『貝殻』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
貝殻
外側はゴツゴツ。
嵐が来たって平気平気。
内側はすべすべ。
光沢があって柔らかな人肌のよう。
その中に入って
すやすや眠る
貝。
貝たち。
ぐっすり眠ったまま
鯨の、ウツボの、お腹の中、
夢の中へ。
波が話しかける。
大きく小さく、寄せては返す、規則的なリズム、波音で。
砕かれながら、細かい粒子、
命の素になりながら
貝たちはその声を聴く
「かわいい貝たち、
またおいで
またあそぼ
次はひとつ上でね…」
それを聴く私の耳。
浮かんでくるのはコクトーの詩。
私の耳は貝の殻
海の響きを懐かしむ…
小さい頃
白い砂浜のきれいな海へ
両親が良く連れて行ってくれた
そこでいろんな貝殻を探すのが
楽しみだった
真っ白な小さくて可愛い貝殻
薄ピンクや
渦巻き状もある!
沢山の小さな発見が嬉しくて
白い砂浜に来るとワクワクした
家に帰って集めた貝殻を
洗ってピカピカにして
勉強机の棚に並べて眺めていた
ある日両親が
また海に行くよと言ってくれた
でもそこはいつもの白い砂浜ではなかった
私はがっかりした
すると両親は
ある所に私を連れて行ってくれた
中に入ると
キラキラした
沢山の貝殻達が
綺麗に並べられていた
大きさも形も様々な貝殻達
宝物がこんなに沢山ある!
喜んで眺めている私を見て
両親はずっと微笑んでいた
帰りの車の中
両親が私に綺麗に包装された物を
私にくれた
可愛いリボンシールが貼ってある
何だろう!?
包みを丁寧に開けると
そこには真っ白な小さい貝殻で作った
ポーチとネックレスが!
私は嬉しすぎて叫んでしまった
貝殻が大好きな私のために
両親が買ってくれていた
家に帰ってお気に入りの小物を入れて
ずっと大切に持っていた
ネックレスは家の中でしか付けなかった
勿体なくて外では一度も使わないまま
ずっと大切に持っていた
今そのポーチとネックレスは
小さな娘の手にある
ポーチには沢山のおもちゃが入ってる
今度ポーチを持ってネックレスを付けて
おじいちゃんとおばあちゃんと
白い砂浜の海へ
みんなで一緒にお出かけしようね
沖縄の海はとんでもなく美しくて
「暑い」
君と見る青い海に俺の心は
「暑い」
君と聞く本物の波の音はそれは
「暑い」
「うるせーな、もう! 雰囲気台無しだろ!」
「ふんいきいらねーのよ!暑いんだもんっ、はよ日陰行こーぜっ」
せっかくの空き時間にいい感じに2人になったってのに味気ない。そりゃ暑いは暑いけどな!!
ふんっと鼻を鳴らしてコテージに向かって海に背を向けた俺の服が、ふと引っ張られる。
「……なに」
「かい」
え? と振り向くと、俺のシャツを握ってた手を離して君はしゃがみ込み、砂に落ちていたきれいな色をした貝殻を拾った。
「やる」
「はぁ? なんでよ」
「なつの、おもいで」
君は照れくさそうにそう言うと、俺の肩をポンと叩いて駆け出していく。
「なーにがふんいきいらねーのよ、だよ」
どっちがロマンティストなんだか。
貝殻を翳す。遠ざかる君の背ときれいな貝殻。
夏の思い出。
▼貝殻
貝殻を拾った。
でも、割れてて半分になっているし、
ところどころちょっと汚れている。
でも僕は、その貝殻に魅力を感じた。
君に似ているからかな。
手の届かない存在だって分かってる。
それでも、貴方を好きなのはやめられない__。
あなたは、私を知らないけれど
それでも大好きです。
#推し
貝殻
煙草の吸殻に、米のもみ殻
何もないことを表す もぬけの殻
殻といえば少し地味なイメージがする。
でも、『貝殻』はどうだろう?
白や少しの桃色を帯びた貝殻もあれば、
波に削られ、丸っこくなった貝殻もある。
また、それらは持って帰りアクセサリーに
生まれ変わらせることだってできるのだ。
時にはヤドカリが綺麗で住みやすい貝殻を求めて
探しにくることもある。
貝殻は『貝』という動物の死骸でありもちろん
動くこともできない。
それでも、砂浜で、海底で、自分をアピールし
ヤドカリや人間のように自分を必要としている者
に拾って貰おうと必死なのだ。
同じように考えると、『せみのぬけ殻』も
似たようなものだ。
せみのぬけ殻は好き嫌いが別れる。
なので集めるのは少数だけだ。
その中には、ぬけ殻はせみが残してくれた宝物だと思う人もいるのかもしれない。
ぬけ殻も自分の意志はないはずなのに、木や塀に必死に捕まって、目立とうとしているのだ。
私はこんな光景を見るたびに思うことがある。
それは、人はやはり自然の美しさには勝てない
ということだ。
人間の最期は実に虚しいものだ。
今まで培ってきた肉体も残さず焼かれ、
残るのは白骨だけだ。
自然界の生き物たちは死後も尚、アピールを続けている
意志の有無とは関係なく輝こうとする
生き物たちの姿勢には
本当に頭が下がる。
夕飯の食卓に
貝類と甲殻類がどーんと並べられていた
「さ、いただきましょ」
つん…とした母の声と始まる黙食
他3人は食べる前に息を飲む
(誰だよ、母さん怒らせたのー!)
貝のように口を閉ざし、犯人を探る
開いて中身のない貝殻と
母の好物であるエビやカニの殻ばかりが
皿に積まれ続けた…
#貝殻
耳に近づけると
海の音がする。
育ってきた音。
懐かしい場所の思い出
故郷。
実家の安心感
あるよね。
分かるよ。
–貝殻–
『貝殻』
海で拾った貝殻に、ワイヤーとワニグチを付けて、カードクリップを作ったことがあります。
貝殻に穴をあけるのが難しく、何個か割ってしまい、悲しくなったのを覚えています。
何でもそうですが、自分で作るって、大変です。
貝殻は、丈夫で美しいですから、腕時計の文字盤などにも使われていますし、工芸品の飾りでもよく見掛けますね。わたしが持っているガムランボールにも、貝殻の細工があり、キラキラしていて綺麗です。
「みて~?貝殻見つけた!」
無垢な妹は楽しそうに
小さな貝殻を手に持っている。
「良かったねぇ。」
なんて言えばまた拾いに言った。
両親は悲しそうな顔をして
お花を持っている。
「お姉ーちゃん?」
妹が近付いてくる。
「駄目よ、私は死んでるんだから。」
私の声は震えていた、
昔よくここで、一緒に貝殻を拾ったよね。
どっちが多く拾えるか勝負したり、お互いに見つけた綺麗な貝殻を交換しあったり。
耳に貝殻を当てて、海の音がするかやった時もあったね。
君と、海の音がするってはしゃいだのをよく覚えてる。
あの時一番海の音がした貝殻、まだとってあるんだ。時が経っても、音が聞こえるかも知れないと思って。時々、耳にあてたりしてた。
でも今は、聞こえなくなっちゃった。海の音も、
君の声も。
今だって、広い海が目の前にあるのに、その波が打ち寄せる音が、全く聞こえない。
嗚呼、また聞きたいな。
貝殻があたってカチャカチャいう音、砂浜を走る音、波が打ち寄せる音、
貝殻から海の音を聞いて、「すごいね」ってはしゃぐ、君の声を。
【貝殻】
お題:貝殻
あの子が残したのは、たった一つの爪の先ほどの瓶に入った桜貝。
僕はそっと手のひらに乗せて。じっと眺めた。
海からやってきた、あの子が身につけていた、たった一つのアクセサリー。
本当なら、海に返してあげるべきなのだろう。
でも僕には出来そうもなかった。
この硝子の小瓶を手放してしまえば、僕と、あの子をつなぐものが消えてしまいそうで、とても、怖かった。
もう二度と会えないということを、受け入れなければならないということを。
あの子は海岸に流れ着いて来た。その美しさに一目で奪われてしまって、僕の家に連れ帰って看病をした。
あの子は最後まで言葉は話せなかったし、文字も書けないようだったし読める様子もなかった。何があったのかわからないけど、足も痛めているようだった。
そんなあの子はある日、僕が持ってきた王子様とお姫様の絵姿を見て目を輝かせると、お城に連れて行ってとしきりに身振り手振りをし始めた。
それだけで、あの子は王子様にあいたくて、海の果てから来たのだと分かってしまった。
たまたま僕の叔父さんがお城の庭師をしていたので、連れて行く事はできたけど。それから先はどうなったのかわからない。
久しぶりに遊びに来た叔父さんから、僕が連れてきたあの子を、いつの間にか城に召し上げる話になっていたから。
だから、僕があの子をもう一度見たのは。
王子の船が、隣国の姫との結婚式のために隣の国に旅立つのを見えなくなるまで、見送りの人々が誰もいなくなるまで、やがて満月が空に高く登っても水平線を見つめ続けていた。
そうして僕があの子に手を差し伸べようとしたその瞬間、あの子は海に飛び込み、僕の目の前で泡になって消えてしまった。
最後まで、あの子は僕を見なかった。
僕はそっと目を閉じ、あの硝子の小瓶をそっと撫でた。
おだやかな波の音が、僕の耳に届く。
しばらくそうしていたけれど、やがて僕は目を開いた。
今日はこんなに穏やかな夜の海だから。
本当は僕のところに残すつもりのなかった王子様への想いは、あの子とともに海に帰るべきなのだと。
長い時間をかけて僕はようやくそのことを受け入れると、硝子の小瓶を波打ち際にそっとおいた。
さざ波が、僕の想いとあの子の王子様へ届くことのなかった想いを、代わりに届けようとしているかのように、桜貝の入った小瓶を静かにさらっていった。
貝殻
そういえば小学生の頃からの友人から貰った
貝殻の入ったビンのストラップが在るな
全然固いので空けられない
学生時代の夏が封じられているから
渚のハイカラマーメイド
cuteなhipにズッキンドッキン✨🍀(笑)
……
STAY MY BLUE
僕は…キミが恋しすぎるから
たまらないんだよ…
ねぇ…
明日から…
ねぇ…
キミが…
こぼす吐息は…
ひとつひとつ輝いて…
僕の海になれ…
……
あのね…
美佐子さん…恋しいよ…
恋しいから…
恋しすぎるから…
ねぇ…
恋しい…
ねぇ…
恋しいから…
今夜も恋い焦がれて
キミに胸焦がれて
キミに恋してます…
……
小泉今日子
渚のハイカラ人魚
スターダスト・レビュー
STAY MY BLUE -君が恋しくて…
から抜粋させてもらいました
耳にあてて
静かに聞いてみる
遠い遠いあの日の笑い声が
聞こえてきた
そっと波の中へ返した
次に聞く時も
また笑い声にしよう
私はよく分からない難しい名前の病気にかかっている。ある日突然胸が苦しくなって、お母さんが呼んだ救急車に乗せられて大きな病院に運ばれた時はもう意識がなかった。そこから処置を受け、生死の境目を彷徨って、もう一度この世界に戻ってこれた、らしい。
これは全部お兄ちゃんが教えてくれたこと。私はずっと眠っていたから覚えてるわけない。でも、とにかく大変だったらしい。沢山の大人の人がお前のことを救ってくれたんだよ、って教えられた。だからこの先の未来は一生懸命生きるんだよ、って。
たとえどんな辛いことが起きても。
たとえ私が、自分の力で歩けなくても。
これも、その難しい名前の病気のせいで自力で歩くのができなくなった。体中に巡るはずの血液がうまく循環しないかららしい。だからずっと車椅子。出掛けるのは誰かと一緒。大好きだった陸上もできなくなった。海で泳ぐことも二度と無い。それを思うとすごくすごく辛くて、みんなが帰った夜の病室で独りで泣いたことは何度もあった。なんで私だけ、って思った。
でもそんな時、お兄ちゃんは私に会いに来る時決まって“お土産”を持ってきてくれる。それは綺麗な貝殻だった。この近くに海があって、そこで拾ってきてくれる。耳に当ててみな、と言われてその通りにする。
「貝殻を耳に当てると波の音がするんだよ」
色んな大きさと形の貝殻からはどれも違った音がした。泳げない私に、お兄ちゃんは海を持ってきてくれたのだ。
お兄ちゃんのおかげで私の貝殻コレクションはすごい量になってゆく。だけどいくら集めても、海に潜れる日がくることはない。人魚姫は自分の声と引換えに足を手に入れて陸に上がった。私も、願えるのなら、自分の声をあげるから泳げる足がほしい――なんて言ったら、お母さんが悲しむから言わないけれど。
悲しみに負けそうな時、この貝殻を耳に当てると少し心が落ち着く気がする。あの頃の日常も元気な私ももう取り戻せないけれど。波の音が大丈夫だよ、って言ってくれてる気がするんだ。
生きてさえいれば。
どんなに辛くても自信がなくても否定的になっても。
生きてさえいれば、きっと何かが変わる。
ゆっくり時間をかけて、この波の音のように寄せては返して悲しみを乗り越えられる日がくる。
私はそう信じてる。
冬に貝殻のネックレスを長崎で買った
金色の金具チェーンで貝殻はサーモンピンクと白が縦模様になって重なり合っている美しいものだった
今年の夏にネックレスをつけることを楽しみにしてた
白色のトップスの上にレースの短い半袖のお洋服、真ん中でリボンを結ぶ
白のフリルミニスカート
レースの靴下
海外の人かのような金色の髪
ただ日に焼けてないような明るい肌
甘い甘い香水をワンプッシュ
そして最後に貝殻のネックレス サーモンピンクの。
すごく好きなファッションでその日を過ごした。海もいかず、ショッピングにも、友達とも会うわけでもなく、ただただ部屋の中にこもった
だけど海がすぐそこにあるように感じた
サラサラと光っている砂にたくさんの貝殻たち
それとともに、もう冬の匂いもした気がしたの
貝殻ネックレスの影。夏の影。
さようなら夏、また来年ね。貝殻ネックレス
貝殻
「博士、これは……」
「ああ、束彩。貝殻の化石を拾ったのか」
「はい。ところで貝殻とはなんですか」
「貝殻はかつて海で採取できたものだ。それは無機物のようだが、食べられるものもあるんだぞ」
「ホタテとかですか」
「そうだな。現在は海自体が枯れてしまったから、食卓に並べるものはどうしても限りなく似せたものになってしまうんだ。申し訳ない」
「別に……博士が謝ることじゃないですよ。海がないのは地球温暖化を進めた人間ですし……全く理解ができない……わたしにとったらあなた達が毒のようなものですよ……ブツブツ」
「そう悪く言わないであげてくれ。束彩も元々は人なのだから、」
「博士。現在のわたしはクローンです。……昔の話をされても、どうとも思えません」
「そうだな。ごめん」
「…………あの」
「ん?」
「博士、可能であればなんですが」
「どうしたんだ?」
「博士は、わたし達に海をもう一度見せてくれますか」
「……それは、かなり不可能に近いな。でも、どうして?」
「綺麗だなって思えたんです。これは毒もない。わたしが綺麗だと思えたものは全て毒が含まれていました」
「束彩は……海が見たいんだな」
「そうです。化石の状態でこんなにも綺麗なら、海本来はとても美しいに違いない。そう思いませんか」
「なるほどな。わたしも地球温暖化により消滅したものを復元しようとしているところではある。……その望み、覚えておくよ」
「どうも。楽しみにしています」
〜〜〜
おまけ
空模様(8/19のお題)
本日書いたものとは世界観が異なります。
「……」
「詠人さん?」
「ん?ああ、玲央か」
「お悩みですか?私ができることならなんでもやらせていただきます」
「いや、違うんだ」
「?」
「空は元々いた世界と同じだな、って感じていた」
「元々……?」
「俺様は本当はここの世界の住民ではないんだ。信じてはもらえないだろうが」
「いいえ、信じますよ」
「……お人好しだな」
「いいえ、根拠からの推測です」
「どういうことだ?」
「現在、どこからともなく現れてここで生活している、仲原みさとさんが証人のようなものです」
「……なるほどな。彼女にも元々の世界があるような発言だからな」
「なにより……」
「ん?」
「……いえ。空、本当に綺麗ですよね」
「……?ああ……そうだな……?」
雲の切れ間から差し込む光
かかる虹 葉先に滴る雨雫
心の奥ふかくで
小さな小さな核が 逸る鼓動に共鳴する
途方もない憧れが映し出す心象風景
突如晴れゆく視界
涼しい向かい風が透明な身体を通り抜けてゆく
一閃
足元からどこまでも広がる空間
花が驚き一斉に開き出す
プリズムで拡散する鮮やかな景色
いまがいまであると証して
尽きることのないエネルギーなら
いつかきっと辿り着くよ
曇りのない貴方の笑顔に会える場所
だからどうか見つめていて 未来の私
すべて自分の手で掴んでみせるから
<最果てで見たいもの>
題:きらめき
ハマグリの
貝殻は
その2枚でなければ
ピタリと
形が合わないそうだ。
だから
他のものと
換えが
きかない。
それを
縁起物として
おめでたい席で
振る舞う。
わたしも
そんなふうに
ピタリと合う
出逢いに
恵まれたらいいな。
#貝殻