さくら ゆい

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【踊るように】

放課後にコンビニでアイスを食べていたら、目の前を小学生が『南初富に馬が出たー!』とか『馬に乗りたい!』と騒ぎながら通り過ぎて行った。今日も平和な一日を過ごしていると実感しながらアイスを食べていると同級生が踊るように走って、こちらに来た。

「鈴木さーん!ねえねえ暇ー?」
「佐藤さん、暇だけど」
「南初富に馬が出たんだって、見に行かない!?」
「良いけど」
「じゃあ、出発〜!」

佐藤さんはそう言うと、さっきと同じように踊るように走っていた。彼女のことはいつも不思議だと思っていたのだが、関わっても関わらなくても不思議だ。

「なんで馬にそんな夢中になれるの?」
「それはね、イケメンに会えるから!」
「は?イケメン?馬じゃなくて?」
「うん、南初富に塩顔イケメンがいるのよ」
「塩顔イケメン……?どんなの?」
「これ。この人がね家のベランダで日向ぼっこしてたのを見た時、刺さっちゃって」
「確かにイケメン……」

写真を見せられ、確かにイケメンだと思った。でも今日いきなり行ってもそのイケメンがいるんだろうか……。とか思っていたら南初富に着いてしまった。
そこには馬がいて、草を食べ続けている小さい馬だった。その横を見るとその男の人は日向ぼっこをしていた。確かに塩顔のイケメンだった。でもタイプでも無いし、別に同級生に着いていっただけなので、面倒くさくなりずっとイケメンを眺めている同級生を置いて帰った。

9/8/2024, 9:55:39 AM