俺と彼女のための追悼の鐘の音が鳴り響く。
参列者たちは悲しみに暮れるが、俺たちにとっては鐘の音は別の意味を持っていた。
俺と彼女は軍人だった。互いによき相棒であり、安心して背中を預けられる間柄だ。
二人で一人と言っても過言ではないだろう。
そんな強い信頼関係で結ばれていた俺たちだが、本当はその先へと進みたかった。
しかし、軍務において、私情はときに自分たちだけでなく仲間の命をも危険に晒してしまう。
だから、俺たちはどちらも本当の想いを口に出さないでいた。
ある戦場で、俺と彼女は共に命を落とした。
俺と彼女の遺体は回収され、教会で葬儀が行われた。
鐘の音が鳴り響く。追悼の鐘に参列者達は涙を流しながら俺たちを見送った。
だが、俺と彼女に悲しみはなかった。
軍人という立場から解放されたこの先の世界では、もう気持ちを偽らなくていい。
祝福の鐘の音に包まれて、俺たちは手を繋いで新たな世界へ旅立った。
8/5/2023, 12:33:34 PM