今日は久しぶりに会えて良かった
私達の思い出が詰まったこの街を離れて
これは修行なんだと言って
君だけが上京してから三年
時間も無くて、お金も無くて
あと、大人になった君に会う勇気もなくて
やっとの思いで私は君との時間を拾い集めた
肌寒い季節に映える
毛先が緩く巻いた暖かな茶色の長い髪が揺れて
胸元にリボンのついた
大人っぽいグレーのブラウスが似合う君
私は少し背伸びをして買った黄色いニットを合わせるのが精一杯で
君の隣を歩くのは、ほんの少しだけ居心地が悪かったけど
さよならの時間、私は夕日に見惚れる君が振り向く瞬間を
首から提げた一眼レフで撮った
写真の中の君は、屈託のない笑顔で笑っている
笑っている
笑っている
笑っている
だけど
夕日の影に隠れた君の笑顔の半分は
笑っていたのに
泣いていたんだ
「−逆光−」
1/24/2023, 1:57:27 PM