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「なんでさあ」

「?」

「貝殻を耳にあてると、波の音がするの?」

「さあ…」

「なんで?」

「…世の中には、説明しないほうがいいことがあるんだ」

「ちぇっ、インテリ気取り」

「正確な答えかはわからないけど、仮説とか推論とか聞きたい?」

「るっせえな!お前こそいちいち理屈っぽいの直せよ」

(うっ…)

「別にそう言われたら聞きたかねえし。…でも思ったんだよ。なんでかなって」

「ふーん…」

「『ふーん』?ああそう、ふーん、『ふーん』ね、ふーん」

「…そういうこと考えるの苦手なんだよ」

「?」

「でも、たまにはそういうのもいいかもね」

「よくわかんないけど、お前にもわからないことあるんだな。じゃ、とりあえずAIにきく?」

「だからそういう話じゃねえ!!」

「あのー、なんで貝殻を耳に当てると波の音がするんですか?」

「あああああ…」

詩情と理の間に挟まれながら、愉しく、揺蕩うことの難しさよ…。

「あのさー」

「…」

「ボタン長押ししてたら変な画面が出てきたんだけど…、これどーやんの?」

「………」

「うひっ、つべてえ」

「貝でも取って帰るか…」

*「貝殻」

9/5/2023, 2:22:29 PM