H₂O

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逆光


「もう、終わりにしよう」
目の前に立つ彼女は、そう別れを告げた。
なんで、とか、どうして、だとか言いたいことはいっぱいあったけれど、どうもこの口は思い通りには動いてくれなかった。
「……わかった」
そう言えば、彼女は安心したように笑った、気がした。このときだけは、彼女の顔が逆光で見えなくてよかったと心底思う。
もし泣いていたりでもしたら、きっと終わるに終われなかったから。

1/24/2023, 2:18:41 PM