『踊るように』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
唯一無ニ
私らしく、ピースして、笑顔でいて、
読書も趣味も頑張って、
いっぱい泣いていっぱい笑って、みんなと仲良くして、
いっぱい食べて、太ったら、ダイエット頑張って、
階段が大好きで、アニメのfree!が大好きで、
水泳も大好きで、
マイナスもプラスに変えようと努力している私がいて
でも、free!のハル君のようにけして一番なんかには
なれないことは、理解っています
めいちゃんや天月さんの歌に、刺激をもらって
私もマイナスを受け入れて強くなりたいと心から、想います。
炭酸水も大好き.。o○鬼滅の刃の魘夢も大好き、声優さんも好き、
きっと、想先生も大好きなことを見つけて私らしく頑張ってくれる方が嬉しいはず、うん💛
こないだのルーブル展の画家さんなら、あんずちゃんは、俯いて泣いている方が似合うよ〜(*´∀`*)💛とか、
言わないで下さいネ(#^.^#)こんな私ですがが、笑って、色々頑張って夢だってもっているんだから、ネ(#^.^#)♫
ーーでも、心の底は、まだまだ想先生のことでいっぱいなんだ。
そんな、私のままてはダメだから、今日は神無月のスケジュールのページを開き新しい楽しいことをしようと想った(#^.^#)v
歩こう、私らしく。秋の空は、高くて金木犀の香りもやさしくてカワイイ
洋服を着て、頑張って下手なメークもして♫(#^.^#)💄ーー(☉。☉)!あっ、そういえば、ほんまものhalloweenだって待っているんだ。
仲良し組で、集まらなくちゃ、ネ(#^.^#)♫🎃コスプレとメークを考え🤔なくちゃ(≧∇≦)b💛私らしく♫(#^.^#)v終わり
Sing
大好きな歌を歌う
たとえ、心が雨だって。
青空が笑ってくれなくてと
歌うんだ。なりたい自分でいたいから
私にとってのEVERBluE
何にも、代わり映えいないけれども、
大好きなfree!のみんなが教えてくれたから
私は、動画を見ながら、
スターティングブロックを振り付けて踊るな。渚君なら、
元気いっぱいで、可愛く
怜ちゃんなら、クールに知的にでも努力家で、、真琴君なら、友達想いでやさしく爽やかに
凛君なら、熱くカッコイイ感じで
ハル君なら、クールの中に凛とした感じを大切に……。
動画を見ながら、私らしく。
脚が悪いからから上半身だけれども
free!のみんなの歌を歌歌うと、
私が悩んでいることのハートの雲が、ーーやがて、雨になるの。
だって、私が悩んだり、迷ったりしたことがそのまま歌詞になっています。
アップデートは、なかなか難しい私。
でも、悩んだり、迷ったりしても、
free!のみんなの歌で、楽しく、踊ったり、カッコつけたり、
私なりの負荷を楽しんでいます。
私は、スターティングブロックを上がることは出来なくても
プールの中を大きな歩幅で意識しながら歩くこことが出来るんだ。
ーー私なりのアップデート仕方なんだ(#^.^#)v終わり
お茶碗いっぱいにご飯をよそい、真ん中を凹ませて、そこに卵を割入れる。その上に鰹節をひとつかみと醤油をひと回し入れる。
これが僕の最高の朝ご飯。卵かけご飯〜鰹節を添えて〜だ。卵とご飯の組み合わせは去ることながら、その上に鰹節の旨味がプラスされるのだから腹がならないわけがない。
それも出来上がってすぐ食べるのではない。ご飯の熱で踊る鰹節を眺めるのが、また至福のひとときなのだ。乾いた鰹節が、熱と湯気と程よい湿り気で身体を不規則にうねらせている。これを見ずに口に入れることなんて、食の快楽を知らないのと同義だ。今まで食に興味も無かった僕が言うんだから間違いない。
あぁ、鰹節の勢いが大人しくなってきた。そろそろ食べ始めるとしようか。
【踊るように】
「最高の夜だった。その日は本当に興奮して眠れなかったぐらいだ。」
『そんなにいいもんならみせてほしいもんだね笑』
「いいや、無理さ笑
なんたって、俺の夢だからな笑」
なんだ結局夢オチか…。ボクの友人の話は嘘か、夢の話ばかりだ。
久々にあったのだから、最近の話だとか、今の暮らしだとか、思い出話に花を咲かせればいいってのに。
会う度会う度に、友人の夢の話を聞いている。
それこそ、小学校の時も、就職してからあった時も、はたまた退職してからあった時も彼の夢の話しかしてこないのだ。
『ボクは夢を見ないから、ぜひ見せて欲しいもんだね。』
「そうなのか?それにしちゃおかしいなぁ笑」
『なにがおかしいって?』
「だってお前の見てるこれも夢なんだから。」
夢の話をしすぎて頭でもおかしくなったのか?
正直そう思った位だった。しかしよく良く考えれば、
確かに友人は死んだのだ。それも穏やかな死に方じゃあない。
彼は、よく夢を見た。だがそれだけでない、彼は夢を見ながら体まで動いてしまうのだ。
いわゆる夢遊病ってやつだ。
嘘か本当か、最後は、華麗に踊るようにしてベランダに出ていき、満月を背にして飛び降りたのだそうだ。
『なるほど。夢枕に立たれたのか笑』
「まあそういうことだな笑久々に会えて嬉しいよ。
お前もそろそろこっちに来る頃なんじゃないかと思ってな。」
『確かにボクは、なかなか長生きしてここまで来たからなぁ。お迎えにしちゃあテキトーな人員じゃねぇか?
まあいい、あと1日くれないか?』
「あぁ、いいとも。俺とお前の仲だ。」
『ありがとう。』
そこで私は目が覚めた。
いつもの天井、鳴り響く介護士の足音。
最後に妻と踊りたいと、車椅子で介護士へ頼み込んだ。
お迎えが来ると。
信じてくれるわけが無いが、ここの介護士は皆優しい。
ホールで音楽を流してくれた。
初めて出会った、社交パーティで踊ったワルツを、
車椅子と歩行器の老人で踊った。それは到底踊りとは言えない代物だったが。
それでもいつまでも老人は踊った。
そしてその夜、ボクは彼が最後に踊っていた理由がよくわかった。
とても綺麗な満月に、ありがとうを伝えて眠った。
心が踊るような
毎日を君は過ごしてるんだろうな
好きな歌を歌って
皆んなを幸せにしていく
今、君は何処で歌ってるのかな?
踊る様に、踊る様に、鼓動の刻みに合わせて、踊る。
誰もいない劇場、誰も笑わない道化、誰も知らない顔。
それでもいつか誰かがこちらを見て、光を当ててくれる事を祈って。
そしてもし、もし願うなら、私もいつか見た夢の主人公の様に。
心臓の鼓動にノリ、歩みを踏み、今いる舞台でミラーボールみたいに回り続けるその脳みそに身を任せ踊るように自由に生きれば、必ずスポットライトが君を見つけ照らし、その瞳に輝きを灯すだろう。
『踊るように』
月光がスポットライトのように淡く地上を照らし、色鮮やかな花弁が、美しい蝶が空中を舞う。
冷んやりとした優しい微風が、この空間に広がっている。
そんな、とある花畑で、俺は二人の人影を見た。
堂々と、可憐に、そして自然に
まるで二人が一心同体かのように、揃って舞を踊っていた。
幻想的で、非現実的なこの景色。
俺は、その光景に見とれていた。
そして同時に、あの二人の影に、俺とあいつの姿が重なった
いつか、思いを伝えられた時
再びこの場所を訪れて、
二人で一緒にーーー
#踊るように
51柵目
「踊るように」
ポトン。ポトン。
静かな夜に、雨が降っている。
蠢くに雲が動き、遠くで車の音がする。
雨は水溜まりになり、さらに降った雨は同心円状に影を揺らして。
波紋をつくりながら、消えていく。
そんな様子を、僕は眺めるように見ていた。
疲れた。
頭のなかにそれしか浮かばなかった。
なにもしたいと思えなかった。ただ、日々に疲れていた。
毎日が辛いわけではない。生きることが辛いわけでもない。
ただただ、体が怠い。なにもしたくない。そんな感じだった。
『今日は雨が降る予報で……』
点けていたテレビが誰かに話しかけるかのように、一方的に話す声が聞こえる。
今日は雨が降ります。傘を常備しておきましょう。
それだけだ。
ただ、それだけ話すのに、どれだけの力が必要になるのだろうな。そんなことを思う。
そんな仕事ができているだけでも素晴らしい。僕なんて、この日々を生きるだけで精一杯だというのに。
誰かに話しかける余裕なんてない。第一、それが自分のためにもならない。逆に、話すことでイメージダウンに繋がる可能性すらある。
そんなことを、する余裕なんて、無かった。
窓から空を見る。雲は町中を覆うように広がっている。黒く、どんよりとした色。
絞り出すように、或いははみ出すように、辺り一面に水を落としている。
まるであの日みたいだ。そう思う。
あの日。君がいなくなった、あの日。
意識は、そこに転がり込んでいった。
ある雨の日だった。今日のような、普通の雨の日。大雨でもなく、曇りでもないような、そんな日。
特に何もない、あの日の帰り。
僕は君と一緒に帰っていた。普通の道をただ歩いていた。
普通だった。なにもなかった。
特といって話すようなことはなく、当たり障りのない会話を続けていた。
そんなときの、分かれ道。
君は、あ、と小さく声をあげて、笑顔でこちらを向いた。
静かに、優しく。
『またね』
君は小さな手を振って。だから、また次の日も、そのまた次の日も、会えると思っていた。
でも僕らの先に「次」はやって来なくて。
大きな荷物すら持っていなかった君は、あの日、帰ってこなかったそうだ。
誘拐なのか、失踪か。
誰も分かりもせず、ただ、時だけが容赦なく僕らの間を開けていって。
緩やかに日々は過ぎていった。
今日はそんな雨の日。否が応でも君のことを思い出してしまう。
もう一年。
失踪なら、帰ってきても、いいのに。
いなくなる必要なんて、ないのに。
外ではまだ雨が降っている。
いつの間にか下がっていた顔を、ゆるゆると上げた。
バチャバチャと、誰かが通った音がする。
コンコン、そう、ノックの音が聞こえた。
雨は今も、踊るように跳ねている。
大きな水槽の中で金魚たちが泳いでいる。音と光が金魚たちの美しさを引き立たせていた。踊るような気配はないけれど、そこにいるだけで魅力的だ。
【踊るように】
もう何もしなくていい
何も話さなくていい
怒られることもない
朝の憂鬱な時間もない
心が踊る
楽しい楽しい楽しい
僕は笑う
笑いながら泣く
あぁ、まただ。
不意に空から降り注ぐ音に足を縫い止められてしまった。
苦々しい思いでふり仰ぎ見つめた先、頭上のビルボードには私の知らない名前を持つ、私の知ってる彼の姿。
彼の指が跳ねるたびに、夏草に散った水滴のように弾んでは転がる音の粒たち。
音が跳ねて踊ってるみたいねと冗談めかして言ったあの日から、どれほどの季節が巡っただろう。
鍵盤の上を跳ねる指
ギターの弦を弾く指
踊るように弾むその指先を、柔らかな声で紡がれるまだ歌詞のないその旋律を。
ただ隣で聴いている時間が大好きで、大切だった。
人の心を惹きつけて止まない音。
彼の目から見た世界を、奏でる音を私は愛していた。
そしてそれは私以外ももちろん例外ではなかった。
『音楽』を愛して止まなかった彼が、やがて『音楽』に見出され、『音楽』から選ばれるのに、そう時間はかからなかった。
そうして彼は、『音楽』に手を引かれて行ってしまったのだ。
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スクリーンに写ってるのは、あの頃より少し大人びた、知らない名前の知ってる彼。
降り注ぐ音楽は今も変わらず人を惹きつけて止まない、私の大好きな音なのに。
昔、無邪気に聴いていたころより深みが、愛おしさが、衝動が、切なさが滲む音。
私の知らない誰かを想って紡がれる歌。
もう聞きたくないと思ってしまった。
金縛りにあったように動けない私に、容赦なく『彼の音楽』は降り注ぐ。
大好きだった彼の音が、空っぽな私の中を満たしてゆく。強制的に『彼の音楽』に満たされてしまう。
私に宛てられた歌じゃないのに。
満たされて、抱えきれなくて、溢れて。
頬を伝った涙がアスファルトに弾けて転がった。
『躍るように』
/かつて灯火を灯した女の子の話
踊るように (9.7)
踊るようにいちょうが舞っている
一瞬の彼の笑顔が浮かぶ
私は踊らされている
『踊るように』
私はダンス部の部長だ!
音楽もダンスも大好きで今とっても幸せだった。
県大会に向けて練習をしているところだ。
私はダンス部の部長だった。
事故にあい、耳が聞こえなくなった。
もう、踊れない。
大好きだった音楽も聴こえない。
聞こえないなんて嘘だ!
認めたくない、嫌だ嫌だ、
私は手話なんてなくても喋れるし、
音だって少しは聞こえる
だから、踊らせてよ、
ドレスを着ている君
踊っている君を
見て僕は君に恋してしまった
踊るように
踊るように飛ぶ蝶が好き。
自由で、美しく。繊細で、でも力強く。
私は、そこまで自由じゃないし。醜く足掻くことしかできないし。ただ弱いだけだから。
それでも。いつか。
醜く足掻いて自由を得て。強くなって、誰かに優しくいられたら。
蝶みたいに、なれるかな。
踊るように
踊るように桜が舞った。
1枚、また1枚と。花びら同士が寄って離れてまるでワルツを踊ってるみたいに。
自転車のカゴにひらりと舞い降りる1枚。
踊るように
穏やかな波の音を聞きながら少し足を取られながら歩くのは楽しい。特に足が沈み込む感触は眠る瞬間に似ていて心地がいい。そんな晴れやか心とは裏腹に頭は不安で覆い尽くされている。数日前に目が覚めたとき、ここどこで自分が誰かわからなくなっていた。おまけに自分以外の何かがいる気配もない。幸い食事や睡眠が必要であるという生物としての本能まではなくなっていなかったが、何日も前から歩き続けてもなんの成果も得られない状況は堪えるものがある。そんな考え事をしていたら突然足を取られた。
「っ!?」
咄嗟に後ろへ跳んだ。目線を下げるとそこには自分の足跡の他にもへこみがった。あっちへいったり戻ってきたり、海へ向かったと思えば逆方向へ進んだりしている。名も姿も知らぬその何かもきっとこの砂浜を楽しんだことだということだろう。
数は多くないが見えなくなるくらいまで続いている。なにより今日できたものであることは確かだった。それを理解した瞬間、僕の足は軽やかに風に乗って宙を舞うように動き始めた。
『踊るように』
踊るように桜が舞った。
それを追いかけて子犬が舞った。
ワルツ、ワルツ、子犬のワルツ。
せっかくだからShall we dance?
僕と一緒に踊りましょう。
拙くたって良いのです。
だってこれは子犬のワルツ。
主役は僕らじゃなくて彼ですからね。
さぁ、子犬くん。桜はまだまだ舞ってるぞ。
踊るようにひらひらと。
踊るように
「おい。あんまり走ると転ぶぞ。」
「分かってるよー!」
淡い水色の空にかかるわたあめみたいな雲。
視線を落とせば視界を埋めるほどの燃えるような桃色の花々が。
俺は、年の離れた妹と、この花畑へ来ていた。
日々仕事で忙しく、中々妹と話す機会が無く、きょう休みを取ってここまで来た。
妹も遊びたがりな年頃だろうに、いつも俺を気遣ってくれて、なにか欲しいものはないかと聞いても、いつも遠慮する。
しかし、今日の事は喜んでくれたみたいだ。俺は花畑で駆け回る妹の姿を見てほっと胸を撫で下ろした。
せっかくここに来たんだ。俺もゆっくりしよう。妹の姿をゆっくり追いながら、花達に目を向けた。
確か、アザレアという花だった気がしたな。妹が花に関する本を借りてきて、期限のギリギリまで読んでいた。その中に同じような花を見た。
図鑑で見るより、すごく生き生きしていて、綺麗だ。
俺は、そっとしゃがんで1つの花を手に取る。ふわふわとした花びらが壊れないように、そっと触る。
風に吹かれ、花が左右にゆらゆらと揺れた。
「お兄ちゃん!何してるのー?」
妹は、あまりにおれが追ってこないのを気付いたのか、俺の前に戻ってきた。
目線を上げると、首を傾げている妹がいた。
俺は跪いた膝を上げ、「いや、なんでもない」と立ち上がった。
「もー、せっかく来たんだから、ちゃんと見ようよ!」
「あぁ、そうだな。」
自分より小さな妹の姿を見る。妹は俺の手を引くように前へ走った。
「転ばないように、気をつけ――!」
突風が吹く。俺は目を覆った。びゅおおおっと音を立て、髪がなびく。
やがて、うっすらと目を開けていくと、さほど離れた距離に居ない妹が、くるっと回って、こちらへ走ってきた。
たった一瞬。その一瞬。
花と揺れる妹の長い髪。ふわりと広がるスカート。
穢れを知らぬ真っ直ぐな瞳。
小さな足取りで、俺の元へ来る。
息を飲んだ。妹が、あまりにも儚くて。
綺麗で。
まるで、1つのダンスを見ているようだった。
「お兄ちゃん?」
近くへ寄った妹は、心配そうに俺を見る。
この子に、こんな顔を見せてはいけない。俺は目元を雑に腕の袖で吹いた。
「泣いてたの?」
「いや……目にゴミが入っただけだ。」
本当は、あまりにもあの光景が儚くて。
風とともに、姿が消えてしまいそうだったから。そんなこと、言い出せるはずもない。
俺は、妹と目を合わせ、微笑んだ。
「行こうか。」
「うん!」
今度は、手を離さないように。俺は小さな妹の手を取って、横に並んだ。
「なあ、兄ちゃんお前はどこかのお姫様だったと思うんだ。」
「え!?本当!?」
「ああ。きっと、ダンスが上手なお姫様だったと思うよ。」
「どうして?」
どうして?それは……
「お前の一つ一つの行動が、全部綺麗に見えるんだ。」
私のお兄ちゃんは、とっても優しい人。
とっても、不器用な人。
パパとママはお仕事が忙しくて中々お家に帰って来ない。でもお兄ちゃんはずっと私のそばに居てくれる。
私は、そんなお兄ちゃんが大好き。
でも、この間お兄ちゃんと出かけていた時、「ダンスが上手なお姫様」みたいって言われた。
すごく嬉しくって。私、その日は自分の持っているアクセサリーを身に付けたっけ。
でもね、私もお兄ちゃんは「ダンスが得意な王子様」だと思うんだ。
「そっちにまわったぞ!」
「ああ。今行く!」
お店で買い物していたある日、アクセサリー屋さんに泥棒が入ったことがあった。
私は、何も出来なくて店から出ていった泥棒のことを横にいたお兄ちゃんと、そのお友達に伝えることしかできなかった。
私は、泥棒のあとを追ったお兄ちゃんをバレないように見ていた。
「はっ、たかが宝石一個にキレてんだ。頭のかてぇ警官さんよぉ!」
「その宝石には、作った人の想いが込められているんだ。簡単に奪っていいものなんかじゃない!」
「うるせぇ口だなぁ!黙らせてやるよ!!」
泥棒がお兄ちゃんに襲いかかる。まずい……!と思って目をつぶった。けど……
お兄ちゃんは軽々と攻撃を避けた。でも、泥棒も攻撃をやめない。
沢山殴ってくる手を、お兄ちゃんは軽々と受け止める。最終的に体を捻って、相手を地面に叩きつけた。
「ぐぁっ!」
「お店の人に謝れ!自分のやった過ちを反省しろ!」
それだけ言うと、手錠で拘束した。
スーツの裾が、風にゆらゆらと揺れ、乱れた前髪を乱雑に掻き分けた。
(かっこいい……)
私は、その様子をずっと見て、それだけしか思えなかった。
あんな怒っているお兄ちゃん、見た事なくて怖かったのもあるけど。でもそれ以上に、かっこいいが勝った。
だって、あの時の戦っているお兄ちゃん。
まるで、踊っているみたいだったから。お兄ちゃんには言ってないけど、私は見てたからね。
「ねえお兄ちゃん。」
私は夕ご飯の準備をしている、後ろを向いた背の高いお兄ちゃんを見た。
「私もね、お兄ちゃんは『ダンスが得意な王子様』だったと思うんだ!」
いつもありがとう。そんな想いを込めて、私はにっこりと笑った。
高校入学初日、誰よりも早く学校に着きたかった私は、集合時間よりもずっと早く家を出た。
余裕のある制服に、とりあえず初日だからと折らなかったスカートは膝に当たっている。春風が気持ちよく流れた瞬間、走りたい衝動に駆られた。まだ、すべてがこれからだというのにドキドキしている。
校門をくぐり抜けて、自分のクラスを確認した私はそのまま教室へ向かった。誰もいない教室はシンと静まり返っているのに、黒板はお祝いの言葉で賑やかだった。このまま校内を探索しようと、荷物だけ置いて教室を出た。一番気になったのは屋上に入れるかどうかだった。真っ先に階段を駆け上がっていく。少しだけ息が切れて、ドアに手をかけようとしたところで気づいた。音楽が聞こえる。誰かがいるのだと気づいて、そっと覗くようにドアを開けた。
すると、その先に見えたのは踊るようにスカートをひらめかせながら、一人で激しいステップを踏んで、まるで誰かとペアがいるかのように舞っていた。その顔は凛々しくて、力強さもあるような、とても同年代とは思えない大人びた顔をしていた。
曲が終わって、その人が最後にポーズを決めるといつの間にか自分が息を止めていたことに気づいた。
「一年生?」
突然こちらを向いて、彼女は言い放った。バレてしまったことに焦ったが、今さら逃げるようなこともできず屋上に出た。
「すみません、覗いてしまって。あの、一年です」
隅に置いていたペットボトルの水を彼女は一気に飲み干した。
「気づかないと思った? これでも人の視線には人一倍敏感な踊りやってるからさ」
「やっぱりさっきの踊りだったんですか!」
「そうよ。社交ダンスって聞いたことある? その中のタンゴという種類の踊り」
初めて聞く言葉にドキドキしている。
「あの! 私にも踊れますか!」
「もちろん。学生なら無料だから、放課後ここにおいで」
そう言われてパンフレットを渡された。私も彼女のようになりたい。