『過ぎた日を想う』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
過ぎた日を想う
母歴18年。
娘は間違いなく育て難かった。
神経質でこだわりがあり
ご機嫌斜めで、よく癇癪を起こした。
食に対する欲がなく
食べさせるのに苦労した。
やっと寝たと思ったら短時間で起きた。
空想のオバケちゃん達と皆で
お風呂に入るため、長風呂だった。
買い物など出先では、走り回ったり
駄々をこねることはなく
ひたすらしがみついて抱っこだった。
子育ては大変だったはずなのに
想い出すのは、写真で切り撮ったような
娘の笑顔ばかり。
今の不安な毎日も過去となり
そんなこともあったねと
一緒に笑い合えるのだろう。
過ぎた日を想う
過ぎてしまったたくさんの日々。
あの日には戻れない。
どれほど想っても過去でしかない。
変えられない戻れない。
後悔ばかりが募る。
過去より今や未来に目を向けるべきとよく耳にするが、それでも過去を想ってしまうのは何故だろう。
人間の性だろうか。
「美味しいですねえ、薮さんこれ、この栗の炊き込みご飯、絶品〜」
そうだろうそうだろう。
「ナラタケのお味噌汁も、ご飯に合う!ほっぺた、落ちます!美味しい〜」
当然だ、俺の料理の腕をもってすれば。これぐらいどうってことない。
「天才ですねえ、秋の季節の食材の良さをふんだんに引き出せますね、薮さんなら」
まーな! と内心では鼻たかだかだが、俺は平静を装って「いいから黙って食べなさい」とクールにあしらう。
部下の花畑に、ひょんなことから手弁当を食わせたことで、懐かれてしまった。お給料日前はカップ麺ばかりですと打ち明けられ、勢いで「そんな食生活はダメだ。うちに飯を食いに来るか?」と言ってしまった。
やばい、パワハラ兼セクハラで訴えられる!と思いきや、「良いんですか?薮さん、神!救世主!」と崇め奉られる始末。
そんなわけで、花畑を家に呼んで手料理でもてなすのが月末の習慣になってしまった。
「今日も大変ご馳走さまでした。美味しゅうございました」
手を合わせて花畑は頭を下げる。
「お粗末さま。たくさん食ってくれて、ありがとうな、作り甲斐あるよ」
「食べ甲斐があるお味だからですよー。ほんと、薮さんの料理、私いくらでも入りますもん」
なんでだろー、あ、私食器洗いますねーとシンクに立つ。俺はその姿をしげしげと見つめ、こいつ変わったなと思う。こんなに笑うやつじゃなかった。いつも面白くなさそうに仕事をこなしてた。そつなく立ち回り、周りの正社員のプライドに触らない程度に手を抜いて、ほどほどの仕事量を捌いていた。
もっとできるやつなのに、勿体ねえな。俺はそう思っていた。
料理を食わせてやる代わりと言ってはなんだが、花畑に俺の直属で働いてみろと水を向けた。コピー取りとかじゃない、創造性のある仕事を任せてみたくなった。
今、花畑はおはなばたけとは呼ばれなくなってきた。職場で。
しめしめ。
……でもまぁ、ふにゃふにゃと適当に手を抜いて、学生バイトみたいにサボることを考えてる頃のこいつも懐かしい気もするな。
俺の視線に気づいたか、花畑は「なんです?」と聞いた。
「いやーー、冷やしておいたプリン、食べるか?」
「手作りの?食べますっ」
諸手をあげてはいはいっと花畑は飛び上がった。
俺は笑って一個だけだぞと釘を刺した。
「やぶと花畑3」
#過ぎた日を思う
過ぎた日を想う
休んどけばよかった
休めるだけ休めばよかった
過ぎた日を思う
現在を生きる私が過去を振り返るとき、大抵は過ぎた日のあたたかで優しかった日々に心を巡らせていることが多い。
いつしか愛し愛された遠い記憶の森へと舞い戻り、すり減り萎みかけた私の一部を修繕するためだ。
それは私の腹を擦る母のか細く白い指だったり、頭を撫でる父の分厚く大きな手だったり、姉が差し出す色とりどりの飴玉だったりと、その時々で違うけれど。
気付けば未来へと自然に思いを馳せている私がいる。
そこで初めて知るのだ。
自分がそれほどまでに消耗していたことを。
過ぎた日を思うことは、私にとっての手当であり、治療の意味を持つらしい。
お題
過ぎた日を思う
息をするように、「好きだよ」
「可愛いね」なんて日常茶讃辞。
キスしたいと思ったときに
いつでもあなたにキスができた
そんな日々が
もう過去になって久しい。
恋が、恋しい。
〈過ぎた日を思う〉
「過ぎた日を想う」
振り返っても、後悔しても、あの日には戻れない。
あの時こうしたら。もしこう言えば。
タラレバはキリがなくて、後悔ばかりの日々。
あの時、貴方を引き止めたかった。
「別れたくない」「私を選んで」「あの娘の所になんか行かないで」
溢れる言葉は沢山あったのに、何一つ言えなかった。
多分、私が引き止めれば貴方は私を選んでくれた。
「俺と一緒に···」その続きを飲み込ませたのは私。
だって、私は貴方が居なくても生きていけるから。
貴方が居なかったら、辛いけど、でも笑えるし、自分の人生を楽しめる。
でもあの娘は、私が持っていない、儚さと、危うさを抱えてる。
精一杯強がってるけど、貴方が居ないと駄目で。
愛情だか、依存だか、独占欲だか。
何なのかはわからない。
でも、貴方が居ないと駄目な事は確かで。
だから、言えない。言えなかった。
「私は大丈夫だから、行ってあげて。」
貴方は言葉を飲み込んで。でも、一言だけ。
「オマエはいつもそうやな」
責めるように、諦めるように。
私も、貴方も、沢山の言葉や気持を飲み込んだ。
不器用だったけど、精一杯誠実であろうとした。
今振り返ると、実はあの娘は意外としたたかだし、私も決して強い人間ではなかった。
でも、人を犠牲にする自分でいるか、貴方と居ることを選ぶか、って言われたら。
きっと毎回葛藤する。悩んで、苦しんで、泣いて。
でも、毎回同じ道を選ぶと思う。
絶対に後悔はするけど。せめて自分の気持位は伝えたいって思うけど。伝えるべきだと思うけど。
でも、過ぎた日を想う時に、自分を好きでいたいから。誇れる自分でいたいから。
だから、私はきっと同じ道を選ぶ。
─── 過ぎた日を想う ───
過去から未来へ続く呼吸
今日久々に歩いた道を
昔はよく並んで歩いたなぁ
此処によく来たなぁと懐かしむ
それは決して未練や後悔ではなく
私が紛れもなく前に進んだ証だと思う
あれから幾年が経って
私は幸せになったと言える
貴方との出逢いも終わりも決して無駄じゃなかった
だからありがとう
過ぎ去りし日を思い返しそう別れを告げた
4.過ぎた日を思う
————————
いくら美化したところで
今の私でしかないのだ
悲しくも今を構成する
たらしめる要素でしかない
第玖作「過ぎた日を想う」
この世に生を受けてはや20年。
今、この瞬間もやがて過去の1部となってゆく。
止まることの出来ぬ時の中で、
今日という昨日を彩りながら。
過ぎ去りし日々に彩られた記憶を。
幾つになっても変わらぬ幸せの形を。
この命朽ち果てるまで大切にしていたい。
過ぎた日を想うから自分が諦める気持ちはない!
過ぎた日を想っても戻るわけでもないし、変わらない
だからこそ諦めないし、諦めたくない
時々不安になる日もある 諦めたくなる日もある
そんな中でも頑張ってる人もいる
生きていくのも難しい人もいる
最初から人生勝ち組の人もいる
その人たちが諦めることも、生きたいって声を上げることはおかしくない
最初から人生勝ち組の人だって、そんなわけがない 努力をしたことがない人はいない
こんなことをおもってもまた、自分は
なんて........もしたこともないくせに、恵まれているのに、情けない。消えたい。ごめん。ありがとう。 過ぎた日を想うのに。自分は変わらないね。
過ぎた日を想う
やまとの文字はよくわからない。そもそもやまとには文字がなくて海の向こうのやつらの文字らしい。でもおれはそれなりに学んだ。「おもう」だって大雑把に三種類あるが、おれは「想う」を使いたくないのだ。「想う」にはこいねがう意味がある。おもう相手を振り向かせたいあの切ない気持ちが「想う」だ。意味はわかる。おれはその気持ちも願いも否定しない。だがおれのこのおもいをそのような「想う」だとおもってほしくないのだ。おれが願うのはやまとのやつらが来る前のこの山河。おれを育ておれをひとりだちさせたこの山河。おれは過ぎた日をおもう。おれはこのおもいにやまとと海の向こうのやつらの気持ちも考えも混ぜたくないのだ。あいつらがおれの名をどのような文字で書くかおれは知らない。
過ぎた日を想っても、過ぎ去った過去は変えられない
あの時こうしておけばとか、後悔しても無駄だ
過去の自分を責めたところで、どうすることも出来ないから、過去じゃなくて未来を向けとよく言われるけれど、どうしても後悔した過去が消えることは無い
ずっと纏わりついてくる
どうして言えなかったんだろうね
「いかないで」のたった一言だったのに
代わりに言った「さようなら」
少し悲しそうに微笑んで手を振ったあの時、君はなんて言って欲しかったんだろう
私があの時止めていたら、君は遠くに行かなくて済んだのかな
深夜2時、ベランダに出て夜風に当たりながらこんなことを思っていても仕方がない
今更何を思ったってもう君に会うことはないのだから
たまにふらっと私の頭に流れては時間が経つと忘れ、またふらっと頭に流れてくる
死ぬまでこの後悔は続いていくのだろうか
これは彼を止められなかった私への罰なのだろう
みんなが君を忘れても、私は君を忘れないからね
『過ぎた日を想う』
もしあのとき、彼が森に行かなければ。
白い布の上に置かれた彼の愛刀を眺めながら、そんな意味のない後悔を思う。
この刀は、もう彼の腰に纏われることはない。
けれどきっと、この未来は変えられなかったのだ。
彼の故郷でもあるあの森。
綺麗な鉱石が採れる森。
いつの間にか、領主の手の者に支配されていた森。
そのせいで他の集落と交流も許されず、魔物が巣食う鉱脈の中で、鉱石を掘り続けた森の住民たち。
住民たちは、とうとう謀反を起こした。
秘密裏に協力者を集め、犠牲を払いつつも支配者を討ち取った。
その協力者の中に、彼もいた。
小さな子どもを庇ったと聞いた。
無理だったのだ。
苦しむ住民たちに、手を貸さないわけがない。
目の前の子どもを見捨てるわけがない。
『彼』だから。
だからきっと、この未来は変えられなかった。
それでも……
私は、主を失った刀をそっと撫でた。
ベッドと布団の間に挟まれて 瞼の裏の闇に
浮かんでくる景色に 悩まされる夜がある
明日には明日の風が吹く と言われるし 過ぎたことを悔やんでも仕方が無いとも言われる
それでも 生きた1秒の瞬きすら全てが美しくて
過ぎたからと言って捨て去るには あまりにも大切すぎる
つまり 過ぎた日々を想わないことなんて 不可能なのだ
壊れたからと言って簡単に捨ててしまえないように
死んだからと言ってすぐに忘れられないように
後悔の一瞬でさえ すべてが宝物
だから眠れない夜は 通り過ぎた人の人生を考えてみる
あなたには今日、どんな幸せがあっただろう
悲しいことや許せないことがあった?
素敵な服、素敵な髪、素敵な香りに 素敵な詩
それぞれにどんな思い入れがあるだろう
自分の過ぎた人生が 輝いて大切なように
考えるほどに あなたの人生も大切に思えてくる
あなたの人生が 過ぎた日々から彩られていくように
それを見た私の人生も あなたによって少しずつ彩られてゆく
暗い色も 明るい色も 透明だってある
これから先のわたしのキャンパスの一角には きっとあなたの色が乗るだろう
素敵な明日に出会うために 過ぎた日を想う
過ぎた日を想う
(過ぎた日を想う。)🦜
あのね。
隨分前の
とても寒い冬の朝。
・お腹がペコペコに
減ったんだけど・・、
・雪で食べ物が
全然見つからず
すごく困ったんだよ。🦜
《でもね》
「その日は、お正月の
おめでたい、
元旦の日で
古い神社に
しめ縄が張って有って
稲穂が
着いていたんだよ。」🦜
✣僕は、お賽銭が
無いし
心から、感謝してから、
✣しめ縄、のお米を
頂いて食べて、
生命を繋いだんだよ。🦜
【あれは、僕が
修業して眷属に
成る以前のお話
なんだけどね。】
過ぎた日を想う
懐かしき思い出があってこそ
想うことができるのでしょう
それらは経験してきたこと
見たり聞いたりしたこと
少しずつおぼろげになってゆく
記憶
確かに私は存在していたのだ
それを証明してくれる誰かは
一人また一人と旅立って
自分の思い出だけが
記憶だけが
私と共に今ここにある
過ぎていった日々に想いを馳せている場合じゃないのかもしれないよ
過ぎた日を想う。
過ぎた日を想う。
昨日の事。
久しぶりに
ゆうに逢えて
お髭で
かっこいいなぁと思って
見てたら
浮かれてコケた。
昨日は
心配かけたから
今日は
大人しくしてるよ。
来週こそ。
過去を振り返ったところで
何も得られやしないのに
思い出は慰めてはくれない
それでも縋りたくなる、あの頃
虚しくても、それでも
あの日々はたしかに
愛おしかったんだ
『過ぎた日を想う』