君が病に倒れた時、俺は狼狽え動転し、君になにもしてあげることができなかった。
「そんなことないよ」
再び俺の隣に寄り添えるようになった君はそうやって柔らかく笑うけれど。
「まぁ確かに? 君は医者でもないしこの病の経験者でもない。僕もほら、あえて君に頼ることはしなかった。みっともない姿を見せたくないって気持ちもあったしね」
「強いよな。知ってたけど」
「強くないよ」
全然強くない。
「苦しくて苦しくて…そしてふと顔をあげるでしょ。そうしたら目の前に君がいるような気がして、雨の中でひとり佇んで泣いてるような気がして、ああ早く治さなきゃって思ったんだ」
「俺はそんなに弱くないぞ」
口を尖らせて言ったら、君は目を細めて笑った。
「知ってるよ。弱いのは、そんなことを思う僕……」
雨に佇む
8/28/2023, 3:01:36 AM