雨と雷
遊んでお猪口になった傘を力技で直して閉じて
黄色い紐で首にぶら下げた鍵でドアを開ける
敢えて大きな声で言う『ただいま!』
無論、返事は無い
雨合羽にランドセル
気持ち悪くなった靴下を玄関に放置して
四つん這いの体勢で風呂場の横の箪笥へ
タオルを一枚取り出して足指の水滴から拭き取る
途端、雷鳴
既に室内に居て安全な筈なのに
言い知れぬ恐怖が背中から登って来る
何故か雷鳴と母親の金切り声が重なる
『あ、片付けなきゃ』
慌てて玄関まで戻りランドセルを拭いて部屋へ
雨合羽は水滴を払いながら軽く拭いてハンガーに
それでも雷鳴は収まらない
一人で居るのは怖いのに
テレビは点けようとも思わなかった
手短かな毛布と猫のぬいぐるみを抱えて押し入れへ
母親が早く帰って来ることを祈って
爆睡
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物語風?に昔の記憶を掘り起こしてみましたが…
(遠い目)
雨模様も雷様も現在でも苦手です
(白目)
(雨に佇む)
傘をさして歩く
自分の歩く音も、車の音も全部邪魔
せめて自分から出る音は消したくて
私は立ち止まって耳を澄ませる
天気予報では晴れだった。本日は一日快晴となるでしょう、と爽やかな表情で若手そうなアナウンサーが告げていたのを覚えている。
朝の記憶を反芻しながら、慌てて飛び込んだ三メートルほどの木の下で、小さく溜め息をついた。
最初はパラパラ。
次に、ボタボタ。
終いにドボドボ。
「……うーん。大災害」
アナウンサーの策略により傘など持っていない哀れな私は、大きな栗の木の下でひとり、立ち竦むしかないわけである。いや栗の木じゃないけど。たぶん。
一人で、しかも脳内でボケたところで相方はいない。けれど走って移動できるような雨でもない。暇すぎる脳は勝手に漫才をして時間を潰している。
空はどんよりしていて、まだまだ太陽は拝めそうにない。まあこの手のやつは、短時間と相場が決まっているのですぐにこの場から解放されるだろう。そう結論づけた私は自分の脳みそを遊ばせてやることにした。まあ、最近仕事忙しかったし? たまには無為なことに回路を動かすのも、いいだろう。
視線を周囲に動かす。傘を差して歩く人。黒のズボンの裾が更に黒さを増している。まあ、そうなるよね。
手で頭を庇いながら走る人。多分、いやどう考えても意味はなさそう。そして走っても残念ながら手遅れそう。濡れてないところが無さそうだし。
合羽を着ている人。か、賢い。天気予報では晴れって言っていたのに、なんて準備がいいんだ。かもしれない運転、やっぱり大切だな。
ふと腕時計を見やる。ここに逃げ込んで、もう三十分以上は経つ。外を見る、なんて必要もない。耳が拾う音はいつの間にやらドボドボ越えてゴーッ! である。世界の終末? セオリー通りならポツポツになっているはずなんだけど。
これ、無事に帰宅できるんだろうか。すべてを諦めて濡れる覚悟を決めるべき?
悩んで、もう少しだけここにいよう、と決めた。別に暇ってわけじゃないけれど。
使いたくもないことに使い続けた脳みそが、こういうのも悪くないねって語りかけてくるのだ。現状、乾いた体で帰ることができるのか問題に目を瞑ってさえしまえば、こんな時間も悪くないと思えたので、まあ。
もう少しだけ、佇んでいよう。
テーマ「雨に佇む」
佇むって言うと、その場で立ってるイメージが強い、気がする。まして雨に佇むのなら屋外のイメージ。
車移動中心の生活を送っていると、雨に佇むような機会がない。
雨に佇むのは、バス停で待っているとき。
もう遠い記憶。
いつも明るい君が
涙を隠すために
雨に佇んでいる
僕は隣に立って
傘で隠した
雨に佇む
しとしとと降り注ぐ雨の中、傘もささずに僕はその場に佇む。
でも、いくら待っても君は来ない。
―ふいに、身体に雨が当たる感覚が無くなった。もしかして、と思い振り返る。が、それは彼女ではなく同僚だった。
「なぁ、遥斗…。本当は、わかってんだろ?成瀬さんがもう、この世にいないこと。」
途端、彼女が死んだときのことがフラッシュバックする。いつまでも一緒に日本の平和を守ろうね、なんて言い合っていたのに…捜索中、彼女は被害者を庇って殉職した。
…成瀬、ほんとはね?僕、この国より君を守りたかったんだよ。
次こそは守るからさ、早く傘をさしに来てよ。
初めて会ったときみたいに。
#雨に佇む
明けない夜は無い。
止まない雨は無い。
世間はそう言う。
絶望の中に希望の光を見出そうとする。
何があろうとも前を向こうとする。
「きっと」
「いつか」
「今度こそ」
明日はいい日になるだろうか。
終わらない作業はない。
果たして本当にそうなのだろうか。
それなら目の前にある山の様に積まれた課題は?
終わりの見えない宿題は?
台風の直撃を受けた夏休み最終日。
少年は悲鳴をあげていた。
「雨に佇む」と聞いて私は何もわからなかった。佇むの意味も読み方もわからなかった。調べてみると意味はしばらく一箇所に立ちどまるという意味があると知った。読み方は「たたずむ」だそうだ。
雨"が”佇むはわかるが、雨"に"佇むは最初は理解できなかった。考えてみると、私は雨という困難の中でずっと立ち止まっている状態なのかなと思った。けどよく考えてみると、雨という状態にわざとしていると思った。雨は嫌だと思っていたけれど、雨がこの大地を潤すように、私の心を潤してくれているような気がして嫌いにはなれない。だからたまには雨の中でも晴れの中でも、雨の力をもらいに行くことも忘れないようにしていたのかも。
《天泣、又の名を》
(刀剣乱舞/小狐丸)
空に雲がないのにも関わらず、雨粒が頬に当たった。
万屋に審神者と共に訪れていた小狐丸は、審神者の手を引いて屋根の下へ逃げ込んだ。
間もなく大粒の雨が降り始めた。
しかし空はやはり晴れている。
「天泣...天気雨...狐の嫁入り、ってやつだね」
と、審神者がケラケラと笑うので、小狐丸は悪戯をしかけたような笑みで、
「狐に嫁入り、されますかな?」と返すと、審神者は「しないよ」と返す。
けれども、佇む審神者の姿を見れば《欲しくなる》のが、この小狐丸だと言うことを審神者は知らない。
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100人を超える「♡」誠にありがとうございます。
拙い文章となりますが、可能な限り全振りのメイン作品を書けるよう努めて参ります。
これからも応援の程、よろしくお願いします
瑠璃
雨に佇む
雨に近くて
雨音よりも遠い
静けさはなく
冷たさが広がってる
雨だって知ってたから
少し早くに出かけて
休める場所で眺めている
雨が通り過ぎた後に
雨だったなって思い出す
雨の後には雨の笑みが待ってる
#雨に佇む
君と歩いた雨小道
ひとつの傘で歩きたくて
傘が壊れた嘘をつく
“風邪引いちゃうから”
その言葉に期待した
目を伏せながら、身を寄せる
“バイバイ”
傘と言葉を残して
君は遠くへ走ってく
しばらくの間
君の消えた白い闇を見ていた
もう君の姿なんてないのに
雨に佇む
君のくれた傘を
花に落ちる水滴を
ぼんやりと眺めながら
君が悪いわけじゃない
私が勝手に思ってしまっただけ
妄想は夢の中に留めておくべきだった
_でもさ、
小さな水たまり
一粒の雨が
そこに溶けていった
【雨に佇む】
ショッピングモールを出ると大雨が降っていた。
いわゆる急に降る夏の夕立か。はぁとためいきを一つこぼしながら、予想時間より早いじゃないかと朝にやっていた天気予報が少しばかり憎くなってくる。
両手には少し多すぎるくらいの買い物で手にいれた荷物を持っている。そして手元には折りたたみ傘はある。
だが、生憎風が強く吹いていて雨が斜めに降っている。そんな光景にしばらく佇んでいたが、今からどうしようか頭を回転させる。
危険を冒してけがをするのも嫌な為、ショッピングモールの中にあるカフェで時間をつぶすことにする。
カフェオレと軽食を注文し、夏の終わりに最近、急な雨降りが多いなぁなどと考えながら小一時間を過ごした。
どうだろうと外に出てみると、風の勢いは収まり、雨は止んでいた。
今だと、駐車場へ急ぐ。
でも雨が上がった後は涼しく、ふと空を見上げると、綺麗な虹が架かっていた。
まぁ、たまには雨もいいか…
傘のあひ 雨に佇む ただ独り
逸り翳せど 穴の空いたり
15.雨に佇む
雨が降った時は
ん〜ぱっ、ん〜ぱっ、
ってそれトトロやないかーい!
待ち人は
まだ来ない
多分いつまで待っても
ここには来ない
………雨に佇む
眩しいほどの水色がみるみるうちに濁ってゆき、先程まで青く光っていたビルに水滴が伝う。
やがて灰色は人を覆い、車を覆い、ビルを覆う。あんなにくっきり見えた建物は、淡い白に見える。
人の波を呑んだ湿気がビルの中に充満している。人々はいつも通り働くも、なんとなく頭や四肢が重い。雨には内をぼやけて見せる効果があるのだ。
まだ雨は止まない。降り頻る雨がビルを流れる。人という呼吸を鈍くさせることで、雨はビルを支配する。
それでもビルは生き続ける。白い窓にどれだけの雨がかかろうと、ビルがビルである以上、そこに在り続ける。
血濡れた正義
正義、と悪。
その間というものは見つからないのだ。
結局この世の中は正義か悪しか無いのだから。
普通に見たら正義としか思えないものも、もしかしたら『悪』になるかもしれない。
悪も『正義』となっているのかもしれない。
「よっしゃー!!この戦い、我が国の勝利だー!」
真昼頃、国民の歓声が空を響かせた。
隣国では悲しみに暮れていたのだった。
「人類は数々の罪に手を出し、犯罪者となった。
もう一度、瓦礫の中から旗を揚げることなど、繰り返してはいけないだろう。
これはこの国の総統として清く死んでいくのが
この国を代表とする者として、一番の最期だろう。」
我々は正義にはなれなかったんだ。
雨に佇む、失恋の色よ。
どうか、どうかまた、あの子の隣に居させてよ。
あの男の子は今元気ですか?
神隠しなんてしないで欲しかった。
私は、どうしたら良いのか。
鳥居の前で神社に行けない私を許してよ。
愛しの貴方へ。
"待ってるね!"
あの男の子の声が木霊する日を何度も繰り返す
日々を欲しくなかった。
手に持っている傘に
水滴を弾く音が強く響き続ける。
ばらばら。ばらばら。
内側から覗く外は、どこも鈍色。
まるで彩りが失われた世界みたいだ。
報せを聞いたのは四日前。
予定をこじ開けてようやく現場に来た。
既に供えられた花束の数々。
美しい花弁は、今日の雨で散ってしまったようで。
それをただ見つめることしか出来ない。
何も知らない人たちは、避けるように歩いていく。
置かれた花を一瞥し、日常へ戻っていく。
すぐ横を走る車の音
すれ違う人たちの話し声
街中で流れるモニターの音
全てに置き去りにされる。
其処に佇んだまま。
雨音が、響いている。
───『雨に佇む』(2024.08.27.)