『透明な水』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「ナニコレ…」
「お土産。君の感情にあわせて色が変わるんだよー。」
透明な水の入った小瓶を揺らす。
ちゃぽんと音がした。それだけで、水の色は変わる気配はない。
「これ、不良品か、騙されたんじゃない?色変わんないよ」
瓶をくれた彼女の方を見る。
「えー。ちゃんとしたところから買ったんだよー。騙されたはないよー。不良品はあるかも」
小瓶の水はまだ透明。
「私そろそろ帰るねー。他の子にもお土産配らなきゃだし。」
「うん、わかった。またね」
元気に手を振りながら帰って行く。
うん。やっぱり騙されたんだな。
君が帰って、一人になって、こんなに寂しいのにまだ水は透明なままだ。
透き通り、澄み渡る。
はじめからそうであったかのように
すうっと染み入って、すべてを潤す。
あなたにとってのわたしもそうであるのなら、
こう呼んでも良いですか?
運命の人。
【透明な水】
生まれ変わったら水になりたいと思っていた。
水は死なないから。
山に染み、川に流れて、海とひとつになり、雲になってまた山に降る。いろんな命をぐるぐると廻る。
どれだけ汚れてしまっても、またいつか透明になってかえってこれるから。
透明な水
僕らは個性のない透明な水だった。
成長して自我が出て白色の水になった。
そこから何色に染まるのかは自分次第。
みんなに希望を与える水になったり
みんなに笑顔を届ける水になったり
みんなを堕とすまずい水になったり
個性と自我で透明な水だった僕らは
それぞれの色を持ち始める。
僕の隣にいる君は誰よりもまずそうな色で誰よりも優しい。
君の隣で歩いた僕は誰よりも君が辛かったかを知っている。
足掻いて足掻いて何度も諦めなかった君の心は、ぐちゃぐちゃで色んな軌跡が渦巻いてる。君の歩いてきた跡は何色にもかえがたい事だから誰もが避ける個性の色になった。
それを僕は知っている。
まだ透明な水のままの僕だけど、将来は君みたいな色に染まりたい。
『皆様は、透明な水と言う物をご存じですか? 水道水やコンビニなどで売っている飲料水などとは全くもって違う、完璧な水なのです!』
「……? とうめいなみずってなに?」
「なんだろうな……? もとから水道水も飲料水も色なんか付いていないのに」
「ねー」
「あと、完璧な水と言うのも意味がわからない。純粋な水なら、何を言いたいかわかるんだが」
「えっ! どんなのなの?」
「まず、透明な水は砂糖とか塩が溶けた飲料水でもそうだろう? それらは砂糖水や塩水と呼んで、普通の水とは言わない。そもそも水と言うのは、酸素と水素と言うものがくっついて出来るもののことだ。だから、その二つだけで出来ている液体なら純粋な水と呼べるだろう」
「へぇ~! ねぇねぇ、ほかにもおしえて!」
「ほかに?」
「そう! どうしてあめがふるのかとか、どうしてなつはあついのかとか、いーっぱい!」
「あぁ、別に構わない。が、そろそろ食事を済ませた方がいいんじゃないか」
「ほんとーだ! こんなにたってたの!? ね、あとでぜったいおしえてよ?」
「わかってる、俺は嘘つかないさ」
「……嘘は、つかないさ」
透明な水
白いスイレンが咲いている
白い服の
少女の影をうつして
透明な涙は他の人には見えない
でも、透明な水は見える
いつしかその人は我慢の限界が来てしまうから
透明な水はたった今その人が流した涙
それが重なってようやく人の目に見えるようになる
透明な水\
【お題:透明な水】
交合の
間に共に
飲んでいた
透明な水は
美味しくてもう
透明な水
ぽたりぽたりと滴り落ちたのは赤い色をした血だった。
頭を鉄パイプで殴られたのが原因らしい。
「いってぇな……」
鉄パイプで殴りかかってきた相手を睨めつければ、何故か、件の人物は涙を流していた。
「お、俺、そんなつもりじゃ、なくて」
じゃあどういうつもりなんだと思わないわけがない。
「ご、ごめんなさい」
痛むよね、どうしようと泣きながら呟き続ける。
「こんなのすぐ止まる」
「そ、そうなの?」
「それより俺はあんたに殴られるようなことした覚えはないんだが?」
「それは、その……」
「誰かに言われたんだろ?」
「どうして」
わかるの、と言いながら流しっぱなしだった涙を手で拭う、
どうしてもこうしても最近こういった気弱そうな輩が襲いかかってくるのが多いのだ。締め上げて理由を聞けば命令されてやっていると。いい加減鬱陶しいのでそそろ犯人を見つけ出したいと思っていたのだ。
「誰に言われてやったんだ?」
「それは……」
「俺が守ってやるよだから教えろ」
そう言えば暫く唇をもごつかせた後、主犯の名前を言った。
主犯は隣の高校を牛耳っている男でなぜか俺のことを目の敵にしている奴だった。
「じゃあ、乗り込むか」
がしりと涙が止まった男の肩を掴みそう言うと怯えた表情で「え」と言う。
「俺相手に鉄パイプで殴りかかれるんだったら十分戦力になる」
「ええ」
「それにお前に殴られた借りを返してもらってないからな」
「うっ」
そうして二人でたまり場に乗り込むのだった。
#27「透明な水」
ちゃぱちゃぱと音を立てながら水は静かに流れていた
水の中に浮かぶ小さな塵は水底へ
行く手を遮るものは削り
河原の石は丸く優しい形に整える
そして水は今日も透明さを保ちながら
海への、君の元へ行く長い旅を始めるんだ
透明な水
透明な水がさらさら流れる。
少しはこの水のように清らかな心になれればよいのに…。
そうすれば、きっといつも穏やかでいられるだろうに…。
この清らかで透明な水に杭を立ててしまうのが人間なんだな。
そこに色んな物が絡みつく。
…その姿はまさしく私の姿だ。
少しはこの水のように清らかな心になれればよいのに…。
数多の命の糧
潜む闇に出逢わぬように
―「透明な水」―
透明な水
と聞いて、思うのは、
今、ティアキンにハマってるから、ゾーラの里かな笑
「透明な水」
迷いの中にいる人に突然それは現れるという
あまりにも透き通った水 思わずのぞくと
その人の現在過去未来がそこに
押し寄せてきた感情に 溢れる涙
その水はまた透明になる
誰もいないプールに潜る夢をよく見る。
透明な空間、静かなくぐもった音、全身の重力が効かなくなる浮遊感。
手で水を掻きながら仰向けになって水面を眺めると、太陽が反射してきらきらしている。
とってもきれい。
透明な水
どこまでもどこまでも見通せる透明な色
汚れひとつ
許されない
濁りのない
ただ真っ直ぐな色
透明な水ってすごく神秘的だと思わない?
青色に見える海とか湖も綺麗だと思うけど、透明が1番綺麗だと思うんだよね。
私も綺麗に思われたいから透明になろうかな。
『透明な水』
何でかわからない
でも
目から溢れてくる
止まらない
止めたいのに
どうして……
透明な水
きれいな水、流れるときにしか姿を見せない。
人が悲しむと、濁り一つ無い水が頬を伝って落ちていく。
君の透明な水、きれいな水。
私のは、濁ってる、うそをつきすぎたから。
私はよく、水を飲む。
内側から洗い流すように
押し出すように、水を飲む。
むせるほど、溺れるほど
取り込めど…
頬を伝う涙すら零れず
私の身体は、虚しい水槽のようだ。
ただ透明な水だけしかない。
そこには、豊かに泳ぐ魚も
揺れる水草も砂利すらも敷かれぬまま
何ひとつ物語を持たぬ
からっぽ。
【お題:透明な水】