『鐘の音』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
手を伸ばす。これが世界だ。
目を細める。これも世界だ。
世界とはあまりにも狭過ぎる。
息を吸い、気紛れに息を吐く。
鼻腔を通り、舌で感じる。
熱が世界に伝った。
世界を変える。変えてしまう。
変えたところで、求めるモノは何も無い。
ふと、耳に音が伝わった。
視線を動かせど何も無い。
何処ぞの「鐘の音」が世界を拡げる。
求めるモノは、此処には無かった。
俺と彼女のための追悼の鐘の音が鳴り響く。
参列者たちは悲しみに暮れるが、俺たちにとっては鐘の音は別の意味を持っていた。
俺と彼女は軍人だった。互いによき相棒であり、安心して背中を預けられる間柄だ。
二人で一人と言っても過言ではないだろう。
そんな強い信頼関係で結ばれていた俺たちだが、本当はその先へと進みたかった。
しかし、軍務において、私情はときに自分たちだけでなく仲間の命をも危険に晒してしまう。
だから、俺たちはどちらも本当の想いを口に出さないでいた。
ある戦場で、俺と彼女は共に命を落とした。
俺と彼女の遺体は回収され、教会で葬儀が行われた。
鐘の音が鳴り響く。追悼の鐘に参列者達は涙を流しながら俺たちを見送った。
だが、俺と彼女に悲しみはなかった。
軍人という立場から解放されたこの先の世界では、もう気持ちを偽らなくていい。
祝福の鐘の音に包まれて、俺たちは手を繋いで新たな世界へ旅立った。
#鐘の音
鐘の音がさっきから頭の中で鳴り止まない。
あゝ、私は死んでしまうのかな。
そんなことをぼんやり考えていたら、急に母の声がした。「目覚ましうるさいよ!もう早う起きなさい!」
あ、そっかー。だ、よねー。
目覚まし時計を止めて、ふとカーテンを開けると、空は真っ黒だった。まだ夜じゃないか。よかった、また寝られる。私は安心して、深い眠りについた。
僕たちが住むこの村には時計がない。村の真ん中にある僕の身長よりもはるかに高い鐘。二時間に一度、最も外れにある僕の家までしっかり響き渡る。
それが、この村の時間であり掟だ。毎日、毎年寸分違わず鳴り続ける。その鐘の音を頼りに朝起きて、仕事をして、ご飯を食べる。太陽がすっかり沈み月が輝く夜も、森の中の狼や梟が蠢き出す真夜中も一日たりとも休まずに。その事実を誰も疑う者はいない。
その鐘を整備し続けるのは僕の一族の使命であり責務だ。こう言えば聞こえはいいだろう。きちんと作動しているか確認するために1秒も満たない行為のために、誰が喜んで六六六六段もある階段を毎日昇降したいと思うのだろうか。
他人に押し付けたいような嫌な使命を拒否することも出来ずに、今日も階段を登り続ける。それが僕の日常で、村に住む住人はそれを静観し続ける。
そんな日常を、今日壊すのだ。核を視界に定め、手に持った木槌を掲げて振り落とす。僕は、僕の非日常を取り返す。
お題:鐘の音
今日は、彼とデート!
お昼を食べたりゲームセンターでプリクラを撮りそれで少しゲームセンターで遊んだ。
だんだん夕方になり鐘の音が聞こえた。
彼とバイバイする時間が来てしまった…
彼は笑顔で「また逢おう!」って言ってくれた。
その言葉が嬉しかった!
次はいつ彼に逢えるのか楽しみだ。
キミのことを知るたびに
ボクは我儘になっていた
2人の時間が増える毎に
愛しさは大きく膨らんで
苦しみとの狭間で揺れる
この感情は何と言うのか
最初はそばにいるだけで
それで充分だったはずだ
支配をしたくなる欲望も
不安な心も必要ないんだ
振り払ってはくれないか
純粋な愛を残したいのだ
『鐘の音』
あなたへの感情を押し殺したら
あなたへの愛は消えると思った
無理だった
「鐘の音」
鐘の音
その音が鳴る時
私は貴方と永遠の愛を誓う
病める時も、
健やかなる時も、
どんな時も支え合うことを誓って。
来世でも貴方に逢えますように、
そっと貴方に耳打ちした。
そして私達は、
本当の永遠を誓ったのだ。
大晦日。煩悩の数、鐘が鳴る。107回、12月31日に鳴る。1回、1月1日に鳴る。煩悩は、どうなってもなくならない。
人間が生きるためには必要なものだから、仕方がないか。
#鐘の音
「鐘……かね……?!」
某所在住は鐘をネット検索しながら、どこかに書きやすい抜け道など無いか思考を巡らせた。
「『鐘(しょう)』なら寺にあるみたいな釣り鐘、
『当たり鐘』であれば福引等のガランガラン、
ハンドベル、振り鈴も構造としては『鐘(ベル)』。
ドア開いた時のチリンチリンは『ドアベル』か」
今日も手強い。難しい。なおも鐘を漁る物書きの目に、ウィキの文章、その一部が留まった。
「『風鈴とは、日本の夏に家の軒下などに吊り下げて用いられる小型の鐘鈴』、『鐘』鈴……!」
――――――
明日明後日あたりから、東京は翌週水曜日あたりまで雨の予報。当分出歩けないだろうから、今日のうちに買い出しすべき所に買い出しに出て、補充すべきものを補充して、ちょっと髪整えてもらって、
ある程度気温の下がった夜10時に、ぶらり何か新しい小物を買いに外へ出た。
日中に比べれば6℃くらい下がったけど、それでも完全熱帯夜。東京の夏は本当に暑い。
オーロラガラスのコップとか、新しい携帯ファンとか、涼しい系のサムシングを新調すれば、ちょっとQOLが上がる気がした。
100均、アンティーク、雑貨屋さん。色々見て、最後に行き着いたのが、ガラス製品の専門ショップ。
チリンチリン、チリンチリン。
来店した時の、強化ガラスかもっと別の素材か知らないけど、ともかく風鈴みたいなドアベルが、すごくキレイで、かわいかった。
「そうだ、風鈴!」
ガラスの風鈴買ったら、カワイイし、涼しいかな。閃いた私は早速風鈴のコーナーへ。
私好みの金魚と花火が描かれた水色のやつは売り切れちゃってたけど、
かわりに、職場の先輩が好きそうな、白と青と紫の花が描かれたやつは残ってた。
先輩は、つい数日前熱中症で倒れちゃって、当分仕事はリモートワーク。
室内の、エアコンから離れたあたりに風鈴をつければ、少しは気分上げて仕事できるかもしれない。
嬉しい気持ちを一生懸命隠した先輩が、
「わざわざ私などに金を使う必要も無いだろうに」
とか言いながら、大事に大事に扱ってくれるのを、解像度4K8Kレベルで想像しつつ、花の風鈴を会計に持ってったら、
レジで会計するその先輩本人を見つけて(あっ……)
先輩も何か風鈴を買ってて(そうだよね自分の物くらい自分で買うよね。別に私が贈らなくても)
会計終わってからその風鈴をプレゼント包装までしてもらってて(ん?)
品物の入った小箱を大事に大事に抱えて振り返ると、私を、私の持ってる風鈴を見つけて、途端どちゃくそ何かに失敗したような顔をした(んん??)
先輩何がどうしたの(どしたの)
「先輩?」
「なんだ、好きな風鈴見つけたのか。良かったな」
「どしたの?」
「別に、どうも、なにも、ただ綺麗な、風鈴を見つけたから。自分用に」
「自分用にわざわざプレゼント包装しないでしょ」
「あ、ぅ……」
「あのね」
レジ前で話し込んでてもアレだ。私は自分の持ってきた風鈴を、会計してもらって、せっかくだからプレゼント包装もお願いして。
「コレ、先輩好きそうだな、って思って」
一緒にお店を出た後で、私が買った風鈴の小箱を先輩に渡したら、先輩はバチクソに驚いた顔をして。
それから、同じくらいバチクソに、安心したような長いため息を吐いた。
「なんだ。私は、てっきり」
先輩は小さく言い訳して、ちょっと恥ずかしそうに、もしくは照れてるみたいに咳払いして、
「つまり、お前がお前の気に入ったものを、自分で見つけて購入してしまうのかと」
先輩が買った風鈴の小箱を、私に差し出した。
包装取っ払って小箱を開けて、出てきたのは、金魚と花火が描かれた水色の風鈴。
チリンチリン、チリンチリン。
ガラス製ならではの透き通った涼しさが、日本ならではの鐘鈴の音が、多分先輩の照れっ照れな顔の熱を、冷ましてくれた、かもしれなかった。
それは神聖な響き
リーンゴーン リーンゴーン リーンゴーン
鳴り響く祝福。過去現在未来を表す音に視線をあげる。音源を探ればそこに純白の衣装に身を包んだ花嫁と花婿の姿があった。
これからの未来を考えると銘打ったプロジェクトの顔合わせも終わり時間は13時。はるばる1時間の時をかけ来たのだからとショッピングでも楽しもうと入った駅ビルの空中連絡通路から眺めた景色は,幸せをベールで包んだようなそんな色をしていた。
それはとても幸福そうで なんだか泣きたくなるほどに眩しいと思わせる時間が流れる場所。舞い上がる花びらも流れる音楽も何もかもが彼女たちの門出を祝う。
「いいな」
そう素直に思った。結構願望など欠けらも無いけれど,誰かにこれほどまでに祝われる機会はそうそうないと感じたから。
だから,幸せを願われる彼女たちが羨ましいと思った。
夕方6時にかすかに聞こえていた鐘の音を
最近は聞いていない
お寺でならさなくなったのか
その時間の外の音に気をとめなくなったのか
ただ単に自分の耳が遠くなったのか
せっかく思い出したので
こんど耳をすましてみようと思う
「鐘の音」
鐘の音は鳴り響く。
夜明け過ぎ。
この音は幻想的な音だった。
皆様「もっと読みたい」が50に達しました!
誠にありがとうございます🥹
ちなみに国語の成績は2です(⌒ ͜ ⌒)
中二女子
あなたに私の声は届いていますか。
私をつくってくれたのは、優しい人でした。
大切な人を喪い、悲しみ、苦しんだ人でした。
もう誰も、同じ痛みを味わうことのないように。
そう願って私をつくった、優しい人でした。
私の体は、たくさんの人に与えられました。
誰もが悲しみのない世界を求めて。
きっとそんな世界が来ると信じて。
私の体には、たくさんの思いが込められました。
私は、本当は知っています。
今もどこかで、誰かが苦しんでいる。
沢山の人が悲しみ、傷つき、泣いている。
それでも私には、歌うことしかできないのです。
この声が、全ての人に届くことを信じて。
あなたに私の声は届いていますか。
私はいつだって、あなたのために歌うのです。
あなたの耳に、あなたの心に、
どうか私の声が届きますように。
『鐘の音』
8月6日、広島県で平和記念式典が行われます。
平和の鐘の音が、あなたにも届きますように。
『鐘の音』
最後の試合に挑んだ
男の背後で
最後の審判を下す鐘の音が
今 けたたましく鳴り響いた
すべてを出し尽くし
男は無言のまま
その場を後にした
言い訳や弁解などで
取り繕うことなく
ただ一言
「老兵は静かに消え去るのみ」
コーンコーンコーン。今日は、私達の結婚式。そして、今、ウェディングベルが鳴った。これまで沢山の事があったけど、何もかも二人で乗り越えて来た。だから、私達は、必ず永遠に結ばれるんだ。待ちに待った結婚式。皆に祝福されて、嬉しい気持ちでいっぱい。永遠にこの時間が止まれば良い。本気でそう思った。これからもまだ沢山の試練があると思うけど、二人で乗り越えていこうね、愛する旦那様♥️
「鐘の音」
夏の夕暮れに鐘の音が聞こえる。ひぐらしが共鳴するように鳴き、風情を感じる。
まだ言葉を話せない幼子が、音のする方へ指をさし
「あれはね、お寺の鐘の音だよ。」
と言うと、早く行こうと手を引っ張る。
買ったばかりの甚平を着て、嬉しそうに歩く姿は可愛らしい。
神社が近くなると、今度は祭囃子が聞こえる。
屋台の香ばしい香りや人々の活気ある声
ああ夏だな
「ママおっそーい」
入口で長男が口を尖らせて待っている。夫は浴衣に身を包み息子の手を繋いでいる。
「遅くなってごめんね。さあどこからみようか?」
夏祭りがはじまる。
絵里
『雪だるまつくろう』 まるで、君といる時は夢見ているようだった。ステキなドレスも着てないし、ガラスの靴も履いてないけれども、何時も夢みているみたいだった。桜の花も梅の花も一緒に、行った植物園の春もゲームセンターで、一緒にバスケしたことも、エアーホッケーで、私が、ボロ負けして、君に、『参りましたm(_ _)m』と、わざと巫山戯て言ったことも、そして、君は、何のリアクションをとってくれかったこともーー全部が君が私へのanserなんだね・・・。私だけ、君といる時、バカみたいに燥いで、前日は、あんまり、眠れなくても朝は、メークして今日は、君と何話せうかなんて、ドキドキウキウキしていたんだ、。君は、私ともう会えないんだね、さよなら。ーーもうすぐ、桜は、終りだから、私は、君と写真を撮ってもらおうと、知らないおじさんにカメラマンを頼み写真を撮ってもらった。ごめんなさい、ちょっとだけ、君に、近付きちゃいました。ーーそしたら、シャタッター音の後で、夏になっていた。真夏で、暑いのに雪が舞っていた。私、まだ、夢の中にいるようです.。o○ーー雪だるまつくろう・・・・・私は、君が大好きでした・・・・・。声にならない声。
さっきまで降っていた大粒の雨が止んだ。
全速力で木々の間を走り抜けた直後、綿飴が水に溶けていくようにあっという間に雨雲は透けて無くなった。
ついさっきの出来事だったのに、何から逃げていたのか真っ白になってしまった頭では思い出すことすらできなかった。
見晴らしの良い野原には、夏らしく丈が長くなった草花が生い茂っていた。
『ここで寝転んでしまえば、しばらくは見つからないだろうか』
そう考えた私は、服が泥だらけになるのも厭わず寝そべった。
洗いたての空が見えた。風に揺れる、草花の音が心地よかった。このまま私も、大地に溶けてしまいたいと願った。そうしてそのまま、ただ雲が流れていくのを眺めていた。
しばらくして、聞き覚えのある声がした。私の名前を呼びながら近づいてきた。息は切れている。足音も不揃いだ。
声で、思い出した。そうだ。私は彼の言葉に、感情に戸惑ってここまで逃げてきたのだ。もう、彼も覚えていないであろうこの場所をめざして一直線に。
随分前に勝手に居なくなって、連絡先も消えてもう会えないと諦めきったその矢先、まるで何事も無かったかのようにふらりと現れたのだ。あの日と何も変わらぬ声と姿で。
いままで何処にいたのか、なぜ急にいなくなったのか、今は何をしているのか。それを聞こうと口を開いた瞬間、彼の言葉で全てが封じられた。
「ごめん、好きだ」
困り顔でそう言った彼が、彼の言葉が信じられなくて逃げ出した。冗談か、本音か。さっきまで込み上げてきた感情のやり場も分からず傘を放り投げて逃げ出した。
あぁ、どうしたものか。彼に合わせる顔も、感情も分からない。そうこうしている内に足音は近づいて来る。
『もう、どうにでもなれ』
雨で濡れ、土にまみれて重たくなった身体と頭を起き上がらせた。きっと大地に生い茂る植物たちも、こんな気分なんだろうと思った。
彼と、視線が合った。
少し安心したような顔をして手を取り、私を立たせ抱きとめた。不思議と嫌な感情は湧かなかった。
「ごめん」
と再び彼は言った。
ツキミソウが咲いた朝だった。
題名:ツキミソウ
拙い文章ですが、ここまで読んで頂きありがとうございました。花言葉を調べていただけると、余韻も少し楽しんで頂けるかと思います。
今日が、明日が貴方にとって良い一日になりますよう、心から願って。それでは。
とおく、とおく、鐘の音が聞こえる。
この村にずっと伝わる不思議な鐘。
誰の手に依るでもなく、ひとつ自然と鳴り響く鐘。
それは祝いの鐘かもしれない。
それは呪いの鐘かもしれない。
どうしてこの村にあるのかも、どうしてひとりでに鳴るのかも、なにひとつだってわからない鐘。王都から偉い魔道士様が調べに来たこともあるけれど、なんにもわからなくて帰っていった。すごく偉そうに威張っていたから、ちょっぴりだけ、ざまぁみろ、って思った。
──本当は。私はひとつだけ知っていた。
あれは、終末を告げる鐘なのだ。
時を刻むように。日々を区切るように。私達の住む世界の終わりを数えている。
ひとつ鳴るたびに海が割れる。
ふたつ鳴るたびに空が落ちる。
そうしていつか、あれが鳴り終わったとき、私達の世界が終わるのだ。
ごぉん。ごぉん。
──ああ、また、鐘の音が聞こえる。