しとしとと降り注ぐ雨の中、傘もささずに僕はその場に佇む。
でも、いくら待っても君は来ない。
―ふいに、身体に雨が当たる感覚が無くなった。もしかして、と思い振り返る。が、それは彼女ではなく同僚だった。
「なぁ、遥斗…。本当は、わかってんだろ?成瀬さんがもう、この世にいないこと。」
途端、彼女が死んだときのことがフラッシュバックする。いつまでも一緒に日本の平和を守ろうね、なんて言い合っていたのに…捜索中、彼女は被害者を庇って殉職した。
…成瀬、ほんとはね?僕、この国より君を守りたかったんだよ。
次こそは守るからさ、早く傘をさしに来てよ。
初めて会ったときみたいに。
#雨に佇む
8/27/2024, 10:37:29 AM