小学校6年生のとき
9才の妹と5才の弟を連れて
海辺の道を必死に走っていた
手を繋いで全力で
妹や弟には速すぎて
妹はバッグを落として卵を割ってしまった
弟は走りきれず転んで膝から血を出していた
2人とも泣いている、でも
急がないと、走らないと
2人を連れて丘の上の病院まで
日が暮れてどんどん暗くなる
やっと、やっと辿り着いたとき
母はもう亡くなった後だった
白い顔をしていた
隣の部屋のテレビから
「浜辺の歌」が流れていた
あの曲を耳にすると
あの日の全部が押し寄せてくる
「遠い日の記憶」
#168
7/17/2023, 11:16:28 AM