『貝殻』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「なんでさあ」
「?」
「貝殻を耳にあてると、波の音がするの?」
「さあ…」
「なんで?」
「…世の中には、説明しないほうがいいことがあるんだ」
「ちぇっ、インテリ気取り」
「正確な答えかはわからないけど、仮説とか推論とか聞きたい?」
「るっせえな!お前こそいちいち理屈っぽいの直せよ」
(うっ…)
「別にそう言われたら聞きたかねえし。…でも思ったんだよ。なんでかなって」
「ふーん…」
「『ふーん』?ああそう、ふーん、『ふーん』ね、ふーん」
「…そういうこと考えるの苦手なんだよ」
「?」
「でも、たまにはそういうのもいいかもね」
「よくわかんないけど、お前にもわからないことあるんだな。じゃ、とりあえずAIにきく?」
「だからそういう話じゃねえ!!」
「あのー、なんで貝殻を耳に当てると波の音がするんですか?」
「あああああ…」
詩情と理の間に挟まれながら、愉しく、揺蕩うことの難しさよ…。
「あのさー」
「…」
「ボタン長押ししてたら変な画面が出てきたんだけど…、これどーやんの?」
「………」
「うひっ、つべてえ」
「貝でも取って帰るか…」
*「貝殻」
『貝殻』
を海に行くとどうしても探してしまう
その後持ち帰って洗って干してしまい込む
そしてしばらくしてから
引き出しの中をごそごそしている時に
「こんな所に貝殻あったのか」
と思い出したように出してくるのがいつものパターン
海辺は本当に色んなものが落ちている
それを拾ってはどんな物語がこの中に詰まっているのか
想像するのが密かな楽しみだ
貝殻
僕も自分を出したら
終わってしまうのかな。
人の居なくなった砂浜を歩く。サンダルを脱いで、サラサラの砂を踏みしめながら。
横を見れば夕陽が海に沈もうとしていた。昼間は蒼く輝いていた海が、今は橙色に染まっていてとても綺麗だ。
「…ん?」
コツン、と爪先に何かが当たった。しゃがんで見てみれば、何処からか流れ着いた巻貝だった。
「そういえば、これを耳に当てると波の音が聴こえるんだっけ。」
どっかの誰かから聞いた話。子供の頃はその話を信じて、あらゆる貝殻を拾っては耳に当てていたっけ。懐かしさに目を細めながら大人になった私も、その貝殻を耳に当ててみた。
「…今年も夏が終わるなぁ。」
貝殻を通して聴こえる小波の音がどこか寂しげで。耳元から離した貝殻を海へと投げると、ぽちゃんと音を鳴らし消えていった。
「またね、」
貝殻と夏に、別れを告げて。
私は海を後にした。
『貝殻』
小学生になりたての夏に幼馴染からもらった
“貝殻のネックレス”は
純白なハート形で可愛らしい。
目を瞑り額に当てると
眩しいほどの潮が満ちてはひいて
数匹かのカモメは楽しそうに会話する。
しばらくして目を開く。
手に包まれたそれはたいそう小さく見えた。
【貝殻】#37
貝殻
子供の頃から、泳げないけれど、海は大好き…砂浜の波打ち際で、貝殻を拾っては、沢山集めて満足していた…大きな貝殻を拾うと、耳に押し当てて、波音を聞こうとしていた…小さな貝殻は、綺麗なものが多く、まるで宝石を手にしたようで、嬉しかった…今でも、砂浜を見かけると、つい貝殻を探してしまう…
貝殻
夏休みにあった海への旅行。
箱の中に綺麗に並べられた貝殻たち。
その一つ一つに思い出がつまってる。
来年もまた行けたらいいな。
夏の匂い、海の音。
浜辺に流れるたくさんの貝殻。
私は海に行くと、毎回一つだけ貝殻を持って帰る。
四つ葉のクローバーと目が合うように、特別な貝殻と目が合って。
それがその日の宝物になる。なんだかとっても素敵じゃないかな。
海にはたまにしか行けない。
だから貝殻を探すことは楽しみであり、出会いのひとつにもなっていく。
今年も海、きれいだったなぁ。
#貝殻
君がくれた 小さな貝殻
ただの貝殻
なのに見るたび浮かぶ 君の笑顔
これはただの貝殻 君がくれた
ただそれだけで 高鳴る鼓動
気づいてしまった
君が好き
~貝殻~
俺の趣味は浜辺で貝殻を拾うことだ。汚れてもいい格好で砂浜に寝転び貝殻を探す。たまにシーグラスも見つかるんだ。休みの今日、浜辺で寝転び、貝殻を探すこの至福の時間。少し離れた砂浜に自分と同じように寝転んで探している人がいた。話しかけたかったが、邪魔しては悪いと思い話しかけはしなかった。
次の日、昨日自分が貝殻を拾っていた砂浜です死体が見つかったとニュースで聞いた。
#貝殻
子供の頃は今よりまだ“女子”寄りだったと思う。
巻き貝をそっと耳に当て、“波の音が聞こえる”などと言うなりしていた。(思い返してのたうっている。)
水族館のお土産コーナーで売ってる“貝殻詰め合わせ”を欲しがった。それは私の宝物になった。
いつしか私は“女子”寄りから“女”を捨てた。
宝物だった“貝殻詰め合わせ”は“燃えないゴミ”にクラスチェンジして、私の前から消えた。
そうして“扱いづらい若者”に育った私は現在“扱いづらい中年”になり、捨てた“女”は未だ戻らない。あとは“老害”まっしぐらである。
貝殻は喰える部分が無く役に立たない物かもしれないが、この様にひとりの人間の転落人生を語るのに充分なポテンシャルを秘めている。
是非食された際には、殻を洗ってとっておくことを薦めたい。いつか500文字位のお題にはなってくれるかもしれないのだから。
#76【貝殻】
おばあちゃんの買ってくるお土産のセンスは
独特だ。
5歳くらいの頃
温泉帰りのおばあちゃんが
「おみやげだよぉ」と差し出してきたのは
貝殻がたくさん入った
小さなビニールバッグだった。
幼心に私は思う。
「…これでどうしろというの…?」
遊び方のわからない
まぁまぁな大きさの貝殻たち。
大人になった今ならば
お!なんかオブジェとか作っちゃおうかな?!
なんて思ったかもしれない。
だけど、あの頃の私の精一杯は
貝を床にばらまいて
海岸沿いで貝を拾うヒロインを演じること。
…つらい…!この遊び、つらいっ…!!
遊んでるのか、片付けてるのかわかんない!
あとなんか虚しい!
一人で貝拾って「アハハハハハっ♪」って!泣
それ以来、貝殻バッグは引き出しの奥に封印。
今でもお土産屋さんには
あのバッグが売っていたりするのだろうか。
流石に令和だしね。
そんなのないよね?
貝殻
海にあるんじゃない
砂と岩
波と風
同じものだよね
違うものでもある
有機物か無機物かみたいなもん
地球は生物なのかもしれんよ
人間の身体も中に色々住んでるし
もしかしたらだけど
人間も世界の外にいけるかも
でもそれは世界の外には侵略なのかも
自由とは何かではなく
不自由とは何かでしか過ぎなくない?
多数が正しいなら滅びていく
大多数は愚かだから
群衆ならなおのことだよね
なんで同じだと思えるのか謎
みんな違うのは同じなんだけど
こんな簡単なことで何故に間違えるのか
違いがあるからこその自由だと思う
その違いだって一括りにしちゃうけどさ
境界線を何処に置いてるか
ただそれだけな気がしてきた
どんな風に区切ろうとも
1つだと思えるのは
他のものがあるからで
始めから1つではないのですよね
声を覚えてくれる。そんな貝殻が、透明の貝殻がこの砂浜にはあるらしい。
一度覚えた声は何年、何十年と経っても変わらず再生できるのだという。そんな都市伝説のような話を祖父から聞いていた。幼い頃は興味の欠片もなかったのに、今は必死にそれを探している。
そして、そんな私を祖父は止めていた。
「なんでそんなもの探す必要があるんだ。お前には必要ないだろう」
「おじいちゃんには関係ないよ。どうしても欲しいの」
藁にも縋る思いで探し続けた。夜の海は危険だと言われても、昼間に外に出られない私にとってはその時間しかなかった。
だが、どれだけ探しても見つからない。どれだけ探しても、その透明な貝殻は見つからない。
その日も諦めて私は家に帰った。
「今日も見つからなかったか」
「うん」
いつものやり取りから逃げるように部屋へ行こうとすると、祖父に呼び止められた。ボロボロの巾着袋を手にして、中から何か取り出した。それは手のひらサイズの透明な貝殻だった。
「おじいちゃん、それどこで!?」
「これは俺が見つけたものじゃない。お前の母さんが遺していったものだ」
そんな話聞いたことなかった。母はある日突然、家出をしていったかと思ったら、その数ヶ月後遺体となってこの家に帰ってきた。
「聞きたいか」
祖父の言葉に頷くと、そっと貝殻の中に息を吹きかけた。すると、本当に最後に聞いた母の声が再生された。家族を遺してこんな選択をしてしまったことへの謝罪と、今まで愛してくれてありがとうという言葉で音は途切れた。
「……お前もなんだろう。同じことを考えているんだろ。なんで親子そろって同じことしようとするんだ! 声だけ枯れないままま何年も遺される親の身にもなってみろよ。愛されていることに気づいているなら、なぜわざわざ遺族が一番悲しむ選択をするんだ」
なにも言えなかった。自分の行動を見抜かれていることに驚きもしなかった。
だが、自分が間違っていることを再認識させられた。いつも怒ってばかりの祖父が泣いているところを見て、もう少し生きてもいいかもしれないと思えた。
偶々立ち寄った小さな町の、小さな海辺。
そこで俺は、小さな貝殻を見つけた。
深海の色を模倣したような、綺麗な貝殻。
この貝殻を見ていると、あいつの事が思い浮かぶ。
深く暗い海に沈んでいった、あいつの顔が。
あいつは最後まで、笑っていた。
この貝殻も、次に淡く照らされて、笑うように光り輝く。
あぁ、この貝殻が、あいつの一部なら良いのに。
そう思いを馳せながら、俺の目からは自然と涙が零れた。
#貝殻
49作目
貝殻
「これ、どうぞ」
少し肌寒くなった夕暮れ時の砂浜で、そう声をかけられた。
そちらを向けば、夕焼けに染まったような赤い髪の女性が何かを差し出していた。
それは、貝殻だった。どこにでもあるような貝殻に見えるのに、夕日に照らされたそれが何だか妖しく光るから。
気がついたら、その貝殻を受け取っていた。
女性は柔らかく微笑んで、手を振る。
「よい旅を」
その言葉を理解したと同時に、世界は自分の知っているものとは変わっていた。
貝殻
海に落ちている小さな貝殻
少女は探す
幸せの丸い貝殻を
青年は少女に声をかけた
そして少女は微笑みかけた
幸せの丸い貝
みーつけた!
ボンゴレが美味しすぎて、欠けた貝殻ごと食べてしまったことがある。美味しすぎて細かいところまで集中できなかったからだ。魚の種類によっては貝を殻ごと口でバリボリと食べてしまうのもいるらしい。その気持ちわかるわ。席に座って食べているのに海の魚の気持ちになるとは思わなかった。あと、自分の歯の頑丈さにちょっと呆れた。
#8貝殻
【貝殻】
海と砂浜と貝殻が似合うような
太陽みたいな人になりたかったな
綺麗な模様とかなんとか言えればいいんだけど
私の中の「貝殻」の9割アサリかシジミなんですよ!!
味噌汁やパスタに入ってる開いてない貝殻見つけてはショックを受け
割れた貝殻見つけては引き上げての繰り返し
海とかで見る内側がキラキラしたような貝殻は実物では見た事ない
ムール貝?知らない子ですね