貝殻
煙草の吸殻に、米のもみ殻
何もないことを表す もぬけの殻
殻といえば少し地味なイメージがする。
でも、『貝殻』はどうだろう?
白や少しの桃色を帯びた貝殻もあれば、
波に削られ、丸っこくなった貝殻もある。
また、それらは持って帰りアクセサリーに
生まれ変わらせることだってできるのだ。
時にはヤドカリが綺麗で住みやすい貝殻を求めて
探しにくることもある。
貝殻は『貝』という動物の死骸でありもちろん
動くこともできない。
それでも、砂浜で、海底で、自分をアピールし
ヤドカリや人間のように自分を必要としている者
に拾って貰おうと必死なのだ。
同じように考えると、『せみのぬけ殻』も
似たようなものだ。
せみのぬけ殻は好き嫌いが別れる。
なので集めるのは少数だけだ。
その中には、ぬけ殻はせみが残してくれた宝物だと思う人もいるのかもしれない。
ぬけ殻も自分の意志はないはずなのに、木や塀に必死に捕まって、目立とうとしているのだ。
私はこんな光景を見るたびに思うことがある。
それは、人はやはり自然の美しさには勝てない
ということだ。
人間の最期は実に虚しいものだ。
今まで培ってきた肉体も残さず焼かれ、
残るのは白骨だけだ。
自然界の生き物たちは死後も尚、アピールを続けている
意志の有無とは関係なく輝こうとする
生き物たちの姿勢には
本当に頭が下がる。
9/5/2023, 12:53:26 PM