『踊るように』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
街行く人々の服が原色系の明るい色からくすみ系の落ち着いた色へと変化し、
木を彩る葉の色が赤や黄色に変化していく。
秋だ。
「もー、何やってんの?今日は私の大好きな秋刀魚と炊き込みご飯にするんだから!早く帰ろ!」
くるりとロングスカートを翻し、軽い足取りで私の先を行く彼女はまるで踊っているかのようで。
「…あ、紅葉。」
私の持っていた買い物袋の中に舞い降りた一枚の紅葉も、落ちて来る様はまるでくるくると踊っているようだった。
「はーやーくー!」
「はいはい。」
紅く色付いた紅葉と、彼女の紅いロングスカート。
私の視界でひらひらくるくると、踊るように舞っていた。
『踊るように』
ハ
ン
ケ
チ
の
漂
白
液
に
ほ
ど
け
る
夜
の
み
の
ま
ぼ
ろ
し
浴
び
て
木 犀
暑い夏の中。セミの大合唱を聞きながら、緑を灯した木々の間を踊るように歩いた。歌でも口遊たい気分だ。
きっと今ここで歌を口遊み踊ってみたら、とても気分がいい事だろう。だけども、私は少し考えて止めておいた。歌ったってきっとセミの大合唱には勝てっこないから。
群青色の空に、ふわふわもこもことした白い雲。夏だって一目見てわかるこの夏の空。私は少し苦手だったりする。暑さやられている頭では、この空は眩しすぎてくらくらしてしまうから。でも、涼しい部屋の中で見るこの空は、美術館で見る美しい絵画のように見えてとても好きだったりする。つまりは、環境によって見え方、好き嫌いが変わったりするのだ。全く我ながら都合のいい人間である。
でもきっと、この世は人の都合の良さで成り立っている。
そうした、ちょっとした都合の良さでズレている部分を治す。欠けたパズルのピースを同じ形のピースで代用するかのような、そんなちょっとした狡い都合。
私は今日もそんな狡い都合を愛して、生きている。なんて言うと少し恥ずかしいような気持ちになってしまうけれど、これも夏の暑さのせいなのだ。
セミの大合唱に合わせて少し体が揺れる。やっぱり少し踊ってみたくなった。本当に都合がいい人間だと思うけれど、そういう所も愛くるしい。
たらったたった、なんて少し口遊ながら少し足だけで踊ってみる。
そうしたら、緑を灯した木々たちがまるでペンライトを降るようにさわさわと揺れるから、なんだか気分が良くなって、手で足で服でさえも踊り出してしまった。
嗚呼、とても心地がいい。
都合の良さもきっと愛すべき部分。そんな事を気付けた私は多分1番都合のいい人間。
だけども、それも何故か心地いいから、大合唱にそれから、さわさわと揺れるペンライトと共にずっと踊るように、いいや。踊って並木道の下を歩いた。
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熱が下がらないです。
自分がよく書く、桜、海、夜、星、薄暗さを全て封印して書いてみました。やはり、実話と関連するように書かなければ上手く行きませんね。でも個人的には、好きです。太陽のような力強い暖かさでなくとも、木漏れ日のような温かさはある…ような気がするので。
そういえば、太宰治の女生徒を読んでみました。私はこの人の作品に好意と同情と共感を少しばかり。
私に考えがよく似ている、と言えば自分を買い被りすぎるけど、既視感とかそんな感じですね、多分。
作品に共感すると、その作品と自分を同一化してしまう癖がよくあるので、話し方とか書き方とか、なんだか少し似たような気がして恥ずかしいですね。いや、それこそ自分を買い被りすぎか。
まあでも、そういう自分を買い被ったり自分に都合のいいように辻褄を合わせたりするのは、楽に生きる中でも結構大切だったりします。人を傷付けない自分の中の都合の良さで、沢山何かを愛してみたいですね。
踊るように
心 踊るように
今日も会いにいく
どんな顔してるかな? 何を話すんだろう?
タクシーの中で考える
どんなに考えても 嬉しさと戸惑い
さよならする時に またねって言える事を願って
自分で心を お ど ら せ て み る
『踊るように』2023.09.07
彼の歌声は、まるで踊っているようだった。
ただ、歌っているだけではない。抑揚の付け方も表現力も、伸ばしたり跳ねたり。さながらそれは、一つのダンスのよう。
彼の歌声には、そう思わせる力がある。
逆に、彼のダンスからは歌声が聴こえる。
彼の全身が楽器のように音色を奏でていると錯覚させる。
それだけ、彼の歌やダンスは不思議で魅力的なのだ。
彼が歌い踊るたびに、観客の視線が動く。
自分の一挙一動に注目が集まる。
それは舞台人なら誰しもが快感に感じることだ。
実際に、彼もそれが嬉しいと言っていたし、自分もそう思っている。
発声一つ、手の伸ばし方一つで物語の世界に連れ込むことが出来ればこっちのものだ。
今も彼は歌声を踊らせている。
例えるならそれは、パ・ドゥ・シャ、フェッテ。
間近で彼の歌声を聴けることの喜びを噛み締めながら、自分も歌声を踊らせた。
波打ち際、踊るようにはしゃぐ君はきらきらと輝く
日没前の赤い光に攫われてしまいそうな美しさが、眩しい
こんなに綺麗なものが、僕のもとに戻って来て良いのだろうかと
笑顔で手を振る君の姿に、ほんの少しだけ胸が傷んだ
(踊るように)
私はバイオリンを弾く。
目を閉じて、
自分の響きを感じて、
踊るように、
音に自分を任せる。
踊るように、
踊るように。
左右上下
進んで戻ってまた進む
一呼吸おいて、また最初に戻って勢いに乗って最後まで
踊るように指が滑る
書く習慣を書く夜
//踊るように
「踊るように」
広がるスカートが楽しくて、嬉しくて。
くるくる、くるくる、まわってしまう。
題.踊るように
夏の、萌ゆる葉の裏に
銀の踊り子が見えた。
熱く、湿気が絡む風に吹かれて
その耳飾りを揺らしながら、
ゆらゆらと。
見えない笑顔を感じる。楽しそうだった。
【41,お題:踊るように】
小さい頃に一度だけ人魚を見たことがある。
家族で海に来て、1人泳いでいた時だった
クルルル、キュイ!ピィィィ
イルカみたいな高い鳴き声に
なんだろうと思い、大きな岩の外側を覗き込んだ時
パシャン!ザパン!
「!......す、ごい...」
ピーコックグリーンのきらびやかな身体をもった、私と同い年くらいの見た目をした人魚の子供
何度も水面から飛び上がり、空中で身を踊らせるその姿は
生きていることを全力で楽しんでいるように見えた
ふと、その人魚と目があった。
ピィィィ?キュゥ
好奇心で満ち溢れた、2つの瞳が私を見据える
キョトンと首を傾げると、君も遊ぼうよ、と言うように手を差し出してきた
「私も、いいの?」
おもむろに手を取ると、グンと引っ張られ水中に身体が沈む
驚いて目を見開くと、見渡す限り広がる澄んだ青の景色と
いたずらっぽく笑う人魚の男の子が居た
にっと、こちらに向けてピースをすると
男の子は踊るように身を捻り、水中で何度も宙返りをしてみせた
すごいなぁ、と感心しながら見ていると
男の子は一度海底に届くほどに、深く深く潜っていき
すぐに身を翻して、勢いのままに海中から飛び出した
ザッバァァァッ!
軽く3mほど飛んだだろうか?
落下した勢いを泳いでいなし、海面から顔を出して得意気にこっちを見る姿に
私は思わず拍手を送った。と、
「結海~?帰るよ~どこにいるの?」
「あ、お母さんだ。私もう行くね」
じゃあね、と手を振る
彼はキュイ!と鳴き返し、真似して手を振ってくれた
少し歩いて、振り返ったときにはもう彼の姿はなかった。
私しか知らない、幼き頃の大切な一夏の思い出
サブリミナル
髪をなびかせて
死角から死角へ
風が吹いただけなのに
一瞬というには長すぎる
網膜に映った3秒くらいの君
※踊る様に
踊るように
突風に、紙の束が舞い上がる
持ち主が慌てたように紙を回収しようとするが
風に舞う紙はするすると手からすり抜けていく
まるで踊っているみたいだ
微笑ましく見守っていると
一枚の紙がこちらに飛んでくる
あっ、拾って…いや、見ないでー!
悲鳴を上げながら持ち主が走ってくる
目の前で躓く
何とか拾い集めたらしい紙束が
再び盛大に宙に舞った
視界に入ったのは丁寧に描かれたスケッチ
なるほど
前へ進み出て、舞った紙を集める
共に踊るのも、悪くはない
踊るように
台風も過ぎたオレンジ色のアスファルトの上。
夏が最後に負けるもんかと悪あがきした水溜り。
その水溜りにぴょんぴょんと跳ねるかわいいかわいい子。
まるで初めて水溜りを見つけたみたいな。
きゃあきゃあと笑って踊るように。
踊るようにイキイキと絵を描いてる彼女の姿が好きだ。
でも、僕にとっては高嶺の花で、話しかけることすら出来ない…。
そんなある日、彼女から話しかけられた。
「君の絵、すっごく素敵!」
キラキラ笑顔で僕の絵を褒めてくれる。
やっぱり彼女の事が好きだと、改めて感じた。
友達としての好きではなく、恋愛の好きで。
#踊るように
#20
追記
皆様のおかげで、ついにいいね数が200超えました\( *´ω`* )/
こんなに続くと思ってなかったし、いいねがつくとは思ってませんでしたw
これからも頑張って書いていくので、応援よろしくお願いします!
『踊るように』
「まるで踊っているようだ」
呟いたはずの言葉は思いの外、大きかった。
文机でさらさらと筆を滑らせていた先生が、何を言っているんだというような目を向けてくる。
「あ……その……すみません。先生の筆が踊っているように見えたので」
なんでもありませんと言うつもりだったのに、先生の視線には勝てなかった。
踊っているよう、と表現した訳を話すと先生はそっと筆を置いて体をこちらに向けた。
「踊るなんて初めて言われました。具体的にお聞きしたいです」
「え、あの……それは」
まるで責められているかのように感じた。
そんなことを聞かれるなんて思っていなかったから。
何となく焦りはしたが、咄嗟に誤魔化しが思いつかなかったのでもう素直に答えることにした。
「先生の筆の動きが大きかったり小さかったり、早くなったり遅くなったり……時折止まったり……そういう動きが何だか踊っているように見えたのです」
別に先生だけではない。筆を使う時はそうなることが多いので、当たり前のことではある。
しかし先生の筆の動かし方は美しく、落ち着いていて優しく紙の上で自由に踊っている気がしたのだ。
それを包み隠さず伝えると、先生は一瞬だけ驚いたような表情をした。
そして再び文机に向い、筆を手にする。
「嬉しいお言葉です。しかしそこまで見られたと分かると、少々恥ずかしいので……あまり見ないでください」
先生の横顔は少し照れくさそうな顔だった。
創作 2023/09/07
踊るように
ゆっくり歩いたかと思ったら
急にリズムも方向も変えるきみ
表情がクルクル変化するのに
楽しげなのはずっと同じ
普段はのんびりしてるのに
今なら突然だれかが立ち止まっても
ぶつかることなくかわせそうだね
うそが苦手なきみ
水族館がすきだと言っていた
ここまで夢中になるほどだったんだね
子供のように目を輝かせているきみ
少し離れたところから見ているぼく
水族館ひさしぶりだよ
ぼくの知り合いの声
どうやら一緒にきた数人が
近くに集まりだしたようだ
水族館は癒しだよね
そんな会話が聞こえてくる
キラキラ光る水槽ときみ
きみがいると
すきなものが増えていくような気がする
退勤列車 街中の光
雨がひと粒降ってきた
エレベーター前の人混み
スーツケースを引くかわいい女の子
大荷物の主婦
ワイシャツサラリーマン
飲み会帰りの大学生
交差点ですれ違うこいつらにこいつらの人生
ブルーライトが目に悪いとか
平日夜のお酒は控えるとか
知らんがな とっととおつまみでも買って帰ろうや
酸っぱめ甘め苦めでキメたら
TVerでお気に入りのテレビ番組なんか観てさ
いい夢見ようぜ
松ちゃんが言ってた
クソおもろいセリフだけ妙に覚えてる
頭ん中からっぽ
フワフワする気分いい
まだ木曜日 もう木曜日
明日を適当に済まして
スキップで土日に飛び込んでやろうぜ
軽やかな曲に合わせて
レタス君の登場です
トマトさんをエスコートして
キュウリさんと合流
みんなを包み込むのは
黄金に耀く
玉ねぎドレッシング
さあ、サラダボールで
踊りましょう
昨日までの私はもういない
あらゆる束縛を解き放って
あの窓へと駆け出す
心が羽をもって
空高く飛び立つ
踊るように 軽やかに
すべては自分次第
私を縛る足かせ
そんなもの初めからなかった
今やっと気づいたから
~踊るように~