霧夜

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偶々立ち寄った小さな町の、小さな海辺。
そこで俺は、小さな貝殻を見つけた。

深海の色を模倣したような、綺麗な貝殻。
この貝殻を見ていると、あいつの事が思い浮かぶ。
深く暗い海に沈んでいった、あいつの顔が。
あいつは最後まで、笑っていた。
この貝殻も、次に淡く照らされて、笑うように光り輝く。

あぁ、この貝殻が、あいつの一部なら良いのに。
そう思いを馳せながら、俺の目からは自然と涙が零れた。



#貝殻
49作目

9/5/2023, 1:55:33 PM