『雨に佇む』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「弱虫」
私は昔から、人と関わるのが苦手だった。
私は人より20㎏くらい太っていた。自分の体型がコンプレックスで、何度も死にたいと、消えたいと思っていた。つい他人からの評価を気にしてしまい、気付いたら臆病になっていた。誰かと話すのが怖くて、学校にも行けなくなっていた。だけど、私はいつだってヘラヘラ笑って居なきゃいけない。周り迷惑はかけちゃいけない。心配をかけちゃいけない。そう考えてるうちに、私の心は壊れていった。何も聞きたくなくて、イヤホンを毎日付けるようになった。都合のいい話しか聞かなくなった。体型のせいで、私の性格のせいで好きな人なんてひとりも出来なかった。なのに、周りに合わせて、私はあの子が好きだよ~とか言って自分を偽る。そんな日々に疲れて逃げた。皆にハブられるのが怖くて、虐められた事があって、親友に裏切られたことがトラウマで、全部から逃げた。私は弱虫だ…。
ねえ、かえろうよ。
冷雨に濡れる君の背に向けて掛けた言葉は、雨音に掻き消されて届かず。
かぜ、ひいちゃうから。
君は動かない、濡れそぼったシャツの袖から伸びた腕は青白く微かに震えていた。
もう、かえろうよ。
すり抜けてしまう自分の両腕で、冷たい君の身体を抱きしめる。
冷たくなってしまった君の心と身体を、少しでも温めることが出来たら、と思いながら。
かえろう。
この冷たい墓石の下に自分は居ないのだと、目の前の君に伝えることが出来たなら、どんなに幸いだろうか。
テーマ「雨に佇む」
もうすぐ夏休みも終わる。
去年のお盆明けに川に転落死をしたおじいちゃん。
お盆明けというなんともなタイミングで死んだおじいちゃん。
わりと近所に住んでたし、転落した川に来てみた。
土手に座ろうと思ったけれど暑くて無理。
仕方ないから橋の下の日陰に行くと、ドーンと大きな音と光で近くに雷が落ちたよう。同時に豪雨。
もう、毎年の事だしちょっとやそっとじゃ驚かなくなった。
川の水が急に増えたりしないかなぁと、辺りを見渡すと、川の反対側にカラスが一羽雨宿りしている。
カラスと目が合ってる気がする。
じっと見つめ合うカラスと私。
カラスと目が合った時、逸らした方いいのか逸らさない方がいいのか…
まぁ、カラスから威嚇する様子もないし。大丈夫かな。
河原の石の上に腰を下ろして、川を眺め、雨を眺め。
カラスもアッチへチョンチョン。コッチへチョンチョン。すると、雨の当たらないギリギリのところで立ち止まる。
カラスの家がある方なのか心配そうに森の方を眺めている。
その姿が、なんとなく家を守ろう。家族を守ろうとしているように見えて、なんとも綺麗。
凛とした佇まい。じっと遠くを見つめる強い目。
カラスのくせにカッコいいじゃないか。
きっとオスだな。
嫁カラスと子カラスの心配してるんだな。
と、勝手に想像する。
私にはお父さんがいない。だからおじいちゃんがお父さんみたいな感じだった。
こんな風に雷がなると、『大丈夫?』って電話を毎回かけてくれてたおじいちゃん。
小さな頃、雷が怖くて泣いていた私のままだと思ってたんだよなぁ。
おじいちゃんに会いたいなぁ。
カラスのお父さんよ、子は成長するからね。カラスの人生楽しんで、長く生きてくれよーと。
未だにじっと動かず雨に佇むカラスにエールを送る。
お題「雨に佇む」
数年前にネット上のパズル系ゲームにはまってた
パソコンを開けばかなり時間を費やした
そのうちの絵合わせ的なものの素材のひとつに
いつも心を捉える写真があった
モノクロで女性が傘もささずに雨の中立っていた
その写真が出てくるたびにまじまじと見てしまう
時間制限いっぱい使って
ゲームオーバーになるまでただ見ていた
もうそのゲームはなくなってしまい
その写真にお目にかかることはなくなった
ハッキリとした記憶もだいぶ薄まり
どこに何に魅力を感じていたのかわからない
時々ふと思い出し検索して探したりするけれど
やっぱりお目にかかることは未だにない
薄らいでいく記憶の中の写真
いつか見つけ出せるだろうか
雨に佇む
急な雨が降ると
普段は何となく見ているちょっとした屋根に
人が集う
皆同じ格好をして
あぁ、生き物だったと思わされる
雨に佇むわ
真綿のような
縫い針のような
細く生ぬるい
まっすぐな雨に
トレンチコートの腰は細く締め
ハイヒールと
それとお揃いの真っ赤な口紅を引き
濡れた黒髪は艷やかにまとわりつく
ウイスキーを煽り
溶け出して潤めいた氷をさげずむ
私は片付いたばかりの食卓に肘を付き
壁の窓の向こうを眺める
ぼんやりと
ただぼんやりと
たったいま産まれたばかりの別の私に
あの日観た、あの映画のあの女に
どうすれば
このくだらない魂を宿すことができるのかと
ぼんやりと
ただぼんやりと
車の弾く、かすかな雨音を聞きながら
わりと真剣に考えている
「雨に佇む」
雨に佇む。
雨粒が頬を伝い、涙と紛れて零れ落ちる。
湿気を帯びた雨の空気が鼻を覆い、息苦しい。
前の景色が水滴でぼやけ、見えなくなる。
この悲しみも、洗い流してくれたら良いのに。
ぼつぼつと、少し重さのある雨粒が服の袖を濡らしていく。
傘を忘れた。
一度目、駅に向かう途中で降られる。二度目、最寄り駅に着いて家へ向かう途中で降られる。
心の中で、壊れたようにあははと笑う。
そういえば、昔の映画で男性が雨の中楽しそうに踊っているのを見た記憶がある。
スマホで検索してみると、『雨に唄えば』と出てきた。YouTubeで動画をタップすると、イヤホンにお洒落なメロディが流れる。それにのって、軽やかなリズムで歩き出した。
どうせ笑うなら、やっぱり楽しく笑いたい。
イヤホン、家に着く頃には壊れているだろうな。
あはは。
雨に佇む
雨に佇む猫、
というふうに書き出そうかと思ったけど
なんだかその光景をイメージしたら
猫が可哀想すぎて
書けなくなっちゃったよ
雨に佇む、
…カタツムリにしておくよ
カタツムリ、最近見ないんだよね
どこかで幸せに暮らしててくれればいいな
あきかぜ
雨に佇むその姿は
今の私によく似合う。
雨、好きなんだよね。
全てを洗い流して
明日への澄みをくれる。
澄み切った青空に言いたい
ありがとう、って。
大きな声で言いたい。
辛さ感じる時間を
幸せ気づける時間に変換したい…
テーマ「雨に佇む」
【雨に佇む】
嵐のように雨が吹き荒れた日だった。
静まり返った公園で、君がずぶ濡れになりながら空を見ていたのは。
「ね、ねぇ、ちょっと」
僕は慌てて声をかけた。
どうしたの? 何してるの? 風邪ひくよ?
なんて言おうかなんて思い付いてない。ただ、雨に濡れるのは悲しい事だと思っていたから、急いで傘を刺したんだ。
なのに、君は。
「どうしたの、良い天気なのに」
と惚けたように話すから、僕は面食らってしまった。
なんだって?
良い天気だって?
「どこをどう見たらそうなるんだ」
「私にとっては良い天気なんだよ」
ふふふ、と笑う君に僕はついていけない。
とりあえず傘を刺したまま、僕は彼女の隣に立つことにした。
近くの道路からは車の行き交う音がする。
たまに道を散歩する人が通りかかったが、挨拶をすることもなかった。
「あのね」
君が話しだす。かなり時間が経っていた気がした。
「なんだい?」
「あなたは忘れているかもしれないけど、雨の日は私たちが初めて会った日なの。私にとって雨の日は、幸せの日なのよ」
君はチラッと僕を見ると、また空を見た。
「雨が止んだら私は帰らなきゃいけないから……本当は止んでほしくないんだ。だからもっと降ってほしいなって空を見ていたの」
「なんだ……そんな事で」
「そんな事じゃないよ」
今度は、しっかり僕を見て……彼女は笑った。
「雨でも降らないと、あなたは私のこんなにそばにいてくれないでしょ?」
そんな事は、ない、とは言えなかった。
話すのはそんなに得意な方ではないから。
「もうちょっとだけそばにいてね」
それだけ言うと君はどこか満足そうだった。
僕は、どうしようか。
なんと返事をしていいかわからないまま。雨が止むまで肩が触れそうな距離にいた。
お店に入る前から雨雲が怪しい…とは思ってたのだけど、お店の商品に目を奪われてからは、天気のことなど頭からすっぽんと抜けていった。
ようやくお目当てのものが買えてホクホクとしながら出入り口に向かうと、まだ雨は続いていた。
「まじかー…」
傘は持ってこなかった。否、晴雨兼用の日傘は持ってるのだが、なにせ小さい。ついさっき、素敵なものを買ってきたばかりの紙袋。
にわか雨ならまだよかったのだが、残念ながらゲリラ豪雨である。
こうして雨に佇む人間が一人出来上がって、それは雨が続いて時間が経つほど人数が増えてゆく。
隣にあるスタバへ移動しようとするが、私と同じ考えだったのか、雨宿りとして使う人で行列ができていた。これでは当分は座れそうもない。
仕方なく、再び商業ビルの中へ戻る。このまま雨止むまで突っ立ってるよりは、いくらかお店を見回る方が楽しいだろう。
歩き疲れる頃には、晴れることを願って。
小雨の中、バス停でバスを待っていた。傘を持つ手の指先が、靴のつま先が、徐々に雨の温度に慣らされていく。
体全体が雨に包まれて、このまま消えてしまいたい、と頭のどこかでぼんやりと思った。
時折聞こえる車道の音。ひと気のないバス停。
雨に佇む。
君が病に倒れた時、俺は狼狽え動転し、君になにもしてあげることができなかった。
「そんなことないよ」
再び俺の隣に寄り添えるようになった君はそうやって柔らかく笑うけれど。
「まぁ確かに? 君は医者でもないしこの病の経験者でもない。僕もほら、あえて君に頼ることはしなかった。みっともない姿を見せたくないって気持ちもあったしね」
「強いよな。知ってたけど」
「強くないよ」
全然強くない。
「苦しくて苦しくて…そしてふと顔をあげるでしょ。そうしたら目の前に君がいるような気がして、雨の中でひとり佇んで泣いてるような気がして、ああ早く治さなきゃって思ったんだ」
「俺はそんなに弱くないぞ」
口を尖らせて言ったら、君は目を細めて笑った。
「知ってるよ。弱いのは、そんなことを思う僕……」
雨に佇む
雨が降ればどこか遠くへ行けるのに
嫌いにならないでと泣いた君
嫌いにならないよと笑った君
雨に佇む
真夏の夜
家に帰らなかったから
大粒の雨と過ごす事になった
大きな雨の粒が容赦なく
自分に降りしきるこの感覚
子供の頃にもあったな
急な雨に
傘を届けてくれた祖母
そして
届く事は無くなり
周りとの違いを実感した
あの日は
私を少しだけ強くした日だった
暖かい雨の感触と
夏の匂いは 今も
あの頃のまま
雨に佇む
雨が温かく感じるほど
私は冷たいのだろう
何も考えない脳を
洗ってくれたならば
明日は晴れると思えるだろう
円の中から一歩踏み出せる
風を待っている
「雨に佇む」
しとしと降る雨です
薄暗い地上に降り注ぎます
傘をさしていない人が一人佇んでいました
頬を伝うのは私の雨なのか、彼の雨なのかはわかりません
雨に佇む。今日はお題を無視してジャンプの感想を短めに書いて終わらせよう。
この日記は習慣化するためにある時期から大体同じ時間に書いてるんだけど今日は書く時間にエアコンの工事が始まった。別の時間に書くこともできるけどそれはあまりしたくない。
今週は鵺の前にワンピ呪術がなかったから鵺を最初に読んだ。センターカラーいいね。主人公の能力が覚醒してページが明るく、白くなるシーンが印象的でよかった。
呪術は気になるワードは出たけど特に語ることないな。つなぎの回というかための回なのかな。
雨に佇む
毎年梅雨前から
ゲリラ豪雨が頻発していた。
そんな中
雨宿りしている女を見て
声をかけてみた
[ 凄い雨ですね ]
女は
[……]
何も喋らなかった。
男にとってそれが恋だった。