沖縄の海はとんでもなく美しくて
「暑い」
君と見る青い海に俺の心は
「暑い」
君と聞く本物の波の音はそれは
「暑い」
「うるせーな、もう! 雰囲気台無しだろ!」
「ふんいきいらねーのよ!暑いんだもんっ、はよ日陰行こーぜっ」
せっかくの空き時間にいい感じに2人になったってのに味気ない。そりゃ暑いは暑いけどな!!
ふんっと鼻を鳴らしてコテージに向かって海に背を向けた俺の服が、ふと引っ張られる。
「……なに」
「かい」
え? と振り向くと、俺のシャツを握ってた手を離して君はしゃがみ込み、砂に落ちていたきれいな色をした貝殻を拾った。
「やる」
「はぁ? なんでよ」
「なつの、おもいで」
君は照れくさそうにそう言うと、俺の肩をポンと叩いて駆け出していく。
「なーにがふんいきいらねーのよ、だよ」
どっちがロマンティストなんだか。
貝殻を翳す。遠ざかる君の背ときれいな貝殻。
夏の思い出。
▼貝殻
9/5/2023, 12:56:10 PM