『逆光』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
テーマ“逆光”
写真を撮るのが苦手な私は
いつも逆光だった。
それも思い出と笑っていたのに
いつの間にか
そんな逆光も綺麗に加工してくれるらしい。
だが、それは別に
撮る側の人の腕が良くなった訳ではなく
カメラアプリやらデジタルカメラの進歩(進化)ってだけで
何かなぁ………と思う。
逆光
「もう、終わりにしよう」
目の前に立つ彼女は、そう別れを告げた。
なんで、とか、どうして、だとか言いたいことはいっぱいあったけれど、どうもこの口は思い通りには動いてくれなかった。
「……わかった」
そう言えば、彼女は安心したように笑った、気がした。このときだけは、彼女の顔が逆光で見えなくてよかったと心底思う。
もし泣いていたりでもしたら、きっと終わるに終われなかったから。
逆光。朝日がとても眩しい朝。仕事の天敵である。
信号見ように日差しがそれを拒む。
まったく困ったものだ。だかこれもまた一興。この日この瞬間はその時にしか味わえないのだ。
いいのだけれど、実際はその時になって後悔する。
時が過ぎれば忘れてまたあの眩しさが恋しく想う。
またそんな日が来るといいな。
なりたいものがあった。
今の自分と正反対にある、なりたい自分。
やりたいことがあった。
今の自分がやっていることとは、ちがうこと。
手放したくないものがあった。
手放さないことを諦めてしまった、からっぽの手。
ふり返ると、今の自分には眩しくて。
光が強くて見えない、分からない。
あのとき、見えていたはずなのに。
いまは、黒く歪んでいる。滲んでいる。
あの時、自分の心を確かに灯していたあの光は
いまは遠く離れてしまった。
今の自分には、ただの逆光なんだ。
嗚呼、でも。
新しい光がここにある。
真反対の道を歩いて、手放して、手に入れたひかり。
これもいつかは、逆光になってしまうだろうか。
そしたらきっと。
あたらしい、ひかりが 。
逆光
撮れてしまった逆光の写真
補正しないでよ、
これはこれで美しいさ。
朝日を背負うあなたは神々しくて
手の届かない高嶺の花。
影がかかっていて顔はよく見えないけれど、とても美しい顔をなさって
わらっているのでしょう。
あなたの隣に並んでしまったら
わたしは光に溺れてとけてしまうの。
__逆光
今日は久しぶりに会えて良かった
私達の思い出が詰まったこの街を離れて
これは修行なんだと言って
君だけが上京してから三年
時間も無くて、お金も無くて
あと、大人になった君に会う勇気もなくて
やっとの思いで私は君との時間を拾い集めた
肌寒い季節に映える
毛先が緩く巻いた暖かな茶色の長い髪が揺れて
胸元にリボンのついた
大人っぽいグレーのブラウスが似合う君
私は少し背伸びをして買った黄色いニットを合わせるのが精一杯で
君の隣を歩くのは、ほんの少しだけ居心地が悪かったけど
さよならの時間、私は夕日に見惚れる君が振り向く瞬間を
首から提げた一眼レフで撮った
写真の中の君は、屈託のない笑顔で笑っている
笑っている
笑っている
笑っている
だけど
夕日の影に隠れた君の笑顔の半分は
笑っていたのに
泣いていたんだ
「−逆光−」
浴びてなんぼ吹いてなんぼ
惹かれ光る金と銀の
輝きを見せた楽器たち。
美しい音色を引き立たせるように
逆光が彼らと相方の楽器を照らす。
逆光
といったら、あの歌だよね。
あの映画の中で1番好きな曲。歌うとウタちゃんみたいに強くなったような気がする。
怒りや戸惑い、不安や焦り、寂しさ。
負の感情をパワーに変える歌。
本当は強くもないし、寂しいし、ずっと夢の中に居たい。でも、想い出す記憶は赤く染まった寂しさと「どうして?」で溢れている。自分では処理しきれない、重い責任が、どこへ向けることも出来ない怒りへと変わっていく。
歌を歌っている時は、真っ白で居られる。
歌を歌っている時は、強いわたしで居られる。
歌が好きなウタちゃん。
歌が下手なお父さんのシャンクス。
ウタちゃんのそのままを見てくれてたルフィ。
みんなみんな、カッコイイ。大好きだ。
逆光を浴びると同時に観客が沸き立つ。
ステージが一体になって紡ぎ出す音の障壁。
他に何者も立ち入る事を許さないように見えて、一瞬でも目に止まれば引き込まれてしまう絶対領域。
その中心に私は立っている。
ギターとベースの音の紡ぎ合わせとドラムの後押しが全身に効いて、脳の快楽作用が膨れ上がっていく。
歌え、と細胞の一つ一つが鳴り止まない。
叫べ、本能の赴くままに。
この世の全てが私の味方をしてくれている!
#逆光
逆光
写真をとるとき、逆光だと相手の顔が暗くなって見えない。
表情を隠しているみたいに、相手がどんな顔をしているのか分かりづらい。
けれど、見方を変えればまるで、後ろからあてられているスポットライトのようにも見える。
逆光は、その人物、あるいは物を影として主役にしてしまう。そんな素敵な一面も持っているんだろうな。
逆光のまま、撮影した写真はどこか不気味なイメージを醸し出すこともあるかもしれない。
だけど、そんなイメージを相手に与えるのもまた、その写真の味となることもあるんだろうな。
「ごめんな」
そういった君の顔は
逆光で見えなくて、
逆光によって生まれた影に目が慣れて、その表情が、顔が、明らかにおかしい事に、ようやっと気づいた。気づいて、しまった。
あるべきところに、あるべきものが、文字通りに何もない。目がない。鼻がない。口がない。姿形は間違いなくヒトであるのに、顔だけが、いっそ美しく感じるほどに、つるりとした球面のようだった。
口から漏れそうになった悲鳴を、手で塞いで無理矢理に飲み込む。ひゅっ、と、引き攣った呼吸が声になりきらぬまま、身体の震えとぶつかっては消え去った。
逃げなくては。そう思っても、恐怖と緊張で固まった身体は動かない。目の前のヒトから視線を外せぬまま、息を殺すしかない。
佇むヒトは微動だにせず、無いはずの眼でじいと前を見据えている。
夕日が沈む。伸びた木々の影がその顔を覆った瞬間、そのヒトは音もなく、跡形もなく、空気に溶けて消えてしまった。どっ、と、心臓が急かすように脈動し、忘れかけていた呼吸が荒くなる。
誰そ彼と尋ねたのは、さて、どちら?
ふわり、カーテンが揺れる。
柔らかな日差しが射し込む教室の窓際の席でひとり、ぼんやりと外を見ている人が居た。
儚くて、消えてしまいそうで――
思わず声を掛けようと小さく息を吸い込んだ瞬間、その人がゆっくりと振り向いて。
「どうかした?」
首を傾げながらの問い掛けに息を詰まらせた。
君は笑っていたのだろうか、それとも――
今の僕に、確かめる術はない。
逆光
晴香様は輝いていた。
どこからどの角度から撮っても、美しく輝いていた。
太陽を浴びた女神だ。
無我夢中で撮影していると、女神の顔が逆光に一瞬なった。
ん?
何か多少の違和感を感じたが、
目の前にいる笑顔の女神を撮ることで必死だった。
撮影会は終わり、撮影した画像を家のパソコンでチェックしていく。
どれも美しい。
どれも麗しい。
どれも可憐だ。
どれも・・・
手が止まる。
あの時の違和感・・・。
手が震えだす。
そこにあったのは女神ではなく、
・・・悪魔の微笑み
#10 『逆光』
顔が見えない。
太陽の光を背負った君の顔はよく見えなかった。
でも泣いてるにおいがしたの。
あんなに晴れてて、綺麗な青色の空をバックに君は泣いてた。
ねぇ。
君を泣かせるのは誰なの。
君の全てを私が守るから。
私は迷わず君に手を伸ばす。
逆光で遠かったはずの君は全然遠くなくて、
太陽と汗の匂いがした。
『逆光』
逆光
逆光で見えない君。
どんな顔してるの?
泣いてないといいな。
沈む夕日の逆光の中で踊り狂う君は
僕からはまったくもって顔が見えない。
いつもと違って華やかで艶やかで
そもそも本当に君なのか
自分を疑ってしまうほどだ。
でもそんな困惑した僕を見た
君のはずの真っ黒な誰かさんは
見慣れたエクボを浮かべて
どこか微笑んでいるように見えたよ。
『逆光』
少し昔の話をしようか。
夕方、夕陽が出ている海辺で彼女の写真を撮った。
俺は写真を撮ることが趣味で風景や人など今まで様々なものを撮ってきたけど、やっぱり彼女の写真を撮っている時が一番楽しくて幸せだったんだ。
でも、それから半年程経った頃彼女に別れて欲しいって言われた。他に好きな奴が出来たとかで。俺は彼女がそうしたいならそれでも良いと思った。彼女の意志を変える資格なんて俺にはないから。…なんて思ってたけど、ただ単にそう思った方が気持ちが楽だったんだろうって今になって思うよ。
それから、彼女との思い出の服や物とか全部処分した。今まで撮ってきた写真も削除したよ。でもその時、一つの写真に目が止まった。夕陽と海の写真。正直一番思い入れのある写真なんだ。逆光のせいで上手く撮れなくて、二人で笑いながら撮った写真。
改めて見てみたら、そんな逆光なんかより眩しい、あの子の笑顔の方に目が行った。その途端、我慢してたものが目から溢れ出してきた。あぁ、思い出したくなんてなかったのに、、
『 戻って…来いよ… 、』
俺はその場に泣き崩れた。その時の写真が映ったカメラの画面の上には沢山の雫が落ちたよ。
以上。これが俺の昔話。
#逆光
逆光
夢の話しです。
逆光で顔が見えない人。
あなたは誰なんですか?心の奥で会いたかった、18の時に疎遠になったあの子なの?
わたしのこと、怒ってない?
勇気があれば、その肩に手を添えて
ぐるりと回ればいいのに‥でも出来ない。
目が覚めたら汗かいてた。
会いたくて会えないあの子。
わたし負い目があるのね。