踊るように』の作文集

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踊るように』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

9/8/2024, 11:33:53 PM

踊るように

「花びらが落ちる姿って踊ってるみたいだよね」

「おー、君にはそんな風に見えるんだね」

「うん」

同じ景色を見ていても見る人が違うと見え方も違う
それを知った出来事だった

9/8/2024, 10:07:50 PM

指先が空を撫で上げ、つま先は地を抉る。
地を蹴り、空を求め彷徨うその様は、まるで踊っているかのように見えた。
実際、踊っているのだろう。雲を、雨を呼び寄せるそれは、雨乞いの儀で執り行われる人間の舞によく似ている。
遙か遠くの空に雨雲を見て、そのまま地に横になる。
見上げる空はまだ暗く、朝は当分来そうにもない、


「どうした?」

欠けた月をぼんやりと見つめていれば不意に月が陰り、見慣れた顔に覗き込まれる。
終わったのかと無感情に思う。出迎えるべきだったのだろうが、何故か今は何もする気が起きなかった。

「終わったの」
「そうだな。まだ遠いが」
「まだ続けるの?」

溢れ落ちた問いは想定外のもののようだった。当たり前か、と胸中で呟いて目を閉じる。
それが役目であり、そのため在る存在にいつまでと聞くのは詮無き事だ。

「どうした。何かあったか?」
「何も。ただひとりで行う事に意味があるのかなって。そう思っただけ」
「そうだな。皆いなくなってしまったからな。だがそれが役目だ」

優しく頭に、頬に触れる手は何一つ変わらず心地良い。

「丙《ひのえ》。こうして一緒にいられる事がとてもうれしい。でも一緒にいられる時間が長くなればなるほど、人間に必要とされなくなっている事を思い知って悲しいの」
「人はもう己一人の足で歩いていけるほどに、賢く強くなったのだ。その過程で不必要となったモノは消えるのが定めだろう」
「それならわたしが先に消えればよかった。辛《かのと》が残ればよかったのに」

消えた兄弟を思う。己とは違い役目に忠実だったのだから、己のように疑問など抱かず最後までいられたであろうに。

「庚《かのえ》」

穏やかで優しい声が呼ぶ。
それでも今は目を開けて顔を見るのは出来なかった。
その優しさはひとりの己には毒にしかならない。その痛みに泣いてしまう。

「このまま皆いなくなって。四節が巡らなくても、人間は生きていけるのかな」
「どうだろうな。だがすべて等しく終わりはあるだろう。それが人であっても、世界であってもだ」
「寂しいよ。全部がなくなってしまうのが。わたしたちを愛し、尊んでくれた人間の想いも何もかもが終わってしまう事が哀しいよ」
「庚」

再び呼ばれ、観念して目を開ける。
呆れているのではとも思ったが、声と同じく優しい顔が静かに己を見ているだけだった。

促されて立ち上がる。
見上げる空は雨雲が広がり、暫くすれば細い雨を降らせるのだろう。

「庚。季を移そう。丙から庚へ。夏から秋へ。此度も実り多き秋となる事を願っているよ」

頬を包まれて額に口づけられる。
内に灯る仄かな温もりが、役目が来た事を告げていた。

「丙。季は移った。緩やかな眠りをもたらす冬が来るまでは、しっかりとお役目を果たすよ」

頬を包んでいた手が頭に触れ、髪を撫ぜられる。
その心地よさに目を細めて、ありがとう、と小さく呟いた。

「季は無事に移ったが、帰り道は開かんな。まだしばらくは庚と共にいよう」
「彼岸の時には開くかな」
「どうだろうな。開いてくれればいいのだが」

帰れない事を憂う顔を見ないふりをしながら、強く手を握りしめる。
共にいられる時間をうれしいと思ってしまう己の弱さに呆れ、嫌悪する。
そんな己の手に気づき、両の手で丁寧に解かれ、大丈夫だとそっと手を撫でられた。
不安に思っているのだと、そう思われている事に苦笑して、大丈夫だよと答えを返す。

「行っておいで」

そっと背中を押され、駆けだした。
ぽつりと落ちた水滴が頬を濡らし、次々に振る雨が体を濡らす。
その冷たさに浸りながら、腕を伸ばして地を蹴った。

指先で雨を従えて、つま先で育まれた命を実らせる。
やがて訪れる冬を迎えるために、少しでも多くの恵みを。

季を巡らせる己の様はきっと、踊るように見えるのだろう。
いつかの人間の子らが奉納した神楽のように。

それが何故だかおかしく思えて、小さく笑みが浮かんだ。



20240908 『踊るように』

9/8/2024, 9:24:12 PM

ダンスなんて大の苦手だけど踊るようなドラムなら叩けます笑

9/8/2024, 3:07:29 PM

「踊るように」

「前回までのあらすじ」────────────────

ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!!!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!!!

調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!!!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!!!

それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!!!悪気の有無はともかく、これ以上の被害を出さないためにもそうせざるを得なかったワケだ!!!

……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにしたら、驚くべきことに!!!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚!!!さらに!!!アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかったのだ!!!

そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!!!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!!!

……とりあえずなんとかなったが!!!ちょっと色々と大ダメージを喰らったよ!!!まず!!!ボクの右腕が吹き飛んだ!!!それはいいんだが!!!ニンゲンくんに怪我を負わせてしまったうえ!!!きょうだいは「倫理」を忘れてしまっていることからかなりのデータが削除されていることもわかった!!!

それから……ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。いつかこの日が来るとわかっていたし、その覚悟もできたつもりでいたよ。でも、その時にようやく分かった。キミにボクを気味悪がるような、拒絶するような、そんな目で見られたら、覚悟なんて全然できていなかったんだ、ってね。

もうキミに会えるのは、きょうだいが犯した罪の裁判の時が最後かもしれないね。この機械の体じゃ、機械の心じゃ、キミはもうボクを信じてくれないような気がして。

どれだけキミを、キミの星を、キミの宇宙を大切に思ったところで、もうこの思いは届かない。でも、いいんだ。ボクは誰にどう思われようと、すべきこととしたいことをするだけ。ただそれだけさ。

……ついに裁判の時を迎え、ボク達はなんとか勝利を収めたよ!このまま控訴されなければいいが……。

そういえば、ほとんど変化はないけどちょっとあらすじを書き換えたよ!!!多少は読みやすくなっているといいが!!!

P.S. おとといの分(前回投稿分)は、眠りながら書くという悪行を成し遂げて()しまいました。申し訳ございませんでした。
やる気がなかったわけではないんです。ただただ寝不足続きだっただけなのです……。

いつか書き直そう……。

────────────────────────────────

画面の向こうの諸君!!!ご機嫌よう!!!
あらすじの追記にある通り、大事な回にも関わらずボク達からしたらとんでもないことが起こってしまった!!!

そのお詫びに!!!
ちっちゃい兄の寝相を大公開します!!!

まずはこれをご覧ください!一見普通の寝相に見えますが、よく見ると枕に足を乗せて眠っています!そうです!!!あまりの寝相の悪さで180°回ってしまっているのです!

ちなみに、この時ボクは顔を蹴られて起きました。

続いてはこれ!!!サモトラケのニケっぽい寝相!!!芸術的!!!なんで両腕を背中の後ろに?!!意味不明!!!
この時はベッドがあまりにも狭くて起きました。

さらに!これは阿波踊りっぽい寝相です!!!
相当踊っているように見えたので写真を撮りました!!!
この後ボクはみぞおちを襲撃されて起きました。

最後はこれです!!!ボクと兄がおんなじ寝相で寝ています!!右足と顔の角度までぴったり同じです!!!やはりきょうだいなだけあってボク達はよく似ているんだねえ!!!

……それはそうと、最後の写真は誰が撮った物なんだろうか?
あの牢獄にはボクと兄以外誰もいなかったはずなのだが……。

まあいいか!!!細かいことは気にしない気にしない!!!

それじゃあ、そろそろお暇するよ!

9/8/2024, 11:35:37 AM

#47 踊るように

  [生きる]

  この世の中で、明るく、しなやかに踊る。
  何気ない日常がありがたい。
  
  何が起きても
  自分の解釈一つで
  呪いにも祝福にもなる世界。
  
  何もできないけれど、
  楽しんで感謝だけは捧げたい。
 
  きっと、気づかない内に
  見えない何かに助けられているから。

9/8/2024, 9:59:04 AM

踊るように(City Hunter/Get wild モデル)

ネオン色に輝く東京の町
その中、一際目立つ歌舞伎町
マンションの窓からそっと覗く

ネオンの光は踊るように生きている
窓を開けると体がリズムをとるように
弾みだす どうやらネオンの光に飲み込まれて
しまったようだ

暗く寂しくつまらない部屋で独り踊る
夢を想いだす
勇気も覚悟もすべて 自由であることも

独りだけど 寂しく暗い世界がわたしの世
それでも 傷ついた夢を取り戻どす

9/8/2024, 9:59:04 AM

踊るようにウキウキした気持ちでずっといられたらいいのになぁ。

なかなか好きなことでも楽しい気持ちになれない今日この頃です。



お題:踊るように

9/8/2024, 9:57:34 AM

踊るように麦茶をコップへ注ぎ華麗にターン。空中で弧を描く麦茶。なるほど、これが遠心力か。

9/8/2024, 9:55:39 AM

【踊るように】

放課後にコンビニでアイスを食べていたら、目の前を小学生が『南初富に馬が出たー!』とか『馬に乗りたい!』と騒ぎながら通り過ぎて行った。今日も平和な一日を過ごしていると実感しながらアイスを食べていると同級生が踊るように走って、こちらに来た。

「鈴木さーん!ねえねえ暇ー?」
「佐藤さん、暇だけど」
「南初富に馬が出たんだって、見に行かない!?」
「良いけど」
「じゃあ、出発〜!」

佐藤さんはそう言うと、さっきと同じように踊るように走っていた。彼女のことはいつも不思議だと思っていたのだが、関わっても関わらなくても不思議だ。

「なんで馬にそんな夢中になれるの?」
「それはね、イケメンに会えるから!」
「は?イケメン?馬じゃなくて?」
「うん、南初富に塩顔イケメンがいるのよ」
「塩顔イケメン……?どんなの?」
「これ。この人がね家のベランダで日向ぼっこしてたのを見た時、刺さっちゃって」
「確かにイケメン……」

写真を見せられ、確かにイケメンだと思った。でも今日いきなり行ってもそのイケメンがいるんだろうか……。とか思っていたら南初富に着いてしまった。
そこには馬がいて、草を食べ続けている小さい馬だった。その横を見るとその男の人は日向ぼっこをしていた。確かに塩顔のイケメンだった。でもタイプでも無いし、別に同級生に着いていっただけなので、面倒くさくなりずっとイケメンを眺めている同級生を置いて帰った。

9/8/2024, 9:50:31 AM

ネオンが眩しい表通りを歩いていた。人生の全てが上手くいかずに沈んだ心は街のネオンを拒絶する。思えば飲み屋街を一人で歩くのは初めてなのかもしれない。いつも同僚や上司に連れ回されていた。だが、それも昨日で終わった。上司の机に叩きつけた退職届がそれを迎えさせた。酒が残った身体に鞭を打ち、歩き続ける。すると、ある店で足が止まった。
「……ガールズバーか、」
今更、女に興味は湧かない。だが全財産を叩きたい気分だ。俺は迷うことなく建物の中に入った。営業中と書かれていたが電気はあまりついていない。ぼんやりとした照明を頼りに先に進む。扉を一つ開くと、そこは大広間だった。奥にステージ、手前側にはテーブルと高そうなソファが並んでいる。ステージの中央にはポールダンスにでも使うような棒があった。
「あっ、すみません。まだ準備中で……!」
ステージの脇から女が一人。やけに露出の多い格好をしていた。
「……営業中ってありましたけど」
「えっ!」
忘れていたのだろうか、女は青ざめていた。ノコノコと顔を出した俺を追い返す訳にも行かず、かといって座らせる訳にもいかない、とでも言いたげだ。
「あの……まだ演者さん達いなくて…。私、お酒も準備できなくて……」
格好とは裏腹に、女の喋り方は人見知りのそれだ。目はウロウロと泳いだままで、合わせられることはない。そんな様子に少し悪戯心が沸いた。
「アンタは」
「え?」
「踊れねぇのかよ」
女の顔がまた背けられる。
「まだ見習いで……」
と、言いにくそうに零した。だが此方も食い下がる。
「金は払うからよ」
有り金を全て叩きつけると女の目が大きく開いた。驚いたように口も開けている。女は渋々、といった感じでステージに上がった。中央の棒を掴み、上の方まで登ると、ゆっくりとした動きで踊り始めた。ポールダンスだ。彼女の動きと合わせてたなびく布が美しく映える。野暮ったいように見えた顔も身体も、研がれた刃のように心というものに突き刺さる。曲も、気の利いた照明もないが十分だ。寧ろ邪魔な隠し味だ。
陳腐な言葉だが、本当に釘付けだった。扇情的で清純な、対極的な踊りだ。まだ踊りというラインにすら立てていない、と踊り終えた彼女は言ったが、これ以上の踊りを見たことは無い。何度も何度も褒めたかったが、彼女は顔を赤らめてしまった。
「また来てください」
帰り際に彼女は薄く笑んでそう言った。丁寧にも入口まで見送ってくれたが、彼女は新しいカモを捕まえたとしか思っていないだろう。振り返ると、彼女はまだ此方を見つめていた。そして、恭しく礼をした。まるで漫画にでもいる貴族のような、踊るような仕草だった。

題目『踊るように』

9/8/2024, 9:50:07 AM

ここは俺の独壇場で、俺だけのステージ。スポットライトを独り占めすることを知ってしまえば、後戻りはもう出来ない。一種の中毒だ。
俺の掌で転がしていじくり回す。いつでも糸を引いて踊らせているのは俺なのだ。悔しかったらまず俺を期待させてみろ。

踊るように、華麗に、今宵も輝く宝を奪いに行きます。

とある怪盗の独り言。


2024/09/16 #踊るように

9/8/2024, 9:45:28 AM

黄昏時の紫色の空の下、私はオンボロアパートのベランダの柵に肘をついて外を眺める。面白みの無い二車線道路を通る自動車や人々。その中に上機嫌にスキップをした一人の少女がいた。

その姿は宛らスポットライトさえ当たらない真っ暗な舞台で、足を軽やかに動かし孤独に踊る若い演者のよう。

私は少女からふいっと目を逸らし、薄ら暗い天に紫煙を蒸かすばかり。


『踊るように』

9/8/2024, 9:45:16 AM

【踊るように】
胸の高鳴り、踊るように
待ち合わせ場所へ向かってる、踊るように
駆け巡る胸キュン妄想、踊るように
踊るならタンゴかな

9/8/2024, 9:45:05 AM

《巡り逢うその先に》
        番外編
〈黒鉄銀次という男〉  ②

        
主な登場人物
 金城小夜子
     (きんじょうさよこ)
   玲央      (れお)
   真央      (まお)
   綾乃   (母 あやの)
 椎名友子  (しいなともこ)
 若宮園子 (わかみやそのこ)
   大吉    (だいきち)
 東山純 (ひがしやまじゅん)

 向井加寿磨 (むかいかずま)
   ユカリ      (母)
   秀一      (義父)

 桜井華   (さくらいはな)
   大樹  (父 たいじゅ)
 高峰桔梗(たかみねききょう) 
   樹      (いつき)
 葛城晴美 (かつらぎはるみ)
 犬塚刑事    (いぬづか)
 足立刑事     (あだち)

 柳田剛志 (やなぎだたかし)
 桜井大樹(さくらいたいじゅ)
 横山雅  (よこやまみやび)

 京町琴美(きょうまちことみ)
 倉敷響  (くらしきひびき)

 黒鉄銀次 (くろがねぎんじ)
   詩乃    (母 しの)

詩乃は布団の中で目を覚ました。
「気が付いたかい、ここは私の家だから安心していいよ」
「どうしてここに?」
「海に浮いてたアンタを息子が助けて連れてきたんだよ」
詩乃は昨夜のことを思い出そうとした。
誕生日
乾杯
一気飲み
意識をなくす


花瓶
詩乃は全てを理解した。
私、人を殺してしまった。
ガラガラガラ
「あっ、英樹が帰ってきたよ」
「目が覚めたか」
この人、たまにランチを食べにきてたひとだわ。確かお酒は飲めないって言ってた。
「あなたが私を助けたんですか」
「あゝ、そうだ」
「どうして死なせてくれなかったんですか。私は人を殺してしまったんです。生きていちゃいけないんです」
「落ち着け、郷田は死んじゃいない」
「本当ですか。よかった」
「全然よくなんかない、郷田は手下を使ってアンタを探している。捕まったら何をされるかわからないぞ」
「殺されるって言うんですか」
「いや、殺しはしない。だが、生かしもしない。薬漬けにされて、一生郷田に貢がされる」
「そんな!」
「すぐにこの町を出た方がいい」
「でも、一旦部屋に戻らなければお金も何も持ってないし、それにママに謝らなければ」
「まだわからないのか、あのババアと郷田の組は裏で繋がっているんだ。今までアンタと同じ目にあったヤツは、何人もいるんだ」
「ウソ、ママはそんな人じゃないわ。訳も聞かずに私を置いて、仕事もさせてくれたのよ」
「アンタは騙されていたんだ。アンタの前にいた女は、今は隣町のソープで、一日に5人の客を取らされているよ」
「そんなのウソよ。ママはとっても優しくていい人なのよ」
「いい人がアンタみたいなガキを夜中までスナックで働かせてる訳ないだろ。ともかく、すぐに町を出るんだ。駅にはすでに手下がいるからダメだ。30分後に港からトラックが出てこの家の前を通る。俺がトラックを止めるから、その隙に荷台に潜り込め。少ないがこれを持っていけ」
英樹は詩乃に2万円を渡した。
「それから、これを着て行け」
「これ男物の服ですよ」
「ヤツらが探しているのは女だ」
そしてトラックがやってきた。
どうやら英樹はトラックの運転手と知り合いのようだ。
詩乃は素早く荷台に潜り込んだ。
幌付きのトラックなので、外から見られる心配はなさそうだ。
トラックはすぐに走り出した。
詩乃は最後にお礼を言おうとして幌を少し開けてみると、英樹が数人に言い寄られていた。
ヤバイ、バレたんだ。
ここにいたら見つかってしまう。
トラックが十字路を右折したところで詩乃はトラックから飛び降り路地に逃げ込んだ。
その後すぐに猛スピードで車が通り過ぎトラックを止めて運転手を引き摺り下ろした。
危なかった。
でもこれからどうしよう。
ここにいてもすぐに見つかる。
目の前に自転車があった。
迷っている時間はない。
詩乃は自転車に乗り、できるだけ人のいない裏道をゆっくりと焦らずに東に進んだ。
三つ目の十字路でヤツらの車が飛び出してきた。
急ブレーキをかけたので、ぶつからずにすんだが万事急須だ。
しかし、詩乃には気付かずに車は走り去って行った。
そうか、男装をしていたので気付かれなかったのだ。
英樹さんありがとう。
詩乃は三つ先の駅で自転車を乗り捨てた。
このまま東行きの電車に乗るか迷った。
自転車はすぐに見つかるだろう。だとすると東に行くのはまずい。
一か八か詩乃は西行きの電車に乗った。
自分のいた町の駅で電車が止まった時は生きた心地がしなかった。
ホームや改札の外に手下が5・6人いたのだ。
だがヤツらは駅に入って来る女を調べていたが、電車の中の乗客など気にもしていなかった。
電車は無事に出発した。
詩乃はやっと一息ついた。
あんなに優しかったママが私を裏切ったなんてまだ信じられない。
詩乃は涙が溢れてきた。
裏切られたから。
悲しいから。
悔しいから。
また、ひとりになったから。
詩乃は泣きながら眠りに落ちた。
詩乃が目を覚ました時にはすっかり夜になっていた。
電車は大きな街の駅に着くところだった。
‘キレイ’詩乃はネオンの輝く街を見てそう思った。
この街にしよう、身を隠すなら大勢の人の中がいい。
所持金は残りわずかだ。
すぐにでも仕事を探さなければならない。
もう騙されたりなんかしない。
詩乃は心に強く誓った。

           つづく

9/8/2024, 9:42:20 AM

「踊るように」

くるくるまわる。目がまわる
ただそれだけの事が何故そんなに面白いのか、ずっと嬉しそうにまわっている我が子

せめて君の剥がれた足の爪が生えてきてからにして

9/8/2024, 9:40:20 AM

10歳の誕生日に
オルゴールを両親から
プレゼントされた

蓋を開けるとバレリーナがクルクルと
踊るように回りながら出て来る

音楽はいとしのエリー

そっと蓋を閉じると

両親を見つめて
にこりと微笑んだ

両親は満足そうに頭を撫でてくれた

いつもの生活に
こういうサプライズは彩りで

嬉しい

そんな子供の頃を
思い出して

今も大事に持っているオルゴールは

うちの娘にあげようと思う

喜んでもらえるかどうかより

私は
想いを引き継ぎたいのだ

両親から私 私から娘へ

大事なことは
温故知新だから

このオルゴールは
娘に見せたことはなかった

アンティークなのよ
と話そう


娘は
どんな顔をするだろう
どんな気持ちになるだろう

多分娘よりも
ワクワクして来たわ

9/8/2024, 9:36:20 AM

赤が舞い
黄が散り
茶が落ちる
はらりはらはら力無く
くるりくるくる風の中

降り積もった道の上
暖色のカーペット
枯れを踏み砕き
萎れを潰し鳴かせ
全て土ヘと還す様に

夏色を脱ぎ去り
秋へ手を伸ばす

‹踊るように›

9/8/2024, 9:32:33 AM

踊るように、人生を過ごす。
フィギュアスケーターのようなものです。
つま先は立ち、くるくると身体を回し、演技をする。
ぴょんと小さなジャンプをする日もあるだろう。
耳を澄ませば、何かしらの音楽が流れ、それに合わせ、リズムを作る。
プロのような、熟達した技を持っているわけでもない。三回転、四回転、そんなジャンプはしない。
無難に、無難に。
氷上の天使として、滑っていく。

残ったのは、軌跡の凍りゆく僅かな痕跡で、それを誰かが過去の記憶と呼ぶ。
その上をまた誰かが滑り、軌跡が重なる。

しかし、踊るといったって、それは平らでないと転ぶ危険があるし、夜通し踊るのは身体的にも精神的にも続かない。
夜になれば踊りを止め、眠りにつき、休む。
日が出れば目を覚まし、再び踊るように人生の日を過ごす。

そんな優雅な人の踊りを見て、私はどうだと深く嘆く必要はない。
世界拡散をせず、私は私。
まずは靴を履くところから始めよう。

9/8/2024, 9:23:26 AM

つるぎのまい


 戦場でいつも楽しそうに剣を振るう男がいる。踊るように両手に持ったレイピアで敵を次々に屠る。血飛沫の中で奴は楽しげに笑っていた。
 それは紛れもなく私が拾ったヴァシリーなのだが、何故、奴がこうも楽しげに敵を屠るのか、私には理解が出来ない。何せ、私は奴と同じように躊躇いなく敵を殺せるが、あんなふうに笑えたことは無い。

 (……何が楽しくて笑っている?)

 剣の使い方は私が教えた。だから、奴の振るう剣の使い方はまるで舞を舞うように美しく、隙が無い。当然、私の剣の扱い方も同じだ。敵の見惚れたような顔を見ながら剣を振り下ろすのは、悪くないと感じる。が、笑顔を浮かぶところまではいかない。
 面白くない。何故、あいつは笑っている?それに私が北の支部に移ってから数年後に拾った娘にも随分と気をかけている。ヴァシリーの背後から迫る敵を次々に屠っている。
 やはりと言うべきか、娘の短剣の扱い方は洗練されたもので、隙が無い。何処となくヴァシリーの剣の扱い方と似ていた。

 (……よく、似ている)

 それだけでヴァシリーはあの娘に執着していることがよく分かる。あの娘を見つける前のヴァシリーは何に対しても無関心で、私の言うことを程よく聞く子だった。もっとも……奴は私のことが憎いらしく、よく私を殺そうとしてきたが。
 だが、今のヴァシリーに昔のような貪欲な殺意は何処にも無い。あの娘が原因だろう。

 (面白くないな。何故、ヴァシリーが私には無いものをすべて持っている?それに今のヴァシリーは随分と腑抜けてしまった。それはあの娘が原因か?)

 そうこうしているうちに戦いが終わったらしい。私の視線に気づいたのか、ヴァシリーは不快そうに眉を顰め、私の視線から隠すように娘を抱き寄せた。

 「……随分、剣の扱いが上手くなったね。ヴァシリー?まるで舞を舞っているように美しく、隙が無かったよ」

 口元に笑みを浮かべてそう言えば、ヴァシリーは益々不機嫌そうにした。

 「楽しくもないくせに何故笑う?エミール。先ほどまで殺すような視線を俺たちに向けていたが」

 「おや、気づいていたのかい。お前が楽しそうに笑っているものだから、お前の師としては喜ばしいと思ったわけだが」

 「……思っていないことをつらつらと話す口だな」

 奴は呆れたように息を吐き、傍にいた娘に「行くぞ」と声をかけ、私の前から立ち去る。娘は少し不思議そうにこちらを見た後、軽く会釈をして去って行った。

 「ふむ……」

 あの娘がヴァシリーに影響を与えたのなら、私にはどうだろう?
 ふと、そんな考えが浮かぶ。あの娘がヴァシリーを変えたのなら、私にも何かしらの変化をもたらしてくれるのではないかと。
 なら、それを実現するには……。

 「あの娘を一度茶会へ招こうか。そうしたら、私にとって何か良いものを見せてくれるだろう」

9/8/2024, 9:23:11 AM

ボスに負け 残念の舞 皆破顔



 友達と協力して戦ったのに、すんでのところでゲームオーバー。踊るようなジョイコンさばきだったけどねぇ。
 そんな時も脱力する踊りをして、皆を笑顔にできるところは君の良いところ。必要以上なゴメンもなく、ニコニコまたねでバイバイできてて、母にはできないところだから、密かにそこは尊敬しちゃってるんだ。

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 昔読んだ幼年童話に噴水を剣舞で切ると小さな水の彫刻がたくさんできる王子様みたいなのがいた気がする。
 あれは何の物語だったかな。
 旅行先のホテルの壁紙みたいに、重要ではないのに切り取られた美しい思い出。

 目がスロー モーションカメラ なら白露
 一雫さえ ラテンダンサー

 落ちる→季語白露(はくろ)に。
 カーテンコール→ラテンダンサー カーテシーのイメージでしたが、より踊りだと言えるものに変更
 
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フーコーの 振り子が踊る 蒼き球

 踊っているのは地球か、振り子の球か、私の心か

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