『遠い日の記憶』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
遠い日の記憶______。
2人の看守に引っ張られ、1人の老男が狭い通路を歩いていた。
しばらく進むと、小さな檻が幾つか並んだ部屋に辿り着く。
老男はほんのり抵抗を試みたものの、若い看守2人に敵うはずもなく、あっという間に檻の中に閉じ込められてしまった。
檻の向こうで、酷くこちらを睨みつける看守たちと目があう。
老男は誰にも聞こえぬほど小さく息を吐くと、看守に背を向け、痛めた右足を庇いながら、ゆっくり腰を下ろして正座を取った。
これで文句は無いだろうと看守を一瞥すると、やがて看守達はどこかへ行ってしまった。
さて、今日から三十日間、長い懲罰が始まる。
懲罰の間は、就寝と食事以外、朝から晩までひたすら壁を向き正座をしなければならない。
考えるだけで、退屈で気が狂ってしまいそうになる。
幸いにも老男には今まで生きてきた六十数年の人生があった。
思い出せる限り遠い日の記憶から、ゆっくりと振り返っていくとしよう。
遠い日の記憶
父は大工をしていて普段は寡黙な人だった。 父が帰ると必ず1番に風呂に入り、夕食の時は父の好きな野球を観ながら食べた。マンガが観たいなんて言えなかった。
妹と喧嘩をすると、うるさいと言われ2人で外に出された。
母は優しく、そっと裏から入れてくれた。
父はお酒が好きで、少し酔うと笑ってくれた。普段、笑わないから嬉しくなったのを覚えている。
父は大工だから本当は男の子が欲しかったんだろうな〜っていつも思っていた。
そんな父だったけれど、夏は必ず多摩川の花火大会に連れて行ってくれた。
「くるぞ、くるぞ〜ほ〜らでかいのきた〜
あれはナイアガラの滝っていう花火だ すごいだろ〜
連発花火だ!綺麗だな〜」
と、私と妹に上機嫌で話してくれる。
花火大会が終わると一斉に皆んな帰るため、ぎゅうぎゅうに混雑する。
父は妹をおんぶし、私の手をぎゅと握る。
「絶対に離れるなよ」
と言って痛いくらい握ってた。
父は60歳で亡くなった。癌だった。
私ももうすぐ父が亡くなった歳になる。 夏の花火を見ると父を思い出す。
夏の遠い日の記憶である。
小学校6年生のとき
9才の妹と5才の弟を連れて
海辺の道を必死に走っていた
手を繋いで全力で
妹や弟には速すぎて
妹はバッグを落として卵を割ってしまった
弟は走りきれず転んで膝から血を出していた
2人とも泣いている、でも
急がないと、走らないと
2人を連れて丘の上の病院まで
日が暮れてどんどん暗くなる
やっと、やっと辿り着いたとき
母はもう亡くなった後だった
白い顔をしていた
隣の部屋のテレビから
「浜辺の歌」が流れていた
あの曲を耳にすると
あの日の全部が押し寄せてくる
「遠い日の記憶」
#168
遠い日の記憶が巡る
TIMELINE
かつての記憶が刃になり
心を裂いたとしても
過ぎ去った日に戻ることは出来ない。
この世界に生きる人のどれだけが
後悔なく生きていけるのだろうか。
思い出は甘く苦く。
甘美と苦痛が織りなす複雑なハーモニー。
これが、この世界で生きてきた私の証。
「ねぇ、オネーサンが雨ヶ崎哀ちゃん?」
『? はい、そうですが……何か……?』
昼休み、急に知らない二人の女の子達に声をかけられた。
……いや、完全に知らないわけではない。
最近転入してきた子達。
私の中学校は1学年に8クラスだから、会ったことが無いだけで。
二人の転入生は、転入後直ぐに有名になった。
事情があるらしく、短い期間……1ヶ月だけの転入らしい。
今は慣れるための期間らしく、制服こそ着用しているものの、髪を下ろしていて校則違反だ。
そしてそれが許されるだけの理由があった。
彼女達はそれぞれデザイナーと小説家らしく、興味が無くても名前くらいは聞いたことがあるレベルの人気っぷりだ。
かく言う私も知っており、それぞれの作品を推している。
今日も仕事の合間に来たらしく、二日目だということもあり自由にしていても許されていた。
「良かったぁ!間違えてたらどうしようかと思ったよ……」
「まあ、結局あってたんだからいいじゃありんせんか」
にこにこと可愛らしい笑顔を浮かべているのが有名デザイナーの飴嶋喜楽。
独特の花魁言葉ではんなりと笑うのが人気作家、間宵優。
人が居ると話しにくいからと空き教室に連れてこられた私は気が気では無かった。
周りから人気の女の子達に目を付けられたらどれだけ恐ろしいか私は知っている。
周りに人がいないか確認をして、二人は交互に言い始める。
「さて、と。ボク達は君に個人的な用があってここに来たんだ」
「哀さんが受けている酷い仕打ちは知ってやす。それに関することでありんす」
「ねぇ、哀ちゃん」
「「ボク/わっち と一緒に 来ない?」」
『……なんてこともあったね……』
「そんなこともありんしたねぇ……。今思うと少し強引すぎたかもしれんせん」
「哀ちゃんごめんねえぇぇ」
『良いよ、あれのお陰で今ここにいれるんだし』
「めっちゃ良い子なんだけど~!(泣)」
ーお題:遠い日の記憶ー
-海- 【お題:遠い日の記憶】
「ふう」
大きな溜め息を着く。
この海は記憶に新しい。だけど同時に古かったりする。昔幼なじみの男の子と一緒にきたことがある。そして、
私が今"彼"と住んでいる場所でもある。
移住するとき私が海の近くを希望したら偶然彼が見つけてきたのだ。
そう。偶然。しかし必然だったのかもしれない。私には"彼"の考えていることがわからない。
付き合ってもいないのに一緒に住むだなんて考えても見なかったようなこと。
それをすんなりと受け入れ、生活をしている。
でも確実に分かっていることがある。
『"彼"は私のことは好きじゃない』
私が"彼"に何度伝えても伝わらなかった『好き』が私のことを攻撃してくる。
そして、今。こんな結末を連れてきた。
「はぁ、はぁっ、桜!」
「やっと来たんだ。千秋くん」
彼はここまで走ってきたのか息が切れている。
「なんで、出会った頃の呼び方...!おい、桜、何してっ!」
「ふふふ、秋くんまでこっちに来たら濡れちゃうでしょ?」
そう、笑いながら言う。
「そんなこと気にしている場合じゃないだろ!」
「ほんと秋くんは優しいなぁ、...きみが私のことを好きになってくれたら本当に良かったのに」
「え?」
「ずっと考えてきたんだよ。幼稚園の頃隣の家に引っ越してきた"幼馴染の君"と両思いになれること。
...でもそれは叶わなかった。だから今日、さよならをするの。世界に。全てに。」
「そんなこと!俺だって桜のことがずっと好きだった!」
「ふふふ、秋くんは本っ当に優しいなぁ。でもね、嘘は良くないんだよ?」
「嘘なんかじゃっ!」
「このタイミングで好きって言われてもそんなこと信じられないよ。私、神様でも何でもないから秋くんの気持ちなんて
わからない」
「でもっ、本当に!」
「秋くん、遊ぼうよ。昔みたいにさ。海の中、駆け回ったでしょ?」
そう言って海の中を走り出す。
「桜っ!」
そんな声が聞こえたけど、気にしない。冷たい。7月の海とはいえ、まだ夜の海は冷たかった。
まるで、あの日みたい。
「千秋く~ん!」
「待って、桜ちゃん!」
「きゃっ!」
「桜ちゃん!」
あのとき、転んだ私の手を引っ張り上げてくれたんだよね。秋くん。
そんな遠い日の記憶。それにふけってる間にもう顔に水かかる深さになっていた。
進みづらい。そりゃそうだ。全身で水の抵抗を受けているのだから。
人は20センチもあれば溺れるって昔学校の先生が言っていた。
「あっ!」
波に流されてバランスを崩した。沈む。
...もうこのままでいいか。さすがの秋くんもここまでは来ないだろうし。
そうして私は目をつむた。
君は言ったんだ。
『私、あなたに興味ないから。』
夕焼けのせいか赤く染まった顔を自分で自覚してそうな君。
「それでも、僕は君を振り向かせるために努力するから。」
『転校するって本当?』
「嘘でこんなこと言わねえよ」
『またね』
遠い日の記憶。
晴れて今日から大学生です。
『あのさ、あん時に言ったの嘘だから。』
「は?」
『私、あなたにしか興味ないから。』
久しぶりに会った君は
相変わらず眩しかった。
「遠い日の記憶」
すきなひととの思い出とか
ほめられたこととか
試験に合格したとか
嬉しい記憶はいつでも思い出せる
心の浅い部分に
きちんとしまわれていて
自信を無くしそうになったり
かなしくなって誰にも相談できない時
それを引き出しから出して
パラパラとページをめくって
私は虫の息をようやく
ゴホッゴホッと吹き返す
好きな人に拒否されたとか
誹謗中傷をうけたとか
あなたは要らないとばかりに
不合格になったバイト面接とか
忘れたい記憶は
もう出てこなくて良い。
心の奥の奥に鍵をかけて
深い海の底に沈めるように
真っ暗で探せないところに
放っておく
輪郭がぼんやりしながら
いっそ風化してほしい。
やがて塵となって消えて欲しい。
そういうのをまとめて
「遠い日の記憶」という。
昔、或る幼女が言った。
あの頃は虫さんたちと歌ってましたね。なつかしいです。土に溶けてなくなるまでは、よく風さんと踊ってました〜!!
周りの人は苦笑いしていた。またこいつ頭おかしくなったのかと。しかし、私は大切にしていた葉っぱさんがどこかに行ったのを鮮明に覚えていた、
遠い日の記憶。
一人ぼっちで広告の剣を作って。
一人ぼっちで図書室で本を読んで。
一人ぼっちで食堂でご飯を食べて。
その時は寂しかったかは覚えていない。
それでも大事な記憶。
今は一人ぼっちでも寂しくない。
大人になったからか。
一人ぼっちがあったから人の暖かさが身に沁みる。
遠い日の記憶
小さいころ、家族で買い物に来ていた。
私はわがままをいい、泣き叫んでいた。
お菓子を買ってもらえなかったから。
親の手をはなして、1人でスーパーの中を走った。
途中で、親を見失いまた泣いた。
左下の灰色の橋と右下側の住宅街。
右上には二手に別れた道があって、
別れた間には宿があった。
左下の橋の下には川があって、
左上には川の上流に繋がる森がある。
右上の道に付いてる階段から森に降りれば、
浅瀬の川に足が付く。
上流を目指して森を進むと、
柔らかい石の段差が快く連なっている。
それを登って、歩いて、そして……
何も無かった。
段差が無くなってもそこに川はあって、
先の見えない木の連なりが恐怖を与えた。
下流には人が居たのに、そこには誰も居なかった。
だから帰った。
逃げ去ったんだ。
それ以上は何も覚えていない。
踏み込んじゃいけないこと、だから。
【お題:遠い日の記憶】
┌────┐
| 一言 |
└────┘
記憶は思い返す度に穴が開きますね。
表現するのも難しいです。
でも本当に何も覚えてないなら、その時は……
夢を見た。まだ大人になれない年頃の、一番親しかった友人との思い出を。
背伸びをしたかったわけでも、悪びれたかったわけでもないけれど、二人一緒に家を飛び出して夜の街へ出かけた事。
学校では教えてくれない淀みと諦観、燻る煙に乗る悲観。大人になりきれなかった大人たちが、夜の店へと消えていくその背中を見た。
幼かった僕達には、それが大人になるということなんだと輝いて見えた。キラキラした世界だと、その目には映っていた。
あの頃のあこがれは、背が伸び月日を重ねることで忘れつつも叶っていく。
あの頃の僕は、今の僕を見ても同じようなことを思うのだろうか。
蝉にかき消された、あの子の背中と一緒に。
3.『遠い日の記憶』
懐かしいと言うべきか、つい最近と言うべきか。
ただ、もう戻らないことなんだなぁ、ってことだけは解ってて。
当たり前だけれど、幸せ、だったのかな。
”遠い日の記憶”
思い出すことは、何でか少しだけ物悲しいことだったりするんだ。
遠い日の記憶
初めて海を見たのは、
夏休みに親戚の家に遊びにいった時だった。
夜、花火をやるために海岸に行ったのだ。
灯りのない広大な闇が目の前にあって、
キラキラした水面と、陸との違いを
大人たちに教えてもらい、
それでも境目がよくわからず、
かすかな恐怖を感じていた。
今でも、夜の海は、少し怖い。
#遠い日の記憶
高1の春の放課後に、きみと遊んだことがある。
喋りながら歩いて街に行って、カラオケに行った。
あの時は混んでて、1時間しかいられなかったよな。
最初に歌うことになって、ほんの少し考えた結果、有名な歌手の歌を歌った。
そのあとに買い物にも行ったよね。
あの時の場所に行くと、きみのことを思い出してしまいそう。
あの時は、本当に楽しかった。
遠い日の記憶
寄せては返す波の音
ゆらゆらと揺れる感覚
いつの記憶なのだろう
海で暮らした覚えはない
なのに
海を見ると、磯の香りを感じると
どうしようもなく郷愁を感じる
いつの記憶なのだろう
どこの記憶なのだろう
何故思い出せないのだろう
釈然としない思いを抱いたまま
広い海原に思いを馳せるしかない
心配させてごめんね…
振り返ることで
悲しい思いさせてたかも…
ごめんね…
俺は…
ミーチャンだけだから…
通り過ぎていく季節中で
振り返り足下確かめ
今この時をふたり有る事に感謝して
お題『遠い日の記憶』
保育園の頃だ。保育園にはあまり慣れなくて、
いつも泣いてばっかりだった。
それに比べて今。どうして泣いたのか、
遊ぶことが出来る場所をなぜ泣いて過ごしたのか。
でも、友達も沢山できて、小学校に入学しても
保育園の時と同じ友達と出会うことが出来た。
大人の今、とても後悔は少ない──────
高校生の頃、自転車通学していたのを思い出す。
いつも登校時間ギリギリに行っていた。朝は何を食べていたのか思い出せない。パン🍞を食べた記憶も白米を食べた記憶もある。
授業は修行だった。時間との戦い。今では信じられないくらいシャイだった。女の子ともまともに目を見て話すことは出来なかった。