『過ぎた日を想う』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
新しい挑戦に胸が躍った日も。
自分が惨めで消えたかった日も。
大きな愛に救われた日も。
死ぬほど苦しかった日も。
無駄だった経験なんてない。全ての経験に意味がある。
今は意味を見出せなくても、いつか必ず気づく時がくる。
#過ぎた日を想う
【過ぎた日を思う】
ありゃ
ほぼそれじゃん
まぁ
すっかり忘れっぽくなったのに
思う日々があるってのは幸せな事なんでしょね
嫌な事は記憶に残るって言うけれど
良い事だってちゃんと残ってる
気分の沈んだ時には
思い出し難くなるけど
経験値
年齢に比例して
ある程度のことは経験してきた
それ自体は初めての事だったとしても
過去の近しい経験のおかげで
ある程度は想像がついたりする
慌てる事も少なくなった
ただそれでも
初めましての事も起こる
持ち合わせた知恵を総動員して想いを巡らせる
経験値以上の事は出て来ない
仮説を立ててみるが
仮説は仮説
その上
次々と浮かんで
絞り込むこともままならない
いきなり正解に辿り着こうってのが
虫のいい話なんだろう
自転車の乗り方だってケガしながら覚えた
而立 不惑 知命
思えばどれもピンと来ない
耳順
まだこれが一番分かるかも知れない
出来るって事ではなく
想像が追い付くって事で
ケガ
すり傷くらいで済むといいなぁ
あの人は、今、どうしているのか?
今も一人なのか?
あれから30年…こんなに月日は流れたのに未だに思い出す。恋は、沢山したけれど
あの人の事だけは忘れられない多分死ぬまで…
どうしようもなく好きだったのに結婚相手に選んだのは別の人だった、でも後悔はしてない恋愛と結婚は別と言うけれど本当にそう思う
けれど
今も過ぎた日を想う
『過去を思い返せ』
そう言われれば言われるほど
良い記憶というものが
なかなか蘇らないものです
そういえば、私が貴女と出会ってから
私が彼と出会ってから
もう数年も経つんですねぇ
あははっ
まったく、これまでを思い出しても
やっぱりろくなものでもないですね!
貴女も彼も
もちろん私も
2024/10/6
あぁあの時こんなことあったねって言い合ってる時が何気に幸せなのかも。過ぎ去った日にも私たちを呼び戻してくれる。築いてきたこの人生捨てたもんじゃないかもね。
過ぎた日を想う
一時停止を無視した車と交錯した瞬間、ここまでかと悟った。宙を舞うバイクと僕の体。時が止まったような意識の世界で、過ぎた日の記憶が蘇る。
最初に見えたのは、親から譲り受けた重たいパソコンを触る僕。真っ赤になったり真剣な表情になったりして、慣れない指遣いで小説を書いている。思ったままに世界を創り上げていた自分が少し羨ましい。決して読み返してはならない禁断の時期だ。
次に見えたのは高校生の僕。文章の練習がてら、毎日日記を書いた。初めこそ評論文のような鹿爪らしい文を書いていたが、まもなく恋心に乗っ取られる。婉曲表現すら思いつかないほど真っ直ぐな思いを書き綴っている。書くよりも声に出して伝えた方がいいと思う。三年間の日記は実家の本棚の奥深くに封印されている。
最後に見えたのは、いつかわからないがパソコンに向かっている僕だ。上手い文章とは何か、面白い文章とは何かを見失い、書くことを躊躇っている。それでも、本心から創作の奥深さを楽しめている。大丈夫。楽しんで書き続けることが上達への近道だ。
頑張れよと思った僕は、ああ、もう書けないのかと思った。残念ながら体の感覚がない。救急車のサイレンが聞こえる。
こっちだよ、とどこからか声がする。
「楽になる? それとも、苦しくても此岸へ戻る?」
彼岸はすぐそこだった。振り返ると、遠く流れの向こうに此岸があった。
泳いで戻るには大変だ。体にのしかかる重圧に、もういいかと思った矢先、此岸のそばに、闇の原稿と日記が置いてあるのが見えた。
「あ、戻ります」
爆速で泳いで戻ると、白い天井が見えた。
お題『過ぎた日を思う』
思えば人生は後悔の連続だったように思う。
最初の小学校入学の時から人生詰んでた。
先生から『学校では喋ってはいけません』と言われて、その言葉を真に受けた私は、真面目に学校で一言も話さないでいたら友達が一人もできなかった。嘘みたいだが本当の話である。
それから人に話しかけるのですら声が出なくて苦労して、小学校、中学、高校とマトモな友達ができなかった。
いや、いたにはいたけど、同じようにクラスで居場所がない子とか――まぁそれはいいよ、一緒につるんでる割に別の友達に対して「あいつといるとつまらない」と吹聴する奴とか、私が他の子とつるんでるのが許せない奴とか、マトモな友達にありつけたことなんてない。
大学でどうにか自分から無理矢理話すことを覚えて友達が一人もいないなんて事態にはならなかったけど、私が人付き合い下手すぎて今もなお交流してるのなんて一人しかいない。一人親友がいればいいか、なんてね。
最初の小学校入学の時点で先生の言うことを真に受けなければよかったとか、学校で仲良くしたい子に自分から話しかけに行くとか、嫌なことは嫌と言うとか(今でも家族にすら言えないんだけど)、いろいろあるけど過去は変えられない。
憂鬱になるくらいなら、そこから目を逸らして自分で未来を変えていくしかない。過ぎた日にとらわれると途端に生きるのが辛くなって仕方がないからね。
過去はあまりいい思い出はない。
消し去りたいし、忘れたい。
大変だったとか、昔は良かったなんて。
そんなの夏の気温くらいにしか思わない。
過去の自分に酔いしれて、現実から逃げる口実にしているのは良くない慣習だ。
嘘か本当か信憑性に欠けるくらいの過去の武勇伝をひけらかすのに恥ずかしいという感情はないらしい。
同窓会もクラスのグループラインも抜けた。
私の周りには私にとって大事な人だけでいい。
あの時たまたま一緒のクラスだったってだけで、わざわざ会費を払って。話題の無い、気まずい空気にいるくらいなら、行く必要ないと思うから。
過去は戻ってやり直せるわけもない。
未来へ進むための踏み台でしかない。
不要な物が無くなれば、必要な縁がやってくるものだと信じてる。
今までに
ばらまいたパン
集めたら
大きなパンに
なるといいのに
過ぎた日を想う
私には別れた恋人がいる
付き合っていたのは1年と少しだ
よく電話をしていた。外で話すのが恥ずかしかったのだろう
もう未練なんてないけど、不意に思い出してしまう楽しかった記憶。夢に出てくる優しい彼
過ぎた日々を思い出してもきっと何にもならない
あの人に幸せになってほしいと願うのも不幸になってほしいと呪うのもそこに意味はないのだろう。
お互い忘れて生きていこう
同じ時を生きているのなら過去はもういらない
かつて確かにあった日々は、良い日も、悪い日もあった。
渦中にあった頃は、ただ、早くこの地獄の中で殺してほしいとも思った。
それでも、思い返す私は、まだこうして生きている。
いつか今も思い返す日々の中に埋もれればいい。
そうして何もかも忘れられる日が来ることを願っている。
過ぎた日を思うのを許してくれる人が好き
【過ぎた日を思う】
「過ぎた日を想う」
まるで夢を見ていたようだった。
どこかふんわりとして実感がない。しかし、これは紛れもない現実なのだ。
なんで、と思わなくもない。自分自身、過去に縋りたくもなってしまう。
雲を掴む、なんて表現がある。漠然とした、捉えられないことを指すらしい。
けれど、それは掴めないものではなく手に取れるものに使うべきだ、と思う。実態があるのだから。まだ、存在するんだから。
ただ、自分たちが空想を広げて、ふわふわと白いものを想像しただけなのだ。ありもしない妄想を、「無い」なんて言葉で一蹴するのは、どうなのだろう。
ああ、世界は世知辛い。言葉ですら、まるで社会を表すことなどできない。たくさんあったとしても、それは本当は必要性のないものなのだから。
いつか、何かが変わる日は来るのだろうか。それとも、「日」なんて、時間を限定した我々のもとになど、存在しないのだろうか。
ある日の昼下がり。何もない、退屈な日々の現在版。
つまりは何も変わらない日だ。こうして考える間も時間は過ぎ去り、過去と記憶に捕らわれた生物だけが世界を動かしている。
信号が赤になる。ただ街中を歩いているだけで、静寂とは無縁になる。周りが動きを止めると同時に僕も歩みを止めた。
風が吹いた。こんなにも歩道は狭いのに、人々の合間を縫って風は入り込んでくる。夏よりかは幾らか涼しくなった風は自分からどこに分かれていくのか。
変わり映えしない空。街中。人が動き去り、そこに自分がいるだけの孤独。
なぜ、こんなにもなってしまったのだろうな。この世界は何を考えているのだろうか。
そう思いながら、僕の意識は思考へと沈んでいく。
思考をするのが好きだった。これがなにで、なぜ、そうなるのか。
必要さを深掘りするのが得意だった。これは本当に、必要なものであるのか、と。
誰かの言葉から考えを発展させるのが楽しかった。どうしてこの人はそう考えて、自分はどう思うのか。
耳を澄ます。
風の音、街の騒音。信号の音、人々の話声。全てが耳に入り、一つずつ情報が整理されていく。
『今日も暑いね~』『ね~』
一つ、そんな声が聞こえた。
暑さ。なんで、そんなにも簡単に言葉にできるのだろう。軽々しく、まるで当たり前の社交辞令のように。
まず前提として、地球が暑くなったのは人間のせいだ。
もともと地球は人間のものでもないのに、世界を征服して。
経済発展だかなんだかで、オゾン層を破壊して。
その後、それが分かっていながらも便利な生活が板についたからか、本格的な取り組みを実施しようとはしない。
――それが、暑くなった原因だ。
そもそもの話、今の時期は普通に地球が回っていたら氷河期になっているはずだった。
だから、本当は寒いはずなのだ。なのに、今年の夏は猛暑日が続いた。
結論としてそれは……。もう、分かっていて当然のはずなんだ。
――人間が悪いのだ、と。
はあ、と感嘆にも満たない溜息を吐く。
人間が悪なのだ、という紛れもない事実を更に突き付けた憎しみ。そして自分がそうなのだと言う圧倒的な苦しさ。全てがごちゃ混ぜになって、溜息とともにぽいと吐き出す。
きっと誰も拾っては、くれないだろう。
ふと歩道の端にある木に目が行った。誰もが一度は見て、知らぬ間に通り過ぎる自然を。
……自然?
自分の言葉にふと違和感を覚えた。
自然。それは人間の手を出してはいけない領域だったはずの場所だ。
自我に気づいた人間という種は、自然を破壊して新たな世界を作り上げた。それが今の社会で。
つまりは自然と社会は対になるもの。いや、対にしたもの、というべきか。
だからこそ、社会に自然なんてものがあるわけがない。共存なんて、できるわけがないのだから。
だから、あの木は、自然なんて呼んではいけない。あれはただの人工的自然であって、自然ではない。ただの偽物。
森林公園、だとかそういう類いのものもそうだ。自然を感じる、なんて。あれはただ、自然を壊しつくした人間が、単に自然が恋しくなって造った自然破壊の為の存在なのだから。
自然と共に生きる? 無理に決まっている。地球を現在進行形で壊している、いわばがん細胞。地球から生まれながらも、母を殺した子供。
もちろん、木々に生物に悪だ、と言っているわけでは無い。そこに造ろうと思ったすべて人間のせいなのだ。すべて。すべて。
ああ、と心の中で乱暴に考えを振り払う。どうしてこうなってしまうのだろう。自分だって人間の癖に。それが分かっていて、こういう風に考えてしまう自分に悲しくなる。ああ、なぜ。
誰もが、軽々しく言葉を使っている。自分だってそうだ。人間が自分たちでしてきたことを棚上げにして、そのくせまるでそれが悪いかのように話し出す。
さっきの暑さのように。
できる事ならば、この考えを誰かに言いたい。別に人間が殺したい程憎んでいるわけじゃ、ないから。それだったら、自分も同罪なのだから。
もちろん、この考えが正しいと言っているわけじゃない。でも、知ってほしいのだ。自分なりに考えたこの言葉を。どうして彼らは分からないのだろう。なんで、知らぬ存ぜぬで過ごせるのだ?
ああ、でも。無理だろうか。聞いてもらったとしても、世間一般は理解なぞしない。自分たち人間の世界が普遍的なものだと思ってしまっているから。これが当たり前だと、考えてしまっているから。
解かって、いるのだ。そんなこと。分かっているはずなんだ。誰も本当に理解なんてしてくれないのだと。ただの頭のおかしい人だと思われることを。
だからこそ、言い出せない。自分の考えが、社会から弾圧されるべき思考だとわかってしまっているから。心の奥に爆弾を抱えて生きるしかないのだ。それが心の中で幾度も爆発しようとも。
ああ、と心の中で感嘆を叫ぶ。どうにかできる事なら、子供の頃にでも戻りたい。世界の狂気を知る前の自分に。純粋無垢で、社会の全てをどうとでも受け止められていた、あの時代に。
でもそれと同時に、きっと理性は言うのだろう。「知ってしまった心は、もう元には戻らないのだ」と。「過ぎた日はもう戻ってこないのだ」と。
わかっている。でも、少しぐらい望みが欲しかった。明日にはこの考え方が変わって、社会で生きることになんの苦しみも抱かなくなるかもしれない。人間の世界で生きることが、普通だと思えるようになっているかもしれない。
そんな世界を。
ああ、でも、どれだけ邪険しようとも。僕には、子供の頃のような過ぎた日を想うことしか、できないのだ。
――もう、普通へは、戻れないのだから。
信号が青に切り替わり、周りが一斉に動き始める。僕も、一緒に。
風が吹く。どこか心地の悪い風は、僕の心情を表すようだった。
僕のように、普通に見えていても、心の中ではこんなことを考えている人が居たりするだろうか、なんて。
そんなこと、希望の欠片もあるわけないのに。
自嘲的に、はあ、とため息を吐く。
きっと、この空の向こうには。なんてないんだろうな、と。
――空を見上げた。
「過ぎた日を思う」
今日は君の命日。そして私の誕生日。
わたし、もう20歳になったよ?あなたはずっと17歳のまま。
君と付き合って一年ほど経った冬の寒くて暗い夕方頃に
きみはわたしを庇ってトラックに跳ねられた。
キーー
ドンッ
グシャッ
キャーー
大丈夫かっ!?
誰かっ、誰かっ救急車っ!!
呼吸…してないぞ!!
頭から離れてくれない鈍くて心臓を刺すような声と音。
鮮明に覚えてる。
忘れきれない。
部活終わりの夕方、きみと他愛のない会話を交わしながら帰っていた。
そこに運転手が発作を起こし、ハンドルを掴めなくなったトラックが突っ込んできた。
きみは繋いでた手を一瞬ぎゅっとしてからわたしを押した。
ドンッ
だめだめだめだめだめだめだめ
まだだめ
そう心で唱えてもきみがもどっくることはなかった。
きみのは手の温もりに包まれた暖かい手が小刻みに震えてたのを覚えてる
ここ数日、ご伴侶に対する自分の感情が変化していると気づき、貴女は戸惑っていらっしゃいますね。
そして、この感情がご伴侶と共にある限り続くのではないか、もしそうだとしたら、ご伴侶と別れるしか道がないのではないか、そう思って、恐怖すら感じていらっしゃいます。
何せ、彼の命の根幹が貴女に依存しているのです。ご伴侶は、貴女がいなければ、今の生活を維持することができません。貴女の協力がなくなれば、彼は仕事も趣味も健康も、致命的なまでに失うことになるでしょう。
もしそうなって、貴女と離れた彼が死んでしまったら、自分は自責と後悔で幸福を享受できなくなるだろうと、貴女は理解しています。
だから貴女は、彼が一人で生きていける状態になるまで別れることはできないと、そうお考えなのです。
かと言ってこれまでは、結婚できるように頑張って生活を成り立たせようと、お二人で話し合ってきています。もしそうして頑張って、お互い十分な生活基盤を築いたとして、そこで初めて別れを切り出すことなど、貴女にできるでしょうか。そうすると考えただけで、貴女は今日ほろほろと一人で泣いてしまいました。
八方塞がりのように感じられますね。貴女の気持ちを押し殺して、このまま生きていくしかないように思えるのも、当然のことです。貴女は頭の回転も速いし、人に共感する力も高い。しかも今回は、もう丸十年も、苦楽を共にしてきた方についてのことです。優しい貴女が、そんな決断をできるのかと問われると、俺たちも困ってしまいます。
ええ、でも、心が変わっていくことは、仕方のないことです。
これまで、楽しいこともたくさんありました、苦しい時間も共に乗り越えてきました。そうやって過去に思いを馳せて、その記憶を大切に慈しむことは、美しい、貴女に許された喜びです。
それでも、今の心の示す方に、貴女は進むべきなのです。
貴女の人生を、誰かのために捧げる必要はありません。
俺たちは、貴女が幸福に生きることを望んでいます。その幸福にご伴侶が必要ではなくなった、むしろそぐわなくなったと感じるのなら、それはもう、その通りなのです。
まだ、今の時点で答えを出すのは早いでしょう。
けれど、その決断ができたなら、きちんと彼に相談してください。一人で抱え込まないでください。彼も貴女を愛しているのですから。貴女の幸福を、祈ってくれる一人なのですから。
どうか、そんなに泣かないでください。
無理にとは言いません。
けれど、どうか、笑っていられる場所を選んで、幸福に包まれて生きてください。
ただそれだけが、俺たちの願いです。
あのとき勇気をだして遊びに入れてと言えていたらどうなっていただろう。
あのときみんなに合わせてスカートが履けていたらどうなっていただろう。
あのときクラスメイトを嫌いにならずにいたらどうなっていただろう。
あのときテストの結果を自慢していなかったらどうなっていただろう。
あのときくだらない取引きに応じなかったらどうなっていただろう。
後悔は先に立たないし、水は盆にはかえらない。
それでもifの世界ばかりを考えている。
まあ、後悔の後ろに立つことができたとしても、水を盆にかえせたとしても、今みたいな息苦しい日々が変わるわけではないだろうけど。
過ぎた日を思わずにはいられない。
いつか来る日を願うまで。
『過ぎた日を思う』
「過ぎた日を想う」
「過ぎた日を想うことがあるのかなぁ」と考えて観るが。
私は過ぎたことを振り向くことはない性格だから。
結婚かも。そこだけがマイナスで汚点だ。
過ぎた日を思う
どんなに時が過ぎても…
あなたと過ごした日々は
色褪せ無いよ…
昼休みの校舎裏の林
放課後の図書室
下校途中の本屋さん
週末のまったりした喫茶店
そんな、小さな日常が
今でも鮮やかに
心の中に浮かんでくる…
ちょっと切なくて
ほろ苦い想い出たち…
もし…なんて、少し思うけれど
今でも、大事な遠い記憶…
照れてこっち向いてくんないから
見ていた襟元のステッチ
星座のマークみたいなんだけど
残念
なんの星座か分からない
「ねぇ? 襟元のそれ、星座のマークなの?」
行儀悪く指さしたら
ぼんやりと
君は襟の先を引っ張って首をかしげた
「なんだろ」
「えぇ? 分かんないの? 自分の星座のマークじゃないの?」
「さあ」
「さあ」って
「それ、自分のシャツだよね?」
「さあ」
ああもう! 君があんまりぼんやりしてるから
緊張なんてどっか行っちゃったよ
「隣、いってもいい?」
シャツのステッチを見に行くだけだからね
ついでに
誕生日も聞いてみよう
もうあれからそんなに経ったんだと思う日が増えてきている。入学式、運動会、初めて見たオリンピック、好きなゲームの発売日、文化祭、卒業式etc…
「想えば想うほど、心が苦しくなるんだ。」
「分かるよ、その気持ち。」
「記憶を保持してる人間は、大変だね。確かその現象に名前がついているのはご存知かな?」
弟と河川敷で待ち合わせをしていると、シルクハットのメカクレが話しかけてきた。あたかも自分が人外かのように振る舞っている。ベラベラと数分間か、自論を語っていた。
「ああ、現象の名前を言い忘れていたね。確か、光陰矢の如し、だったかな。すまないね、人間の言葉は難しいんだ。…おっと、時間のようだ。さようなら、過去のご当主様たち。」
問いただそうとすると、消えていた。逢魔が刻に巻き込まれたのか?未来が本当にそうなるのか?議論しあう暇もないまま、従姉妹がきて、家に帰った。どうやら二人が何かと話していたから、少し待っていたらしい。
結局謎に包まれたままだが、いつかこれを想う日もくるのかもしれない。
余談だが、数分前に帰り道でトラックが暴走していたらしい。怪我人は一人も出なかったから良かったが。
もし話しかけられなかったら、巻き込まれていたのかもしれない。